住総発第一七三号
平成六年九月三〇日

各都道府県知事あて

住宅局長通達


中国残留邦人等に対する公営住宅の供給の促進について

現在、政府においては、永住帰国を希望する中国残留邦人の帰国について、その高齢化等にかんがみ、早期に永住帰国を希望する中国残留邦人については平成八年度までの三年間に帰国受け入れを図ることを目途に、その受入計画を策定し、帰国希望者の早期帰国に努めているところである。
また、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三〇号)が平成六年四月六日に公布され、その施行については、別添写しのとおり通達されたところである。
貴職におかれては、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律第二条第一項及び第六条第二項に規定する者。以下「中国残留邦人等」という。)の居住の安定を図るために、公営住宅の供給を積極的に行うとともに、その実施については、左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたく、また、貴管下事業主体に対しその旨周知徹底されるよう特段の御配慮をお願いする。
なお、本件については、厚生省とも打合せ済みであるので申し添える。

1 引揚者向公営住宅の計画的な供給

都道府県の公営住宅主管部局は、都道府県の引揚者援護主管部局及び管下事業主体と協議し、平成六年度から平成八年度までの三年間における事業主体別の引揚者向公営住宅の供給に係る計画を策定し、その供給に努めるものとする。また、既存公営住宅では必要戸数が確保され得ない場合には、新規に引揚者向公営住宅を建設すること等により住宅の確保を図るものとする。

2 優先入居の取扱い

永住帰国した中国残留邦人等については、公営住宅への入居に当たっては住宅困窮度が著しく高いものとして優先的に取り扱うものとし、その際、募集に際して団地ごとに戸数枠を設け又は数団地の中の戸数枠の合計を明示する方法をとるものとする。

3 優先入居枠の確保

永住帰国を希望する中国残留邦人等の帰国後の住宅に関する希望(入居希望日、入居希望地域、同居家族数、住宅の規模など)については、原則として入居希望日の六か月前までに、都道府県の引揚者援護主管部局から都道府県の公営住宅主管部局及び各事業主体に通知されるので、速やかに同引揚者援護主管部局と調整を図り、優先戸数枠を確保するものとする。
なお、設定された優先入居枠については、適宜その見直しを行い、弾力的に運用されたい。

4 地域要件の適用における弾力的措置

入居者資格として地域要件(当該公営住宅を管理する地方公共団体の区域内に住所又は勤務場所を有することを条件とすることなど)を設けている事業主体においては、中国残留邦人等が置かれている状況にかんがみ、当該地域要件に適用除外を設ける等中国残留邦人等が公営住宅に円滑に入居ができるよう弾力的な運用を図られたい。

5 家賃の減免等の措置

自立支援のための諸施策を踏まえながら、中国残留邦人等の実情により、適宜家賃又は敷金の徴収猶予又は減免を行うものとする。

6 引揚者援護主管部局との連携

中国残留邦人等に対する公益住宅の供給に当たって、公営住宅主管部局は、入居に関する手続き、団地居住における生活様式の指導及び無断同居の禁止等公営住宅法等の遵守等について、引揚者援護主管部局との役割分担を踏まえ、相互の緊密な連携を保ち、公営住宅における中国残留邦人等の居住の安定が図られるように努めるものとする。


(別添)

中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の施行について

(平成六年九月三〇日)
(文総審第一五一号、社援発第六六〇号、職発第七〇二号、能発第二三三号、住総発第一七二号)
(各都道府県知事あて文部省大臣官房長、厚生省社会・援護局長、労働省職業安定局長、労働省職業能力開発局長、建設省住宅局長通知)
平成六年四月六日に公布された中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三〇号。以下「本法」という。)については、本日付けで公布された中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の施行期日を定める政令(平成六年政令第三一六号)により本年一〇月一日から施行されることとなった。
また、これに伴い、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律施行規則(平成六年厚生省令第六三号)が本年九月二七日に公布され、本年一〇月一日から施行されるので通知する。
本法は、今次の大戦に起因して生じた混乱等により、本邦に引き揚げることができず、引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等の置かれている事情にかんがみ、これらの者の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援を図るため、帰国旅費の支給、自立支度金の支給、生活相談等、住宅の供給の促進、雇用の機会の確保、教育の機会の確保等の措置を講じようとするものである。
貴都道府県においては、関係部局間で十分な連携を図り、中国残留邦人等の帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に積極的に取り組むとともに、管下市町村及び関係各方面に本法の周知徹底を図り、法の運用に遺憾のないようにされたい。


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