建設省道政発第五〇号・道交発第八三号
平成六年九月三〇日

各地方建設局道路部長あて

道路局路政課長・道路局道路交通管理課長通知


道路法第七一条第一項及び同条第二項の規定に基づく監督処分を行う場合の聴聞の手続について


標記については、行政手続法(平成五年一一月一二日法律第八八号、以下「手続法」という。)第三章第二節及び建設省聴聞手続規則(平成六年九月一六日建設省令第二四号、以下「聴聞規則」という。)に定めるほか、左記事項に留意のうえ実施されたい。

1 趣旨

道路法第七一条第一項及び同条第二項の規定に基づく監督処分のうち、手続法第一三条第一項第一号に該当するものは、同法第三章第二節に定める聴聞手続を行う必要があること。

2 用語

この通達において使用する用語は、手続法及び聴聞規則において使用する用語の例による。

3 聴聞の期日までの手続

(1) 聴聞の主宰者の指名

地方建設局長(以下「局長」という。)は、聴聞を行おうとする場合、手続法第一九条及び聴聞規則第六条第一項の規定に基づき、聴聞の通知の時までに、主宰者の指名を行うこと。
なお、主宰者の指名に当たっては、事務所の担当課長等聴聞に係る処分に関連する知識及び経験を有し、かつ公正な判断をすることができると認められる者のうちから指名すること。

(2) 聴聞の通知の方法

局長は、手続法第一五条第一項の通知をするときは、聴聞期日の二週間前までに不利益処分の名あて人となるべき者(以下「当事者」という。)に対して、次の内容を書面で通知することとし、郵送による場合は、配達証明等により通知の確実を期すること。なお、当事者の所在が判明しない場合においては、手続法第一五条第三項の規定に基づき掲示を行うこと。
1) 予定される不利益処分が、道路法第七一条第一項又は同条第二項の規定に該当する場合のものであること。
2) 不利益処分の原因となる事実の概要。
3) 聴聞の期日及び場所。
4) 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称(担当課及び主宰者を明記すること。)及び所在地。
5) やむを得ない理由がある場合においては、聴聞規則第三条の規定に基づき、期日又は場所の変更を申し出ることができること。
6) 当事者が正当な理由なく聴聞の期日に出頭しない場合は、手続法第二三条の規定に基づき、聴聞を終結できること。

また、通知する書面には、手続法第一五条第二項各号に掲げる事項を教示すること。

(3) 関係人の聴聞手続への参加

主宰者が、手続法第一七条第一項の規定に基づき、当事者以外の者であって当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(以下「関係人」という。)の参加を求める場合、できる限り聴聞期日から時間的余裕を持って通知すること。また、主宰者は、関係人から同項及び聴聞規則第四条の規定に基づき参加を求められた場合は、当該聴聞に係る不利益処分につき利害関係を有することの具体的な疎明を記載した書面を主宰者に提出することとされているが、この場合、主宰者は参加の可否を決定し、当該関係人に通知すること。

(4) 代理人の選任及び代理人の資格の喪失

当事者又は関係人のうち当該聴聞の手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、手続法第一六条第一項又は第一七条第三項の規定に基づき、代理人(当事者本人又は参加人本人に代わり、本人の名においてかつ自己の意思決定に基づき聴聞手続に関する行為をする者をいう。)を選任することができる。代理人については、手続法第一六条第三項及び第一七条第三項の規定により書面でその資格を証明することとされているため、局長又は主宰者は、文書の閲覧等、当事者又は参加人の代理行為を代理人が為す場合は、委任状をもって確認すること。なお、委任状は、聴聞の件名、代理人の氏名及び住所、当事者又は参加人が代理人に対して当事者又は参加人のために聴聞に関する一切の行為をすることを委任する旨が明示されたものでなければならない。

(5) 補佐人の出頭の許可

当事者又は参加人が手続法第二〇条第三項の規定に基づき補佐人(聴聞の場において、不利益処分の原因となる事実について専門的知識をもって当事者又は参加人を援助することができる第三者をいう。)を伴って出頭しようとする場合は、聴聞の期日の四日前までに聴聞規則第七条第一項に定める事項を記載した書面を主宰者に提出し、許可を求めることとされているが、主宰者は、当該補佐人の出頭の可否を決定し、速やかに当該当事者又は参加人に通知すること。

(6) 審理の原則非公開

聴聞の期日における審理は、プライバシー保護の観点等から、手続法第二〇条第六項の規定に基づき、原則として非公開とすること。なお、公開するときは、聴聞規則第九条の規定に基づき、公示及び通知すること。

(7) 聴聞の期日又は場所の変更

局長は、当事者より聴聞規則第三条の規定に基づく聴聞の期日又は場所の変更の申出があった場合は、速やかにその可否を決定し、当事者に対して通知すること。なお、変更を認める場合は、申出の趣旨を十分考慮した上で新たな期日又は場所を決定するものとし、当事者及び参加人に対して書面により通知すること。

(8) 文書等の閲覧

局長は、当事者及び当該不利益処分がなされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下「当事者等」という。)から手続法第一八条第一項及び聴聞規則第五条第一項の規定に基づき、局長に対し文書等の閲覧の求めがあった場合は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときを除き同法第一八条第三項の規定に基づき閲覧の日時及び場所を指定し、聴聞規則第五条第二項の規定に基づき、速やかに当事者等に書面により通知すること。なお、指定する日時は、聴聞の期日までに十分な時間的余裕があるように配慮すること。

(9) 局長と主宰者との連絡

手続法、聴聞規則の規定に基づき、局長が行うとされている手続について、当事者及び参加人から主宰者あてに書類が提出された場合には、主宰者は速やかに当該書類を局長に送達し、処理を依頼すること。

4 聴聞開始から終結までの手続

(1) 冒頭手続

主宰者は、手続法第二〇条第一項の規定に基づき、最初の聴聞の期日の冒頭において、地方建設局の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に説明させなければならないこと。
また、標準的な聴聞手続の流れについても、併せて説明すること。

(2) 審理の進行方式

主宰者は、手続法第二〇条及び聴聞規則第八条の規定に基づき、聴聞を主催し、審理を進めること。
主宰者は、身分を証明しうる書類等により、聴聞に出頭した当事者及び参加人が本人であることを確認するとともに、質問事項を前もってリスト化し、聴聞に際して、遺漏のないよう努めること。

(3) 聴聞調書の作成

主宰者は、聴聞の期日における審理が行われた場合には、手続法第二四条及び聴聞規則第一一条第一項及び第二項の規定に基づき、聴聞の期日ごとに聴聞規則第一一条第一項各号に掲げる事項を記載し、速やかに聴聞調書を作成すること。

(4) 続行期日の指定及び通知

主宰者は、聴聞の期日における審理の結果、新たな事実が明らかになる等、聴聞を再度行う必要があると認める場合は、手続法第二二条の規定に基づき、さらに新たな期日及び場所を指定し、当事者及び参加人に対して通知又は告知すること。

(5) 聴聞調書の閲覧

当事者又は参加人が聴聞の終結前に手続法第二四条第四項の規定に基づき聴聞調書の閲覧を求めようとする場合は、聴聞規則第一二条第一項の規定により主宰者に対して書面により求めることとされており、当該書面が提出された場合には、主宰者は、同条第二項の規定に基づき、速やかに閲覧の日時及び場所を書面により通知すること。

(6) 聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった文書等の閲覧

局長は、当事者等から手続法第一八条第二項の規定に基づき、聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった文書等の閲覧の求めがあった場合は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときを除き、同条第三項の規定に基づき閲覧の日時及び場所を指定し、聴聞規則第五条第二項の規定に基づき速やかに当事者等に書面により通知すること。指定する日時は、手続法第二二条及び聴聞規則第五条第三項の規定に基づき指定する新たな聴聞の期日までに十分な時間的余裕があるように配慮すること。

(7) 聴聞の終結

主宰者は、当事者が正当な理由なく聴聞の期日に出頭しないなど、手続法第二三条の規定に該当するときは、聴聞を終結することができる。

5 聴聞終結後

(1) 報告書の作成等

主宰者は、聴聞終結後速やかに手続法第二四条第三項及び聴聞規則第一一条第三項の規定に基づき報告書を作成し、聴聞調書とともに局長に提出すること。

(2) 調書及び報告書の閲覧

当事者又は参加人が、聴聞の終結後に手続法第二四条第四項の規定に基づき聴聞調書及び報告書の閲覧を求めようとする場合は、聴聞規則第一二条第一項の規定により局長に対して書面により求めることとされており、当該書面が提出された場合には、局長は、同条第二項の規定に基づき、速やかに閲覧の日時及び場所を書面により通知すること。

(3) 聴聞の再開

主宰者は、手続法第二五条の規定に基づき聴聞を再開する場合には、速やかに当事者及び参加人に対し、再開の通知を行うこと。

(4) 不利益処分の決定

局長は、手続法第二四条第三項の規定に基づき主宰者から聴聞調書及び報告書の提出を受けたときは、不利益処分を行うか否かを決定し、不利益処分を行う場合には、手続法第一四条の規定に基づき当該不利益処分の理由を通知することとし、併せて、当該不利益処分がなされた場合に自己の利益が害されることとなる参加人に対しても通知すること。
また、通知にあたっては、手続法第二七条第二項の趣旨を明示すること。
なお、不利益処分の決定をするときは、聴聞の審理の対象となった不利益処分の原因となる事実以外の事実に基づいて不利益処分をすることはできないので留意すること。

6 経過措置

平成六年九月三〇日以前に道路法第七一条第三項に基づく聴聞の通知を行っている場合は、従前の例による。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport