建設省道政発第九五号
昭和六一年一一月一日

北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各地方建設局長・各都道府県知事・各指定市長・日本道路公団総裁・首都高速道路公団理事長・阪神高速道路公団理事長・本州四国連絡橋公団総裁・各地方道路公社理事長あて

道路局長通達


道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令の施行について


道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(昭和六一年総理府・建設省令第一号)が昭和六一年一〇月二五日付けで公布され、同日から施行されることとなったので、左記事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
(以下、都道府県知事あて)
なお、貴管下道路管理者に対してもこの旨周知徹底方、お取り計らい願いたい。

第1 改正の趣旨

今回の改正は、より見やすく、わかりやすく、かつ親しみやすい案内標識をめざすとともに、国際化に積極的に対応するため、原則として全案内標識についてローマ字併記を基本とすること、「方面、方向及び道路の通称名」、歩行者用案内標識、「登坂車線」、「動物が飛び出すおそれあり」等の新設、「踏切注意」のデザインの追加、高速道路に設置する標識の大型化等を図るとともに、これらに伴い、備考の規定の整備を行うこととしたものである。

第2 改正の要旨

1 高速道路等以外の道路の案内標識

(1) 原則として、日本字の下にローマ字を表示した様式を基本とすることとしたこと。また、ローマ字の大きさを日本字の大きさの二分の一としたこと。
(2) 「方面、方向及び道路の通称名の予告」、「方面、方向及び道路の通称名」、「著名地点(一一四―B)」及び「登坂車線(一一七の二―A)」を新設するとともに、「著名地点(一一四―A)」及び「待避所」の様式の改正を行ったこと。
(3) 「街路の名称」を「道路の通称名」に改めるとともに、様式の改正及び追加(一一九―C)を行ったこと。
(4) 「市町村」に市町村章を表す記号を、「都府県(一〇二―A)」に都府県章を表す記号を、それぞれ、必要に応じて表示することができることとしたこと。また、記号を青色としたこと。
(5) 「著名地点(一一四―A・B)」に公共施設等の形状等を表す記号を必要に応じて表示することができることとしたこと。また、記号を青色としたこと。
(6) 「方面、方向及び距離」、「方面及び距離(一〇六―A)」、「方面及び方向の予告」、「方面及び方向(一〇八の二―A・B)」、「方面、方向及び道路の通称名の予告」及び「方面、方向及び道路の通称名」には、必要がある場合には、図―1に示したものに準じて経由路線を表示することができることとしたこと。これに伴い、「方面、方向及び経由路線」を廃止したこと。
図―1
(7) 「方面、方向及び距離」において、方面として高速道路等の通称名を表示する場合は、標示板の地を緑色とすることとしたこと。
(8) 「方面及び方向の予告」及び「方面及び方向(一〇八の二―A・B)」において、方面として高速道路等の通称名を表示する場合は、図―2に示したものに準じて、当該通称名を表示する部分を白色の区分線で囲むとともに、当該部分の文字を白色、地を緑色とすることとしたこと。
図―2
(9) 「非常電話」及び「非常駐車帯」を高速道路等以外の道路にも設置することができるようにしたこと。

2 高速道路等の案内標識

(1) 「方面及び出口の予告」、「方面、車線及び出口の予告」「方面及び出口」及び「出口」について、ローマ字併用表示のものに改めたこと。
(2) 「出口の予告」及び「登坂車線(一一七の二―B)」を新設するとともに、「方面及び距離(一〇六―B)」、「方面及び出口の予告」、「方面及び出口」、「出口」、「料金徴収所」及び「サービス・エリア」の様式の改正及び追加を行ったこと。
(3) 「都府県(一〇二―B)」に都府県章を表す記号を必要に応じて表示することができることとしたこと。また、記号を白色としたこと。
(4) 「著名地点(一一四―C)」に公共施設等の形状等を表す記号を必要に応じて表示することができることとするとともに、ローマ字の表記について改正を行ったこと。また、記号を白色としたこと。
(5) その他、ローマ字の表記について所要の改正を行ったほか、「方面及び車線(改正前の一〇七―B)」、「方面、方向及び経由路線」、「次の出口の予告(改正前の一〇九)」及び「方面及び出口(改正前の一一二―B)」を廃止したこと。

3 警戒標識

(1) 「動物が飛び出すおそれあり」を新設したこと。
(2) 「踏切あり(二〇七―B)」の様式を追加したこと。

4 補助標識

(1) 「踏切注意」、「動物注意」及び「地名」を新設したこと。

5 その他

(1) 案内標識の柱の寸法を一八〇cm以上とし、上限を削除したこと。ただし、「著名地点(一一四―B)」については、必要があるときは、一〇〇cmまで低くすることができることとしたこと。
(2) 警戒標識の設置高さを一〇〇cm以上とし、上限を削除したこと。
(3) 高速道路等に設置する警戒標識の拡大率を改正したこと。
(4) 高速道路等に設置する案内標識に附置する補助標識の色彩を改正したこと。
(5) 柱の色彩を原則として灰色又は白色としたこと。

第3 取扱いの方針

第1の改正の趣旨に従い、次の点に留意して整備に努め、安全・円滑な道路交通の確保に万全を期すこと。
1 高速道路等以外の道路の案内標識

(1) 今回の改正により、原則として、日本字の下にローマ字を表示することとしたので、今後は、積極的にローマ字併用表示を行った標識の整備に努めること。
(2) 今回の改正により「方面、方向及び距離」、「方面及び距離(一〇六―A)」、「方面及び方向の予告」、「方面及び方向(一〇八の二―A・B)」、「方面、方向及び道路の通称名の予告」及び「方面、方向及び道路の通称名」には、必要に応じて、経由路線を表示することができることとなったが、一般国道が経由路線となっている場合には、原則として、必ず一般国道の路線名に係る数字を経由路線として表示すること。また、主要な都道府県道が経由路線となっている場合には、当該経由路線における「都道府県道番号(一一八の二)」の整備状況を勘案した上で、必要に応じて都道府県道番号に係る数字を経由路線として表示すること。
(3) 「方面、方向及び道路の通称名の予告」及び「方面、方向及び道路の通称名」は、案内すべき道路の通称名のある主要な交差点付近に、必要に応じて設置すること。ただし、通称名のある道路が一般国道である場合には、一般国道の路線名に係る数字を経由路線として表示することを優先するものとし、「方面、方向及び道路の通称名の予告」及び「方面、方向及び道路の通称名」は、設置しないこと。
(4) 「著名地点(一一四―B)」は、主に歩行者の案内を行う場合に用いるものとし、その活用を図ること。
(5) 「登坂車線(一一七の二―A)」は、登坂車線の始点付近に設置すること。
(6) 「道路の通称名(一一九―A・B)」は、案内すべき道路の通称名のある主要な交差点付近に設置し、「道路の通称名(一一九―C)」は、案内すべき道路の通称名のある道路の単路部に必要に応じて設置すること。
(7) 「著名地点(一一四―A・B)」に必要に応じて表示する公共施設等の形状等を表す記号のうち、駅、飛行場及び病院を表すものについては、図―3に示すものを標準とすること。
(8) 既設の道路標識等があるため、新たに「入口の方向」を交差点付近に設置することが困難である場合には、必要に応じて、「方面、方向及び距離」、「方面及び方向の予告」又は「方面及び方向(一〇八の二―A・B)」に高速道路等の通称名を表示すること。
(9) 高速道路等以外の道路に設けられる非常電話及び非常駐車帯には、それぞれ「非常電話(一一六の二)」及び「非常駐車帯(一一六の四)」を設置すること。

なお、「非常駐車帯(一一六の四)」を設置する場合には、設置の目的が達せられるよう、必要に応じて、あらかじめ都道府県公安委員会と連絡調整を図ること。

図―3

2 高速道路等の案内標識

(1) 「方面及び距離(一〇六―B)」及び「出口」については、インターチェンジ番号及びインターチェンジの名称を表示する様式に改めたので、その活用を図ること。
(2) 「方面及び出口の予告」、「方面、車線及び出口の予告」、「方面及び出口」及び「出口」については、日本字の下にローマ字を表示する様式に改めたので、その活用を図ること。
(3) 「出口の予告」は、出口の手前おおむね二キロメートルの地点に設置すること。
(4) 「料金徴収所」については、料金徴収所までの距離を表示する様式としたので、その活用を図ること。
(5) 今回、「サービス・エリア」に追加した様式は、いわゆるパーキング・エリアを案内するための標識であるので、その活用を図ること。
(6) 「登坂車線(一一七の二―B)」は、登坂車線の始点付近に設置すること。

3 警戒標識

(1) 「動物が飛び出すおそれあり」は、国連標識を採用したものであるので、その活用を図ること。また、シカ以外の動物が飛び出すおそれがある場合には、適宜、当該動物の形状を表す記号を表示するものとするが、サル、タヌキ及びウサギについては、図―4に示すものを標準とすること。

なお、その設置に当たっては、利用者への周知を図るため、当分の間、「動物注意」の補助標識を附置すること。

(2) 「踏切あり(二〇七―B)」は、国連標識を採用して、従来の「踏切あり(二〇七―A)」に追加したものである。

なお、その設置に当たっては、利用者への周知を図るため、当分の間、「踏切注意」の補助標識を附置すること。

図―4

4 補助標識

「地名」は、案内標識が設置されている地点を明らかにするためのものであり、主に「国道番号」及び「都道府県道番号」に附置するものであること。その他の案内標識にも、必要に応じて附置し、その活用に努めること。

5 その他

(1) 案内標識の柱の寸法については、従来の上限値の二五〇cmを削除したので、積雪地域においては、冬期における積雪深、除雪の状況等を勘案して適切な設置高さとすること。また、「著名地点(一一四―B)」については、歩行者等の通行を妨げない範囲において、必要に応じて、一〇〇cmまで低くすることができることとしたので、その活用を図ること。
(2) 警戒標識の設置高さについては、従来の上限値二一〇cmを削除したので、積雪地域においては、冬期における積雪深、除雪の状況等を勘案して適切な設置高さとすること。また、警戒標識を歩道等に設置する場合で、路上施設を設置するための帯状の部分がなく、かつ十分な歩道等の幅員を確保することができない場合には、その設置高さを二五〇cm以上とすること。
(3) 高速道路等に設置する警戒標識のうち、設計速度が六〇km/h以上の道路に設置するものについては、二倍に拡大すること(従来は、一・六倍まで)ができることとなったので、道路及び交通の状況を勘案の上、その活用を図ること。
(4) 高速道路等に設置する案内標識に附置する補助標識の色彩を改め、文字及び矢印を緑色、地を白色とすることとしたので、その活用を図ること。
(5) 柱の色彩を白色又は灰色以外の色彩にすることができるのは、案内標識を設置する場合であって、かつ、周辺環境との調和を図るために必要がある場合である。この場合において、その色彩は、明度、彩度の低い色彩(例えば、茶系色等)を用いること。

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