建設省道政発第五八号
平成三年一一月一日

地方建設局長・北海道開発局長.沖縄総合事務局長・各都道府県知事・指定市の長あて

道路局長通知


道路法の一部改正について


道路法及び駐車場法の一部を改正する法律(平成三年法律第六〇号)は、平成三年五月二日に、道路法施行令及び駐車場法施行令の一部を改正する政令(平成三年政令第三一七号)は同年一〇月四日に、道路法施行規則及び開発道路に関する占用料等徴収規則の一部を改正する省令(平成三年建設省令第一八号)は同年一〇月二一日に公布され、これら一連の法律、政令、省令は同年一一月一日から施行されたところであるが、改正後の道路法(昭和二七年法律第一八〇号。以下「法」という。)等の施行に当たっては、左記の点に十分留意して、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、都道府県知事におかれては、貴管下各道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、この旨周知徹底方お願いする。

第1 道路管理者による有料の自動車駐車場の整備について(法第二条及び第二四条の二関係)

1 趣旨

近年、都市の中心部等においては、路上での違法駐車が増大しており、道路の安全かつ円滑な交通の確保のため、道路管理者として適切な対応が求められている。
自動車駐車場の整備については、従前より、道路整備特別措置法に基づく有料駐車場や道路の利用者の休憩等のための駐車施設等の整備が図られてきたところであるが、今般、新たに、特定交通安全施設等整備事業による自動車駐車場整備制度を創設するとともに、道路管理者が整備した道路の附属物である自動車駐車場の利用者から駐車料金を徴収することができる制度を設けることにより、自動車駐車場の整備を総合的かつ計画的に推進するとともに、安全かつ円滑な道路交通の確保等に資することとしたものである。
なお、警察庁及び建設省は、総合的な駐車対策として、適正な交通規制と駐車施設の整備とを一体的に行うため、時間制限駐車区間規制等の交通規制及び道路の附属物である自動車駐車場の整備を相互に協力して行うこととしている。

2 路上駐車施設について

路上駐車の蔓延を防止し、道路の安全かつ円滑な交通を確保するため、道路管理者が交通に支障を及ぼさない構造の道路上の自動車駐車場を整備できるものとし、このため、道路上に道路管理者が設ける自動車駐車場(以下「路上駐車施設」という。)を道路の附属物として位置づけたものである。
路上駐車施設は、主として幹線道路において、路外駐車場では対応できない短時間の駐車需要に対応し、かつ、路上駐車が道路交通に支障を生じさせないよう、道路の附属物として車道と分離した構造により設置されるものである。
したがって、路上駐車施設の設置については、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止する観点から、当該地域の駐車需要、路外駐車場の整備促進、都市計画、対象道路の機能等に配慮して、必要やむを得ない短時間駐車需要に応ずるため、これを行うものである。

3 駐車料金の徴収について

道路管理者としても積極的に自動車駐車場を整備することとするが、自動車駐車場における駐車は、道路の一定の空間を一定時間独占的に使用することとなり、都市部等においては社会的にも駐車料金を徴収することが適当であることから、道路管理者としてもその整備する自動車駐車場に自動車を駐車させる者から駐車料金を徴収することができることとしたものである。

第2 違法放置物件に対する措置について(法第四四条の二関係)

1 趣旨

道路においては、何人もみだりに物件を放置することは許されないが、道路管理者としても、道路を常時良好な状態に保つように維持し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努める貴務を有する。
従来、道路上に物件が放置されている場合の措置としては、通常の維持、清掃により処理することが適当な場合のほかは、法第四三条第二号違反として、法第七一条に基づく監督処分により措置することとされていた。しかし、後者による場合、措置命令すべき者が不明のときには相当の期間の事前の公告が必要であり、道路管理者による迅速な対応に必ずしも十分ではなかったところである。
このため、法第四三条第二号に違反して、道路に放置された物件が道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼしていると認められる場合には、法第七一条第四頂の特則として、道路管理者が即時に放置物件を除去することができるようにしたものである。

2 対象となる物件について

法第四四条の二による措置の対象は、以下のとおりである。
(1) 本条による措置の対象となる物件は、道路に落下した車両積載物又は沿道や上空から道路上に転落若しくは落下した物件で除去されていないもの、又は正当な権限なく道路に置いてある物件であること。具体的には鋼材、土砂、木材等が想定されること。
(2) 本条による措置は、他人の所有又は占有に係る物件であっても、道路管理上必要やむを得ない場合には道路管理者に自ら除去する権限を与えたものであり、対象となる物件はいわゆる「有価物」に限られること。従って、経済的価値がなく、明らかに廃棄されたと認められる物件は、従来どおり、廃棄物として通常の維持管理、清掃により処理して差しつかえないこと。

第3 長時間放置された車両の移動について(法第六七条の二関係)

道路上での車両の長時間にわたる駐車は、基本的に道路法上違法な行為には当たらないと解されるが、道路に長時間放置された車両は道路の改築、修繕、災害復旧に関する工事や除雪その他の道路の維持の施行に際して支障となる場合がある。このため、今般、道路管理上特に支障が大きい場合には、新たに、道路管理者が一定の範囲内で道路に長時間放置された車両を移動できることとしたものである。

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