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平成17年度観光の状況

第8章 観光に係る安全対策

第1節 日本人海外旅行者の安全対策

2 政府の事故・事件への対応と安全対策



  (1) 安全対策に関する積極的な広報啓発活動と迅速かつ適切な援護

日本人が海外において事件・事故又はテロや災害等の様々な危機に巻き込まれないよう、各種の広報啓発活動を展開し、海外における危機及び安全対策に関する正しい知識の増進を図るとともに、事件・事故等に巻き込まれた日本人に対しては、迅速かつ適切な支援を行った。
1) 事前の安全対策に資するよう、渡航先の情報(渡航情報)として、その地域性、緊急性、事案の種類別に、「危険情報」、「スポット情報」、「広域情報」、「安全対策基本データ」等を提供している。そのうち、危険情報では、渡航・滞在に際し、特に注意が必要な国・地域について、4つの区分(「十分注意してください。」、「渡航の是非を検討してください。」、「渡航の延期をおすすめします。」、「退避を勧告します。渡航は延期してください。」)で、治安情勢に応じた安全対策の目安を提供しており、平成17年に発出した危険情報は302件あった。
「スポット情報」は、各国・地域の治安情勢や事件・事故に関する情報を速報的に提供する情報であり、特に、国際テロの動向や鳥インフルエンザなどの感染症等に関するもので複数の国・地域に共通する情報については「広域情報」として提供している。平成17年に発出したスポット情報は500件、また広域情報は35件であった。主なものは表8‐1‐3表8‐1‐4のとおりである。

表8-1-3 主なスポット情報発出一覧




表8-1-4 主な広域情報発出一覧



また、各国の一般的な犯罪状況や出入国に関する注意事項等を取りまとめた情報を「安全対策基礎データ」として、各国のテロに関する情報を「テロ概要」として提供している。
このほか、海外安全広報啓発活動として、海外旅行中のトラブル回避のポイントを取りまとめた各種パンフレットを作成・配布するとともに、夏期休暇に先立ち集中的啓発活動として「海外安全キャンペーン」を開催した。
さらに、海外における大規模な災害・事故等の発生時において、ツアー催行旅行会社を通じて、日本人ツアー参加者の安否確認を行うとともに、事案発生後の日本人旅行者の安全確保に万全を期すため、旅行業界と協力して現地の最新の情報を提供するよう努めている。
  COLUMN 10 日本人旅行者(旅行会社ツアー参加者)の安全確保及び現地観光復興の支援  

平成16年12月26日(日本時間午前10時頃)に発生したスマトラ沖地震発生時には、直ちに日本人ツアー参加者の安否確認を行うとともに、平成17年3月には、国土交通省、日本旅行業協会の代表者等で構成した官民合同調査団をタイ王国のバンコク及びプーケットに派遣し、現地の被災状況を調査するとともに、その結果を報告書にまとめ、旅行会社職員及び一般の旅行者に対し、現地の最新の情報提供を行った。その後も、現地の早期の観光復興のために必要な支援を講じている。
また、平成17年10月1日(現地時間19時頃)に発生したインドネシア・バリ島における連続爆発事件においても、日本人ツアー参加者の安否確認を行った。本事案に関しては、その後も当面、テロの脅威が継続していると判断されたため、インドネシア方面への旅行者に対しては、危険情報の発出地域である旨を記載した書面に加え、その時点での最新のスポット情報を記載した書面を交付するなどの措置を講ずるよう、旅行会社に指示するなどにより、日本人旅行者の安全確保に万全を期している。現地では、様々な形でテロの再発防止に向けた努力が行われており、旅行業界では、現地警察に警備用車両の寄付を行うなど、その支援を行っている。
2) 海外で事件・事故に巻き込まれた日本人への対応
海外での安全対策の広報啓発に努めるとともに、海外で何らかのトラブルに巻き込まれた日本人に対して、在外公館を通じて、必要かつ可能な支援を行った。

  (2) 旅券に関する広報啓発

外務省は、平成18年3月20日の申請分からIC旅券(パスポート)(注)を発行することから、同年2月20日の「旅券の日」を中心に、関係省庁及び全国都道府県旅券事務所の協力を得てIC旅券の広報及びパスポートの紛失・盗難防止キャンペーンを実施した。
具体的には、ポスター及びリーフレットを作成し、ポスターを国内においては全国の旅券事務所、警察署、旅行業界団体及び交通機関等に、海外においては日本大使館等に配布し掲示してもらい、広く国民に対しIC旅券導入の周知及びパスポートの紛失・盗難の注意喚起を行った。またリーフレットについては、IC旅券受領者に配布するため旅券事務所及び海外の日本大使館等に配布している。

▲平成17年度「旅券の日」ポスター




(注) 
IC旅券(パスポート)
所持人の氏名、性別、国籍等の身分事項及び顔画像を記録したICチップが内蔵された旅券。今までと同じ冊子型で、見た目もほとんど変わらない。
写真を貼り替えたりしても記録されているICチップの情報と照らし合わせることにより、旅券の偽造を簡単に見抜くことができる。また旅券を提示した人の顔とICチップに記録された顔画像を機械で照合することにより、他人の成りすましによる不正使用に対しても防止効果が期待される。

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