建設省住指発第二二五号、建設省住街発第九四号
平成五年六月二五日

都道府県建築主務部長あて

建設省住宅局建築指導課長、建設省住宅局市街地建築課長通知


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成四年法律第八二号。以下「改正法」という。)、都市計画法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成五年政令第一七〇号)及び都市計画法施行規則及び建築基準法施行規則の一部を改正する省令(平成五年建設省令第八号)によりそれぞれ改正された後の建築基準法(以下「法」という。)、建築基準法施行令(以下「令」という。)及び建築基準法施行規則(以下「規則」という。)については、平成五年六月二五日付け建設省住指発第二二四号をもって住宅局長から通達されたところであるが、その細目及び運用の方針は左記のとおりであるので、関係市町村に対してもこの趣旨を十分周知徹底されるとともに、今後の施行に遺憾のないよう措置されたい。

第一 木造建築物等に係る建築規制の見直しについて

一 準耐火構造の指定(令第一〇七条の二第二項関係)

令第一〇七条の二第二項の規定に基づく準耐火構造の指定は、石膏ボード等の一般的な防火被覆を用いるもの等を平成五年建設省告示第一四五三号で指定しているとともに、その他の防火被覆を用いる構造等を指定するための手続、耐火性能試験方法等を平成五年建設省告示第一四五四号で定めている。

二 主要構造部を準耐火構造等とした建築物の層間変形角(令第一〇九条の二関係)

令第一〇九条の二の規定により、原則として、法第二条第九号の三イに該当する建築物(主要構造部を準耐火構造又は準耐火構造及び耐火構造とした建築物)の地上部分の層間変形角は一五〇分の一以内であることとしているが、その趣旨は、準耐火構造として想定されるものが、木材等の間柱及び下地に石膏ボード等の防火被覆を張ったものであることから、大規模な地震の発生時等において、このような防火被覆が防火上有害な変形、き裂その他の損傷を生じることにより、その耐火性能を著しく損なうことのないように担保するための措置であるので留意されたい。

三 主要構造部を準耐火構造等とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準(令第一〇九条の三関係)

令第一〇九条の三第一号及び第二号に規定する技術的基準は、それぞれ改正前の法第二条第九号の三イ及びロに該当する簡易耐火建築物に相当するものであり、その細目及び運用の方針については、従前のとおりとする。

四 木造三階建共同住宅等の技術的基準等(法第二七条第一項ただし書及び令第一一五条の二の二関係)

(一) 第一一五条の二の二第一項第一号関係

法第二七条第一項ただし書に規定している建築物は法第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物であることから、主要構造部のうち令第一一五条の二の二第一項第一号において規定されていない部分、すなわち、外壁(非耐力壁の延焼のおそれのある部分以外の部分)、屋根及び階段については、いうまでもなく、準耐火構造又は耐火構造であり、通常の火災時の加熱に三〇分以上耐える性能を有するものである。

(二) 第一一五条の二の二第一項第二号関係

令第一一五条の二の二第一項第二号に掲げる技術的基準は、火災時における避難安全性を確保するためのものであるが、その運用に当たっては、次の1)及び2)に留意されたい。
1) 同号に規定する「避難上有効なバルコニー」の運用に当たっては、次の事項に留意すること。

イ バルコニーから容易に地上の安全な場所に到達することができるよう、次に掲げる基準に適合していること。

1) 屋内からバルコニーに通じる出入口の幅、高さ及び下端の床面からの高さが、それぞれ、七五センチメートル以上、一・二メートル以上及び一五センチメートル以下であること。
2) バルコニーの奥行きが七五センチメートル以上であること。
3) 階段、斜路、避難はしご等が設置されているか、又は連続したバルコニーで他の直通階段等へ安全に避難できるものであること。

ロ 屋内の在館者が有効に滞留し得る大きさとして、各宿泊室等の床面積の一〇〇分の三以上、かつ、二平方メートル以上の面積を有すること。
ハ 床が耐火構造又は準耐火構造であること。

2) 次のイ又はロに適合するものは、同号ただし書に規定する「直接外気に開放された」ものとして取り扱って差し支えないこと。

イ 廊下にあっては、外壁面に直接外気が流通する高さ一メートル以上の開口部が火災時の煙を有効に排出できるように適切に設けられているもの
ロ 階段にあっては、階段の各階の中間部分に設ける直接外気に開放された排煙上有効な開口部で、次に掲げる基準に適合するもの

1) 開口面積が二平方メートル以上であること。
2) 開口部の上端が、当該階段の部分の天井の高さの位置にあること。ただし、階段の部分の最上部における当該階段の天井の高さの位置に五〇〇平方センチメートル以上の直接外気に開放された排煙上有効な換気口がある場合は、この限りでない。

(三) 第一一五条の二の二第一項第三号及び第二項関係

令第一一五条の二の二第一項第三号に規定する「幅員四メートル以上の通路その他の空地」は、消防活動等において有効な幅員が四メートル以上確保できるものとし、避難上有効なバルコニーが各宿泊室等(一階を含む。)に設置されている場合においては、当該幅員は、バルコニーの外側ではなく外壁面からの幅員として差し支えない。
なお、同号に掲げる技術的基準は、令第五章第五節に規定する非常用の進入口を補足強化するものであることから、同条第二項において、改めて非常用の進入口の設置を要求しないこととしている。

(四) 第一一五条の二の二第一項第四号関係

令第一一五条の二の二第一項第四号に掲げる技術的基準は、建築物の倒壊による周辺への危害の防止、避難安全性の確保等を目的としているものであるが、その運用に当たっては、次の事項に留意されたい。
1) 同号イ及びロに規定する「避難上有効なバルコニー」及び「直接外気に開放された」ものについては、四(二)と同様に運用すること。
2) 同号ハに規定する「外壁の開口部から当該開口部のある階の上階の開口部へ延焼するおそれがある」場合とは、外壁の開口部の上端から上方二メートル以内かつ当該開口部の両端から左右それぞれ〇・五メートル以内の外壁部分(当該開口部のある階の部分を除く。)に他の開口部がある場合とすること。
3) 同号ハに規定する「防火上有効に設けられている」こととしては、ひさし等が外壁面から四〇センチメートル以上突き出していることが必要であるものとすること。

五 高さ制限が緩和される木造建築物の技術的基準の追加(令第一二九条の二関係)

令第一二九条の二第一号ハ(一)及び(二)において、二〇〇平方メートル以内ごとに防火区画すること及び上階延焼を防止するひさし等を設置することを定めているが、その趣旨は、建築物自体の火災拡大の防止性能を向上させることにより、当該建築物の倒壊による周辺への危害を防止することができるからである。
なお、同号ハ(二)に規定する「外壁の開口部から当該開口部のある階の上階の開口部へ延焼するおそれがある」場合及び「防火上有効に設けられている」ことについては、それぞれ四(四)2)及び3)と同様に運用されたい。

六 準耐火構造及び準耐火建築物の創設に伴う所要の改正

(一) 防火区画(令第一一二条関係)

令第一一二条第一項から第四項まで、第九項、第一〇項、第一二項及び第一三項において、防火区画として準耐火構造の床又は壁を用いることが認められているが、防火区画を構成する床及び壁は主要構造部であることから、主要構造部を耐火構造とした建築物にあっては、定義上、準耐火構造の床又は壁を用いることはできず、また、同様に、令第一〇九条の三第二号に掲げる技術的基準に適合する建築物にあっては、根太、間柱等を木材とした準耐火構造の床又は壁を用いることができないことに留意されたい。
また、令第一一二条第五項から第八項までの高層部分における防火区画として準耐火構造の床又は壁を用いることは認められていないが、その趣旨は、避難・消火活動の困難さが増大する高層部分については、特に火災の拡大を防止する必要があるからである。

(二) 避難施設等(令第一二〇条から一二二条まで、第一二三条の二、第一二六条の二及び第一二八条の二関係)

避難施設等に関する各規定において、主要構造部を準耐火構造等とした建築物は、原則として、主要構造部を耐火構造とした建築物に対する取扱いと同様の取扱いを行うこととしているが、その趣旨は、おおむね四五分以上の耐火性能を有する準耐火構造が、避難安全性を確保することを目的とする当該各規定の趣旨からみて十分に有効であると考えられるからである。

(三) 特殊建築物等の内装(令第五章の二関係)

令第一二九条第一項及び第四項の規定において、内装制限を適用除外する小規模に防火区画された建築物の部分として、今回、耐火建築物の部分のほかに法第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物(主要構造部を準耐火構造等とした準耐火建築物)の部分を認めているが、その趣旨は、おおむね四五分以上の耐火性能を有する準耐火構造が、火災初期における火災の拡大を防止し、避難安全性を確保することを目的とする内装制限の趣旨からみて十分に有効であると考えられるからである。
なお、同号ロに該当する準耐火建築物(従来の簡易耐火建築物)は、その構造仕様から、火災初期における防火安全性は十分ではないと考えており、従来から適用除外とされていないところである。

第二 伝統的建築物についての建築規制の見直しについて(法第三条第一項関係)

法第三条第一項第三号の規定により「文化財保護法第九八条第二項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物であって、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定」する場合の運用に当たっては、当該建築物の歴史的・文化的価値に配慮し、指定の時点のみならず、将来にわたって当該指定の妥当性を担保するため、次の事項に十分留意し、適切な法の執行を期されたい。
一 法第三条第一項第三号に規定する「現状変更の規制及び保存のための措置」が講じられているか否かの判断に際しては、文化財担当部局と調整を図り、同項第一号又は第二号に該当する建築物に対する措置と同等のものが講じられていることを確認すること。
二 同項第三号に規定する指定を行うに当たっては、次の事項に十分留意すること。

(一) 防火上支障がないように、出火防止、火災拡大防止、近隣への延焼防止及び消防活動の円滑性の確保に十分配慮されていることを確認し、必要に応じて、消防機関と調整を図ること。
(二) 就寝の用に供するもの、一般に公開されるもの等については、避難安全性の確保に十分配慮されていることを確認すること。

第三 道路の幅員に関する特例について(法第四二条関係)

一 道路の幅員基準の特例制度の活用について

(一) 特定行政庁による区域の指定については、次のような特性を有する区域に対して行うことが想定されるので、参考とされたい。

1) 積雪が著しい地域であって、流雪溝の設置等に要するスペースを確保するため、道路の幅員の基準を強化することが必要である区域
2) 土地区画整理事業その他の市街地開発事業若しくは開発許可を受けた開発行為等により、主として六メートル以上の幅員を有する道路により適切な道路網が整備されている区域であって、当該区域内において二次的な開発が行われる場合、四メートル程度の幅員を有する道路を法上の道路として取り扱うことにより、適切な道路網の構成に支障が生じるおそれがある区域又はいわゆるミニ開発等による市街地環境の悪化のおそれがある区域
3) 土地区画整理事業その他の市街地開発事業又は開発許可を受けた開発行為等により、主として六メートル以上の幅員を有する道路により適切な道路網が整備されている区域に隣接する区域であって、当該区域内において四メートル程度の幅員を有する道路を法上の道路として取り扱うことにより、既に整備されている適切な道路網の機能を阻害するおそれがある区域
4) 現に市街化しつつあり、又は市街化することが見込まれる市街化区域内農地等の区域であって、道路網の整備が不十分であること等からみてミニ開発等による市街地環境の劣悪な街区が形成されるおそれがある区域

(二) 計画的な道路の築造を誘導し、良好な市街地形成を推進するためには、地区計画等の制度を活用することが極めて有効であるので、法第四二条第一項の指定を行った区域については、併せて地区計画等を策定するように努めること。
(三) 特定行政庁は、法第四二条第一項の区域の指定に当たっては、道路管理者と密接な連絡調整を図ること。

二 幅員六メートル未満の道等の取扱いについて

(一) 法第四二条第一項の規定による区域が指定された区域内における同条第二項ただし書の規定の適用については、「二メートル」とあるのは「三メートル」と、「四メートル」とあるのは「六メートル」とそれぞれ読み替えるものであること。
(二) 法第四二条第一項の規定による区域が指定された区域内における同条第三項の規定の適用については、「二メートル」とあるのは「三メートル」と、「四メートル」とあるのは「六メートル」とそれぞれ読み替えるものであること。
(三) 特定行政庁は、法第四二条第一項の区域を指定する場合には、当該区域内の敷地の所有者等にとって過大な制限とならないよう、区域内の道路の幅員等の現況を十分に調査の上、必要に応じて幅員六メートル未満の道について同条第四項の規定に基づく指定を行うこと。

特に、同項第三号に該当する道については、沿道の建築物と一体として既に街区を形成していることが一般的であると考えられるので、原則として同項に基づく指定を行うこと。
なお、同条第二項及び第四項第一号中「周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がない」と認められる道路とは、次に掲げる道路をいうものであること。
1) 都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による道路
2) 次のイから二までに掲げる条件に適合する道路

イ 幅員六メートル以上の他の道路に接続し、かつ、更に延長される見込みがないこと。
ロ 沿道敷地へのサービス以外の目的の通過交通が生じない形状のものであること。
ハ 原則として幹線道路に直接接続していないこと。
ニ 周辺の道路の状況、道路の延長、道路の幅員及び構造等から判断して避難及び通行の安全上支障がないこと。

(四) 法第四二条第五項中「第一項の区域が指定された際道路の境界線とみなされていた線」とは、同条第二項ただし書の場合にはがけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線を、同条第三項の場合には特定行政庁が指定した範囲を、その他の場合は道路の中心線から水平距離二メートルの線をそれぞれいうものであること。
(五) 法第四二条第二項の規定により道路の中心線から水平距離三メートルを道路境界線とみなすこととされた道路については、道路幅員を六メートルとみなして道路斜線制限、北側斜線制限、前面道路による容積率制限等の適用を行うこと。

第四 用途地域について

一 兼用住宅(法別表第二(い)項第二号、令第一三〇条の三関係)

第一種低層住居専用地域内に建築できる兼用住宅に、近隣住民の生活に必要不可欠なサービス業を営む店舗としてクリーニング取次店を追加したところであるが、これは洗濯物の受渡しを行うものに限られ、店舗店で機械を使用して自ら洗濯を行うものは建築できないことに留意されたい。
また、洋服店、アトリエ、工房については使用する機器の多様化等にかんがみ、原動機の出力の合計の上限を〇・二キロワットから〇・七五キロワットに緩和したので留意されたい。

二 老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの(法別表第二(い)項第六号関係)

改正前の「養老院」、「託児所」については、それぞれ「老人ホーム」、「保育所」と表現の適正化を図ったところである。
なお、「老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの」に該当するものは、居住のための施設としての継続的入所施設、近隣住民に必要不可欠な通園施設である社会福祉施設及び有料老人ホームであり、その具体例は以下のとおりである。
(一) 老人福祉法にいう老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム及び有料老人ホーム
(二) 児童福祉法にいう保育所(無認可施設を含む。)、乳児院、母子寮、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設及び教護院
(三) 生活保護法にいう救護施設、更生施設及び宿所提供施設
(四) 身体障害者福祉法にいう身体障害者更生施設、身体障害者療護施設及び身体障害者福祉ホーム
(五) 精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者更生施設、精神薄弱者福祉ホーム及び精神薄弱者通勤寮
(六) 売春防止法にいう婦人保護施設
(七) 精神保健法にいう精神障害者生活訓練施設
(八) 更生緊急保護法にいう更生保護事業に係る施設

三 巡査派出所、公衆電話所その他これらに類する公益上必要な建築物(法別表第二(い)項第九号、令第一三〇条の四関係)

巡査派出所、公衆電話所以外の公益上必要な建築物の範囲は、令第一三〇条の四に掲げるとおりであるが、近隣住民に必要な公益サービス施設である公園内の休憩所及び路線バスの停留所の上家を追加するとともに、精神薄弱児通園施設については、保育所に類似する施設として法別表第二(い)項第六号に含まれるものとしたことから、令第一三〇条の四第二号から除外することとしたものである。
また、液化石油ガスの販売・使用の形態の変化、その普及の状況に配慮しつつ、その安全かつ効率的な供給を図るため、今回、平成五年建設省告示第一四五二号により液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第二条第四項に規定する供給設備のうち一定のものの建築を認めることとしたので参照されたい。

四 第二種低層住居専用地域で建築できる店舗等(法別表第二(ろ)項第二号、令第一三〇条の五の二関係)

第二種低層住居専用地域内において建築できる店舗、飲食店等については、いわゆるコンビニエンスストアのように低層住宅地に必要な日用品を総合的に供給するための比較的小規模な店舗等の建築を認めるために、床面積の合計が一五〇平方メートル以内、かつ、二階以下のもので令第一三〇条の五の二に掲げるものに限ったところである。
なお、洋服店、畳屋、建具屋、パン屋、米屋等については、第二種中高層住居専用地域内に建築できる工場の規制との均衡に配慮し、床面積の合計が五〇平方メートル以内で原動機の出力の合計が〇.七五キロワット以下のものに限られていることに留意されたい。

五 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの(法別表第二(は)項第四号関係)

これらの施設は、騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設である社会福祉施設であることから第一種中高層住居専用地域で建築を認めることとしたものである。
なお、その具体例は以下のとおりである。
(一) 老人福祉法にいう老人福祉センター
(二) 児童福祉法にいう児童厚生施設
(三) 身体障害者福祉法にいう身体障害者福祉センター、補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設
なお、次に掲げる施設については、居住のための施設としての継続的入居施設と認められる施設は二により、騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設と認められる施設は五により取り扱うものとする。
(一) 生活保護法にいう授産施設(社会福祉事業法第二条第二項第六号に基づく授産施設を含む。)
(二) 身体障害者福祉法にいう身体障害者授産施設
(三) 精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者授産施設
(四) 精神保健法にいう精神障害者授産施設

六 第一種中高層住居専用地域で建築できる店舗等(法別表第二(は)項第五号、令第一三〇条の五の三関係)

第一種中高層住居専用地域は、低層住宅地に比べて居住密度が高く、必要とされる物品及びサービスが高度化・多様化することから、店舗等の建築については床面積の合計が五〇〇平方メートル以内、かつ、二階以下にあるものについてその建築を認めることとしたものである。これにより、中高層住宅地に必要な日用品を総合的に供給するための店舗等の建築は認められ、集客性の高い店舗等の建築は制限されると考えられるが、具体的には第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物に加えて以下のとおり建築可能な用途を拡大することとしたものである。
(一) 日用品以外の趣味用品や専門品を扱う店、スポーツ用品店等の物品販売業を営む店舗
(二) 食堂以外の居酒屋等の飲食店
(三) 居住者に対する金融サービス等に資する銀行の支店、損害保険代理店、宅地建物取引業を営む店舗等

七 第一種中高層住居専用地域内に建築することができる公益上必要な建築物(法別表第二(は)項第七号、令第一三〇条の五の四関係)

第一種中高層住居専用地域内において建築することができる公益上必要な建築物については令第一三〇条の五の四に掲げるとおりであるが、近年の冷暖房等の生活関連の電力需要の増大、これに見合う電力の供給に係る施設の配置・建設の必要性に配慮しつつ、電力の効率的かつ安定的な供給を図るため、今回、電気事業法に規定する電気事業の用に供する施設のうち一定のものについて建築を認めることとしたものである。
また、ガス事業に係る災害の拡大を迅速に防止するため、多数の住宅に対する集中的なガス供給が行われる第一種中高層住居専用地域内又はその近傍にガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための業務を行う施設のうち一定のものについて建築を認めることとしたものである。これらの建築物については、平成五年建設省告示第一四五一号を参照されたい。
なお、同条第一号に規定する「税務署、郵便局、警察署、保健所、消防署その他これらに類するもの」の範囲は第一三〇条の七の二第一号に規定するものと同一である。

八 ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設(法別表第二(に)項第三号、(を)項第七号、令第一三〇条の六の二関係)

ボーリング場等の運動施設に類するものとして、交通の集中発生、騒音の発生等により周辺環境の悪化をもたらすおそれのあるスキー場、ゴルフ練習場及びバッティング練習場について今回新たに規制対象とすることとしたものである。

九 マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの(法別表第二(ほ)項第二号、(を)項第八号関係)

勝馬投票券発売所及び場外車券売場については、不特定多数の人が出入りする施設で住宅地及び工業地になじまない施設であるほか、近年大規模なものが建築され周辺住民と紛争を生じさせているものがあることから、今回新たに規制対象とすることとしたものである。
なお、「その他これらに類するもの」とは、ゲームセンターのほか、射幸心をそそるおそれがある営業を営む施設として、モーターボート競争法に規定する場外発売場等が含まれるものである。

一〇 カラオケボックスその他これに類するもの(法別表第二(ほ)項第三号関係)

カラオケボックスについては、不特定多数の人や自動車が集散し、継続的な騒音等の発生により居住環境に影響を与えるおそれが大きい建築物であることにかんがみ、今回新たに規制対象とすることとしたものである。
なお、カラオケボックスとは、小規模に区画された個室において客が専用装置により伴奏音楽に合わせて歌唱するサービスを提供する施設をいうものであり、「その他これに類するもの」とは、カラオケルーム等の名称を有する施設であってカラオケボックスと同等の機能を有するものをいい、スナック等にカラオケ施設を設置しただけのものは直ちにこれに該当するものではない。

一一 第一種住居地域で建築できない建築物の規模について(法別表第二(ほ)項第四号、令第一三〇条の七の二関係)

第一種住居地域内で建築することができない建築物として、第一種中高層住居専用地域内で建築可能な建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が三〇〇〇平方メートルを超えるものを定めたところであるが、これは、一般的な住宅地に立地することが想定される事務所、商業施設等については建築を認め、百貨店等のように通常都市の拠点的地区に立地する特に大規模な事務所、商業施設等の建築を制限するためのものである。ただし、令第一三〇条の七の二に掲げる建築物については、公益上必要なものであることから床面積及び階数にかかわらず建築を認めるものである。
なお、同条第二号に規定する第一種電気通信事業者がその事業の用に供する施設である建築物については、平成五年建設省告示第一四三六号を参照されたい。

一二 客席部分の床面積の合計が二〇〇平方メートル未満の劇場、映画館、演芸場又は観覧場について(法別表第二(ち)項第二号関係)

近年の劇場、映画館等の形態、規模等の変化により、いわゆるミニ劇場等がショッピングセンター等に併設される場合が増加していることから、主として道路の沿道に立地することがふさわしいサービス施設等について建築を認める準住居地域及び近隣住民に日用品等の提供を行う店舗等の建築を認める近隣商業地域において、客席部分の床面積の合計が二〇〇平方メートル未満の劇場等についての建築を認めることとしたものである。

一三 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの(法別表第二(ち)項第三号、(る)項第三号関係)

これらの建築物は、客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業、客にダンスをさせる営業等で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第一項第一号から第四号までに規定する風俗営業に係る建築物をいうものであり、従来規制されていた「待合、料理店、キャバレー、舞踏場その他これらに類するもの」と内容としては同一であるが、今回、用語の適正化を図るとともに、風俗営業に係る建築物について規制を行うことを明確化するために改正したところである。
なお、特定行政庁は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第一項各号に規定する風俗営業に係る建築物に関する条例の制定、例外許可の運用、建築物の解釈等については、都道府県公安委員会と密接な連絡調整を図られたい。

一四 個室付浴場に係る公衆浴場その他これに類するもの(法別表第二(ち)項第四号、(ぬ)項第三号、令第一三〇条の九の二関係)

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第四項に規定する風俗関連営業に係る施設のうち個室付浴場以外の施設についても、個室付浴場と同様、住託地においてはなじまない施設であるほか、工業系地域の利便の増進に支障を与えるおそれがあり、また、近隣商業地域についても、住宅地に隣接して指定され近隣住民に対するサービス業務施設等の立地を想定する地域であることから、これらの建築物については、商業地域に限りその建築を認めることとしたものである。
なお、特定行政庁は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第四項各号に規定する風俗関連営業に係る建築物に関する条例の制定、例外許可の運用、建築物の解釈等については都道府県公安委員会と密接な連絡調整を図られたい。

一五 老人ホーム、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの(法別表第二(を)項第四号)

これらの施設については、近年、市街地における地価の高騰等の状況から、その用地を工業専用地域内に求める動きが見られるが、工業生産活動の利便の増進を図るとともに、老人ホーム等の良好な環境を保護する観点から、今回、工業専用地域での建築を禁止したところである。
なお、保育所等については、工場通勤者等に必要不可欠な通園施設であり、工業専用地域内でも建築が可能であることに留意されたい。

一六 自動車車庫の取扱いについて(法別表第二(い)項第一〇号、(ろ)項第三号、(は)項第六号、(ほ)項第四号、(へ)項第四号、令第一三〇条の五第一号から第三号まで、第一三〇条の五の五第一号から第三号まで、第一三〇条の七の二第三号から第五号まで、第一三〇条の八、第一三八条第三項第二号関係)

近年のモータリゼーションの進展等に伴い、住宅地内の自動車を収容する自動車車庫の役割が重要となっていることを踏まえて、今回、自動車車庫の建築等について、各住居系用途地域の特性に対応しつつ、居住環境に大きな影響を与えることのない範囲内で所要の見直しを行ったところである。
なお、改正後の各住居系用途地域で建築又は築造できる自動車車庫は(一)及び(二)に掲げるとおりであるが、自動車車庫に係る許可準則(平成二年一一月二六日付け建設省住街発第一四七号)については、改正法施行の日から三年を経過する日(その日前に新用途地域の都市計画の決定の告示がなされたときは、その日)以降も同準則中建築物に附属する自動車車庫に関する部分(別添第二の一の(一)のハに係る部分を除く。)以外の部分は引き続き有効であり、同準則中「第一種住居専用地域」とあるのは、「第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域」と、「第二種住居専用地域」とあるのは「第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域」と、「住居地域」とあるのは、「第一種住居地域又は第二種住居地域」とそれぞれ読み替えて適用するものである。
(一) 建築物に附属しない独立の自動車車庫について

1) 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域

これらの用途地域については、低層住宅に係る良好な環境を保護するため指定する地域であることから、次のように取り扱うこととしたものである。
イ 建築物である自動車車庫については、建築を禁止
ロ 工作物である自動車車庫については、築造面積が五〇平方メートル以下のものについて築造を許容
ただし、低層住居専用地域における住居の環境を害するおそれがないと認められる場合等においては、法第四八条第一項ただし書又は第二項ただし書の許可を適切に活用されたい。

2) 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域及び第二種住居地域

これらの用途地域については、近年のモータリゼーションの進展等を背景とした路上駐車の増大の防止等に配慮しつつ住宅地における良好な居住環境の確保を図る観点から、次のように取り扱うこととしたものである。
イ 建築物である自動車車庫については、次の1)又は2)に該当するものについて建築を許容する。

1) 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては、床面積の合計が三〇〇平方メートル以下で二階以下にあるもの(ただし、都市計画決定されたものについては、床面積制限なし)
2) 第一種住居地域及び第二種住居地域においては床面積の合計が三〇〇平方メートル以下で二階以下にあるもの(ただし、都市計画決定されたものについては、床面積制限及び階数制限なし)

ロ 工作物である自動車車庫については、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域及び第二種住居地域においては、築造面積が三〇〇平方メートル以下のものについて築造を許容する。
ただし、中高層住居専用地域等における住居の環境を害するおそれがないと認められる場合等においては、法第四八条第三項から第六項までのただし書の許可を適切に活用されたい。

3) 準住居地域

準住居地域は道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図るための地域であることから、自動車車庫については規模による制限は設けないこととした。

(二) 建築物に附属する自動車車庫について

1) 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域

イ 建築物である自動車車庫について

1) 建築物に附属する自動車車庫の用途に供する建築物(以下「附属建築物車庫」という。)については、床面積の合計が六〇〇平方メートル(第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域にあっては、三〇〇〇平方メートル。以下1)において同じ。)以下で一階(第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域にあっては、二階)以下にあるものについて建築を認めることとしたところである。ただし、同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計が六〇〇平方メートル以下の場合においては、当該延べ面積の合計の値(I)以下のものについて建築を認めることとした。

また、附属建築物車庫と同一敷地内に、建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物(以下「附属工作物車庫」という。)がある場合には、附属建築物車庫の床面積の合計の値と当該附属工作物車庫の築造面積(五〇平方メートル(第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域にあっては、三〇〇平方メートル)以下のものを除く。以下1)において同じ。)とを合算した値が六〇〇平方メートル(ただし、同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計が六〇〇平方メートル以下の場合においては、(I)の値)以下のものについて建築を認めることとしたところである。
また、附属工作物車庫の築造面積が五〇平方メートルを超える場合は、当該築造面積の値を合算の対象とし、当該築造面積から五〇平方メートルを減じて合算の対象となる値を算定するものではないことに留意されたい。

2) 総合的設計による一団地の建築物に附属する自動車車庫については、次のア)及びイ)の両者に該当するものについて建築を認めることとしたところである。

なお、「総合的設計による一団地に附属する自動車車庫」とは、法第八六条第一項の認定を受けた一団地の区域内にある自動車車庫で、専ら当該団地内の建築物を利用する者の用に供するものとして取り扱われたい。
ア) 一団地内の一敷地内では、床面積の合計が二〇〇〇平方メートル(第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域にあっては、一〇〇〇〇平方メートル。以下1)において同じ。)以下のものについて建築を認めることとしたところである。

また、同一敷地内に附属工作物車庫がある場合には、当該附属工作物車庫の築造面積(五〇平方メートル以下のものを含む。)に附属建築物車庫の床面積の合計を加えた値が二〇〇〇平方メートル以下のものについて建築を認めることとしたところである。

イ) 一団地全体では、当該団地内の附属建築物車庫の床面積の合計が、当該団地内に存する各敷地ごとに六〇〇平方メートル又は上記1)の(I)の値を合算した値以下のものについて建築を認めることとしたところである。

また、当該団地内に附属工作物車庫がある場合には、当該附属工作物車庫の築造面積(各敷地ごとに五〇平方メートル以下のものがあれば各敷地ごとに五〇平方メートル以下のものを含む。)に附属建築物車庫の床面積の合計を加えた値が当該団地内に存する各敷地ごとに六〇〇平方メートル又は上記1)の(I)の値を合算した値以下のものについて建築を認めることとしたところである。

ロ 工作物である自動車車庫について

1) 附属工作物車庫の築造面積の合計が六〇〇平方メートル以下のものについて築造を認めることとしたところである。ただし、同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計が六〇〇平方メートル以下の場合においては、当該延べ面積の合計の値(II)以下のものについて築造を認めることとしたところである。

なお、附属工作物車庫と同一敷地内に、附属建築物車庫がある場合には、附属工作物車庫の築造面積と附属建築物車庫の床面積の合計の値とを合算した値が六〇〇平方メートル(ただし、同一敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計が六〇〇平方メートル以下の場合においては、(II)の値)以下のものについて築造を認めることとしたところである。この場合、築造面積が五〇平方メートル以下の附属工作物車庫については、令第一三八条第三項第二号において用途規制等の適用を受ける工作物とはされていないことにかんがみ、規制の対象とはならないことに留意されたい。

2) 総合的設計による一団地の建築物に附属する自動車車庫については、次のア)及びイ)両者に該当するものについて築造を許容することとした。

なお、「総合的設計による一団地に附属する自動車車庫」とは、法第八六条第一項の認定を受けた一団地の区域内にある自動車車庫で、専ら当該団地内の建築物を利用する者の用に供するものとして取り扱われたい。
ア) 一団地内の一敷地内では、築造面積が二〇〇〇平方メートル以下のものについて築造を認めることとしたところである。

また、同一敷地内に附属建築物車庫がある場合には、当該附属建築物車庫の床面積の合計に附属工作物車庫の築造面積(五〇平方メートル以下のものを含む。)を加えた値が二〇〇〇平方メートル以下のものについて築造を認めることとしたところである。

イ) 一団地全体では、当該団地内の附属工作物車庫の築造面積が当該団地内に存する各敷地ごとに六〇〇平方メートル又は上記1)の(II)の値を合算した値以下のものについて築造を認めることとしたところである。

また、当該団地内に附属建築物車庫がある場合には、当該附属建築物車庫の床面積の合計に附属工作物車庫の築造面積(各敷地ごとに五〇平方メートル以下のものがあれば各敷地ごとに五〇平方メートル以下のものを含む。)を加えた値が当該団地内に存する各敷地ごとに六〇〇平方メートル又は上記1)の(II)の値を合算した値以下のものについて築造を認めることとしたところである。

2) 第一種住居地域及び第二種住居地域

イ 建築物である自動車車庫について

1) 附属建築物車庫の床面積の合計が同一敷地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計(III)以下で二階以下のものについて建築を認めることとしたところである。

また、附属建築物車庫と同一敷地内に、附属工作物車庫がある場合には、附属建築物車庫の床面積の合計の値と当該附属工作物車庫の築造面積(三〇〇平方メートル以下のものを除く。)とを合算した値が(III)の値以下のものについて建築を認めることとしたところである。
また、工作物である自動車車庫が三〇〇平方メートルを超える場合は、当該築造面積の値を合算の対象とし、当該築造面積から三〇〇平方メートルを減じて合算の対象となる値を算定するものではないことに留意されたい。

2) 総合的設計による一団地の建築物に附属する自動車車庫については、当該団地内の附属建築物車庫の床面積の合計が当該団地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計以下のものについて建築を認めることとしたところである。

また、同一団地内に附属工作物車庫がある場合には、当該団地内の附属工作物車庫の築造面積(各敷地ごとに三〇〇平方メートル以下のものがあれば各敷地ごとに三〇〇平方メートル以下のものを除く。)に当該団地内の附属建築物車庫の床面積の合計を加えた値が当該団地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計以下のものについて建築を認めることとしたところである。
なお、「総合的設計による一団地に附属する自動車車庫」とは、法第八六条第一項の認定を受けた一団地の区域内にある自動車車庫で、専ら当該団地内の建築物を利用する者の用に供するものとして取り扱われたい。

ロ 工作物である自動車車庫について

1) 附属工作物車庫の築造面積が同一敷地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計以下のものについて築造を認めることとしたところである。

また、附属工作物車庫と同一敷地内に、附属建築物車庫がある場合には、附属工作物車庫の築造面積の値と附属建築物車庫の床面積の合計の値とを合算した値が(III)の値以下のものについて築造を認めることとしたところである。この場合、築造面積が三〇〇平方メートル以下の附属工作物車庫については、令第一三八条第三項第二号において用途規制等の適用を受ける工作物とはされていないことにかんがみ、規制の対象とはならないことに留意されたい。

2) 総合的設計による一団地の建築物に附属する自動車車庫については、当該団地内の附属工作物車庫の築造面積が当該団地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計以下のものについて築造を認めることとしたところである。

また、同一団地内に附属建築物車庫がある場合には、当該団地内の附属建築物車庫の床面積の合計に当該団地内の附属工作物車庫の築造面積を加えた値が当該団地内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計以下のものについて築造を認めることとしたところである。
なお、一団地内の各敷地ごとに規制の対象とならない築造面積が三〇〇平方メートル以下の附属工作物車庫がある場合には、それらは全て規制の対象とならないものである。
また、「総合的設計による一団地に附属する自動車車庫」とは、法第八六条第一項の認定を受けた一団地の区域内にある自動車車庫で、専ら当該団地内の建築物を利用する者の用に供するものとして取り扱われたい。

3) 準住居地域

準住居地域は道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図るための地域であることから、自動車車庫については規模による制限は設けないこととした。

一七 工場の取扱いについて

法においては、従来より、工場について、各用途地域の指定目的に応じた用途規制を行っているところであるが、近年の製造法、製品の多様化等を背景に、住居の環境の保護、商業その他の業務又は環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進等各用途地域の指定目的に照らし、より適切な用途規制を行うことが必要な事業等が生じている。
このような状況を踏まえつつ、今回、用途地域の細分化とあわせ、法による工場に関する用途規制についても必要な見直しを行うこととしたものである。また、技術革新の進展に伴い開発・普及された特殊の機械の使用等特殊の方法によることにより、環境阻害の程度、危険性が小さいもの、新たな製品、製造法の開発等により環境阻害の程度、危険性が大きいものについては、各用途地域の指定目的に照らした適切な用途規制を行うことが可能となるよう、それぞれ令で指定して用途規制の除外又は対象とすることができる措置を講じたところである。
なお、工場として取り扱う建築物の用途の範囲については、基本的に、昭和一四年六月二九日付け照会回答(都市計画課長より広島県警察部長あて)に示すとおりであるが、近年の生産技術の進展等に伴い、「通例職工を使用しない」無人の作業がなされる建築物であっても、当該建築物において行われる作業全般を総合的に勘案の上、通例職工を使用する工場と同様の作業がなされるものであると判断される場合にあっては、適宜これを工場として取り扱うこととされたい。
また、仕分、包装、荷造等の諸作業を伴う倉庫や、廃品から新たな製品や原料を製造するリサイクル施設についても、従来どおり、法による用途規制において工場として取り扱つて差し支えない。ただし、工業学校、工業試験場、機械工養成所等の生産等を目的としない作業を行う建築物については、従来どおり、工場としては取り扱わないこととするので留意されたい。
なお、既存の工場で今回の改正により新たに用途規制の対象となるものについては、法第三条第二項の規定により当該規制の適用を受けないこととなることに留意されたい。
個別の工場については、以下を参照されたい。
(一) 準住居地域内の工場について

1) 自動車修理工場について(法別表第二(と)項第二号)

自動車修理工場は、生産施設としての側面よりサービス施設としての側面の強い施設であり、道路の沿道に立地することが多いものであることから、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図る地域である準住居地域においては、一般の工場に関する作業場の床面積の合計の上限である五〇平方メートルを適用せず、一五〇平方メートル以下のものまで建築を認めることとしたものである。
なお、自動車修理工場には、小規模に行う洗車、自動車の点検、タイヤ交換、オイル交換等のサービスの提供をガソリンの供給に付随して行うガソリンスタンドは含まれないものであると解するが、法別表第二において規制対象として列記される事業を営むガソリンスタンドについては、当該用途地域内で同様の事業を営む工場が規制対象となることとの整合を図る趣旨から、これを工場として取り扱うことが適切であること。

2) 営むことができる特殊の方法による事業について(法別表第二(と)項第三号、令第一三〇条の八の二)

今回、準住居地域内で営むことができる特殊の方法による事業として、原動機の出力が七・五キロワット以下の空気圧縮機を使用する作業のうち、騒音レベルが低いロータリー式のもの及びパッケージ式のものを使用する作業を平成五年建設省告示第一四三八号により定めたところであるが、具体の騒音レベルの判定については、当該空気圧縮機から一メートルの地点でおおむね六〇デシベル以下のものを目安にして確認を行うよう取り計らわれたい。その際には、適宜申請者に当該空気圧縮機の性能を表示した書面等の提出を求める等必要な措置を講じてその把握に努めること。
なお、「パッケージ式」の空気圧縮機とは、「吸音材を付した鋼板による覆いを付した空気圧縮機であって、当該覆いの内部に附属機器、配管等を納めたもの」をいうものである。

3) 原動機を使用する木材の粉砕(別表第二(と)項第三号(四))

原動機を使用する木材の粉砕は、畜産、キノコ栽培用の木くず、活性炭の原料、燃料等の製造等の目的のために行われるものであるが、騒音の発生が大きいものであることにかんがみ、今回、準住居地域の規制対象に追加することとしたものである。

4) 液圧プレスのうち矯正プレスを使用するものの適用除外及びせん断(別表第二(と)項第三号(四の二))

液体の圧力を利用して加圧を行う「液圧プレス」のうち、加工時の曲りやひずみを除く二次加工を行う専用機である「矯正プレス」については、騒音、振動の発生が小さいものであることから、今回、準住居地域の規制対象から除外することとしたものである。
また、機械のこぎりを使用するもの以外の「金属の切断」のうち、ワイヤーカット、レザーカット等の特殊加工による切断は、近年増加がみられるものの、騒音、振動の発生は小さいことから、今回、準住居地域の規制対象から除外し、本項目での規制対象を「せん断」に限定することとしたものである。

5) 糖衣機を使用する製品の製造(別表第二(と)項第三号(四の四))

従来より住居地域において「糖衣機を使用する菓子の製造」を規制対象としているところであるが、糖衣機を用いて生産される製品には菓子以外のものがあり、これらの製造については騒音が著しい点で菓子の製造と同様であること等にかんがみ、今回、糖衣機を使用する製品の製造全般を準住居地域の規制対象とすることとしたものである。

6) ワイヤーフォーミングマシンを使用する金属線の加工で出力の合計が〇・七五キロワットを超える原動機を使用するもの(別表第二(と)項第三号(四の六))

従来より住居地域においては「撚線、金網の製造又は直線機を使用する金属線の加工で出力の合計が〇・七五キロワットをこえる原動機を使用するもの」を規制対象としているが、「撚線、金網の製造」はいずれもワイヤーフォーミングマシンを使用して行うものであること、「直線機」がワイヤーフォーミングマシンの一種であること、現在規制対象としていないコイルばねの製造等についてもワイヤーフォーミングマシンを使用することにより、撚線等と同様に騒音及び振動が著しいものであること等にかんがみ、今回、「ワイヤーフォーミングマシンを使用する金属線の加工で出力の合計が〇・七五キロワットを超える原動機を使用するもの」全般を準住居地域の規制対象とすることとしたものである。

7) ベンディングマシン(ロール式のものに限る。)を使用する金属の加工(別表第二(と)項第三号(一三))

金属板等の曲げ加工を行う機械であるロール式のベンディングマシンが、騒音の発生の著しいものであること等にかんがみ、今回、「ベンディングマシン(ロール式のものに限る。)を使用する金属の加工」を準住居地域の規制対象に追加することとしたものである。
なお、ロール式以外のベンディングマシンであっても、既に「金属のプレス」(別表第二(と)項第三号(四の二))として準住居地域の規制対象となるものがあることに留意されたい。

8) タンブラーを使用する金属の加工(別表第二(と)項第三号(一四))

鋳物等金属製品の研磨等を行う機械であるタンブラーが騒音の著しいものであること等にかんがみ、今回、「タンブラーを使用する金属の加工」を準住居地域の規制対象に追加することとしたものである。
なお、タンブラーのうち乾式のものは、既に「原動機を使用する二台以下の研磨機による金属の乾燥研磨(工具研磨を除く。)」(別表第二(と)項第三号(三))として準住居地域で禁止されているが、湿式のものはこれまで規制されておらず、騒音が著しい点では乾式と同様であることから、今回、タンブラー全般を準住居地域の規制対象に追加することとしたものである。

9) ゴム練用又は合成樹脂練用のロール機(カレンダーロール機を除く。)を使用する作業(別表第二(と)項第三号(一五))

ゴムや合成樹脂に薬品等を加えるなどして練る機械であるゴム練用又は合成樹脂練用のロール機が振動の発生の著しいものであること等にかんがみ、今回、「ゴム練用又は合成樹脂練用のロール機(カレンダーロール機を除く。)を使用する作業」を準住居地域の規制対象に追加することとしたものである。
なお、「カレンダーロール機」は、振動が小さいものであること等から、規制対象から除外することとしたものである。

(二) 商業地域内の工場について

1) 水性塗料の製造(別表第二(り)項第三号(五))

従来より、商業地域において「絵具の製造」を規制対象としているが、水性塗料についても、これと同様に粉じんの発生があること等にかんがみ、今回、商業地域の規制対象に追加することとしたものである。

2) フェザーミール、肉骨粉、肉粉若しくは血粉又はこれらを原料とする飼料の製造(別表第二(り)項第三号(八の三))

従来より、商業地域において「魚粉又は魚粉を原料とする飼料の製造」を規制対象としているが、「フェザーミール、肉骨粉、肉粉若しくは血粉又はこれらを原料とする飼料の製造」についても、これと同様に悪臭、粉じんの発生があること等にかんがみ、今回、商業地域の規制対象に追加することとしたものである。

3) せん毛の製造で原動機を使用するもの(別表第二(り)項第三号(一一))

従来より、商業地域において「起毛の製造で原動機を使用するもの」を規制対象としているが、「せん毛の製造で原動機を使用するもの」についても、これと同様に粉じんの発生があること等にかんがみ、今回、商業地域の規制対象に追加することとしたものである。
なお、せん毛とは、主に毛織物の仕上工程で毛先を切りそろえる作業をいうものである。

4) コンクリート、アスファルト・コンクリートの粉砕で原動機を使用するもの(別表第二(り)項第三(一三))

従来より、商業地域において「鉱物、岩石、土砂の粉砕で原動機を使用するもの」を規制対象としており、コンクリート及びアスファルト・コンクリートの粉砕についても本項目により規制対象として取り扱つていたところであるが、法文上規制対象として明記することが望ましいこと、これらはともに騒音、振動及び粉じんの発生があること等にかんがみ、今回、「コンクリート、アスファルト・コンクリートの粉砕で原動機を使用するもの」を商業地域の規制対象として明記することとしたものである。

5) スエージングマシン又はロールを用いる金属の鍛造(令第一三〇条の九の三)
別表第二(り)項第三号(二〇)の規定により令で定める事業として、「スエージングマシン又はロールを用いる金属の鍛造」を定め、商業地域の規制対象に追加することとしたものである。

なお、「スエージングマシン又はロールを用いる金属の鍛造」は、別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として指定し、準工業地域の規制対象から除外することとしたものである。

(三) 準工業地域内の工場について

1) アセテート又は銅アンモニアレーヨンの製造(別表第二(ぬ)項第一号、令第一三〇条の九の四第一号)

アセテート及び銅アンモニアレーヨンは、従来より準工業地域で規制対象としているビスコース製品と同様、天然に存在する繊維に化学的な処理を加えて製造されるものであり、製造過程における火災・爆発危険性が大きいことから、今回、準工業地域の規制対象として追加することとしたものである。
なお、銅アンモニアレーヨンの製造うち液化アンモニアガス及びアンモニア濃度が三〇%を超えるアンモニア水のいずれも使用しないものについては、火災・爆発危険性は極めて小さいものであること等から、別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として定め、準工業地域の規制対象から除外することとしたものである。
なお、アセテートとは、日本標準産業分類中のレーヨン・アセテート製造業におけるアセテート及びプラスチック製造業におけるアセテートプラスチックと同義であることに留意されたい。

2) 合成ゴム又は合成繊維の製造(別表第二(ぬ)項第一号(一六)、令第一三〇条の九の四第二号)

「合成ゴム又は合成繊維の製造」については、従来より準工業地域において規制対象としている「合成樹脂の製造」と、原材料、工程等が類似しており、これと同様に火災・爆発危険性が大きいものであることから、今回、準工業地域の規制対象として追加することとしたものである。
なお、合成繊維の製造のうち、建設大臣が安全上及び防火上支障がないと認めて指定する物質を原料とするもの又は建設大臣が安全上及び防火上支障がないと認めて指定する工程によるものは、火災・爆発危険性が小さいものであることから、別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として平成五年建設省告示第一四四〇号により指定したところであるので参照されたい。
また、合成繊維とは、日本標準産業分類中の合成繊維製造業における合成繊維と同義であることに留意されたい。

3) 可燃性ガスの製造(別表第二(ぬ)項第一号(一一)、令第一三〇条九の五)

可燃性ガスの製造については、製造過程及び製品自体の火災・爆発危険性が大きいことから、今回、その製造工場を準工業地域の規制対象として追加することとしたものである。
なお、アセチレンガスの製造及びガス事業として行われる可燃性ガスの製造については、準工業地域の指定目的に照らし、これらを用途規制上の規制対象とすることがかえって支障となるものであることにかんがみ、令で指定し準工業地域の規制対象から除外することとしたものである。

4) 炭素粉を原料とする炭素製品又は黒鉛製品の製造(別表第二(ぬ)項第一号(二四))

従来より準工業地域で規制対象としている電気用カーボン以外の炭素製品、黒鉛製品(黒鉛るつぼ等)については、近年、生産量の増大がみられ、これらの原材料、製造工程とも、電気用カーボンと同様であり、火災・爆発危険性、粉じんの発生が大きいものであること等にかんがみ、今回、炭素粉を原料とする炭素製品又は黒鉛製品の製造全般を準工業地域の規制対象とすることとしたものである。

5) 鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造(別表二(ぬ)項第一号(二八)、令第一三〇条の九の四第三号)

従来より、準工業地域で「動力つち(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造」を規制対象としているところであるが、「動力つち」という語が現在ではほとんど用いられないものであること、騒音規制法等において金属の鍛造を行う機械全般を「鍛造機」と定義し規制対象としていること、また、これら鍛造機がおおむね騒音、振動ともに著しく大きいものであること等にかんがみ、今回、「動力つち」という表現を廃すとともに、「鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造」全般を準工業地域の規制対象とすることとしたものである。
なお、「スエージングマシン又はロールを用いる金属の鍛造」は、別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として指定し、準工業地域の規制対象から除外し、別途、令第一三〇条の九の三の規定により商業地域の規制対象とすることとしたものである。
また、いわゆる「鍛造プレス機」を使用する「金属の鍛造」は、従来より、改正前の別表第二(は)項第三号(四の二)の「原動機を使用する金属のプレス」に含まれるものとして取り扱っていたことにかんがみ、今回の法の改正に当たっても、別表第二(ぬ)項第一号(二八)の「鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造」には含まれず、別表第二(と)項第三号(四の2)の「原動機を使用する金属のプレス」に含まれるものであることに留意されたい。

6) 石綿を含有する製品の製造又は粉砕(別表第二(ぬ)項第一号(三〇)、令第一三〇条の九の四第四号)

石綿を含有する製品の製造又は粉砕は、その過程において発生する粉じんにより、呼吸器障害など人体への著しい悪影響が問題とされていること等にかんがみ、今回、準工業地域の規制対象として追加することとしたものである。
なお、石綿を含有する製品の製造又は粉砕のうち、集じん装置の使用その他建設大臣が石綿の粉じんの飛散の防止上有効であると認めて定める方法により行われる事業については、別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として建設省告示第一四四一号により指定し、準工業地域の規制対象から除外することとしたので参照されたい。
また、石綿を含有する製品を販売する者がその販売に付随して行う軽微な加工(穴あけ、切断、型ぬき等)は、石綿を含有する製品の製造に該当しないものであるので留意されたい。

一八 危険物の貯蔵所等の取扱いについて(法別表第二(と)項第四号、(ぬ)項第一号(二)関係)

(一) 危険物の範囲の見直しについて

従来より、準工業地域では、製造工程及び製造される製品自体の火災・爆発危険性が大きいことから塩素酸塩類等の製造工場を規制対象としているところである。
しかしながら、化学工業の進展等を背景として、火災・爆発危険性の高い物品は多様化しており、準工業地域の指定目的に照らし、その製造工場を新たに規制対象とすることが適当な物質が増加しているところである。一方、昭和六三年に消防法が改正され、消防法において危険物として取り扱われる物品の範囲が拡大されるとともに、危険物であるか否かの判定に際して物品の危険性の度合いに着目した判定試験方法が導入されたところである。
こうした状況を踏まえ、今回、消防法に規定する危険物については、原則として、法においても危険物として取り扱い、その製造工場を準工業地域で規制することとしたものである。
ところで、従来、改正前の別表第二(へ)項第一号(四)で規制対象としていた「セルロイド」は、消防法別表に列記された物品のうち第六類危険物の「硝酸エステル類」のひとつであるので、判定試験の結果、危険物と判定されたものは、消防法上の危険物として取り扱われ、改正後の別表第二(ぬ)項第一号(二)においてその製造工場を規制対象とすることとなる。また、判定試験の結果、消防法上の危険物に該当しないと判定されたセルロイドについては、別表第二(ぬ)項第一号(四)の「ニトロセルロース製品」に該当することとなる。
したがって、セルロイドの製造工場については、改めて別項において記述する必要がないことから記述を削除したものであり、規制対象から除外するものではない。
さらに、別表第二(と)項第四号においても、別表第二(ぬ)項第一号(二)における改正に併せて、規定の見直しを行ったところであるが、セルロイド及びカーバイドについては、判定試験の結果、消防法上の危険物として取り扱われるものであれば、別表第二(ぬ)項第一号(二)の規制対象である物品に含まれることから、本号で改めて記述する必要はないものであるので、削除することとしたものである。
なお、可燃性ガス、圧縮ガス又は液化ガスの単なる移充てんは、従来の取扱いどおり、別表第二(ぬ)項第一号(一一)の「可燃性ガスの製造」又は同号(一二)の「圧縮ガス又は液化ガスの製造」に該当せず、同表(と)項第四号、(り)項第四号及び(ぬ)項第二号の危険物の「処理」に該当するものであることに留意されたい。

(二) 危険物の貯蔵量又は処理量の見直しについて

また、危険物の貯蔵又は処理に供する建築物に関し、令第一三〇条の九第一項の規定により定められる危険物の数量については、消防法の改正で、危険物として取り扱われる物品の範囲の見直しに加え、指定数量の見直し、店舗において容器のままで販売するため危険物を取り扱う施設である「販売取扱所」の貯蔵数量の見直し、あるいは、屋内の場所において危険物を貯蔵し又は取り扱う貯蔵所である「屋内貯蔵所」のうち隔離距離等の基準適合が免除される小規模なもの(特定屋内貯蔵所)の貯蔵数量の見直しが行われたことを踏まえつつ、今回、法においても、このような見直しと整合のとれた規制数量を定めることが適切であることから、その見直しを行ったものである。
さらに、近年消費量が増大しているアルコール類を地下貯蔵槽により貯蔵する施設については、その危険性等を勘案の上、第一石油類を地下貯蔵槽により貯蔵する施設と同様の数量により規制を行うこととしたものである。
なお、「特定屋内貯蔵所」の位置、構造及び設備に関する基準については、建設省告示第一四三九号を参照されたい。

一九 法第四八条の特例許可制度について

法第四八条各項(第一三項及び第一四項を除く。)ただし書に規定する特例許可制度の活用に当たっては、以下の点に留意すること。
(一) 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内に現に存する自動車教習所の増築、改築等については、自動車教習所の有する公益性に十分配慮すること。
(二) 第一種住居地域における運転免許試験場については、住居環境への影響に配慮しつつ、法第四八条第五項ただし書の許可を積極的に行うこと。
(三) 騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設と認められる授産施設について、法第四八条第一項又は第二項ただし書の特定行政庁の許可の積極的活用に十分配慮すること。
(四) 水泳場が設置されるフィットネス施設その他の住民の健康増進に資する運動施設で主として近隣住民の用に供されるものについて、適正に配慮すること。
(五) 倉庫業を営む倉庫業について、配送センター、自家用倉庫、トラックの荷扱所等との規制の均衡を図るため、許可制度の積極的な活用を図ること。

第五 用途地域の指定のない区域の制限の合理化について(法第五二条、第五三条、第五六条の二関係)

用途地域の指定のない区域(以下「白地地域」という。)の制限の活用に当たっては、以下の点に留意されたい。

(一) 容積率・建ぺい率について

白地地域のうち、容積率、建ぺい率の制限の合理化を行うべき区域は、住宅等を中心とする多数の建築物による市街地の形成又は大規模な建築物の建築がなされている、若しくはなされることが予想される区域等のうち、建築物の密度の抑制等を通じて良好な環境の確保を図る区域とすること。
具体的に指定すべき容積率、建ぺい率の数値は、確保すべき市街地環境の水準、既に存する又は今後建築されることが予想される建築物の用途、規模若しくは形態、周辺の区域の土地利用の現況及び動向、道路等公共施設の整備状況又は整備の動向、交通の現況及び動向、将来の開発構想又は土地利用の構想等がある場合にはこれらとの整合、市街化調整区域にあっては開発許可に係る規制の運用との連続性及び整合、用途地域の定められた土地の区域内における指定の状況等を総合的に勘案しつつ、良好な環境の確保の目的を達成できるよう適切に定めること。

(二) 日影規制について

白地地域のうち、日影規制の適用を行うべき区域は、住宅等を中心とする多数の建築物による市街地の形成又は大規模な建築物の建築がなされている、若しくはなされることが予想される区域等のうち、中高層建築物について敷地外の一定距離以上の部分に一定時間以上日影を生じさせないよう制限を行い、良好な居住環境を確保することが必要な区域とすること。
具体的に指定すべき規制値は、確保すべき市街地環境の水準、地域の気候及び風土の状況、既に存する又は今後建築されることが予想される建築物の用途、規模若しくは形態、周辺の区域の土地利用の現況及び動向、道路等公共施設の整備状況又は整備の動向、将来の開発構想又は土地利用の構想等がある場合にはこれらとの整合、市街化調整区域にあっては開発許可に係る規制の運用との連続性及び整合、用途地域の定められた土地の区域内における規制値の指定の状況等を総合的に勘案しつつ、良好な環境の確保の目的を達成できるよう適切に定めること。

(三) 法第五二条及び法第五三条の規定に基づく区域及び容積率又は建ぺい率の数値の指定に当たっては、利害関係者の意見が十分反映されるよう配慮すること。

第六 敷地面積の最低限度規制について(法第五四条の二関係)

法第五四条の二に規定する第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の敷地面積に係る規制の活用に当たっては、住宅局長通達記の第六に定めるところによるほか、以下の点に留意の上、適切な法の執行を期されたい。
一 法第五四条の二第三項柱書に規定する「現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば同項の規定に適合しないこととなる土地」については、同項第一号又は第二号に該当する場合を除き、その全部を一の敷地として使用する場合においては同条第一項の規定は適用しないこととされているものであり、都市計画の決定又は変更の時点以後における相続、売買等による権利の主体の変更が直ちに同条第一項の適用除外に影響を及ぼすものではないこと。

なお、当該土地に存する権利関係を明らかにするために確認の申請書に併せて必要な書面を提出するよう規則を改正することとしたものである。提出すべき書面については、不動産登記簿や土地課税台帳によることが一般的であると考えられるが、これらの書面のみによっては当該土地に係る権利関係が明らかにならない場合には、必要に応じて売買契約書等の書面の提出を求め、土地に係る権利関係の適切な把握に努めること。

二 敷地面積の最低限度規制を実施する地区内においては、敷地の二重使用等を防止するため、建築物に関する台帳の整備等の措置を講ずるものとすること。
三 法第五四条の二第一項第一号の「その他これらに類する建築物で公益上必要なもの」には、次に掲げる建築物が含まれるものであること。

(一) 郵便局
(二) 電気事業法第二条第五項に規定する電気事業の用に供する同条第七項に規定する電気工作物
(三) ガス事業法第二条第七項に規定するガス工作物
(四) 熱供給事業法第二条第四項に規定する熱供給施設
(五) 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律に規定する供給設備

第七 都市計画区域以外の区域内の建築制限について(法第六八条の九、令第一三六条の二の六関係)

一 都市計画区域以外の区域内の建築制限の活用について

(一) 法第六八条の九に基づく条例の活用については、次のような場合に対し行うことが想定されるので、参考とされたい。

1) 自然環境に恵まれた地域等において、マンション等の大規模な建築物が無秩序に建築されることにより、適正かつ合理的な土地利用が阻害されるおそれがある場合
2) 農業集落等の建築物が集積している地域において、高層建築物と低層建築物が混在することにより、相隣関係上の問題や局所的な交通混雑を防止する必要がある場合
3) 農業集落等の建築物が集積している地域において、道路に接道しない敷地に建築物が建築されることにより、緊急の場合の避難の確保等の建築物の安全性、局所的な交通混雑の防止等を図る上で支障が生じるおそれがある場合
4) 幹線道路の沿道において、ホテル等の大規模な建築物が無秩序に建築されることにより、適正かつ合理的な土地利用が阻害されるおそれがある場合
5) 大規模な住宅地開発が行われた地域において、適切な市街地環境の確保を図ることが必要な場合

二 条例による制限の定め方等について

(一) 条例による制限は、当該区域の適正な市街地環境を確保するために特に必要な制限について、建築物の建築の状況、公園、広場、道路等の公共施設の整備の状況及び将来の土地利用についての見通し等を総合的に判断して合理的に必要な制限で定めること。
(二) 道路の定義については、法第四二条の定めるところによるものとし、対象区域内の土地利用の状況、自然的条件等に照らし必要と認められる場合には道路幅員を六メートルとする区域を指定することができること。その他法第四三条から法第四五条に規定する制限より厳しくならない範囲内で適切な規制を行うこと。
(三) 容積率及び建ぺい率に係る制限については、公共施設の整備が不十分な地域において大規模な建築物の建築により無秩序な開発が進行するおそれのある場合等に道路空間の適切な確保、防火、避難等の安全性の確保を図る上で効果的であると考えられることから、そのような場合には以下の点に留意しつつ積極的に活用を図ること。

なお、容積率の最低限度及び建ぺい率の最低限度に関する制限については、都市計画区域以外の区域内においては土地の高度利用を促進し、計画的かつ一体的な開発を行うことが想定されていないことから規定することができないことに留意されたい。
1) 容積率に関する制限を定める際には、法第五二条第一項第五号に規定する用途地域の指定のない区域内の建築物に適用される容積率の数値のうち最も厳しいものである一〇分の一〇より厳しくならない数値を適用することとし、地域の土地利用の状況、公共施設の整備の状況、建築物の建築計画等に応じて条例の規制対象区域内に複数の容積率を定めることができること。

また、同条に規定する建築物の前面道路による容積率制限を適用することも可能であることから、当該建築物の敷地の周辺の状況等に照らして必要と認められる場合には、積極的に活用すること。
なお、前面道路の幅員のメートルの数値に乗じることができる数値についても一〇分の四より厳しくならない範囲で別の数値を定めることができるものである。

2) 建ぺい率に関する制限を定める際には、法第五三条第一項第四号に規定する用途地域の指定のない区域内の建築物に適用される建ぺい率の数値のうち最も厳しい数値である一〇分の五より厳しくならない数値を適用することとし、地域の土地利用の状況、公共施設の整備の状況、建築物の建築計画等に応じて条例の規制対象区域内に複数の建ぺい率を定めることができること。

(四) 建築物の高さの最高限度に関する制限については、建築物の敷地の規模が大きく容積率及び建ぺい率に関する制限のみでは適切な市街地環境の確保を図ることが困難な場合等に活用することが効果的であるので、そのような場合には容積率制限及び建ぺい率制限と併せて高さに係る制限を積極的に定めること。
(五) 道路斜線制限については、法別表第三の第四項に規定する用途地域の指定のない区域内の建築物に関する規定より厳しい制限とならない範囲で必要な制限を行うこと。したがって、同項の(は)欄の距離については二〇メートル、(に)欄の数値については一・五をそれぞれ下回らない範囲内で数値を定めることができることに留意されたい。隣地斜線制限については、法第五六条第一項第二号ハの規定より厳しい制限とならない範囲で必要な制限を行うこと。したがって、建築物の高さに係る数値については三一メートル、乗じるべき数値については二・五をそれぞれ下回らない範囲内で数値を定めることができることに留意されたい。

なお、北側斜線制限については、用途地域の指定のない区域においては適用されないことから本条例において規定することはできないことに留意されたい。

(六) 日影規制については、法別表第四の第四項に規定する用途地域の指定のない区域に関する規定より厳しい制限とならない範囲で必要な制限を行うこと。したがって、同表の(ろ)から(に)欄までに掲げる数値を下回らない範囲内でそれぞれ数値を定めることができることに留意されたい。
(七) 条例の制限に関する面積、高さ等の算定方法については、法の算定方法に関する一般的原則によること。
(八) 条例には、建築物に関する制限のほか、法第三条第二項の規定の適用を受けるいわゆる既存不適格建築物等に対する適用の除外に関する規定、罰則その他の必要な規定を併せて定めること。

三 その他

(一) 地方公共団体が法第六八条の九の規定に基づく条例を制定するに当たっては、特定行政庁と密接な連絡調整を行うものとし、特定行政庁は、条例の制定に合わせて、規則第一条第八項の規定に基づく必要な規則の整備を行うものとすること。
(二) 条例の制定は市町村又は都道府県が行い、その運用には建築主事及び特定行政庁が当たることが適当であることにかんがみ、建築主事を置いていない市町村にあっては建築主事を設置するよう努めるものとし、これにより難い場合においては、当該市町村は条例の制定、運用等について当該市町村を管轄する都道府県の建築担当部局と密接な連絡調整を図ることにより建築行政の一貫性が図られるよう配慮すること。
(三) 条例の制定又は改正に当たっては、当分の間、あらかじめ、法第四条第一項又は第二項によって建築主事を置いた市町村は直接、それ以外の市町村は都道府県を通じ建設省住宅局と適宜連絡調整を行うこと。
(四) 法第六八条の九の規定の趣旨は、同条に適合する条例の規定が建築確認の対象となることを明らかにするものであり、都市計画区域外において、建築物に関連して地方公共団体が行政指導を行う旨を定めた条例等のように地方公共団体が同条によらない独自の条例を制定することを制約するものではないこと。
(五) 法第六八条の九の規定に基づき地方公共団体が条例を定める区域が、国立・国定公園、自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全地域の区域にかかる場合には、地方公共団体は、都道府県の自然環境保全担当部局と十分連絡調整を図ること。
(六) 公益上必要な建築物である学校(各種専門学校を除く。)、郵便局、電気通信交換所、電報業務取扱所、消防署、駅舎等の鉄道、軌道施設、自動車ターミナルビル、流通機構上重要と認められる営業倉庫等については、過大な制限が課せられることとならないように配慮すること。

第八 簡易な構造の建築物に係る建築規制の見直しについて(法第八四条の二並びに令第一三六条の九及び第一三六条の一〇関係)

一 簡易な構造の建築物の指定(令第一三六条の九関係)

(一) 令第一三六条の九に規定する耐火構造等の壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造に関する基準は、平成五年建設省告示第一四二六号で定めている。
(二) 令第一三六条の九第一号に規定する高い開放性を有する構造の建築物又は建築物の部分は、平成五年建設省告示第一四二七号で定めている。
(三) 令第一三六条の九第一号ハに規定する「その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途」とは、屋外での活動と同程度の使い方しかなされない用途で、収容する可燃物が少なく、かつ、火気を使用することが想定されないものを指すものであり、卸売市場、歩廊、停車場等がこれに含まれる。
(四) 令第一三六条の九第二号に規定する「帆布その他これに類する材料」とは、繊維織物等の軟質で、かつ、厚さの薄い材料を想定している。
(五) 令第一三六条の九第一号及び第二号の規定において、「建築物の部分であつて、階数が一」であるものとは、簡易な構造に該当する建築物の部分のみの階数を捉えるものではなく、建築物全体における当該部分の階により判断するものである。例えば、三階建の建築物における三階の部分は、簡易な構造の建築物の部分にはなり得ない。したがって、令第一三六条の九本文において、簡易な構造の建築物の部分にあっては、耐火構造等の壁又は常時閉鎖式防火戸等で区画された部分に限ることとし、床による区画を規定しないこととしている。

二 簡易な構造の建築物の基準(令第一三六条の一〇関係)

(一) 令第一三六条の一〇第二号及び第三号イに規定する「防火上支障のない構造」は、平成五年建設省告示第一四二八号で定めている。
(二) 令第一三六条の一〇第三号ロに規定する「通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効な基準」は、平成五年建設省告示第一四三四号で定めている。
(三) 令第一三六条の一〇第三号ハに規定する「屋内側からの通常の火災時における炎及び火熱を遮る上で有効な基準」は、平成五年建設省告示第一四三五号で定めている。

第九 一団地の総合的設計について(法第八六条関係)

一 工区区分型認定制度の活用について

(一) 一団地内に二以上の構えを成す建築物の建築を工区を分けて行うことができる制度(以下「工区区分型認定制度」という。)の適用対象となる区域は、木造賃貸住宅等低層住宅の密集した市街地や住宅団地の段階的な建替えが行われる区域等で、良好な環境を備えた市街地の形成を図りつつ土地の有効利用の促進を図ることが必要な土地の区域が想定されること。
(二) 工区区分型認定制度の適用にあっては、一団地内の複数の建築物の建築について、建築確認及び完了検査は工区ごとに行えば足りることから、検査済証の交付がなされた工区については法第七条の三に規定する検査済証の交付を受けるまでの使用制限は解除されるものであること。

また、完了検査の段階では、一団地内の他の工区に既存の建築物が存していても、工事が完了した工区に係る建築物が法第八六条第一項の認定に係る計画に適合していれば、法上、当該認定に関しては適法として取り扱うものであること。
なお、現状更地の状態となっている一団地内に二以上の構えを成す建築物を総合的設計により建築する場合にあっては、段階的な建築が行われる場合であっても、法第八六条第二項に規定する要件にかかわらず、従来通り法第八六条第一項の認定を行って差し支えない。

二 工区区分型認定制度の区域内における特定行政庁の認定について

(一) 法第八六条第二項各号に該当する区域内にある建築物については、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合、一団地内の二以上の構えを成す建築物の総合的設計による建築を工区に区分して行うことができることとしたものである。

この認定に当たっては、建築計画、周囲の状況、協定が定められている場合にはその内容、公共施設の整備状況等を見定めつつ、総合的な判断に基づいて行うこと。

(二) 特定行政庁が、この認定を行うに当たっては、当分の間、あらかじめ、都道府県知事又は地方自治法第二五二条の一九第一項に規定する指定都市の長たる特定行政庁は直接、それ以外の特定行政庁は都道府県を通じて建設省住宅局と適宜連絡調整を行うこと。

三 工区区分型認定制度による市街地整備の推進について

(一) 本制度においては、市街地再開発事業、市街地住宅密集地区再生事業、都市住宅整備事業、優良再開発建築物整備促進事業、コミュニティ住環境整備事業、住宅宅地関連公共施設整備促進事業等の事業制度を併せて活用することが可能であるので、地区計画の区域の特性、周辺市街地の状況等を勘案して、必要に応じその積極的な活用に努めること。

また、プロジェクトによる都市環境の整備・改善、良好な地域社会の形成等を勘案して、必要に応じ下水道事業等の関連公共施設の整備事業の推進に努めること。

(二) 市街地環境のより高度な維持、増進等を図るため、土地所有者等による自主的な規制が行われることが適当である場合には、建築協定制度の積極的な活用について指導すること。
(三) 工区区分型認定制度と都市計画法第一二条の五第四項に規定する誘導容積型地区計画制度、同条第五項に規定する容積適正配分型地区計画制度及び同条第六項に規定する用途別容積型地区計画制度については併せて適用することが可能であるので、必要に応じ適切な活用を図ること。

なお、予定道路制度、壁面線制度についても、工区区分型認定制度と併せて活用を図られたい。

(四) 工区区分型認定制度は低層住宅密集市街地等において、土地の有効・高度利用及び公共施設の整備を伴った地区内の住環境の向上、住宅供給の促進等に資する制度であることにかんがみ、必要に応じ、都市計画担当部局、住宅政策部局及び関係機関と緊密な連絡調整を行うとともに、当該区域において公的賃貸住宅の積極的な供給、優良な民間賃貸住宅への助成等総合的な住宅施策が講じられるよう努めること。
(五) 法第八六条第一項の認定を受けた一団地においては、総合的設計による建築物以外の建築物の建築を行う場合には、再度認定を受ける必要があることから、一団地認定後に総合的設計に係る建築確認の通知をしたときは、当該一団地の区域を公告して取引の安全等の確保を図ってきたところである。公告後に当該一団地を取得した第三者に対する保護をより一層充実させるため、今回、一団地の区域を表示した図書を特定行政庁の事務所に備え、一般の縦覧に供することにより、いつでも敷地が認定を受けた一団地内にあるか否かを確認することができるようにすることとしたものである。なお、既に認定を行った一団地についても、改正法附則第九条の規定により、改正法の施行の日から六月以内に図書を事務所に備えて縦覧手続を行うこととされているので早急に対応すること。

第一〇 その他

一 建築物の定義の明確化について(法第二条第一号関係)

法第二条第一号に規定している建築物の定義を改正しているが、その趣旨は、従来から解釈上建築物として取り扱っていたものについて、法文上、建築物としての位置付けを明確にするものであり、建築物の対象についての従前からの取扱いが変更されるものではないことに留意されたい。

二 高力ボルト孔の径の制限の合理化について(令第六八条関係)

高力ボルト、ナット及び座金のセットで、昭和五七年一〇月八日付け建設省住指発第二一八号に基づき日本工業規格と同等以上の品質を有すると認められたものについては、高力ボルト孔の径の制限の合理化が適用されるが、グリップボルト等の締付け方法が特殊な高力ボルトで、法第三八条の規定に基づく建設大臣認定を取得したものについては、令の規定にかかわらず、認定された径によることとする。なお、ボルト孔の径に関する規定は従来どおりであるので、念のため申し添える。

三 異形鉄筋をせん断補強筋に用いる場合の引張りの短期の許容応力度及び材料強度の合理化について(令第九〇条及び第九六条関係)

本改正に伴い、昭和五九年九月五日付け建設省住指発第三二四号別添「地震力に対する建築物の基礎の設計指針」五章(一)の表二中、異形鉄筋をせん断補強に用いる場合の引張りの短期の許容応力度の最大値についても、4,000kgf/cm2と読み替えることとする。

四 貯蔵又は処理に係る危険物の品目及び数量の限度についての見直し(法第二七条第二項及び別表第二並びに令第一一六条関係)

令第一一六条の規定において、危険物の貯蔵又は処理に係る数量の限度を危険物の規制に関する政令に規定する指定数量の一〇倍としているが、これは、改正前の同条において規定されていた数量の限度が、昭和六三年の消防法の改正以前の同令に規定していた指定数量の一〇倍を基本として定められていたことによる。今回の改正により、消防法の危険物規制との整合を図ることとしたもので、従来と数量の限度が異なるもの及び新たに危険物として規制対象に加わるものがあることに留意されたい。
なお、法第二七条第二項第二号においては、消防法に規定する危険物のうち建築基準法上安全及び防火上支障のないものを政令において適用除外できることとしているが、現時点においては規制対象から除外すべき危険物がないことから、今回、この政令を制定していないので申し添える。

五 基礎工事用機械等の転倒による危害の防止(令第一三六条の四関係)

令第一三六条の四の規定は、基礎工事用機械の転倒事故の発生にかんがみ、新たに地盤に十分な強度がない場合の転倒防止対策として、工事現場の周辺への危害の防止上必要な措置を定めたものである。
同条の運用に当たっては、次の事項に留意されたい。
(一) 「危害」には、労働災害が含まれないこと。
(二) 「敷板、敷角等」とは、敷板、敷角又はくいであること。
(三) 「敷板、敷角等の使用等」とは、敷板、敷角等を使用すること、コンクリート若しくはアスファルトにより舗装すること、砂、砂利若しくは砕石を敷きならすこと又は地盤を改良することであること。
(四) 「地盤の状況等により危害防止上支障がない場合」とは、地盤が十分な強度を有する場合又は基礎工事用機械若しくは移動式クレーンの転倒によって危害を受けるものが工事現場の周辺にない場合であること。

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