国住街第四〇号
平成一三年五月一五日

都道府県知事あて

住宅局長通知


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について


都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成一二年法律第七三号。以下「改正法」という。)、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成一三年政令第九八号)及び建築基準法施行規則及び建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令の一部を改正する省令(平成一三年国土交通省令第九〇号)は、いずれも、平成一三年五月一八日から施行されることとなった。
今回の改正法等のうち建築基準法に関する部分の運用について、地方自治法第二四五条の四第一項の規定に基づく技術的助言として左記のとおり通知する。
貴管内市町村に対してもこの旨周知いただくようお願いする。

第1 準都市計画区域の創設について(改正後の建築基準法(以下「法」という。)第四一条の二及び第五一条関係)

準都市計画区域制度は、近年モータリゼーションの進展等により郊外部における開発行為及び建築行為が増加しており、用途の混在等の土地利用上の問題を生ずる事例が散見されるところであり、このような区域において土地利用の整序を行うことを可能とする制度であり、準都市計画区域内については、将来都市計画区域になった場合においても市街地が確保すべき最低限の水準をあらかじめ担保するため、一部を除き法第三章の規定を適用することとした。
なお、準都市計画区域に関する都市計画では都市施設を決定しないことされているため、法第五一条の規定については、都市計画区域に限り適用することとされていることに留意されたい。

第2 道路の定義について(法第四二条関係)

法第四四条第一項に規定する道路内建築制限等の規定を適用する実益がないような地下の道路については、実務上、道路として取り扱われていなかったところであるが、法第四二条第一項の規定による道路でないことを法律上明確化することとした。

第3 特定用途制限地域制度の創設について(法第四九条の二、第五〇条、第八七条及び第八八条並びに改正後の建築基準法施行令(以下、「令」という。)第一三〇条の二、第一三八条及び第一四四条の二の四関係)

近年、用途地域が定められていない地域(以下、「白地地域」という。)において、大規模な工場、風俗営業施設等当該地域の居住環境に支障を与える用途の建築物や、公共施設に著しく大きな負荷を発生させる大規模な店舗、レジャー施設等の建築物が立地し、当該区域の良好な環境の形成又は保持に支障が生じている事例が散見されているところである。
また、都市計画区域について市街化区域と市街化調整区域との区分(以下、「区域区分」という。)が選択制とされることに伴い、区域区分を行わない場合に生じるいわゆる非線引き白地地域については、用途に関する特段の土地利用規制が行われなくなるため、周辺の環境悪化をもたらすような建築物の立地が進むおそれがある。
こうしたことから、特定の用途の建築物の立地のみを規制することにより、良好な環境の形成又は保持を図るため特定用途制限地域制度を創設したところである。特定用途制限地域内における建築物及び工作物(以下、「建築物等」という。)の用途の制限に関する条例(以下、「特定用途制限地域条例」という。)の制定に当たっては、次の点に留意の上、本制度の適切な活用に努められたい。
(1) 特定用途制限地域条例による建築物等の用途の制限は、特定用途制限地域に関する都市計画に定められた用途の概要に即し、当該地域の良好な環境の形成又は保持に貢献し、合理的な制限となるよう、制限の対象となる建築物等を明らかにして行われるべきものであること。
(2) 令第一三〇条の二第二項の規定は、既存不適格として特定用途制限地域条例による制限の適用を受けない建築物等を一定の範囲内で増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合において、なお制限を適用しない旨の規定を当該特定用途制限地域条例に設けるべき旨規定しているものである。すなわち、令第一三〇条の二第二項中「法第八六条の七の規定の例により当該条例に定める制限の適用の除外に関する規定を定める」とは、令第一三七条の四各号の規定に相当する範囲内の増築又は改築をする場合における制限の適用除外に関する規定を特定用途制限地域条例に定めるべきものであること。この場合において、令第一三七条の「基準時」に関する規定と同様の規定を特定用途制限地域条例に定めることとし、それぞれの「基準時」は、法第三条第二項の規定により当該特定用途制限地域条例で定める制限の適用を受けない建築物等について、法第三条第二項の規定により引き続き当該規定(当該規定が改正された場合においては改正前の規定を含む。)の適用を受けない期間の始期をいうものであること。

また、特定用途制限地域条例により制限する用途に供する建築物等について法第八七条第三項第二号(法第八八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により用途変更が認められる類似の用途の指定は、令第一三七条の一〇第一項各号に規定するもの以外のものについては、必要に応じ、当該特定用途制限地域条例で定めること。

(3) 特定用途制限地域条例の制定に当たっては、令第一三〇条の二第三項の規定に基づき、当該地域の良好な環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて地方公共団体の長が許可した建築物等について、特定用途制限地域条例に定める制限の適用の除外の規定を定めること。
(4) 特定用途制限地域条例において、鉄道施設その他の運輸関係の施設を含む公益上必要な建築物等を定めることは本制度の趣旨からして望ましくないこと。
(5) 特定用途制限地域においても、用途の制限を補完するため、法第五〇条の規定による条例を定めることが可能であること。
(6) 特定用途制限地域条例については、地方公共団体が当該特定用途制限地域に関する都市計画に即して定めることとされているところであり、都市計画の決定及び特定用途制限地域条例の制定に当たっては関係部局間において十分な連絡調整を図ることが望ましいこと。また、特定用途制限地域の都市計画の決定主体は市町村とされていることから、特定用途制限地域条例を都道府県が制定する場合には、関係地方公共団体間においても十分な連絡調整を図ることが望ましいこと。

第4 白地地域内の建築物の制限について(法第五二条、第五三条、第五六条、第五六条の二、別表第三及び別表第四関係)

白地地域においては、モータリゼーションの進展やこれまでの開発行為の積み重ねなどにより、戸建て住宅等が集合的に立地する地域、農業用施設、小規模な店舗や工場などが混在して立地する地域など、低密度な土地利用が進んでいる地域がみられるところである。
また、いったん高容積の建築物が建築された場合、周辺の低密度な住宅との間で日照等の相隣関係上の問題、交通の局所的混乱などを招くとともに、将来的に用途地域を指定した際に周辺建築物との建築規制上の不均衡が生ずるといった問題がある。
こうしたことから、白地地域において容積率制限(法第五二条)四〇〇%、建ぺい率制限(法第五三条)七〇%を原則とするのではなく、特定行政庁が土地利用の実態に即して規制を適用する仕組みとするとともに、適用可能な数値を追加し、きめ細かな規制を可能とし、道路斜線制限(法第五六条第一項第一号)、隣地斜線制限(法第五六条第一項第二号)及び日影規制(法第五六条の二)についても、上記のような課題に対処するため、容積率制限及び建ぺい率制限と相まって効果的な制限となるよう、併せて必要な見直しを行ったものである。
このような趣旨に鑑み、次の点に留意の上、制度の適切な運用に努められたい。
(1) 白地地域は一般的に将来の市街地像が明確になっていない地域であることから、容積率制限、建ぺい率制限、道路斜線制限、隣地斜線制限及び日影規制(以下、「容積率制限等」という。)を定めるに当たっては、土地利用の状況等を考慮することとしている。具体的には、地域に存する建築物の用途、規模又は形態、土地利用の状況、道路等公共施設の整備状況及び交通の現況を調査すること。その上で、これらの調査結果、当該地域において確保すべき市街地環境の水準、今後建築されることが予想される建築物の用途、規模又は形態、土地利用の動向、用途地域が指定されている隣接地域や既に制限の強化が図られている地域などにおける容積率制限等との連続性を勘案すること。さらに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針等の位置付け、将来の開発構想、土地利用の構想等がある場合には、これらとの整合を図りつつ、以下の区分に応じた事項に留意の上、適切な数値を定めること。

イ 現に低密度な土地利用が相当程度されている地域

現に低密度な土地利用が相当程度されている地域で、都市的土地利用が行われる見込みのない地域については、良好な環境を保護するために低層住宅地に定められる制限と同等程度の制限を定めること。

ロ 現に低層住宅や中層住宅等が立ち並んでいる地域

現に低層住宅や中層住宅等が立ち並んでおり、高層建築物が建築されることにより当該低層住宅等に係る住居の環境を著しく害するおそれがある地域又は地域内若しくはその周辺に十分な公共施設がなく、高層建築物が建築されることにより交通上、安全上、防火上又は衛生上著しい支障を及ぼすおそれがある地域については、当該低層住宅等にかかる環境を保護するため住宅地に定める制限と同等程度の制限を定めること。

ハ 現に比較的高度利用されている地域

幹線道路の沿道や地方都市の中心部等で現に局所的に高度利用されている地域については、当該土地利用の状況に応じた制限を定めること。

ニ イ、ロ及びハの区分の他、地域の土地利用の状況及び動向、道路等公共施設の整備状況又は整備の動向、交通の現況及び動向等に応じ、当該地域の環境の保持のため適切な制限を定めること。

(2) 白地地域について改正法の施行後に定められた容積率制限等については、建築物の集積の動向の変化や土地利用の方針の決定などを踏まえつつ必要に応じて制限を見直すこと。
(3) 白地地域における容積率制限等を定めるに当たっては、都道府県都市計画審議会(市町村都市計画審議会が置かれている市町村の長たる特定行政庁が行う場合にあっては、当該市町村都市計画審議会)の議を経ることとしているが、必要に応じて利害関係者の意見を聴取することが望ましいこと。
(4) 現行の白地地域においては、改正法の施行後三年以内に容積率制限、建ぺい率制限、道路斜線制限、隣地斜線制限及び改正法の施行の際現に法第五六条の二第一項の規定により条例で指定されている区域のうちの白地地域における日影規制を見直すべき旨の経過措置が設けられているところであるが、改正法施行後の都市計画の変更等による白地地域については、当該経過措置は適用されず、白地地域の都市計画決定に合わせ、容積率等の制限を定めなければならないので留意されたい。

第5 特例容積率適用区域制度の創設について(法第五二条の二及び第五二条の三、令第一三五条の四の七、第一三五条の四の八並びに改正後の建築基準法施行規則(以下、「施行規則」という。)第一〇条の四の三から第一〇条の四の七まで関係)

我が国における都市の健全な発展と秩序ある整備を図っていく上では、特に既成市街地において、土地の有効高度利用を進めていくことが重要とされているところであるが、高度利用を図るべき都心などの商業地域においても、個別の敷地単位でみれば、歴史的建造物が存するなど個別の事情から指定容積率が利用されない場合などがある。
こうしたことから、商業地域内で、適正な配置及び規模の公共施設を備え、高度利用を図るべきと認められる区域において、複数敷地間で容積率制限の特例的な適用を認める特例容積率適用区域制度を創設し、併せて手続き規定を整備した。
従来は、一団地の総合的設計制度及び連担建築物設計制度(以下、「一団地認定等」という。)により、隣接する敷地間において、未利用の容積を他の敷地で活用することが認められていたところであるが、本制度は敷地が隣接しているか否かに関わらず、商業地域内で、適正な配置及び規模の公共施設を備え高度利用を図るべきとして都市計画に定められた区域内において、土地所有者等の申請に基づき、特定行政庁が特例容積率の限度を指定することによって、敷地の未利用容積を他の敷地で活用することにより、区域全体の土地の高度利用を図ろうとするものである。
こうした趣旨を踏まえ、次の点に留意の上、市街地環境への影響等に配慮しつつ本制度の適切な運用を図られたい。
(1) 申請に係る特例容積率の限度が法第五二条の二第三項各号に示されている次の要件に適合すると認めるときに特例容積率の限度の指定をすること。

イ Σ〔各敷地面積×特例容積率の限度〕≦Σ〔各敷地面積×都市計画による容積率*〕であること。

(*)

・現に特例容積率の限度が指定されているときは、当該特例容積率の限度。
・特例敷地が容積率制限の異なる二以上の地域等にまたがる場合は、それぞれの地域内の容積率の限度にその敷地の当該地域等の区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計。

ロ 特例容積率の限度が、現に存する建築物の容積率以上であること。
ハ 特例容積率の限度が、各特例敷地の建築物の利用上の必要性、周囲の状況等を考慮して、各特例敷地にふさわしい容積を備えた建築物が建築されることにより当該各特例敷地の土地が適正かつ合理的な利用形態となるよう定められていること。

この場合において考慮すべき周囲の状況には、地域の実情に応じ、市街地景観に配慮することが含まれること。
なお、指定に当たっては、歴史的建造物の保全、緑地の確保等市街地環境の維持向上に配慮することが望ましいこと。
また、法第五二条第一項から第六項までの規定による限度を超える場合には、当該特例容積率の限度に適合して建築される建築物が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものであることを次の観点から審査すること。
1) 交通上の審査

建築物の規模・発生交通量の増大により前面道路等に局所的な交通混雑の発生等による交通上の支障がないものであること。

2) 安全上の審査

局所的な空地の減少等に対する避難及び通行上の安全性の確保が図られていること。

3) 防火上の審査

局所的な建て詰まりによる延焼のおそれがないなど防火上支障がないものであること。

4) 衛生上の審査

建築物の規模の増大により、周辺地域における採光、通風の確保に支障がないものであること。
このため、当該特例容積率の限度の指定の申請に際して、建築計画がある場合において、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものであることを審査するために当該建築物の建築計画に関する書面等の提出について規則に定めておくことが望ましいこと。

(2) 道路、線路敷、公園等の土地は、一般的には、建築物の建築が想定されない土地であることから、これらの土地を特例敷地とすることは想定されないものであること。
(3) 法第五二条の二第三項の規定による指定(以下、「指定」という。)又は法第五二条の三第二項の規定による指定の取消し(以下、「指定の取消し」という。)に当たっては、申請者が指定又は指定の取消しに係る区域内の土地の所有権、借地権を有する者及び令第一三五条の四の七又は令第一三五条の四の八に規定する担保権者等の利害関係者の同意を得ていることを確認すること。

また、取引の安全性の確保等の観点から、これらの指定を受けている旨を台帳に記載することとされているほか、宅地建物取引業法における重要事項説明の対象等への追加がされている。

(4) 指定をしたときは、遅滞なく、特例敷地等を公告するとともに、当該特例敷地等を表示した図書(施行規則別記第四九号の四様式による計画書)を特定行政庁の事務所等に備えて一般の縦覧に供さなければならないとされているので、必要な図書の整備を行うこと。また、特例容積率の限度を広く周知する等、本制度について関係者の理解を深める観点から必要な措置が図られることが望ましいこと。
(5) 特例容積率の限度が指定された場合、特例敷地内の建築物については、当該特例容積率の限度を法第五二条第一項各号の数値とみなして同条の規定を適用することとされていることから、当該特例容積率の限度による制限に加えて同条第一項の規定による前面道路幅員による容積率の制限が適用されるものであること。
(6) 既に法第五二条の二第四項の規定により公告されている特例敷地について、未利用容積を段階的に使用しようとする場合などで、指定を新たに行うときは、容積の二重使用を防止するため、従前の指定については、新規指定に係る公告があった日から将来に向かってその効力を失うものとされていること。
(7) 法第五二条の二第三項の規定の適用に当たっては、優良建築物等整備事業、認定再開発事業、特定民間再開発事業等市街地環境の整備改善を総合的に図るための事業に対する助成制度及び税制上の特例制度並びに住宅金融公庫等の再開発関係融資等の関係融資制度を併せて活用することが有効であると考えられること。
(8) 市街地の整備改善に資するため、必要に応じ、法第五九条の二に基づくいわゆる総合設計制度についても併せて適用することが可能であること。

また、一団地認定等との併用については、これらの制度が、一団地の区域内又は隣接する土地の区域内において相互に調整した設計により建築される複数建築物について、同一敷地内にあるものとみなして一体的に容積率等の制限を適用するものであることから、一団地認定等と本制度を併用するに当たっては、一団地認定等に係る認定区域の全てが特例容積率の限度の指定に係る敷地に含まれることとなるか、予め特例容積率の限度の指定がなされた後に一団地認定等が行われるものであること。

第6 壁面線の指定等がある場合の建ぺい率制限の緩和制度の創設について(法第五三条、令第一三五条の四の九並びに施行規則第一〇条の五関係)

我が国の市街地においては、戦前に形成された木造長屋や戦後の混乱の中で無秩序に建築された木造建築物が多く、都市における防災性の確保や良好な市街地環境を形成する上で大きな問題となっている。このため、建築物の建替えを円滑に進め、耐火性能の向上等により市街地の防災性の向上等を図ることが必要であるが、その際には、ライフスタイルの多様化や居住環境の向上に対するニーズの高まり等に対応して、低層部における床面積の確保が強く求められているところである。
このため、隣地側の壁面線の指定等によって壁面の位置を揃えることにより、採光、通風等の居住環境を保持するため有効な一体的かつ連続的に空地が確保されるものについて、特定行政庁の許可により建ぺい率制限を緩和することとして、協調的な建替えによる老朽建築物の更新の促進に寄与するものである。
なお、本制度は、壁面線の指定等により地区全体の建築ルールが定められ、一般の建ぺい率制限と同等以上の市街地環境が確保される場合に適用されるものであり、いわゆる密集市街地以外の市街地も含め適用が可能である。
こうした趣旨を踏まえ、次の点に留意の上、市街地環境への影響等に配慮しつつ制度の適切かつ柔軟な運用を図られたい。
(1) 本制度の運用に当たっては、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、一般の建ぺい率制限と同等の市街地環境が確保されることについて、以下の観点から、審査すること。

イ 安全上の審査

幹線道路や消火栓からの距離が一定の距離以内になっていること等により、消防活動の確保が図られていること。

ロ 防火上の審査

壁面の開口部についての防火戸その他の防火設備を設ける又は隣地境界線(壁面線に面する部分を除く。)に面して開口部を設けないなどの措置が講じられること等により、延焼を有効に防止するものとなっていること。

ハ 衛生上の審査

前面道路側の空間のほか、壁面線等の指定により、壁面後退部分が連続的に有効な空間として確保されること等により、十分な採光、通風等が確保されていること。

(2) 令第一三五条の四の九及び施行規則第一〇条の五において、壁面線等を越えることが可能な建築物の部分を規定しているところであるが、当該規定により壁面線等を越えている建築物の部分の構造、規模等を審査の対象とすることも支障のないこと。
(3) 壁面線の指定に当たっては、「住宅地等における壁面線制度の積極的かつ弾力的活用について(平成七年五月二五日付け住街発第五三号)」を参考とするなどにより、市街地環境の確保に資するものとなるよう、当該区域の実態に併せて積極的かつ弾力的に行うこと。
(4) 本制度は、特に密集市街地等における老朽化した建築物の更新を図ろうとするものであることから、連担建築物設計制度との併用等により、より効果的に市街地環境の確保が図られるような建築計画となるようなものとすることが望ましいものであること。
(5) 本制度の活用にあたっては、密集住宅市街地整備促進事業等の各種補助事業と併せて活用することが有効であるほか、平成一二年度に創設された住宅金融公庫の都市居住再生融資は、建ぺい率の制限緩和の前提となっている壁面線の指定や地区計画の区域内における条例による壁面の位置の制限を行うことによる協調的な建替えに対し、非住宅部分も含め一体的に優遇された条件での融資を行うものであることから、当該融資制度を併せて活用することが有効であると考えられること。

第7 自動車車庫の床面積の容積率不算入について(令第二条関係)

自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)(以下、「自動車車庫等」という。)の用途に供する部分の床面積は、法第五二条第一項をはじめとする建築物の容積率の最高限度に係る容積率を算定する際に、敷地内の建築物の各階の床面積の合計の五分の一を限度として算入しないこととされていた。今般の改正法により、法第五二条第一項において、「延べ面積の敷地面積に対する割合」を「容積率」と定義したことから、同項に規定する延べ面積を算定する際には、建築物の容積率の最低限度に係る容積率を算定する場合を除き、敷地内の建築物の各階の床面積の合計の五分の一を限度として自動車車庫等の用途に供する部分の床面積を算入しないこととして整理した。
これに伴い、昭和五六年一〇月六日付け建設省計画局長、都市局長、住宅局長通知「都市計画法及び建築基準法の一部改正について」8(5)中、「条例の制限に関する面積、高さ等の算定方法については、建築基準法の算定方法に関する一般的な原則によることができる場合には、条例の制定に当たり、当該条例に延べ面積、建築物の高さに関し、それぞれ建築基準法施行令第二条第一項第四号ただし書並びに同項第六号イ及びロの規定の例にならった必要な規定を設けること。」を以下の通り改めることとする。「条例の制限に関する面積、高さ等の算定方法については、建築基準法の算定方法に関する一般的な原則によることができる場合には、条例の制定に当たり、当該条例に建築物の高さに関し、建築基準法施行令第二条第一項第六号イ及びロの規定の例にならった必要な規定を設けること。」

第8 圧縮天然ガススタンドに係る用途規制の緩和について(令第一三〇条の九の四関係)

圧縮天然ガススタンドは、天然ガスを圧縮する工程を有するものであり、法別表第二(ぬ)項第一号(一二)に掲げる圧縮ガスの製造を行う工場に該当することから、これまで、工業地域及び工業専用地域以外の用途地域では原則として建築が禁止されてきたところである。
近年、圧縮天然ガススタンドは、圧縮工程における事象の研究や安全性の確保方策が進んでいること等により、火災、爆発危険性が小さいものである。よって、圧縮ガスの製造のうち、燃料として自動車に充てんするための圧縮天然ガスに係るものを、法別表第二(ぬ)項第一号柱書の規定により令で定める特殊の方法による事業として定め、準工業地域の規制対象から除外することとしたものである。

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