建設省道発第一一一号
昭和三〇年四月一九日

都道府県知事・地方建設局長・北海道開発局長・五大市長あて

道路局長通達


道路法の規定に基く国有財産の取扱について


今回建設省所管国有財産取扱規則(昭和三〇年建設省訓令第一号)が制定され、道路法の規定に基く国有財産に関連する事項について別紙(1)のとおり規定されるとともに、国有の道路敷地等の取扱について別紙(2)のとおり大蔵省管財局長との間に協議を行ったので、御了知の上、左記により関係事務を処理されたい。なお、貴管下各道路管理者にも周知方お取り計らい願いたい。

第1 道路法第九〇条第二項の取扱について

道路法(以下「法」という。)第九〇条第二項の規定を適用する場合の譲与と無償貸付との区分については、別紙(二)の記の一に定めるところによるものとしたので、財務局等と折衝する場合には留意されたい。
なお、都道府県知事が建設省所管の普通財産を同条の規定によって譲与又は無償貸付する場合は、次の点に注意されたい。
(1) 譲与については、建設大臣の承認を要する(建設省所管国有財産取扱規則(以下「訓令」という。)第二四条)。
(2) 無償貸付については、訓令第二二条の規定の適用はなく、建設大臣の承認を要しない(訓令第三条)。

第2 道路法第九二条第四項の取扱について

不用物件が建設省所管の国有財産である場合において、都道府県知事が法第九二条第四項の規定により財産の交換について道路管理者から不用物件の所有者としての同意を求められたときは、訓令第七条の規定の適用はないので、建設大臣の承認は要しない(訓令第三条)。

第3 道路の供用廃止又は区域変更に伴って生じた不用物件については、法第九二条乃至第九五条に規定するところであり、不用となった道路敷地等が管理者の所有である場合(主として新道路法施行後に新設又は改築した都道府県道又は市町村道の場合)は、法第九二条第一項に定める期間が満了した後に、当該地方公共団体の財産として保有するか、又は地方自治法の定めるところに従い地方公共団体において処分することとなるが、不用物件が国有財産である場合は、道路法施行法第七条の規定に基き旧道路法の規定により処分するものを除き、次に定めるところにより処理されたい(いずれにしても、当該物件が土地であり、且つ、収用されたものである場合は、土地収用法(昭和二六年法律第二一九号)第一〇六条及び第一〇七条の規定の適用があるので、処分する際には注意されたい。)。

(1) 建設省所管の国有財産である場合(一般国道の敷地又は旧道路法当時からの道路敷地で農林省等他省の所管に属しないもの等)

一 譲与申請について

(イ) 譲与を受けようとする場合は、法第九二条第一項に定める期間を経過した後、当該不用物件の管理者である地方公共団体の長から法第九四条第二項及び訓令第三条の規定により都道府県知事あて譲与申請をすること。
(ロ) 特別の事情がある場合及び道路の新設又は改築により代替道路が建設されたために生じた不用物件である場合を除き、不用物件の管理者が道路管理者として当該物件を管理していた期間が三年未満であり、且つ、その路線認定以前に他の種類の道路(その管理の費用を負担するものが同一の地方公共団体である場合を除く。)として管理されていた期間がその二倍以上である場合には、不用物件の管理者は、その以前の道路管理者と協議の上、以前の道路管理者においても譲与を受けたい意思があるときは、両者連名で、一方が辞退したときは、それを証する書面をそえて、(イ)による譲与申請をすること。
(ハ)

A 譲与申請書には、土地の所在、地番及び面積を記載し、左に掲げる書類及び図面を添付すること。

1 路線認定年月日に関する調書
2 路線廃止(変更)、区域変更又は供用廃止の年月日に関する調書
3 土地台帳又は不動産登記簿の写
4 当該土地が国有財産となる際、収用されたものであって、その収用の時期から不用物件管理期間の末日までの期間が一五年以内である場合は、当該収用年月日を記載した書類
5 附近の平面図(廃道部分の延長、幅員等参考となるべき事項を記入のこと。縮尺一〇〇〇分の一程度。)

B (ロ)の場合の譲与申請書には、Aに定めるものの外、以前の道路についてもその路線認定の年月日を記載するとともに、申請の両者間各々の譲与を受けたい土地物件を区分し、又は譲与を受けるべき割合を明示すること。但し、両者間に譲与区分又は割合について協議がととのわないときは、その旨を記載すること。

(ニ) 橋材、並木等道路法施行令第三八条但書に規定する物件については、当該物件の概要調書を(ハ)に準じて作成の上、都道府県知事あて譲与申請をすることとし、廃道敷地と切り離して申請しても差し支えない。

二 譲与処分について

(イ) 四万平方メートルをこえる土地である場合

都道府県知事は、不用物件の譲与をしようとする場合において当該不用物件が四万平方メートルをこえる土地である場合は、建設大臣の承認を要する(訓令第二四条)ので、左記により建設大臣に承認を申請して、その承認を受けた上で譲与されたい。
A 譲与申請書及びその添付書類の写を添付すること。
B 当該土地を国有財産として存置する必要があるかどうかについて、その所在地を管轄する財務局長に協議して、その協議書の写又は協議の顛末書を添付すること。
C 一の(ロ)により連名でなされる譲与申請については、申請者のいずれかが都道府県である場合は、(二)(ロ)のCの基準によって申請書間の譲与区分を定めて、当該区分を明らかにした書類を添付すること。

なお、申請者に都道府県が含まれていない場合は、譲与区分について建設大臣の承認を要せず、譲与についての承認を受けた上で、二(ロ)のCの基準によって、譲与区分を定めて譲与すること。

D 以上の外、参考となるべき事項又は必要と認める意見を記載した書類を添付すること。

(ロ) 四万平方メートル以下の土地である場合又は土地以外の物件である場合

建設省所管の国有財産である四万平方メートル以下の廃道敷地及び土地以外の不用物件の譲与については、訓令第二七条第一一号の規定によって、都道府県知事限りで処理することができるが、その事務処理にあたっては、左の手続及び基準によられたい。
A 当該物件が所定の不用物件管理期間を経過したものであること、国有財産であること及び建設省以外の省庁の所管するものでないこと等を確認すること。
B 橋材、並木等一の(ニ)に該当するものを除き、当該物件を国有財産として存置する必要があるかどうかについて、その所管財務局(財務部)長(四千平方メートルをこえる土地である場合又は財務局の所在する都道府県にあっては財務局長、その他の場合は財務部長。以下同じ。)に協議すること。

なお、国有財産として存置することができるのは、当該物件を国において具体的に国有財産として使用すべき明確な計画のある場合に限るのであるから、この点に関連して財務局(財務部)長との協議がととのわない場合は、本省に連絡されたい。

C 一の(ロ)により連名で譲与申請がなされた場合は、両者間に協議がととのっていて申請書に譲与区分又は譲与割合が記載されているときは、原則として申請に合うよう、土地物件について具体的に譲与区分を定めて譲与すること。両者間に協議がととのっていないときは、両者の管理年数、管理費用の支出額等を勘案して適当な譲与区分を定めること。

(2) 建設省以外の各省各庁の所管する国有財産である場合

一 譲与を受けない場合は、法第九二条第一項に定める管理期間の満了後、直ちに所管大臣に返還する旨を通知して、これを引き継ぐこと。
二 譲与申請について

(イ) 譲与を受けようとする場合は、(1)一の(イ)に準じて、当該不用物件の管理者である地方公共団体の長から都道府県知事あて譲与申請をすること。この場合、当該不用物件の処理に関してあらかじめ当該国有財産を所管する省庁の部局長又は出先機関と打合せを行うこと。
(ロ) 譲与申請書には、(1)一の(ハ)に定めるものの外、当該国有財産を所管する省庁の名称を記載し、左に掲げる書類を添付すること。

1 当該物件を所管する省庁との貸付に関する協定書の写又は貸付に関する説明書
2 当該物件の処理に関する所管省庁の部局長又は出先機関との打合せの顛末書

(ハ) (1)一の(ロ)及び(ニ)に定める事項については同様とする。

三 譲与処分について

(イ) 四万平方メートルをこえる土地である場合

都道府県知事は、不用物件の譲与をしようとする場合において、当該不用物件が建設省以外の各省各庁の所管する国有財産であり、且つ、四万平方メートルをこえる土地である場合は、建設省への所管換及び譲与について建設大臣の承認を要する(訓令第一二条、同第二四条)ので、左記により建設大臣に承認を申請して、その承認を受け、建設省へ所管換をした上で、譲与されたい。
A 当該物件を国有財産として存置する必要があるかどうかについて、当該物件を所管する省庁の部局長及び財務局長と内協議して、その内協議書又は内協議の顛末書を添付すること。
B (1)二(イ)のA、C及びDに定める事項については、同様とする。

(ロ) 四万平方メートル以下の土地である場合又は土地以外の物件である場合

訓令第二七条第五号及び第一一号の規定によって、当該物件を建設省へ所管換をすること及び譲与することは都道府県知事限りで処理することができるので、都道府県知事は、左の手続によって、当該物件を建設省へ所管換した上で、譲与されたい。
A 当該物件が所定の不用物件管理期間を経過したものであることを確認すること。
B 当該物件を国有財産として存置する必要があるかどうか、及び存置の必要がなければ国有財産法第一二条の規定により建設省へ所管換を受けることについて、当該物件の所管省庁の部局長と協議すること。
C Bの協議がととのったときは、(1)二(ロ)のBに準じて財務局(財務部)長と協議すること。この協議は、国有財産法第一二条の協議をかねるものとし、従って、協議書の記載事項その他の手続に関しては、国有財産法施行令第七条に定めるところに準ずること。
D B及びCの協議がととのったときは、建設省に所管換を行い、所管省庁の部局長と財産の実地授受を行うこと。
E (1)二(ロ)のCに定める事項については、同様とする。

(3) 不用物件の管理について

一 法第九二条第一項に定める期間中の管理について

不用物件の管理者は、その維持管理上必要な場合の外は、当該物件を処分することはできず、その現状において管理しなければならない。

二 一の期間満了後、所有者たる所管大臣に返還し、又は譲与を受けるまでの間の管理について

国有財産である不用物件については、法第九四条第二項の規定の関係上、所定の管理期間が満了しても所管大臣に返還の引継をし、又は譲与を受けるまでの間は、なお従来に引き続き不用物件の管理者において適当な管理を行うべきである。この場合においては、法第九二条以下の規定の適用はないが、その費用、収益等については、法第九五条の規定に準じて処理して差し支えない。

第4 道路の供用廃止又は区域変更に伴う場合を除き、道路の改築その他一般の道路管理上不用となった物件(枯木、並木の間伐又は枝を払ったもの、橋を架け換えた場合の廃材、ほ装の板石の取り換えられたもの等)については、法第九二条乃至第九五条の規定の適用はなく、通常の道路管理の一態様にすぎないので、適宜道路管理者において処分し、その収入として差し支えない。

なお、直轄工事によって生じた不用物件である場合には、現地において直接当該工事の用に供するものを除き、道路管理者に引き渡されたい。但し開発道路その他全額国庫負担の道路については、この限りでない。


別紙(1)

建設省所管国有財産取扱規則(昭和三〇年建設省訓令第一号)省略



別紙(2)
国有の道路敷地等の取扱について

(昭和二九年一〇月一九日)
(蔵管第三二一四号)
(建設省道路局長あて大蔵省管財局長回答)
昭和二九年九月二日付道発第二五一号で協議があった標記のことについては、異存がない。
なお、各財務局長及び各省各庁官房会計課長あて別紙(写)のとおり通知したから御了知ありたい。



(別紙写)

国有の道路敷地等の取扱について

(昭和二九年一〇月一九日)
(蔵管第三二一四号)
(各省各庁官房会計課長、各財務局長あて大蔵省管財局長通知)
標記のことについては、別紙(写)のとおり建設省道路局長と照復したから通知する。



(別紙写)

国有の道路敷地等の取扱について

(昭和二九年九月二日)
(道発第二五一号)
(大蔵省管財局長あて道路局長照会)
道路法第九〇条第二項及び第九四条第二項の規定に基く国有の道路敷地又は廃道敷地の譲与又は無償貸付のできる場合の取扱並びに道路整備特別措置法の規定に基く国道の敷地の取扱について、別添案によることと致したいので貴意を得たく協議する。

国有の道路敷地等の取扱について

国有の道路敷地等の取扱について道路法の運用上左記により処理するものとする。
1 道路法第九〇条第二項の取扱について

道路法第九〇条第二項の規定により普通財産を都道府県道又は市町村道の用に供する場合、当該財産を譲与及び無償貸付のできる場合の区分については次のとおりとする。
(イ) 譲与のできる場合、但し(ロ)に該当する場合を除く。

A 当該財産が一般会計に属するものであるとき。

(当該道路が道路整備特別措置法に基く道路である場合はその価額が一〇〇万円をこえないものに限る。)

B 当該財産が特別会計に属するもので、その価額が一〇〇万円をこえないものであるとき。
C 特別の事由により譲与する必要があるとき。

(ロ) 無償貸付できる場合

A 当該財産が一般会計に属するもので当該道路工事が完成していないもの。
B 当該財産が一般会計に属するもので当該道路が道路整備特別措置法に基く道路である場合に、その価額が一〇〇万円をこえるもの。
C 当該財産が特別会計に属するもので、その価額が一〇〇万円をこえるもの
D 当該道路が道路法施行令第三四条に規定する開発道路であるとき。
E 将来当該道路の供用を廃止し又は区域を変更した場合に当該道路を構成していた不用物件を国有財産として存置する必要があると認められるもの。
F 特別の事由により無償で貸し付けることを適当と認められるもの。

2 道路法第九四条第二項の取扱について

国有財産である当該道路の不用物件を建設大臣(譲与の権限を都道府県知事に委任した場合は都道府県知事)が道路の管理の費用を負担した地方公共団体に譲与しようとする場合は、次の手続を経て行うものとする。
(イ) 国道を構成していた不用物件

当該不用物件について、建設大臣(都道府県知事)は、大蔵大臣(四〇〇〇平方メートルをこえないものについては財務部長、四〇〇〇平方メートルをこえるものについては財務局長)に国有財産として存置する必要があるかどうかについて協議するものとする。但し、当該不用物件が建設省所管以外の特別会計に属するものについては、建設大臣は、当該不用物件を所管する各省各庁の長及び大蔵大臣に協議するものとする。

(ロ) 都道府県道及び市町村道を構成していた不用物件

道路法第九〇条第二項の規定により無償で貸し付けてあるものについては、建設大臣は、当該不用物件を所管する各省各庁の長及び大蔵大臣に当該不用物件を国有財産として存置する必要があるかどうかについて協議するものとする。

(ハ) 道路法施行法第五条の規定により無償で貸し付けてあるもののうち一般会計に属するものについては、国有財産法施行令第五条第一項第三号に該当するものとして大蔵大臣に引き継がないで建設大臣の所管に属するものとして当該不用物件の処理については二の(イ)に準じて処理するものとする。但し、建設省所管以外の各省各庁に属するものについては二の(イ)の但書に準じて処理するものとする。
(ニ) (イ)の但書、(ロ)及び(ハ)の但書によって建設大臣が大蔵大臣及び各省各庁の長に対して行う協議は、国有財産法第一二条に定める協議を兼ねるものとし、国有財産法施行令第七条に定めるところに準じて協議書を作成するものとする。この協議書は、左に掲げる区分によって行うものとする。

この協議により国有財産として存置する必要がない旨の回答があったときは、都道府県知事は、当該財産を所管する各省各庁の部局長と財産の実施授受を行うものとする。

財産の範囲
協議の機関
備考
四万平方メートルをこえるもの
建設大臣、各省各庁の長及び大蔵大臣
この場合都道府県知事は各省各庁の部局長及び財務局長に内協議し、その意見を附して建設大臣に申請する。
四〇〇〇平方メートルをこえるもの
都道府県知事、各省各庁の部局長及び財務局長
大臣の間の協議は要しない。
四〇〇〇平方メートルをこえないもの
都道府県知事、各省各庁の部局長及び財務部長
財務局長及び大臣の間の協議は要しない。

(ホ) 以上(イ)(ロ)(ハ)の場合を通じて大蔵大臣(財務局長又は財務部長)は、国有財産として存置する必要の有無についてできるだけ速かに回答するものとし、国有財産として存置する必要のある場合は具体的に国有財産として使用すべき明確な計画がある場合に限るものとする。また、道路法施行令第三八条但書に規定する物件については、大蔵大臣(財務局長又は財務部長)との協議は不要とする。
(ヘ) 開発道路その他全額国庫負担の道路の不要物件については、(イ)から(ハ)までの規定を適用しないで(ハ)に該当するものについては建設大臣が返還を受けて大蔵大臣に引継ぎその他のものは道路管理者から大蔵大臣に返還する。

但し、開発道路に指定される以前に相当の期間にわたり地方公共団体において管理し費用を負担していたものについては二の(ロ)又は(ハ)に準じて処理するものとする。

道路整備特別措置法に基く国道について

道路整備特別措置法に基く国道の用に供するため国有財産を所管換、所属替若しくは使用させるときは、国有財産法第一五条の規定により処理する。


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