港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示


平成十一年四月一日
運輸省告示第百八十一号
改正
平成一二年一一月一四日運輸省告示第三六一号
平成一四年四月一日国土交通省告示第二九一号

港湾の施設の技術上の基準を定める省令(昭和四十九年運輸省令第三十号)の規定に基づき、港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示を次のように定める。

目次
第一章 総則
第一節 定義(第一条)
第二節 自然状況等(第二条―第二十六条)
第一款 風に関する事項(第三条)
第二款 波に関する事項(第四条・第五条)
第三款 潮位に関する事項(第六条)
第四款 水流に関する事項(第七条―第九条)
第五款 地盤に関する事項(第十条―第十二条)
第六款 地震に関する事項(第十三条―第二十条)
第七款 船舶に関する事項(第二十一条―第二十三条)
第八款 その他の自然状況等に関する事項(第二十四条―第二十六条)
第二章 水域施設(第二十七条―第三十条)
第三章 外郭施設(第三十一条―第五十八条)
第一節 外郭施設の構造
第一款 外力及び荷重(第三十二条)
第二款 材料及び部材(第三十三条―第三十九条)
第三款 基礎の支持力(第四十条―第四十四条)
第四款 構造計算(第四十五条―第五十四条)
第二節 外郭施設の設置すべき場所(第五十五条―第五十八条)
第四章 係留施設(第五十九条―第百条)
第一節 係留施設の構造
第一款 外力及び荷重(第六十条)
第二款 材料及び部材(第六十一条)
第三款 基礎の支持力(第六十二条)
第四款 構造計算(第六十三条―第七十七条)
第二節 係留施設の附帯設備(第七十八条―第九十三条)
第三節 岸壁、桟橋及び物揚場のエプロン(第九十四条―第百条)
第五章 臨港交通施設
第一節 臨港交通施設の構造、設置すべき場所及び設備(第百一条―第百三条)
第二節 道路(第百四条―第百十条)
第三節 沈埋トンネル(第百十一条―第百十三条)
第四節 駐車場(第百十四条・第百十五条)
第五節 橋(第百十六条―第百十八条)
第六節 運河(第百十九条)
第六章 荷さばき施設(第百二十条―第百二十七条)
第一節 荷さばき地(第百二十一条・第百二十二条)
第二節 木材の整理のための荷さばき地(第百二十三条・第百二十四条)
第三節 上屋(第百二十五条・第百二十六条)
第四節 石油荷役機械(第百二十七条)
第七章 保管施設(第百二十八条―第百三十条)
第八章 船舶役務用施設(第百三十一条―第百三十三条)
第九章 旅客乗降用固定施設及び移動式旅客乗降用施設(第百三十四条―第百三十六条)
第十章 雑則(第百三十七条)
附則

第一章 総則 第一節 定義
第一条  (用語の定義)
この告示において使用する用語は、港湾の施設の技術上の基準を定める省令(昭和四十九年運輸省令第三十号。以下「省令」という。)において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一   危険物 港則法施行規則の危険物の種類を定める告示(昭和五十四年運輸省告示第五百四十七号)で定める危険物をいう。

二   工事用基準面 港湾の施設を建設し、改良し、又は維持する場合において、基準となる水面であって、最低水面(水路業務法施行令(平成十四年政令第四百三十三号)第一条の規定に基づいて定められた最低水面をいう。)をいう。ただし、潮汐の影響が大きくない湖沼又は河川に係る港湾の施設の工事用基準面にあっては、港湾の利用の安全を確保するため渇水期等における水位の極めて低い状態を勘案して定めるものとする。



第二節 自然状況等
第二条  (自然状況等の設定)
自然状況等の設定に関し省令第一条の二の告示で定める方法は、次条から第二十六条までに定めるとおりとする。

第一款 風に関する事項
第三条  (風)
波浪等の推定に用いる風及び港湾の施設に外力として作用する風は、それぞれ当該各号に掲げる方法により設定することを標準とする。

一   波浪の推算及び高潮の推算に用いる風速、風向は、風の実測値又は傾度風等の計算値に高度等の所要の補正を行って算定すること。

二   港湾の施設に作用する風速は、当該施設及び構造物の特性等に応じて適切な期間の統計資料に基づいて設定すること。


2   風圧力は、施設の構造、設置場所の状況等を勘案して適切に設定するものとする。

第二款 波に関する事項
第四条  (波)
外郭施設その他の港湾の施設の構造の安定又は水域施設の静穏度等の検討に用いる波は、波浪の実測又は波浪の推算によって得られた波浪資料を用いて、所要の統計処理を行って得られた波に、地形等による波の変形を勘案して設定するものとする。この場合において、波浪の推算は、波浪のスペクトル又は有義波と風速の関係を表す適切な式に基づく方法によって行うことを標準とする。
2   港湾の施設の構造の安定の検討において用いる沖波の設定のための波浪資料の統計期間は、港湾の施設の機能及び構造の特性等を勘案して適切に定めるものとする。
3   港湾の施設に作用する波は、沖波の伝播による屈折、回折、浅水変形、砕波等の変形を勘案して、港湾の施設の構造の安定又は港湾の施設の利用に最も不利となる適切な波とすることを原則とする。

第五条  (波力)
港湾の施設に作用する波力は、前条の規定に従って設定した波に基づいて、適切な水理模型実験又は次に掲げる方法によって算定することを標準とする。ただし、防波堤の形状及び構造の特性に応じて波高増大又は衝撃砕波等による波力の増大がある場合にあっては、その影響を適切に勘案するものとする。

一   直立壁の壁面に波の峰がある時イ直立壁の前面の波圧

次の(1)によって表されるη*の高さで〇、静水面の高さで次の(2)によって表される最大値p1、海底面で次の(3)によって表されるp2、直立壁底面で次の(4)によって表されるp3となる直線的に変化する分布で与えられる波圧
(1)η*=0.75(1+cosβ)λ1HD(2)p1=0.5(1+cosβ)(α1λ1+α2λ2cos2β)ρ0gHD(3)p2=p1/cosh(2πh/L)(4)p3=α3p1
この式において、η*、p1、p2、p3、ρ0、g、β、λ1、λ2、h、L、HD、α1、α2及びα3は、それぞれ次の数値を表すものとする。η* 静水面上で波圧強度が〇となる高さ(単位 メートル)p1 静水面における波圧強度(単位 キロニュートン毎平方メートル)p2 海底面における波圧強度(単位 キロニュートン毎平方メートル)p3 直立壁の底面における波圧強度(単位 キロニュートン毎平方メートル)ρ0 水の密度(単位 トン毎立方メートル)g 重力加速度(単位 メートル毎秒毎秒)β 波の主方向からプラスマイナス十五度の範囲内で最も危険な方向と直立壁の法線の垂線が成す角度(単位 度)λ1及びλ2 波圧の補正係数(標準は、一・〇)h 直立壁の前面における水深(単位 メートル)L 水深hにおいて計算に用いる次のハに示す波長(単位 メートル)HD 計算に用いる次のハに示す波高(単位 メートル)α1 次式によって表される数値α1=0.6+1/2{(4πh/L)/(sinh(4πh/L))}2α2 ((hb−d)/3hb)(HD/d)2と2d/HDのうち、いずれか小さい数値α3 次式によって表される数値α3=1−(h'/h){1−(1/cosh(2πh/L))}この式において、hb、d及びh'は、それぞれ次の数値、h、L及びHDは、それぞれ前式のh、L及びHDと同じ数値を表すものとする。hb 直立壁の前面から沖側へ有義波高の五倍の距離の地点における水深(単位 メートル)d マウンドの根固め工又は被覆工の天端のうち、いずれか浅い水深(単位 メートル)h' 直立壁の底面の水深(単位 メートル)
ロ直立壁の底面の揚圧力
直立壁の前趾において次式で与えられるpu、直立壁の後趾において〇となる三角形分布で与えられる揚圧力pu=0.5(1+cosβ)α1α3λ3ρ0gHDこの式において、pu及びλ3は、それぞれ次の数値、α1、α3、ρ0、g、HD及びβは、それぞれイのα1、α3、ρ0、g、HD及びβと同じ数値を表すものとする。pu 直立壁の底面に作用する揚圧力(単位 キロニュートン毎平方メートル)λ3 揚圧力の補正係数(標準は、一・〇)
ハ波圧の計算に用いる波高及び波長
波高HD及び波長Lは、それぞれ最高波の波高及び波長とし、最高波の波高は、次に掲げる波高、波長は、有義波周期に対応する波長
(1)最高波が砕波の影響を受けない場合
HD=HmaxHmax=1.8H1/3この式において、Hmax及びH1/3は、次の数値を表すものとする。Hmax 直立壁の前面水深における進行波としての最高波高(単位 メートル)H1/3 直立壁の前面水深における進行波としての有義波高(単位 メートル)
(2)最高波が砕波の影響を受ける場合
HDは、不規則波の砕波変形を勘案した最高波高(単位 メートル)

二   直立壁の壁面に波の谷がある時

壁面に波の谷がある時の負の波力は、適切な水理模型実験又は適切な計算式によって算定される波力



第三款 潮位に関する事項
第六条  (潮位)
港湾の施設の構造の設定及び安定の検討に用いる潮位は、天文潮及び気象潮並びに津波等による異常潮位の実測値又は推算値に基づいて定めるものとする。ただし、潮汐の影響が大きくない湖沼又は河川に係る港湾の施設にあっては、水位記録等に基づいて適切に定めるものとする。

第四款 水流に関する事項
第七条  (水の流れによる力)
水の流れによって水中又は水面付近の部材及び構造物に作用する抗力及び揚力は、次に掲げる式によって算定することを標準とする。

一   抗力FD=1/2CDρ0AU2この式において、FD、CD、ρ0、A及びUは、それぞれ次の数値を表すものとする。FD 物体に作用する流れの方向の抗力(単位 キロニュートン)CD 抗力係数ρ0 水の密度(単位 トン毎立方メートル)A 流れの方向の物体の投影面積(単位 平方メートル)U 流速(単位 メートル毎秒)

二   揚力FL=1/2CLρ0ALU2この式において、FL、CL及びALは、それぞれ次の数値、ρ0及びUは、それぞれ前号のρ0及びUと同じ数値を表すものとする。FL 物体に作用する流れと直角方向の揚力(単位 キロニュートン)CL 揚力係数AL 流れと直角方向の物体の投影面積(単位 平方メートル)



第八条  (河口水理)
河川が水域に流入する河口部においては、河川の高水時及び低水時の流れの状況、掃流土砂、潮汐の変化及び密度流、波浪と河川の流れの共存等の河口水理現象を適切に設定するものとする。

第九条  (漂砂)
漂砂による影響を受ける場合においては、底質粒径、移動限界水深、沿岸漂砂量、沿岸漂砂の卓越方向等の漂砂の特性値を適切に設定するものとする。

第五款 地盤に関する事項
第十条  (地盤の強度等)
地盤の強度等は、地盤調査及び土質試験を行って適切な数値を設定するものとする。
2   土の分類は、粗粒土については粒度によって、細粒土についてはコンシステンシーによって行うことを原則とする。
3   土の圧縮特性及び圧密等による地盤の沈下を予測するための体積圧縮係数等の係数は、日本工業規格「土の圧密試験方法」に基づいて得られた値によって算定することを標準とする。
4   土のせん断強さは、砂質土と粘性土に分けて算定することを原則とする。この場合において、砂質土のせん断強さは、排水条件において算定し、粘性土のせん断強さは、非排水条件において算定することを標準とする。
5   土の標準貫入試験値は、日本工業規格「土の標準貫入試験方法」に基づいて設定することを標準とする。
6   砂質土の内部摩擦角は、前項に規定する標準貫入試験によって得られた標準貫入試験値を用いて、次式によって算定することを標準とする。φ=25+3.2√(100N/(70+P'vo))この式において、φ、N及びP'voは、それぞれ次の数値を表すものとする。φ 砂の内部摩擦角(単位 度)N 標準貫入試験値P'vo 標準貫入試験値を測定した時の有効土被り圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)
7   標準貫入試験以外のサウンディングを行う場合においては、地盤の特性、必要とする地盤定数の種類及び精度に応じて適切にその方法を選定するものとする。
8   地震応答解析においては、土のせん断強さとせん断ひずみの関係を規定する適切な土の動的変形定数の数値を設定しなければならない。

第十一条  (常時の土圧)
構造物の壁面に作用する土圧及び崩壊面が水平面と成す角度は、次に掲げるところにより算定することを標準とする。

一   砂質土の場合イ主働土圧及び崩壊面が水平面と成す角度

pai=Kai{Σγihi+(wcosψ/cos(ψ−β))}cosψcot(ζi−β)=−tan(φi+δ+ψ−β)+sec(φi+δ+ψ−β)√((cos(ψ+δ)sin(φ1+δ))/(cos(ψ−β)sin(φ1−β)))この場合において、Kai=cos2(φ1−ψ)/cos2ψcos(δ+ψ){1+√(sin(φi+δ)sin(φi−β))/(cos(δ+ψ)cos(ψ−β))}2
ロ受働土圧及び崩壊面が水平面と成す角度
Ppi=Kpi{Σγihi+(wcosψ/cos(ψ−β))}cosψcot(ζi−β)=tan(φi−δ−ψ+β)+sec(φi−δ−ψ+β)√((cos(ψ+δ)sin(φ1−δ))/(cos(ψ−β)sin(φ1+β)))この場合において、Kpi=cos2(φ1+ψ)/cos2ψcos(δ+ψ){1−√(sin(φi−δ)sin(φi+β))/(cos(δ+ψ)cos(ψ−β))}2この式において、pai、ppi、φi、γi、hi、Kai、Kpi、ψ、β、δ、ζi及びwは、それぞれ次の数値を表すものとする。pai及びppi、それぞれi層下面の壁面に作用する主働土圧及び受働土圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)φi i層の土の内部摩擦角(単位 度)γi i層の土の単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)hi i層の厚さ(単位 メートル)Kai及びKpi それぞれi層の主働土圧係数及び受働土圧係数ψ 壁面が鉛直と成す角度(単位 度)β 地表面が水平と成す角度(単位 度)δ 壁面摩擦角(単位 度)ζi i層の崩壊面が水平と成す角度(単位 度)w 地表面の単位面積当たりの載荷重(単位 キロニュートン毎平方メートル)

二   粘性土の場合イ主働土圧

pa=Σγihi+w−2c
ロ受働土圧
pp=Σγihi+w−2cこの式において、pa、pp、γi、hi、w及びcは、それぞれ次の数値を表すものとする。pa 各土層下面の壁面に作用する主働土圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)pp 各土層下面の壁面に作用する受働土圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)γi i層の土の単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)hi i層の厚さ(単位 メートル)w 地表面の単位面積当たりの載荷重(単位 キロニュートン毎平方メートル)c 粘着力(単位 キロニュートン毎平方メートル)



第十二条  (残留水圧)
施設の背面の水位と施設の前面の水位の間に水位差が生じる場合の残留水圧は、次式によって算定するものとする。

一   yがhw未満の場合

pw=γwy

二   yがhw以上の場合

pw=γwhwこの式において、pw、γw、y及びhwは、それぞれ次の数値を表すものとする。pw 残留水圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)γw 水の単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)y 施設の背面の水位から残留水圧を算定する面までの土層の深さ(単位 メートル)hw 施設の背面の水位が施設の前面の水位よりも高い場合のこれら水位の水位差(単位 メートル)



第六款 地震に関する事項
第十三条  (施設の耐震性能)
港湾の施設は、レベル一地震動(施設の供用期間中に発生する確率が高い地震動。以下同じ。)に対して、所要の構造の安定を確保し、かつ、当該施設の健全な機能を損なわないものとする。
2   耐震強化施設(特に重要な施設でその耐震性能を強化する施設。以下同じ。)は、レベル二地震動(供用期間中に発生する確率が低いが大きな強度を持つ地震動。以下同じ。)に対して、生じる被害が軽微であり、かつ、地震後の速やかな機能の回復が可能なものとし、当該施設の所期の機能を保持するものとする。

第十四条  (地震力)
固有振動周期が比較的短く、かつ、減衰性の大きい港湾の施設に作用する地震力は、震度法によって設定することを標準とする。この場合において、地震力は、第十五条に規定する震度を用いて、次に掲げる各号によって算定した地震力のうち、港湾の施設に対して不利となる地震力をその施設の重心に作用させるものとする。

一   地震力=自重×震度

二   地震力=(自重+載荷重)×震度


2   震度法を適用しない水底トンネル等の構造物においては、それぞれの構造の特性に応じ、適切に地震力を設定するものとする。

第十五条  (震度)
震度法において、震度は、次式によって得られる水平震度とし、小数点以下三けた目を四捨五入し、小数点以下二けたの数値で表すものとする。震度=地域別震度×地盤種別係数×重要度係数この場合において、地域別震度は、港湾の施設が存する地域の区分に応じて別表第一に掲げる数値、地盤種別係数は、別表第三に掲げる地盤種別に応じて別表第二に掲げる数値、重要度係数は、構造物の特性に応じて別表第四に掲げる数値を標準とする。
2   震度法において、鉛直震度による検討が必要な場合にあっては、鉛直震度は、構造物の特性、地盤の特性等に応じた適切な数値とするものとする。

第十六条  (耐震強化施設の震度)
震度法を適用する場合の耐震強化施設の震度は、前条第一項の算定式において重要度係数を一・五として得られる震度及び災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第十号に規定する地域防災計画で定められた想定地震等のレベル二地震動に対する動的解析結果を用いて、次式によって算定される水平震度その他に基づいて、総合的に判断して設定するものとする。

一   αが二百ガル以下の場合kh=α/g

二   αが二百ガルを超える場合kh=1/3(α/g)1/3この式において、kh、α及びgは、それぞれ次の数値を表すものとする。kh 水平震度α 地表面における地盤の最大加速度(単位 ガル)g 重力加速度(単位 ガル)



第十七条  (地盤の液状化)
地盤の液状化の予測及び判定は、次に掲げるところにより行うことを原則とする。

一   地盤が緩く詰まった飽和砂質土等の場合においては、地盤が液状化するか否かの予測及び判定を行うこと。

二   地盤が液状化するか否かの予測及び判定は、粒度と標準貫入試験値又は繰返し三軸試験を用いる適切な方法によって行うこと。



第十八条  (地震時の土圧)
構造物の壁面に作用する地震時の土圧及び崩壊面が水平面と成す角度は、次に掲げるところによって算定することを標準とする。

一   砂質土の場合イ主働土圧及び崩壊面が水平面と成す角度

Pai=Kai{Σγihi+(wcosψ/cos(ψ−β))}cosψcot(ζi−β)=−tan(φi+δ+ψ−β)+sec(φi+δ+ψ−β)√((cos(ψ+δ+θ)sin(φ1+δ))/(cos(ψ−β)sin(φi−β−θ)))この場合において、Kpi=cos2(φi−ψ−θ)/cosθcos2ψcos(δ+ψ+θ){1+((sin(φi+δ)sin(φi−β−θ))/(cos(δ+ψ+θ)cos(ψ−β)))}2
ロ受働土圧及び崩壊面が水平面と成す角度
Pai=Kpi{Σγihi+(wcosψ/cos(ψ−β))}cosψcot(ζi−β)=tan(φi−δ−ψ+β)+sec(φi−δ−ψ+β)√((cos(ψ+δ−θ)sin(φ1−δ))/(cos(ψ−β)sin(φ1+β−θ)))この場合において、Kpi=cos2(φi+ψ+θ)/cosθcos2ψcos(δ+ψ−θ){1−((sin(φ1−δ)sin(φ1+β−θ))/(cos(δ+ψ−θ)cos(ψ−β)))}2この式において、θは、次の数値、pai、ppi、Kai、Kpi、ζl、w、γi、hi、ψ、β、σ及びφiは、それぞれ第十一条第一号のpai、ppi、Kai、Kpi、ζl、浮体のw、γi、hi、ψ、β、δ及びφ1と同じ数値を表すものとする。θ 次の(1)又は(2)で表される地震合成角(単位 度)
(1)θ=tan−1k(2)θ=tan−1k'
この式において、k及びk'は、それぞれ次の数値を表すものとする。k 震度k' 見掛けの震度ただし、見掛けの震度は、次条に定めるとおりとする。

二   粘性土の場合イ主働土圧

地震時において構造の安定が確保されるように、震度を勘案した適切な土圧式によって算定すること。
ロ受働土圧
地震時において構造の安定が確保されるように、適切な土圧式によって算定すること。



第十九条  (見掛けの震度)
水面下の土の地震時の土圧は、次式によって得られる見掛けの震度を用いて前条の規定に従って算定することを標準とする。k'=((2(Σγthi+Σγhj+w)+γh)/(2{Σγthi+Σ(γ−10)hj+W}+(γ−10)h))kこの式において、k'、γt、hi、γ、hj、w、h及びkは、それぞれ次の数値を表すものとする。k' 見掛けの震度γt 残留水位上の土の単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)hi 残留水位上のi層の土層の厚さ(単位 メートル)γ 水によって飽和した土の空気中における単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)hi 残留水位下において、土圧を算定する層より上のj層の土層の厚さ(単位 メートル)w 地表面の単位面積当たりの載荷重(単位 キロニュートン毎平方メートル)h 残留水位下において、土圧を算定する土層の厚さ(単位 メートル)k 震度

第二十条  (地震時の動水圧)
水中にある構造物及び施設の内部の空間の一部又は全体を水が占める場合においては、地震時の動水圧の次式によって算定することを標準とする。pdw=±7/8kγw√Hyこの式において、pdw、k、γw、H及びyは、それぞれ次の数値を表すものとする。pdw 動水圧(単位 キロニュートン毎平方メートル)k 震度γw 水の単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)H 水深(単位 メートル)y 水面から動水圧を算定する点までの深さ(単位 メートル)
2   動水圧の合力及び作用点の位置は、次式によって算定するものとする。pdw=±7/12KγwH2hdw=3/5Hこの式において、pdw及びhdwは、それぞれ次の数値、k、γw及びHは、それぞれ前項のk、γw及びHと同じ数値を表すものとする。pdw 動水圧の合力(単位 キロニュートン毎メートル)hdw 水面から動水圧の合力の作用点までの距離(単位 メートル)

第七款 船舶に関する事項
第二十一条  (対象船舶の主要寸法)
対象船舶の主要寸法は、次に掲げる方法により設定するものとする。

一   対象船舶が特定できる場合においては、特定された船舶の主要寸法

二   対象船舶が特定できない場合においては、統計処理等によって定められた適切な主要寸法



第二十二条  (船舶の接岸によって生じる外力)
船舶の接岸によって生じる外力は、次式によって算定することを標準とする。Ef={MsV2/2}CeCmCSCCこの式において、Ef、Ms、V、Ce、Cm、CS及びCCは、それぞれ次の数値を表すものとする。Ef 船舶の接岸エネルギー(単位 キロジュール)Ms 船舶の質量(単位 トン)V 船舶の接岸速度(単位 メートル毎秒)Ce 偏心係数Cm 仮想質量係数CS 柔軟性係数(標準は、一・〇)CC バースの形状係数(標準は、一・〇)
2   前項の規定において、偏心係数は、次式によって算定することを標準とする。Ce=1/(1+〔l/r〕2)この式において、l及びrは、それぞれ次の数値を表すものとする。l 船舶の接触点から係留施設の法線に平行に測った当該船舶の重心までの距離(単位 メートル)r 船舶の重心を通る鉛直軸回りの回転半径(単位 メートル)
3   第一項の仮想質量係数は、次式によって算定することを標準とする。
Cm=1+(π/2Cb)×d/BCb=
/LppBdこの式において、Cb、
、Lpp、B及びdは、それぞれ次の数値を表すものとする。Cb ブロック係数
 船舶の排水体積(単位 立方メートル)Lpp 垂線間長(単位 メートル)B 型幅(単位 メートル)d 満載喫水(単位 メートル)


第二十三条  (係留船舶の動揺によって生じる外力)
係留船舶の動揺によって生じる外力は、船舶に作用する波力、風圧力、水の流れによる流圧力等を適切に設定して、動揺計算を行って算定することを原則とする。

第八款 その他の自然状況等に関する事項
第二十四条  (自重及び載荷重)
港湾の施設の自重の算出に用いる単位体積重量は、別表第五に掲げる数値を標準とする。ただし、事前調査等によって、単位体積重量が特定できる場合にあっては、この限りでない。
2   港湾の施設における載荷重は、取扱貨物の種類及び数量並びに取扱いの状況等の港湾の施設の利用形態を勘案して適切に設定するものとする。この場合において、載荷重の種類は、積載荷重、積雪荷重、列車荷重、自動車荷重、荷役機械荷重、群集荷重その他の港湾の施設の構造に影響する荷重とすることを標準とする。

第二十五条  (摩擦抵抗力)
構造物の滑動に対する摩擦抵抗力の算定に用いる材料の摩擦係数は、静止摩擦係数とすることを標準とする。この場合において、材料の摩擦係数は、対象となる構造物の特性、材料の特性等を勘案して適切に設定するものとする。

第二十六条  (浮体に作用する外力)
港湾の施設が浮体構造の場合において、浮体に作用する力及び浮体の動揺に起因する力は、風抗力、流れ抗力、波浪強制力、波浪漂流力、造波抵抗力、復原力及び係留力とすることを標準とする。この場合において、これらの力は、浮体の係留方法及び規模等に応じて適切な解析法又は水理模型実験によって算定するものとする。
2   浮体の動揺及び係留力は、浮体の形状、外力及び係留系の特性に応じて、適切な解析法又は水理模型実験によって算定するものとする。

第二章 水域施設
第二十七条  (水域施設の構造の要件)
水域施設の構造に関し省令第六条の二の告示で定める事項は、次条から第三十条までに定めるとおりとする。

第二十八条  (船舶の安全かつ円滑な利用)
航路において屈曲部を有する場合においては、航路の中心線の交角はできる限り小さくするものとする。
2   港口部の航路の長さ及び連続する泊地の広さは、船舶の停止可能距離を勘案して、適切に定めるものとする。

第二十九条  (静穏度)
水域施設の利用船舶の航行、パイロットの乗船、曳船の利用等を勘案して、航路の適切な静穏度を確保するものとする。
2   水域施設の利用船舶の停泊又は係留の用に供される泊地であって、係留施設の前面のものにあっては、原則として、年間を通じて九十七・五パーセント以上の停泊又は係留日数を可能とする静穏度を確保するものとする。ただし、係留施設又は係留施設の前面の利用が特殊な場合にあっては、この限りでない。

第三十条  (維持管理)
水域施設は、船舶が安全かつ円滑に利用できるように、自然状況及び施設の利用状況に応じて、適切な基準に基づいて維持管理を行うことを原則とする。

第三章 外郭施設
第三十一条  (外郭施設の構造及び設置すべき場所の要件)
外郭施設の構造に関し省令第八条の二の告示で定める事項は、次条から第五十八条までに定めるとおりとする。

第一節 外郭施設の構造 第一款 外力及び荷重
第三十二条  (外力及び荷重の設定)
外郭施設に作用する外力及び荷重は、構造物の特性に応じ、第一章第二節の規定に従って適切に設定するものとする。

第二款 材料及び部材
第三十三条  (材料及び部材の要件)
外郭施設を構成する材料及び部材に関し必要な事項は、次条から第三十九条までに定めるとおりとする。ただし、構造計算又は実験によって安全であることが確かめられた場合にあっては、この限りでない。

第三十四条  (部材の安全)
構造物の各部材の外力に対する安全の検討は、構造物の特性、材料及び荷重の特性等に応じて、許容応力度法又は限界状態設計法によって行うものとする。ただし、鉄筋コンクリート構造物の部材の安全の検討は、限界状態設計法によることを標準とする。
2   限界状態設計法による部材の安全の検討は、終局限界状態、使用限界状態及び疲労限界状態について行うことを標準とする。
3   限界状態設計法によって部材の安全の検討を行う場合においては、別表第六に掲げる安全係数について、限界状態の種別に応じて構造物の特性、材料及び荷重の特性等を勘案した適切な数値とするものとする。この場合において、荷重係数は、荷重の種類、荷重の作用頻度等に応じて、永久荷重、変動荷重及び偶発荷重の三種類の荷重に区分し、適切な数値を設定するものとする。

第三十五条  (鋼材の許容応力度)
鋼材は、日本工業規格に適合するもの又はこれと同等以上の品質を有するものでなければならない。
2   鋼材の許容応力度は、鋼材の種類に応じて、別表第七から別表第九までに掲げる数値とすることを標準とする。
3   許容応力度法によって部材の安全を検討する場合において、数種類の外力及び荷重等の組合せを勘案するときは、別表第十に従って許容応力度を割り増すことができる。

第三十六条  (鉄筋コンクリートの許容応力度)
許容応力度法によって部材の安全を検討する場合においては、コンクリート及び鉄筋の許容応力度は、使用材料に応じた適切な数値とするものとする。この場合において、数種類の外力及び荷重等の組合せを勘案するときは、別表第十一に従って許容応力度を割り増すことができる。

第三十七条  (コンクリートの材料)
コンクリートの材料は、日本工業規格に適合するもの又はこれと同等以上の適切な品質を有することを原則とする。

第三十八条  (鋼材の防食対策)
鋼材の防食対策は、鋼材が存する自然状況に応じて、電気防食工法又は塗覆装工法その他の防食工法によって適切に行うものとする。この場合において、平均干潮面以下の部分にあっては、電気防食工法、朔望平均干潮面以下一メートルよりも上の部分においては、塗覆装工法によって防食対策を講ずることを標準とする。

第三十九条  (再生資源材料の利用)
再生資源材料を利用する場合においては、材料の特性及び構造物の特性に応じて適切に利用するものとする。

第三款 基礎の支持力
第四十条  (基礎の支持力に対する安定)
基礎の支持力に対する外郭施設の構造の安定の検討は、外郭施設の構造、地盤の特性等に応じて次条から第四十四条までに定める方法によって行うものとする。ただし、構造計算又は実験によって安全であることが確かめられた場合にあっては、この限りでない。

第四十一条  (浅い基礎の支持力)
外郭施設の基礎の根入れ長が基礎の最小幅よりも小さい場合においては、浅い基礎として検討することを原則とする。
2   砂質土地盤における基礎の許容支持力の算定は、次式によることを標準とする。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。qa=1/Fs(βγ1BNγ+γ2DNq)+γ2Dこの式において、qa、Fs、β、γ1、B、Nr、γ2、D及びNqは、それぞれ次の数値を表すものとする。qa 水中部分の浮力を勘案した基礎の許容支持力(単位 キロニュートン毎平方メートル)Fs 砂質土地盤の支持力の安全率β 基礎の形状係数γ1 基礎の底面から下の地盤の土の単位体積重量(水面下にあっては、水中単位体積重量)(単位 キロニュートン毎立方メートル)B 基礎の最小幅(単位 メートル)Nr及びNq 支持力係数γ2 基礎の底面から上の地盤の土の単位体積重量(水面下にあっては、水中単位体積重量)(単位 キロニュートン毎立方メートル)D 基礎の地盤への根入れ長(単位 メートル)
3   非排水せん断強さが深度とともに直線的に増加する場合の粘性土地盤の許容支持力の算定は、次によることを標準とする。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。qa=Nc0(1+nB/L)Co/Fs+γ2Dこの式において、qa、Nc0、n、B、L、Co、Fs、γ2及びDは、それぞれ次の数値を表すものとする。qa 水中部分の浮力を勘案した基礎の許容支持力(単位 キロニュートン毎平方メートル)Nc0 帯状基礎に対する支持力係数n 基礎の形状係数B 基礎の最小幅(単位 メートル)L 基礎の長さ(単位 メートル)Co 基礎の底面における粘性土の非排水せん断強さ(単位 キロニュートン毎平方メートル)Fs 粘性土地盤の支持力の安全率γ2 基礎の底面から上の地盤の土の単位体積重量(水面下にあっては、水中単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)D 基礎の地盤への根入れ長(単位 メートル)
4   基礎地盤が多層構造の場合の支持力に対する安定の検討は、円弧滑り解析によって行うことを標準とする。この場合において、安全率は、地盤の特性等に応じた適切な数値とするものとする。
5   重力式構造物の基礎地盤に作用する偏心傾斜荷重に対する支持力の検討は、次式の簡易ビショップ法による円弧滑り解析によって行うことを標準とする。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とし、かつ、地盤等の強度定数、外力及び荷重の作用形態等については、外郭施設の構造の特性等を勘案して適切に設定しなければならない。Fs=(1/ΣWsinα+(1/R)ΣHa)Σ((cb+W'tanφ)secα/1+(tanαtanφ)/Fs)この式において、Fs、W、α、R、H、a、c、b、W'及びφは、それぞれ次の数値を表すものとする。Fs 簡易ビショップ法による円弧滑りに対する安全率W 単位長さ当たりの分割片の全重量(単位 キロニュートン毎メートル)α 分割片底面が水平面と成す角度(単位 度)R 円弧滑りの滑り円の半径(単位 メートル)H 円弧滑りの滑り円内の土塊に作用する水平外力(単位 キロニュートン毎メートル)a 水平外力Hの作用位置の円弧滑りの滑り円中心からの腕の長さ(単位 メートル)c 粘性土地盤の場合においては、非排水せん断強さ、砂質土地盤の場合においては、排水条件における見掛けの粘着力(単位 キロニュートン毎平方メートル)b 分割片の幅(単位 メートル)W' 単位長さ当たりの分割片の有効重量(土の重量と載荷重との和。水面下にあっては、水中単位体積重量)(単位 キロニュートン毎メートル)φ 粘性土地盤の場合においては、〇、砂質土地盤の場合においては、排水条件における内部摩擦角(単位 度)

第四十二条  (深い基礎の支持力)
外郭施設の基礎の根入れ長が基礎の最小幅よりも大きい場合においては、深い基礎として検討することを原則とする。この場合において、深い基礎の底面の支持力は、地盤の特性、構造物の特性等に応じた適切な方法によって算定するものとする。

第四十三条  (杭基礎の支持力)
杭の軸方向許容支持力は、軸方向極限支持力を安全率で除した数値を基準とし、必要に応じ、次に掲げる各事項を勘案した適切な数値とすることを標準とする。この場合において、安全率は、構造物の特性、地盤の強度その他の特性に応じた適切な数値とするものとする。

一   杭材の許容圧縮応力度

二   杭の継ぎ手による許容応力度の低減

三   杭の細長比による許容応力度の低減

四   群杭の作用

五   杭の負の周面摩擦

六   杭の沈下量


2   杭の軸方向許容支持力は、前項第一号の杭材の許容圧縮応力度に杭の有効断面積を乗じた数値以下とするものとする。
3   杭の許容引抜き力は、適切な方法によって推定された最大引抜き力を安全率で除した数値を基準とし、必要に応じ、次に掲げる事項を勘案した適切な数値とすることを標準とする。この場合において、安全率は、構造物の特性、地盤の強度その他の特性に応じた適切な数値とするものとする。

一   杭材の許容引張応力度

二   杭の継ぎ手の影響

三   群杭の作用

四   杭の抜け上がり量


4   杭の許容引抜き力は、前項第一号の杭材の許容引張応力度に杭の有効断面積を乗じた数値以下とするものとする。
5   杭の軸直角方向許容支持力は、載荷試験若しくは解析的方法又はこれらの組合せによる推定方法に基づいて設定した適切な数値とすることを標準とする。

第四十四条  (斜面の安定)
斜面の安定の検討は、地盤の特性に応じて、次式の修正フェレニウス法による円弧滑り解析又は第四十一条第五項の規定に準じた適切な方法によって行うことを標準とする。この場合において、安全率は、地盤の特性、構造物の特性等に応じた適切な数値とするものとする。Fs=RΣ(cl+W'cosαtanφ)/(ΣWx+ΣHa)=Σ(cb+W'cos2αtanφ)secα/(ΣWsinα+(1/R)ΣHa)この式において、Fs、R、c、l、W'、α、φ、W、x、H、a及びbは、それぞれ次の数値を表すものとする。Fs 修正フェレニウス法による円弧滑りに対する安全率R 円弧滑りの滑り円の半径(単位 メートル)c 粘性土地盤の場合においては、非排水せん断強さ、砂質土地盤の場合においては、排水条件における見掛けの粘着力(単位 キロニュートン毎平方メートル)l 分割片の底辺の長さ(単位 メートル)W' 単位長さ当たりの分割片の有効重量(土の重量と載荷重の和。水面下にあつては、水中単位体積重量)(単位 キロニュートン毎メートル)α 分割片底面が水平面と成す角度(単位 度)φ 粘性土地盤の場合においては、〇、砂質土地盤の場合においては、排水条件における内部摩擦角(単位 度)W 単位長さ当たりの分割片の全重量(単位 キロニュートン毎メートル)x 分割片の重心と円弧滑りの滑り円中心の間の水平距離(単位 メートル)H 円弧滑りの滑り円内の土塊に作用する水平外力(単位 キロニュートン毎メートル)a 外力Hの作用位置の円弧滑りの滑り円中心からの腕の長さ(単位 メートル)b 分割片の幅(単位 メートル)

第四款 構造計算
第四十五条  (外郭施設の構造の安定)
外郭施設の構造の検討は、次条から第五十四条までに定めるところによって行うものとする。ただし、構造計算又は実験によって安全が確かめられた場合にあっては、この限りでない。

第四十六条  (防波堤の機能)
防波堤の天端高は、朔望平均満潮面上、防波堤の安定の検討において用いる有義波高の〇・六倍以上の適切な高さとすることを標準とする。この場合において、適切な高さは、背後の水域の静穏度、背後の港湾の施設の保全等を勘案して設定するものとする。
2   高潮又は津波対策を主たる目的とする防波堤にあっては、防波堤による高潮又は津波の影響の低減効果等を勘案して、法線、天端高等を適切に設定するものとする。
3   木材取扱施設の防波堤にあっては、異常高潮位時等に木材が流出しないように、当該防波堤の構造、背後の水域の利用状況等に応じた適切な天端高とするものとする。

第四十七条  (防波堤の構造)
防波堤は、要求される機能に応じた適切な構造とし、かつ、第三十二条に規定する外力及び荷重に対して安全な構造であるものとする。
2   高潮又は津波対策を主たる目的とする防波堤にあっては、波浪等の外力に対する構造の安定のほか、高潮又は津波の来襲時の特性を勘案して構造の安定を確保するものとする。
3   木材取扱施設の防波堤にあっては、次条及び第四十九条の規定に準じ、かつ、必要に応じて木材の衝突力に対する構造の安定を確保するものとする。

第四十八条  (重力式防波堤)
重力式防波堤の直立部の安定の検討は、破壊安全率に基づく設計法によって行うことを標準とする。
2   破壊安全率に基づく設計法を用いる場合においては、直立堤の堤体、混成堤の直立部、傾斜堤の上部工、消波ブロック被覆堤等の直立部の安定の検討は、次に掲げる各号により行うことを標準とする。

一   滑り出しに対する安定の検討は、次式によって行うこと。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。Fs≦μ(Wo−U)/Pこの式において、Fs、μ、Wo、U及びPは、それぞれ次の数値を表すものとする。Fs 直立部の滑り出しに対する安全率μ 直立部と捨石マウンドの摩擦係数Wo 直立部の水中部分における重量(単位 キロニュートン毎メートル)U 直立部の水中部分における重量(単位 キロニュートン毎メートル)P 直立部の水中部分における重量(単位 キロニュートン毎メートル)

二   転倒に対する安定の検討は、次式によって行うこと。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。Fs≦Wot−Mu/Mpこの式において、Fs、t、Mu及びMpは、それぞれ次の数値、Woは前号のWoと同じ数値を表すものとする。Fs 直立部の転倒に対する安全率t 直立部の重量の合力の作用線から直立部の堤体の後趾までの距離(単位 メートル)Mu 揚圧力による直立部の後趾の回りのモーメント(単位 キロニュートンメートル毎メートル)Mp 水平波力による直立部の後趾の回りのモーメント(単位 キロニュートンメートル毎メートル)

三   直立部の底面の地盤の支持力に対する安定の検討は、第四十一条第五項の規定に従って行うこと。


3   信頼性設計法を用いる場合にあっては、当該施設に要求される機能及び構造物の特性に応じて期待滑動量等の必要な数値を適切に設定して所要の構造の安定の検討を行うものとする。
4   重力式防波堤においては、地盤の特性及び構造の特性に応じて第四十四条に規定する円弧滑りに対する安定の検討、沈下の検討を行い、防波堤の構造全体の安定を確保するものとする。
5   波力を受ける傾斜構造物の表法面を被覆する捨石及びコンクリートブロックの所要質量並びに混成堤マウンドの被覆石及びブロックの所要質量は、適切な水理模型実験又は次式によって算定することを標準とする。M=ρrH3/Ns3(Sr−1)3この式において、M、ρr、H、Ns及びSrは、それぞれ次の数値を表すものとする。M 捨石又はコンクリートブロックの所要質量(単位 トン)ρr 捨石又はコンクリートブロックの密度(単位 トン毎立方メートル)H 安定計算に用いる波高(単位 メートル)Ns 主として被覆材の形状、勾配、被害率等によって定まる定数Sr 捨石又はコンクリートブロックの水に対する比重
6   水の流れに対するマウンドの捨石等の被覆材の所要質量は、適切な水理模型実験又は次式によって算定することを標準とする。M=πρru6/48g3y6(Sr−1)3(cosθ−sinθ)3この式において、M、ρr、u、g、y、Sr及びθは、それぞれ次の数値を表すものとする。M 捨石等の所要質量(単位 トン)ρr 捨石等の密度(単位 トン毎立方メートル)u 捨石等の上面における水の流れの速度(単位 メートル毎秒)g 重力加速度(単位 メートル毎秒毎秒)y イスバッシュの定数(埋め込まれた石にあっては、一・二〇、露出した石にあっては、〇・八六)Sr 捨石等の水に対する比重θ 水路床の軸方向の斜面の勾配(単位 度)

第四十九条  (その他の構造形式の防波堤)
重力式防波堤以外の構造形式の防波堤については、その構造の特性に応じ、前条の規定又はその他の構造の安定に関する規定に準じて適切に安定を確保するものとする。ただし、特殊な構造形式にあっては、適切な水理模型実験又は構造物の特性を勘案した適切な解析法によって、構造の安定を確保するものとする。

第五十条  (防砂堤)
防砂堤は、防砂堤の機能が発揮されるように、浮遊砂の港内への打ち込みを勘案した適切な天端高とし、防砂堤に作用する外力及び荷重の防砂堤への影響等を勘案して構造の安定を確保するものとする。

第五十一条  (導流堤)
導流堤は、不透過構造とすることを原則とし、かつ、導流堤に作用する波浪及び河川の流れによる洗堀の影響等を適切に勘案して構造の安定を確保するものとする。

第五十二条  (閘門)
閘門は、設置位置の自然状況、通航船舶の主要寸法及び隻数に応じて、船舶の出入り時において安全かつ円滑に船舶の操船が行えるように適切な形状とするものとする。
2   閘室の規模は、次に掲げる標準寸法の算定式によって適切に設定するものとする。この場合において、次の各号に掲げる余裕水深、余裕幅員及び余裕長は、通航船舶の動揺等を勘案した適切な数値とするものとする。

一   有効水深=通航船舶の喫水+余裕水深

二   有効幅員=通航船舶の幅×並列隻数+余裕幅員

三   有効長=通航船舶の長さ×一縦列の隻数+余裕長


3   閘門の門扉は、閘門の規模、開閉に要する時間、水位差、波浪等の外力に対して安全な構造であるとともに、次に掲げる要件を満たす構造とするものとする。

一   扉体、戸当たり、固定部は、常時及び地震時の荷重に対して安全であり、かつ、これらの荷重が確実に基礎構造で支持されていること。

二   水密性を有すること。

三   門扉の開閉が確実かつ円滑に操作しうること。

四   機械部分その他の可動部分を点検しやすいこと。


4   閘室は、地盤の特性、閘室内外の水位差、通航船舶の主要寸法及び隻数、注排水量等に応じた適切な構造とするものとする。
5   閘門の扉室及び閘室は、構造の特性に応じ、第三十二条の規定に従うほか、地盤反力、側壁及び床版の自重、門扉の自重、船舶の衝撃力に対して安全な構造であるものとする。
6   閘室の水位を調整する注排水装置は、閘室内の船舶に有害な動揺を与えず、かつ、速やかに注排水を行えるものとする。
7   閘門には、必要に応じ、次に掲げる設備を設置するものとする。

一   非常用設備

二   照明設備

三   電力関係設備

四   監視・計測設備

五   維持管理設備



第五十三条  (護岸)
護岸は、背後の埋立地の保全が図られるように、かつ、護岸及びその背後の土地の利用に支障のないように、越波量、高潮時の潮位等を勘案した適切な天端高とするものとする。
2   護岸の安定計算は、護岸の構造に応じ、第四十八条その他の構造の安定に関する規定に準じて行うものとする。

第五十四条  (維持管理)
外郭施設は、自然状況及び当該施設の構造の特性等を勘案して必要な機能が発揮できるように、適切な基準に基づいて維持管理を行うことを原則とする。

第二節 外郭施設の設置すべき場所
第五十五条  (防波堤)
防波堤は、第二十九条に規定する静穏度を満たすように、適切に配置するものとする。

第五十六条  (防砂堤)
防砂堤は、漂砂の特性を勘案して所要の遮へい機能が発揮できるように、適切に配置するものとする。
2   沿岸漂砂の上手の防砂堤は、砕波帯以浅においては、その基部を海岸線に直角に出し、それより深い水域においては、漂砂を港口の反対側へ拡散させるように配置することを原則とする。
3   沿岸漂砂の下手側の海岸から港内への土砂の巻き込みを防止するために沿岸漂砂の下手側に防砂堤を設ける場合においては、海岸線に直角に設け、かつ、波向及び波の変形を勘案して適切な延張を有することを原則とする。ただし、防砂堤が防波堤を兼ねる場合にあっては、防波堤としての所要の機能を勘案した適切な配置とするものとする。
4   港内における航路の付近等において、必要な場合にあっては、自然状況に応じて適切な位置に防砂堤を設けるものとする。

第五十七条  (導流堤)
導流堤は、当該地域の沿岸漂砂の特性、河川の高水時及び低水時における掃流力等に応じて、所要の機能を発揮するように適切に配置するものとする。
2   導流堤の先端の水深は、導流堤の近傍の航路の水深以深とすることを原則とする。
3   導流堤の先端部は、波の砕波限界水深以深に配置することを原則とする。

第五十八条  (閘門)
閘門の設置位置は、自然状況、通航船舶の主要寸法及び隻数に応じて、船舶の出入りにおいて安全かつ円滑に操船を行えるように適切に設定するものとする。

第四章 係留施設
第五十九条  (係留施設の構造及び設備の要件)
係留施設の構造及び設備に関し省令第十一条の二の告示で定める事項は、次条から第百条までに定めるとおりとする。

第一節 係留施設の構造 第一款 外力及び荷重
第六十条  (外力及び荷重の設定)
係留施設に作用する外力及び荷重は、構造物の特性に応じ、第一章第二節の規定に従って適切に設定するものとする。

第二款 材料及び部材
第六十一条  (材料及び部材の要件)
係留施設の材料及び部材に関し必要な事項は、構造物の特性に応じ、第三章第一節第二款の規定を準用する。この場合において、「外郭施設」とあるのは「係留施設」と読み替えるものとする。

第三款 基礎の支持力
第六十二条  (基礎の支持力の要件)
係留施設の基礎の支持力に対する安定の検討は、構造物の特性に応じ、第三章第一節第三款の規定を準用する。この場合において、「外郭施設」とあるのは「係留施設」と読み替えるものとする。

第四款 構造計算
第六十三条  (係留施設の構造の安定)
係留施設の構造の検討は、次条から第七十七条までに定めるところによって行うものとする。ただし、構造計算又は実験によって安全が確かめられた場合にあっては、この限りでない。

第六十四条  (係留施設の規模等)
係留施設の天端高は、対象船舶の主要寸法、自然状況等に応じた適切な高さとするものとする。この場合において、天端高の設定の基準となる潮位は、朔望平均満潮面とするものとする。
2   バースの長さ及び水深は、対象船舶が特定できる場合においては、それぞれ、特定された船舶の全長に船首及び船尾の係留索による船舶の係留に必要な長さを加えた数値及び対象船舶の満載喫水等の最大喫水に、その最大喫水に対応した余裕水深を加えた数値とすることを標準とする。ただし、対象船舶が特定できない場合にあっては、船舶の利用に支障のない適切な数値とするものとする。
3   前項において、バースの水深の基準となる水面は、工事用基準面とするものとする。

第六十五条  (耐震性能の照査)
耐震強化施設の構造の安定の検討においては、第十六条の規定に基づく地震力に対して所要の耐震性能が確保できるように、耐震性能の照査を行うことを原則とする。この場合において、照査に用いる地震動は、第十三条第二項で規定するレベル二地震動とするものとする。
2   耐震性能の照査は、前項の地震力に対して地盤及び係留施設の構造を適切にモデル化して、構造物の構造の特性等に応じた適切な方法で行うものとする。
3   耐震性能の照査に用いる地震動は、地盤の動的解析によって設定することを原則とする。

第六十六条  (重力式係船岸)
重力式係船岸の構造の安定の検討は、次に掲げる方法によって行うことを標準とする。

一   壁体の滑り出しに対する安定の検討は、次式によって行うこと。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。Fs≦fW/Pこの式において、Fs、f、W及びPは、それぞれ次の数値を表すものとする。Fs 壁体の滑り出しに対する安全率f 壁体の底面と基礎の摩擦係数W 壁体に作用する全鉛直力(単位 キロニュートン毎メートル)P 壁体に作用する全水平力(単位 キロニュートン毎メートル)

二   壁体の転倒に対する安定の検討は、次式によって行うこと。この場合において、安全率は、構造物の特性に応じた適切な数値とするものとする。Fs≦Wt/Phこの式において、Fs、t及びhは、それぞれ次の数値、W及びPは、それぞれ前号のW及びPと同じ数値を表すものとする。Fs 壁体の転倒に対する安全率t壁体に作用する全鉛直力の合力の作用線から壁体の前趾までの距離(単位 メートル)h壁体に作用する全水平力の合力の作用線から壁体の底面までの高さ(単位 メートル)

三   壁体の底面の地盤の支持力に対する安定の検討は、第四十一条第五項の規定に準じて適切に行うこと。


2   重力式係船岸は、地盤の特性及び構造の特性に応じ、第四十四条に規定する円弧滑り、地盤の圧密等による沈下に対して構造の安定を確保するものとする。

第六十七条  (矢板式係船岸)
控え工を有する鋼矢板式係船岸の構造の安定の検討は、矢板壁と控え工のそれぞれについて安定を検討する方法によって行うことを標準とする。
2   矢板は、次に掲げる要件を満たすことを原則とする。

一   矢板の根入れ長は、矢板の下端が地盤に固定されるように、適切な安全率を有するものであること。

二   矢板の断面は、矢板の断面の剛性を勘案した適切なものであること。


3   タイ材の断面は、タイ材の取付点反力によって算定された引張応力度に基づいて適切に設定するものとする。この場合において、タイ材の取付点反力は、矢板の断面の剛性を勘案して算定することを原則とする。
4   控え工は、次に掲げる要件を満たすことを原則とする。

一   設置位置は、控え工の構造の特性に応じて係船岸の構造の安定が確保されるように、矢板壁面から適切な距離の位置とすること。

二   控え工は、矢板式係船岸及び控え工の構造の特性に応じて、適切な方法により安定を確保すること。


5   矢板式係船岸は、第四十四条の規定に準じて、矢板下端以下を通る円弧滑りに対して適切な安全率を有するものとする。

第六十八条  (その他の構造形式の岸壁)
重力式係船岸及び矢板式係船岸以外の構造形式の岸壁については、構造の特性、構造各部の特性等に応じ、前二条の規定に準じて、適切に構造の安定を確保するものとする。

第六十九条  (直杭式横桟橋)
横桟橋部の安定の検討は、横桟橋に作用する外力及び荷重を適切に勘案し、次に掲げる各号に従って行うことを標準とする。

一   杭の横抵抗、曲げモーメント及び軸力並びに上部工の曲げモーメント及びせん断力等は、直杭式横桟橋の構造の特性に応じて適切な方法によって算定すること。

二   各杭頭に分配される水平力、杭間隔、桟橋全体及び各杭の変位量、各杭の杭頭モーメント、各杭の軸力等は、桟橋の各ブロックの回転等を勘案して適切に算定すること。

三   各直杭の軸方向に対する根入れ長は、第四十三条の規定に準じて、地盤の特性及び杭の横抵抗の解析方法に応じて適切に算定すること。この場合において、斜面にある杭の支持力の算定においては、仮想地表面以下の土層を有効な支持層とすることができる。


2   横桟橋の土留部の構造の安定の検討は、その構造形式に応じ、第六十六条、第六十七条その他の構造の安定の規定に準じて行うものとする。

第七十条  (斜め組杭式横桟橋)
斜め組杭式横桟橋の各組杭の杭頭に分担される水平力は、各組杭の断面や斜杭の傾斜角及び長さに応じて適切に算定するものとする。この場合において、すべての水平力が斜め組杭によって分担されるものとすることができる。
2   各組杭に分担される鉛直荷重は、杭の配置、杭の構造及び外力に応じて適切に算定するものとする。
3   各組杭の押込み力及び引抜き力は、桟橋の利用状況等に応じて設定された鉛直荷重及び水平荷重に基づいて適切に算定するものとする。
4   前三項の規定のほか、斜め組杭式横桟橋の構造の安定の検討は、前条の規定に準じて行うものとする。

第七十一条  (その他の構造形式の桟橋)
直杭式横桟橋及び斜め組杭式横桟橋以外の構造形式の桟橋の構造の安定の検討は、構造物の特性、構造各部の特性等に応じ、前二条その他の構造の安定の規定に準じて行うものとする。

第七十二条  (浮桟橋)
浮桟橋の浮体の係留方式は、設置場所の自然状況に応じて、施設の機能等が発揮できるように適切に設定するものとする。
2   浮桟橋の連絡橋及び渡橋は、浮桟橋の旅客又は貨物の所要の取扱能力が確保できる適切な寸法及び勾配を有するものとする。
3   浮体は、利用状況に応じた適切な広さ及び乾舷を有し、かつ、浮体に作用する外力及び荷重に対して安定の良い寸法とするものとする。
4   浮体は、浮桟橋の利用形態等に応じて適切に所要の構造の安定を確保するものとする。
5   浮体を構成する各部材に生じる応力等は、その利用形態、各部材に作用する外力及び荷重、各部の構造の特性等に応じた適切な方法で検討するものとする。
6   係留鎖の構造は、船舶の接岸によって生じる防衝工反力、船舶の牽引力、波力のそれぞれに潮流力を加えた外力のうち、最も大きな外力に対して安全が確保されるように適切な方法によって検討するものとする。
7   係留アンカーは、係留鎖に作用する最大張力に対して浮体の安定に必要な抵抗力を発揮するものとし、適切な安全率を有するものとする。

第七十三条  (係船浮標)
係船浮標は、係留方式、自然状況、対象船舶の主要寸法等に応じた安定な構造とするものとする。
2   係船浮標に作用する船舶の牽引力は、係船浮標の構造の特性に応じ、第六十条の規定に準じて設定される外力及び既往の係船浮標の牽引力の実態に基づいて算定することを原則とする。
3   係留アンカー、沈錘及び沈錘鎖、地鎖、浮体鎖、浮体等の各部の規模及び必要強度等は、前条の規定に準じるほか、船舶の牽引力、係船浮標の構造、係船方法等に応じて適切に設定するものとする。

第七十四条  (係船杭)
係船杭は、構造物の特性に応じ、第六十九条及び第七十条の規定に準じて、所要の構造の安定及び施設の安全かつ円滑な利用を確保するものとする。

第七十五条  (物揚場)
物揚場は、施設の特性、利用形態等に応じ、第六十六条から第七十二条までの規定に準じて、適切に構造の安定を確保するものとする。

第七十六条  (船揚場)
船揚場の斜路の延長及び背後の面積は、利用船舶に支障のない適切な長さ及び面積とするものとする。
2   船揚場の揚陸部の壁体の構造は、利用船舶の主要寸法、揚陸部の壁体の天端高、当該船舶の引揚方法等に応じて適切に設定するものとする。
3   船揚場の斜路の勾配は、利用船舶の形状、地盤の特性、潮差等を勘案して船舶の引揚げが円滑にできる適切な勾配とするものとする。
4   船揚場の前面の泊地は、船舶の引揚作業において船舶を損傷することのないように、かつ、他の船舶の航行等に支障のないように、適当な広さを有するものとする。
5   船揚場の揚陸部の壁体は、壁体の構造に応じ、第六十六条から第七十一条までの規定に準じて適切に安定を確保するものとする。

第七十七条  (維持管理)
係留施設は、当該施設の構造の特性を勘案して必要な機能が発揮できるように、適切な基準に基づいて維持管理を行うことを原則とする。

第二節 係留施設の附帯設備
第七十八条  (係船設備の強度)
係船設備の係船柱は、作用する船舶の牽引力に対して安全な構造であるものとする。

第七十九条  (係船柱に作用する船舶の牽引力)
係船柱に作用する船舶の牽引力は、別表第十二に掲げる数値を標準とする。
2   直柱においては、前項に規定する船舶の牽引力が水平方向に作用し、その半分の牽引力が鉛直方向に同時に作用するものとすることを標準とする。
3   曲柱においては、第一項に規定する船舶の牽引力があらゆる方向に作用するものとすることを標準とする。

第八十条  (係船設備の配置)
係船設備は、船舶の係留及び荷役等が安全かつ円滑に行える場所に設置するものとする。この場合において、係船柱及び係船環等の係船設備は、船舶の係留索の位置を勘案して適切に配置するものとする。

第八十一条  (防舷材)
防舷材は、防舷材が所定の船舶の接岸エネルギーを吸収する前に、船舶が係留施設に直接接触することがないように配置するものとする。

第八十二条  
防舷材の検討に必要な船舶の接岸エネルギーは、第二十二条の規定に基づいて算定することを標準とする。

第八十三条  
防舷材の種類は、次に掲げる事項を勘案して適切に選定することを原則とする。

一   係留施設の構造の特性及び利用船舶

二   波浪の影響を受ける係留施設にあっては、係留中の船舶の動揺及び接岸角度等の船舶の接岸状況

三   船舶の接岸時に発生する防衝工反力が係留施設の構造に与える影響

四   製造上の誤差、動的な特性、温度特性等による防舷材の物理的な特性値の変動幅



第八十四条  (潜り止め等)
桟橋、ドルフィンその他の係留施設において、小型の船等の係留施設への潜り込みによる危険があるときは、適切な潜り止めを設けるものとする。

第八十五条  
柵又はロープ等は、旅客船が利用する係留施設において、旅客の安全の確保、旅客の通路の確保、車両の進入防止等のために必要に応じて設置するものとする。

第八十六条  (照明設備)
夜間において、荷積み、荷卸し、荷の移動等の荷役及び船舶の離接岸並びに人の出入りが行われる係留施設及びその関連施設においては、施設の利用形態、作業形態等に応じて適切な照明設備を設けるものとする。
2   照明設備の照度は、作業の種類及び形態に応じ、日本工業規格「照度基準」の規定又はこれに類するその他の規定に準じて、施設の安全かつ円滑な利用が可能となるように適切に定めるものとする。

第八十七条  (排水設備)
係留施設には、当該係留施設における排水の水質、係留施設の構造の特性及び利用状況等に応じ、必要な場合にあっては、排水溝及び水抜き等の排水設備を設けるものとする。

第八十八条  (給水設備)
係留施設には、その規模及び利用状況に応じ、必要な場合にあっては、上水の給水設備を設けるものとする。この場合において、第百三十二条の給水施設の規定は、係留施設の給水設備の設置について準用する。

第八十九条  (給油設備及び給電設備)
係留施設には、利用船舶の規模、荷役の状況、係留施設の構造の特性等に応じ、必要な場合にあっては、安全かつ効率的に給油又は給電できる設備を適切に設けるものとする。

第九十条  (階段若しくははしご又はこれらに類する設備等の要件)
階段若しくははしご又はこれらに類する設備の要件は、次に定めるとおりとする。

一   非常時に容易に利用できるように配置すること。

二   安全に利用できる構造とすること。



第九十一条  (救命浮標、探照灯その他の救命設備の要件)
総トン数が五百トン以上の旅客船が利用する係留施設等においては、必要に応じ、適切な救命設備を常備するものとする。

第九十二条  (車止め)
車止めの構造、形状、配置、材質等は、当該係留施設の利用状況及び構造の特性に応じ、利用者の安全が確保でき、かつ、荷役に支障のないように適切に設定するものとする。

第九十三条  (車両の乗降用設備の要件)
車両の乗降用設備の要件は、次に掲げるとおりとする。

一   幅員の標準は、別表第十三に掲げる数値以上の適切な幅とすること。ただし、可動橋にあっては、その構造の特性を適切に勘案するものとする。

二   勾配の標準は、別表第十三に掲げる数値以下の適切な勾配とすること。

三   水平部の延長の標準は、七メートルとすること。ただし、小型の設備にあっては四メートルを標準とすることができる。

四   曲線部の車線中心線の曲線半径は、十五メートル以上の適切な半径とすること。

五   標識及び標示は、当該設備の構造の特性及び利用状況に応じて適切に設置すること。



第三節 岸壁、桟橋及び物揚場のエプロン
第九十四条  (エプロン)
岸壁、桟橋及び物揚場の上面(以下「エプロン」という。)の要件は、次条から第百条までに定めるとおりとする。

第九十五条  (エプロンの設置)
係留施設の法線とその背後の上屋又は野積場等との間には、貨物の積卸しのための仮置、荷さばき、荷物の搬出入、荷役のための車両の走行等が安全かつ円滑に行われるようにエプロンを設けるものとする。
2   エプロンは、荷役が安全かつ円滑に行われるように適切な面積を有するものとする。

第九十六条  (幅員)
エプロンの幅員は、係留施設の規模及び利用形態、背後の上屋又は倉庫の構造並びに利用形態等に応じて、安全かつ円滑な荷役に支障のない適切な幅とするものとする。

第九十七条  (勾配)
エプロンの横断勾配は、降雨強度及び背後の利用状況等を勘案し、荷役に支障のない適切な勾配とするものとする。
2   エプロンは、下部埋立土の吸出し及び圧密等による沈下の発生によって荷役及び車両の走行等に支障のないように、適切な対策を講ずるものとする。

第九十八条  (設計荷重)
舗装の構造の検討において、設計荷重は、取扱貨物の種類、荷役の形態等に応じ、トラック、トラッククレーン、フォークリフトトラック、ストラドルキャリア等の荷重及び接地面積を勘案して舗装厚が最大となるように設定するものとする。

第九十九条  (エプロンの舗装の構成)
エプロンの舗装の構成は、適切に設定された路床の支持力に基づいて、舗装の種類に応じ、路盤等の構成及び使用材料の特性を勘案して設定するものとする。

第百条  (目地)
コンクリート舗装の場合においては、目地を設けることを原則とする。
2   目地は、エプロンの規模、係留施設の構造、目地の種類等に応じて適切に配置するとともに、目地の種類に応じた適切な構造を有するものとする。

第五章 臨港交通施設 第一節 臨港交通施設の構造、設置すべき場所及び設備
第百一条  (臨港交通施設の構造、設置すべき場所及び設備の要件)
臨港交通施設の構造、設置すべき場所及び設備に関し省令第十二条第四項の告示で定める事項は、次条から第百十九条までに定めるとおりとする。

第百二条  (標識及び標示)
臨港交通施設には、当該施設の種類及び利用状態等に応じて、適切な標識又は標示を設置するものとする。
2   標識及び標示の様式は、港湾の利用者の視認の容易及び利用状況等を勘案して適切に定めるものとする。
3   標識及び標示は、港湾の利用者が明瞭に視認でき、かつ、交通及び荷さばき作業に支障のない場所に設置するものとする。

第百三条  (維持管理)
臨港交通施設は、車両等が安全かつ円滑に利用できるように、当該施設の構造の特性に応じた適切な基準に基づいて維持管理を行うことを原則とする。

第二節 道路
第百四条  (道路の構造)
道路の構造は、交通の発生状況、計画上の交通量、道路の存する地域の地形、他の道路との円滑な接続その他の道路の利用状況を勘案して適切に定めるものとする。
2   専ら歩行者及び自転車等の用に供される道路にあっては、これら道路の周辺の港湾の施設の利用状況等に応じて、適切に構造を設定するものとする。

第百五条  (設計車両)
セミトレーラー連結車の通行が多い等の場合においては、セミトレーラー連結車を設計車両とすることができる。

第百六条  (道路舗装の構造)
舗装の構造は、セミトレーラー連結車、モビルクレーン等の特殊な車両の交通量等を勘案して、走行車両の輪荷重による方法によって適切に設定するものとする。

第百七条  (車線等)
道路の車線等は、港湾において発生する交通が滞留しないように、適切に設定するものとする。
2   計画上の交通量が別表第十四の道路の種類に応じた設計基準交通量(道路の時間当たり最大許容自動車交通量をいう。以下同じ。)の欄に掲げる値以下である道路の車線(登坂車線、屈折車線及び変速車線を除く。以下同じ。)の数は、二とするものとする。
3   前項に規定する道路以外の道路の車線の数は、四以上(交通の状況により必要のある場合を除き、二の倍数)とし、別表第十五の道路の種類に応じた一車線当たりの設計基準交通量に対する当該道路の計画上の交通量の割合によって定めるものとする。
4   車線の幅員は、原則として、三・二五メートル又は三・五メートルとする。ただし、大型車の通行量が多い場合にあっては、三・五メートルを標準とし、地形等の影響によりやむを得ない場合においては、三メートルまで縮小することができる。
5   車両の安全かつ円滑な通行に支障のないようにするため、必要な場合にあっては、車道の左端寄りに停車帯を設けることができる。

第百八条  (建築限界)
建築限界は、背高コンテナを積載したセミトレーラー連結車及びモビルクレーン等の特殊な車両の通行が想定される場合においては、当該車両の安全な通行が確保できるように、適切に定めるものとする。

第百九条  (地震時の用に供する道路)
耐震強化施設又は大規模な地震の発生後において救援物資の一時的保管場所等として計画された広場に連結する道路にあっては、所要の機能を発揮するように適切に構造を設定するものとする。

第百十条  (その他の構造等の要件)
道路の構造、場所及び設備に関し第百四条から前条までに定めのない事項については、港湾で発生する交通の特性に応じ、道路構造令(昭和四十五年政令第三百二十号)の規定に準じて適切に設定するものとする。

第三節 沈埋トンネル
第百十一条  (沈埋トンネルの位置及び設備等)
沈埋構造のトンネル(以下「沈埋トンネル」という。)の位置、線形及び横断面の形状は、トンネルの利用状況、トンネルの存する水域の自然状況等に応じて適切に設定するものとする。

第百十二条  (沈埋函等)
沈埋函は、必要に応じ、次に掲げる事項を勘案して安全な構造とするものとする。

一   水密性

二   コンクリートのひび割れ

三   曳航時の安定と沈設のための荷重


2   沈埋函の上部は、航行船舶の投走錨による錨の貫入、投走錨の発生頻度、沈埋トンネルの浮力、波及び水の流れによる洗掘等を勘案して沈埋函の構造の安全が確保されるように、適切な材料によって、かつ、所要の厚さで被覆することを原則とする。
3   沈埋函の埋設区域及びその周辺において、水深の増深等の計画がある場合にあっては、当該計画を勘案して埋設深さを適切に設定しなければならない。
4   沈埋トンネル部の構造の安定の検討は、沈埋トンネルの軸直角方向及び軸方向について行うことを原則とする。
5   沈埋トンネルの継ぎ手は、第一章第二節第六款に規定する地震動の作用時に発生する応力に対して安全な構造でなければならない。
6   沈埋トンネルの換気塔の構造の検討は、設定された外力及び荷重等に基づき、構造物及び地盤の特性に応じた適切な方法によって行うものとする。

第百十三条  (管理設備)
沈埋トンネルには、必要に応じ、次に掲げる設備を設置するものとする。

一   換気設備

二   非常用設備

三   照明設備

四   電力関係設備

五   保安・計測設備

六   監視・制御設備

七   排水設備



第四節 駐車場
第百十四条  (規模及び設置場所)
駐車場の規模及び設置場所は、港湾における交通の発生状況、周辺の道路の整備状況等を勘案し、港湾の施設の利用、円滑な道路交通等に支障のないものとする。
2   駐車場は、路外に設けることを原則とする。ただし、地形の状況その他の理由によりやむを得ず路上を用いる場合の駐車場の規模及び配置は、次に掲げる要件を満たすことを原則とする。

一   港湾と内陸部の幹線道路等を連絡する道路に設置されていないこと。

二   荷さばき地及び上屋等からの車両の出入りに支障のある場所に設置されていないこと。

三   危険物を取扱う地区に隣接する場所に設置されていないこと。ただし、地形の状況その他の理由によりやむを得ない場合にあっては、この限りでない。



第百十五条  (幅員等)
駐車場内の車道の幅員、駐車ますの大きさ、駐車ますに車両を駐車させるための後退、転回等が行われる車路の幅員等は、当該駐車場における利用車両の種類、駐車角度、駐車方式等に応じて適切に設定するものとする。

第五節 橋
第百十六条  (水域施設上の橋)
橋が航路、泊地等水域施設の上部の空間を横断する場合においては、次に掲げる要件を満たすものとする。

一   橋げたは、当該水域施設を利用する船舶の安全の確保のために、最高水面(水路業務法施行令第一条の規定に基づいて定められた最高水面をいう。)の適切な高さに設置されていること。

二   橋脚は、航路近傍及び船舶の航行に支障のある場所に設けられていないこと。ただし、船舶の航行の安全が確保される場合にあっては、この限りでない。

三   橋脚、橋げた等に船舶が衝突することを防止するため、必要に応じて標識又は標示等が設置されていること。



第百十七条  (係留施設等の施設上の橋)
橋が係留施設、荷さばき施設等の上部の空間を横断する場合においては、次に掲げる要件を満たすものとする。

一   係留施設、荷さばき施設等の安全かつ円滑な利用に支障のないように、橋脚位置及び橋げたの設置高さが適切に設定されていること。

二   橋脚、橋げた等に荷役機械、車両等が接触することを防止するため、必要に応じて適切な標識又は標示が設置されていること。



第百十八条  (橋の防食対策)
橋の存する自然状況に応じて、適切に橋の構造の検討及び構造材料の選定を行うものとする。
2   鋼橋においては、鋼材の腐食の発生を防止又は抑制するために、必要に応じ、塗装等の措置を講ずるものとする。
3   コンクリート橋においては、上部工及び下部工の塩害による劣化を防止するために、必要に応じ、次に掲げる対策を講ずるものとする。

一   所定のかぶりを確保すること。

二   鉄筋コンクリート表面のひび割れ幅を小さくすること。

三   特に厳しい環境に存する場合又は維持管理が困難な場合にあっては、次の対策を講ずること。イ鉄筋コンクリートの表面処理を行うこと。ロ鉄筋及びPC鋼材の防食を行うこと。



第六節 運河
第百十九条  (運河の要件)
運河は、地形、気象その他の自然状況、船舶の航行状況等に応じて、船舶が安全かつ円滑に利用できる構造とするものとする。

第六章 荷さばき施設
第百二十条  (荷さばき施設の要件)
荷さばき施設の構造、設置すべき場所及び設備に関し省令第十三条第三項の告示で定める事項は、次条から第百二十七条までに定めるとおりとする。

第一節 荷さばき地
第百二十一条  (荷さばき地の規模及び構造)
荷さばき地は、取扱貨物の種類及び数量並びに取扱いの状況に応じた適当な広さを有するものとする。
2   荷さばき地は、利用の目的及び利用状況に応じて適切に舗装することを原則とする。この場合において、舗装の構造等は、第九十八条から第百条までの規定に準じるものとする。
3   通路の幅員及び屈曲は、それぞれ車両及び荷役機械が安全かつ円滑に走行できる適切な幅及び角度とするものとする。

第百二十二条  (設備等)
荷さばき地においては、排水溝等の排水設備を設けることを原則とする。
2   第八十六条の規定は、夜間において荷役を行う荷さばき地の照明設備について準用する。
3   人が立ち入ると危険な荷さばき地においては、標識、掲示板及び柵等を設けて立入りを禁止するものとする。
4   風によって飛散する貨物を取扱う荷さばき地においては、壁等の設置等、適切な対策を講ずるものとする。

第二節 木材の整理のための荷さばき地
第百二十三条  (木材の整理のための荷さばき地の規模)
木材の整理のための荷さばき地は、安全かつ円滑な荷さばきが可能となるように、用地又は水面の適切な位置及び規模を確保するものとする。

第百二十四条  (設備等)
木材の整理のための荷さばき地においては、必要に応じ、専用の木皮焼却設備の設置等、焼却処分ができる措置を講ずるものとする。

第三節 上屋
第百二十五条  (上屋の規模及び構造)
上屋は、船舶の出入港の前後における貨物の荷さばきを円滑に行うために、次に掲げる要件を満たすものとする。

一   上屋の規模は、取扱貨物の種類及び数量並びに取扱いの状況に応じた適当なものであること。

二   上屋内の通路の幅員及び屈曲は、それぞれ荷役機械が安全かつ円滑に走行できる適切な幅及び角度とすること。



第百二十六条  (設備等)
荷役による粉じん等の発生がある場合においては、必要に応じ、適切な換気設備を設けるものとする。
2   夜間においての荷役を行う上屋においては、第八十六条の規定に準じて、適切な照明設備を設けるものとする。
3   高潮等による浸水のおそれのある場合にあっては、防潮扉その他の水の浸入を防止するための設備を設けるものとする。
4   上屋には、安全かつ円滑に利用できるように、必要に応じ、適切な標識又は標示等を設置するものとする。

第四節 石油荷役機械
第百二十七条  (ローディングアーム)
ローディングアームは、アーム内の石油の重量及び圧力、ローディングアームの自重、風圧力及び地震力によって生じる応力に対して安全な構造であるものとする。
2   ローディングアームの据付位置の係留施設の法線からの距離は、アームの長さ、防舷材の高さ等を勘案して、荷役に支障のないように適切に設定するものとする。

第七章 保管施設
第百二十八条  (保管施設の要件)
保管施設の構造及び設置すべき場所に関し省令第十四条第三項の告示で定める事項は、次条及び第百三十条に定めるとおりとする。

第百二十九条  (危険物置場及び貯油施設)
危険物置場及び貯油施設は、集約して設置するものとする。ただし、地形の状況その他の理由によりやむを得ない場合にあっては、この限りでない。
2   前項の施設の周囲においては、危険物等の種類、施設の構造等に応じて適切な幅の空地を確保することを原則とする。

第百三十条  (その他の保管施設)
前条の規定にない保管施設は、それぞれの施設の所要の機能を確保するために、前章及びこの章の規定に準じるほか、必要に応じ、これに類するその他の規定に準じて施設の構造及び設置場所を適切に設定するものとする。

第八章 船舶役務用施設
第百三十一条  (船舶役務用施設の要件)
船舶役務用施設の構造に関し省令第十五条第四項の告示で定める事項は、次条及び第百三十三条に定めるとおりとする。

第百三十二条  (給水施設)
給水栓の配置及び給水能力は、船船の種類に応じて適切に設定するものとする。
2   給水施設は、次に掲げる衛生に関する要件を満たすものとする。

一   給水栓は、水の汚染を防止できる構造とすること。

二   定期的及び臨時の水質検査を実施するとともに、給水栓が清潔に維持されていること。



第百三十三条  (その他の船舶役務用施設)
前条の規定にない船舶役務用施設は、それぞれの施設の所要の機能を確保するために、第六章の規定に準じるほか、必要に応じ、これに類するその他の規定に準じて施設の構造を適切に設定するものとする。

第九章 旅客乗降用固定施設及び移動式旅客乗降用施設
第百三十四条  (構造の要件)
旅客乗降用固定施設及び移動式旅客乗降用施設(以下「旅客乗降用施設」という。)の構造に関し省令第十六条第三項の告示で定める事項は、次条及び第百三十六条に定めるとおりとする。

第百三十五条  (構造の設定)
旅客乗降用施設の構造の要件は、次に掲げるとおりとする。

一   通路の幅員は、旅客乗降用施設の利用状況を勘案し、適切な幅とすること。

二   通路の両側には、側壁、手すり等を設置し、かつ、路面には滑り止めの措置を講ずるか、又は滑りにくい材料を用いること。

三   階段を設けないことを原則とすること。やむを得ず設ける場合においては、階段の蹴上げ高は、利用者の利用の安全に配慮して設定し、必要に応じて踊り場を設けること。

四   旅客乗降用施設と車両乗降用施設を兼用するものでないこと。ただし、旅客と車両の通行を分離できる場合にあっては、この限りでない。

五   乗降用通路の勾配は、利用者の利用の安全に配慮した適切な勾配であること。



第百三十六条  (可動橋)
旅客乗降用施設の可動橋の先端部の鉛直方向の移動量は、潮差、船舶の喫水の変化及び船舶の動揺による移動量を勘案して設定するものとする。

第十章 雑則
第百三十七条  (高齢者、身体障害者等の安全かつ円滑な移動に関する事項)
旅客施設、係留施設その他の旅客の乗降、待合いその他の用に供する港湾の施設の構造及び設備に関する事項のうち、高齢者、身体障害者等の安全かつ円滑な移動に関する事項については、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成十二年法律第六十八号)に基づく移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(平成十二年運輸・建設省令第十号)の規定に準じて適切に定めるものとする。

附 則
(施行期日)

1この告示は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2この告示の施行の際現に設置されている港湾の施設(建設の工事中のものを含む。)についてこの告示の規定に適合しない部分のある場合においては、この告示の施行後当該部分の改良の工事に着手する場合を除き、当該部分に対しては、この告示の当該部分の技術上の基準を定める規定は、適用しない。


附 則 
(平成一二年一一月一四日運輸省告示第三九号)
(施行期日)

1この告示は、平成十二年十一月十五日から施行する。

(経過措置)

2この告示の施行の際現に設置されている港湾の施設(建設の工事中のものを含む。)について改正後の告示の規定に適合しない部分のある場合においては、この告示の施行後当該部分の改良の工事に着手する場合を除き、当該部分に対しては、なお従前の例による。


附 則 
(平成一四年四月一日国土交通省告示第二九一号)
(施行期日)
この告示は、平成十四年四月一日から施行する。

別表第一 地域別震度(第十五条関係)
地域区分 地域別震度
A地区 北海道のうち、根室支庁管内、釧路支庁管内、十勝支庁管内及び日高支庁管内埼玉県千葉県東京都のうち、八丈島及び小笠原諸島を除く地域神奈川県山梨県静岡県愛知県岐阜県福井県滋賀県三重県奈良県和歌山県大阪府兵庫県 〇・一五
B地区 青森県のうち、尻屋崎以南の太平洋岸岩手県宮城県福島県茨城県栃木県群馬県長野県京都府高知県徳島県 〇・一三
C地区 北海道のうち、胆振支庁管内、渡島支庁管内及び檜山支庁管内青森県のうち、尻屋崎以南の太平洋岸を除く地域秋田県山形県新潟県富山県石川県鳥取県広島県愛媛県大分県宮崎県鹿児島県のうち、奄美諸島熊本県 〇・一二
D地区 北海道のうち、網走支庁管内、後志支庁管内、石狩支庁管内、空知支庁管内、留萌支庁管内及び上川支庁管内岡山県島根県香川県長崎県のうち、五島列島、壱岐及び対馬を除く地域佐賀県鹿児島県のうち、奄美諸島を除く地域沖縄県のうち、大東諸島を除く地域 〇・一一
E地区 北海道のうち、宗谷支庁管内東京都のうち、八丈島及び小笠原諸島山口県福岡県長崎県のうち、五島列島、壱岐及び対馬沖縄県のうち、大東諸島 〇・〇八
別表第二 地盤種別係数(第十五条関係)
地盤種別 第一種地盤 第二種地盤 第三種地盤
地盤種別係数 〇・八 一・〇 一・二
別表第三 地盤種別(第十五条関係)
地盤の種類 砂れき層 一般の砂質土地盤及び粘性土地盤 軟弱地盤
第四紀層の厚さ
五メートル以下 第一種 第一種 第二種
五メートルを超え二十五メートル未満 第一種 第二種 第三種
二十五メートル以上 第二種 第三種 第三種
備考この表において、軟弱地盤は、標準貫入試験値が四以下の砂質土地盤又は一軸圧縮強度が二十キロニュートン毎平方メートル以下の粘性土地盤をいう。この場合において、地盤が互層を成している場合にあっては、層厚が卓越する地層の種類に応じて地盤種別を定め、同程度の層厚の二つ以上の地層より成る地盤の場合にあっては、各地盤に対応した地盤種別係数のうち、最も大きい数値を選択することを原則とする。
別表第四 重要度係数(第十五条関係)
構造物の種別 構造物の特性 重要度係数
特定 A級構造物の特性のうち、第一号若しくは第四号のおそれ、第二号の影響の程度が著しいもの又は第三号の役割が特に重要なもの 一・五
A級 一 構造物が震害を受けた場合において、多くの人命及び財産に損失を与えるおそれのあるもの二 構造物が震害を受けた場合において、経済、社会活動に重大な影響を及ぼすもの三 震災復興に重要な役割を果たすもの四 有害物又は危険物を取り扱う構造物のうち、震害を受けた場合において、人命又は財産に重大な損失を与えるおそれのあるもの五 構造物が震害を受けた場合において、復旧が困難なもの 一・二
B級 特定、A級及びC級以外のもの 一・〇
C級 特定及びA級以外の構造物で、震害を受けた場合においても、経済、社会活動への影響が軽微なもの又は容易に復旧が可能なもの 〇・八
別表第五 材料の単位体積重量(第二十四条関係)
材料 単位体積重量(単位 キロニュートン毎立方メートル)
鋼及び鋳鋼 七七・〇
鋳鉄 七一・〇
アルミニウム 二七・五
鉄筋コンクリート 二四・〇
無筋コンクリート 二二・六
木材 七・八
アスファルトコンクリート 二二・六
石材(花こう岩) 二六・〇
石材(砂岩) 二五・〇
砂、砂利及び割ぐり石(乾燥状態) 一六・〇
砂、砂利及び割ぐり石(湿潤状態) 一八・〇
砂、砂利及び割ぐり石(飽和状態) 二〇・〇
別表第六 安全係数(第三十四条関係)
安全係数の種類 材料係数(γm)
荷重係数(γf)
構造解析係数(γa)
部材係数(γb)
構造物係数(γi)
別表第七 構造用鋼材の許容応力度(第三十五条関係)
鋼種 SS四〇〇SM四〇〇SMA四〇〇 SM四九〇 SM四九〇YSM五二〇SMA四九〇 SM五七〇SMA五七〇
応力度の種類
軸方向引張応力度(総断面積につき) 一四〇 一八五 二一〇 二五五
軸方向圧縮応力度(純断面積につき) 一四〇 一八五 二一〇 二五五
曲げ引張応力度(純断面積につき) 一四〇 一八五 二一〇 二五五
曲げ圧縮応力度(総断面積につき) 一四〇 一八五 二一〇 二五五
せん断応力度(総断面積につき) 八〇 一〇五 一二〇 一四五
支圧応力度 鋼板と鋼板 二一〇 二八〇 三一五 三八〇
ヘルツ公式で算出する場合 六〇〇 七〇〇
(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)
別表第八 鋼杭及び鋼管矢板の許容応力度(第三十五条関係)
鋼種 SKK四〇〇SHK四〇〇SHK四〇〇MSKY四〇〇 SKK四九〇SHK四九〇MSKY四九〇
応力度の種類
軸方向引張応力度(純断面積につき) 一四〇 一八五
軸方向圧縮応力度(総断面積につき) l/rが一八以下の場合 一四〇l/rが一八を超え、九二以下の場合 140−0.82(l/r−18)l/rが九二を超える場合1,200,000/6,700+(l/r)2 l/rが一六以下の場合 一八五l/rが一六を超え、七九以下の場合 185−1.2(l/r−16)l/rが七九を超える場合 1,200,000/5,000+(l/r)2
曲げ引張応力度(純断面積につき) 一四〇 一八五
曲げ圧縮応力度(総断面積につき) 一四〇 一八五
軸方向力及び曲げモーメントを同時に受ける部材の照査 一 軸方向力が引張の場合бt+бbt≦бtaかつ−бt+бbc≦бba二 軸方向力が圧縮の場合бc/бca+бbc/бba≦1.0
せん断応力度(総断面積につき) 八〇 一〇五
(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)備考この場合において、l、r、бt、бc、бtb、бbc、бta、бca及びбbaは、それぞれ次の数値を表すものとする。l 部材の有効座屈長(単位 センチメートル)r 部材総断面の断面二次半径(単位 センチメートル)бt及びбc それぞれ断面に作用する軸方向引張力による引張応力度及び軸方向圧縮力による圧縮応力度(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)бbt及びбbc それぞれ断面に作用する曲げモーメントによる最大引張応力度及び最大圧縮応力度(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)бta及びбca それぞれ許容引張応力度及び弱軸に関する許容軸方向圧縮応力度(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)бba 許容曲げ圧縮応力度(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)
別表第九 鋼矢板の許容応力度(第三十五条関係)
鋼種 SY二九五 SY三九〇
応力度の種類
曲げ引張応力度(純断面積につき) 一八〇 二三五
曲げ圧縮応力度(総断面積につき) 一八〇 二三五
せん断応力度(総断面積につき) 一〇〇 一二五
(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)
別表第十 鋼材の許容応力度の割増係数(第三十五条関係)
外力及び荷重の組合せ 割増係数
温度変化の影響を考えた場合 一・一五
地震の影響を考えた場合 一・五〇
別表第十一 無筋コンクリート及び鉄筋コンクリートの許容応力度の割増係数(第三十六条関係)
種別 外力及び荷重の組合せ 割増係数
無筋コンクリート 地震の影響を考えた場合 一・五〇
鉄筋コンクリート 温度変化及び乾燥収縮の影響を考えた場合 一・一五
地震の影響を考えた場合 一・五〇
別表第十二 船舶の牽引力(第七十九条関係)
船舶の総トン数 直柱に作用する牽引力(単位 キロニュートン) 曲柱に作用する牽引力(単位 キロニュートン)
二〇〇を超え五〇〇以下 一五〇 一五〇
五〇〇を超え一、〇〇〇以下 二五〇 二五〇
一、〇〇〇を超え二、〇〇〇以下 三五〇 二五〇
二、〇〇〇を超え三、〇〇〇以下 三五〇 三五〇
三、〇〇〇を超え五、〇〇〇以下 五〇〇 三五〇
五、〇〇〇を超え一〇、〇〇〇以下 七〇〇 五〇〇
一〇、〇〇〇を超え二〇、〇〇〇以下 一、〇〇〇 七〇〇
二〇、〇〇〇を超え五〇、〇〇〇以下 一、五〇〇 一、〇〇〇
五〇、〇〇〇を超え一〇〇、〇〇〇以下 二、〇〇〇 一、〇〇〇
別表第十三 車両乗降用設備の幅員及び勾配(第九十三条関係)
設備の種類 車線の数 幅員(単位 メートル) 勾配(単位 パーセント)
固定部 可動部
専ら幅一・七メートル以下の車両の乗降の用に供される設備(小型の設備) 一二 一七
専ら幅二・五メートル以下の車両の乗降の用に供される設備 三・七五 一〇 一二
六・五
大型コンテナ車の乗降の用に頻繁に供される設備
備考大型コンテナ車の乗降の用に頻繁に供される設備の勾配は、大型コンテナ車の乗降の安全、利用状況等に応じて適切に設定するものとする。
別表第十四 道路の種類に応じた設計基準交通量(第百七条関係)
道路の種類 設計基準交通量(単位 台/時間)
港湾と国道等を連絡する道路 六五〇
その他の道路 五〇〇
別表第十五 道路の種類に応じた一車線当たりの設計基準交通量(第百七条関係)
道路の種類 一車線当たりの設計基準交通量(単位 台/時間)
港湾と国道等を連絡する道路 六〇〇
その他の道路 三五〇

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