建設省道発第二五七号
昭和二九年九月六日

各地方建設局長・北海道開発局長・各都道府県知事・五大市長あて

道路局長通達


道路に関する工事に因り又は道路に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事で道路管理者が自ら行わないものの取扱いについて


標記に関し、その取扱に疑義がある向もあるので、左記の趣旨を了知の上、その運用に遺憾なきを期せられたい。なお貴職より貴管下道路管理者にも周知方取計らい願いたい。

1 道路法(以下「法」という。)第五九条第一項に規定するいわゆる附帯工事に要する費用とは、さきに昭和二九年三月九日付道発第八一号をもって回報した法制局一発第一一号法制局第一部長回答中の二、意見及び理由に記述されているが加く、道路管理者が、法第二三条第一項の規定に基き自らの責任において施行する附帯工事に要する費用をいうのであって(この場合でも、占用許可に附した条件又は協議内容に特別の定がある場合には、当該附帯工事費は法第五九条の規定に基く負担ではなく、当該条件又は協議に基く負担であると考えるべきである。)、道路に関する工事に因り又は道路に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事であっても、道路管理者以外の者が自発的に(法第三八条第一項の規定により道路管理者に委託する場合を含む。)又は法第七一条第二項第一号の規定に基く監督処分を受けて施行する工事(以下「附随工事」という。)に要する費用は、これに該当しないものと解する。

なお、法第二三条又は第五九条の規定は、それぞれ法第三八条又は第六二条の規定の特例規定であると解すべきであるので、道路管理者が法第二三条第一項の規定を適用して施行し得る場合(附帯工事の場合)には、法第三八条第一項の規定を競合的に適用することはできないと解する。

2 この場合、附随工事に要する費用については、占用許可に附した条件又は協議内容の定めによってその費用を負担する場合を除き、道路管理者においてその全部又は一部を負担すべき義務を規定した法の規定はないのであるが、特に附随工事と道路に関する工事との牽連関係に鑑み、附随工事の施行に要する費用を負担することにより生ずる当該工事施行者の損失が、当該工事を道路管理者自ら施行する場合(附帯工事の場合)の費用負担関係との権衡又は当該工事施行者が法に縁由して享受している利益の性格からみて調整され又は保護されることが適当であり、且つ社会通念上の受忍義務の範囲をこえる損失であると認められるときは、当該附随工事について若し道路管理者が自ら附帯工事として施行すると仮定した場合に道路管理者が負担すべき額の範囲内においてその損失を補償してもよい場合もあるから、上記範囲内の公正妥当なる限度において、これを補償することは差し支えなく、費用負担の原則について規定せる法第六二条及び第六五条の規定の趣旨も、前述の条理を全面的に否定するものではないと解せられる。

なお、法第七一条第二項第一号の規定による監督処分に基く義務の履行を確保するため、道路管理者が行政代執行法の規定に従い行政代執行をなした場合においても法第五九条の適用なきことは勿論であり、この場合における損失補償についても代執行によらない前記の場合と同様に考えるべきであるが、一方当該代執行に要した費用の一切は、これを徴収すべきことは言うまでもない。

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