大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年5月26日(金) 9:20 ~ 9:48
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、私から報告することはありません。

質疑応答

国土交通省OBによる民間企業役員人事への介入について

(記者)

2問お尋ねします。
先ずOBによる人事介入問題についてです。
昨日の国会質疑で本田元次官と航空局長との会食について、4月末の時点で省内で把握していたということが明らかになりました。
なぜその時点で大臣に報告が上がらなかったのか。
受け止めを含めてお聞かせください。

(大臣)

今回の件について、私が報告を受けたのは、5月18日のことです。
また、本件については、事務方が会食に関する情報を把握した後、事実関係の詳細や会食に至った経緯を確認することに時間を要したとの報告を受けています。
しかしながら、本来であれば、航空局長と本田氏との会食に関する情報を把握した時点で速やかに私への報告が行われるべき事案であると考えており、極めて遺憾です。
5月18日に報告を受けた際、緊張感を欠いた対応であると、私から直接に厳重に注意したところです。
二度とこういうことのないようにしっかりと改革していきたいと思います。

盛土規制法の施行について

(記者)

もう1問お尋ねします。
本日(26日)、盛土規制法が施行されました。
改めて、被害の防止に向けた大臣の決意についてお聞かせ下さい。

(大臣)

昨年の通常国会で成立した盛土規制法が本日施行されました。
昨年5月の盛土規制法の成立以降、国土交通省では、関係省庁や地方公共団体と連携しながら、安全基準の策定や法律の円滑な運用を図るためのガイドラインの作成などを進めてまいりました。
各状況に応じて、かなりいろいろな場面に応じたガイドラインを作ってきています。
国土交通省としては、危険な盛土などによって人命が失われることがあってはならないという強い決意のもと、引き続き、関係省庁や地方公共団体とも連携し、盛土対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
私も全国を歩き、盛土に対しての地域の皆さま、また地方自治体の関心が非常に高い。
また、実際に自分の近くで心配している点があるという話をいろいろな所で聞きます。
そういう意味では、盛土規制法、しっかり今後効果を発揮していくように地方自治体と連携しながら、また農林水産省とも連携しながらしっかりやっていきたいと思います。

国土形成計画とリニア中央新幹線について

(記者)

本日、国土形成計画の原案について、午後の国土審議会の計画部会で原案がとりまとめになると承知しています。
ここでまた、リニア中央新幹線に関連してなのですが、改めて位置づけ直すということになると思うのですが、現状未着工となっている静岡工区の問題が膠着状態になっている中で、改めてここで位置づけ直すことの意味合いだとか、狙いが何なのか教えていただきたいのと、また先日流域自治体の方から鉄道局長の方にもっと関与を強めてほしいという、静岡県とJR東海の間の公助について要望もあったのですが、国土交通省として事態の進展に向けて、どういった進め方を取っていかれるかお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

(大臣)

リニア中央新幹線により、東京・名古屋・大阪の三大都市圏が約1時間で結ばれることは、国土構造に大きな効果をもたらすものであり、国家的見地に立ったプロジェクトとして進めていく必要があると考えています。
新たな国土形成計画については、本日の国土審議会計画部会において、計画の原案を御議論いただく予定ですが、その中でも、リニアの開業等を通じて「日本中央回廊」を形成し、その効果を全国に波及させていく形になっています。
1番基本的なところだと思います。
具体的には、リニアの開業等を通じて、ダブルネットワークによるリダンダンシーの確保、全国にわたるビジネス・観光交流等の拡大、東海道新幹線沿線エリアの新たなポテンシャルの発揮などの効果を高めていくことが重要と考えています。
また、御質問のありました静岡工区については、国土交通省が設置した有識者会議において、大井川の水資源への影響に関する中間報告をとりまとめるとともに、現在、環境保全に関する有識者会議をこれまで計9回開催するなど、課題解決に向けた取組みを進めています。
さらに、リニア中央新幹線の開業を見据えて、リニア開業後の東海道新幹線の需要動向に基づく静岡県内の駅等の停車頻度の増加の程度や時間短縮効果の可能性等に関する調査について、本年夏頃に向けて、作業を進めているところです。
国土交通省としては、引き続き、水資源や環境保全などの課題解決に向けて議論が進むよう、取り組んでまいります。
静岡県の皆さまの御理解が得られるように国土交通省もしっかり前面に出て、丁寧な対応をJR東海に促すとともに、我々も丁寧に国としての役割を果たしていきたいと思っています。

川辺川の流水型ダムについて

(記者)

熊本県の川辺(かわべ)(がわ)で建設が進んでいる流水型ダムのことでお尋ねしたいと思います。
この流水型ダム、貯水時に一部の地域が水没する五木村(いつきむら)と、先日、国と県が策定した振興策が合意されました。
この合意の重要性と今後の事業の進め方についてまずお尋ねしたいと思います。

(大臣)

まず事業の意義と今後の進め方ですが、今月15日に、五木村の新たな振興計画である「“ひかり輝く”新たな五木村振興計画」がとりまとめられたと承知しています。
この振興計画については、先日、熊本県知事が来訪された際にもお話を伺い、県としてこの振興計画に基づいて、取り組んでいくとのことでした。
その際、私からは、国としても五木村の振興策にしっかり取り組んでいく考えをお伝えしたところです。
国土交通省としては、熊本県、五木村と連携して、しっかりと「五木村振興計画」一緒に取り組んでいきたいと思います。

(記者)

一方で、この振興策の中には、ダムという言葉が入っていなくて、地元からは流水型ダムの建設を認めていないので、振興策を受け入れられないとか、振興策はダムの建設の見返りではないかという声があったりもするのですが、合意形成が不十分ではないかという意見があるのですけどもこの点に関して大臣いかがでしょう。

(大臣)

「流水型ダム」の文言の記載の有無に関わらず、新たな振興計画に基づき、熊本県、五木村と連携し、振興策にしっかり取り組んでいきたいと考えています。
現に多くの方が移転されて、またいろいろなインフラも整っています。
そういう中で、いかに五木村の振興を図っていくかということは現時点としても、今を生きる村の方、我々にとっても非常に重要なことです。
また流水型ダムの整備についても、早急に検討を進め、ダムの構造やその環境影響についてお示しし、丁寧な説明そして皆さまの御理解を賜る、このように努めてまいりたいと考えています。

(記者)

地元の五木村はこの川辺川ダムに関して半世紀以上翻弄されていて、住民が分断されているという経緯があります。
今回の流水型ダム、建設予定地の相良村(さがらむら)、それと水没予定地の五木村いずれも賛成の意見をまだ表明していません。
地元の賛意というのをいつぐらいまでに得たいと考えていらっしゃるのか、大臣のお考えをお願いします。

(大臣)

先ほど申し上げたように地域の皆さまの御理解を得ながら丁寧に進めていきたいと思っています。
先ほどまた申し上げたように、五木村、今非常に過疎等で厳しい状況にあるという話も伺っており、その振興は振興でしっかり行っていかなければならないと考えているところです。

信頼回復に向けた決意について

(記者)

国土交通省OBの人事介入問題について、1点お伺いします。
昨日の参議院国土交通委員会で、「線引き」の見直しや、職員の意識改革といった再発防止策について大臣言及されました。
今回の問題を巡って、最初の質問にもあったような大臣への情報伝達など、最初に発覚した後の国土交通省の対応にも課題があったと感じています。
改めて昨日大臣再発防止に取り組む考えを、決意を示されましたので、今後どういう思いで対応を進めていくのかを改めてこの場でもお聞きしたいと思います。

(大臣)

改めて今回の事案は、国土交通省に対する国民の信頼を大きく揺るがしかねない大変重大な事案であったと受け止めています。
このために私、二つの方向性を打ち出し、国土交通省幹部ともよく議論をし、今後こういう風に改革していこうと、決めました。
今後実行に移していきたいと思います。
一つ目は、意識改革です。こうした事態を二度と起こさないために、組織としてのガバナンスを強化するとともに、コンプライアンスを含め職員の意識改革を行うことが一つ。
そして二つ目に、公平・公正な行政を行っていく。その原点に返る。
国家公務員として原点に返ろうということです。
常に公正・公平な国土交通行政を運営するため、OBの存在や特定の主体などに左右されない、政策決定過程の改革が必要であると考えています。
まず第1点目の意識改革ですが、昨年の統計不適切処理の問題の時も、私、指示をし、実際私も行いました、風通しのよい組織風土を作っていこう。
これは先輩、後輩、また同じ職場の中での若手、またベテラン。
統計不適切処理が起きた背景として、意思疎通が行われていなかった、風通しの良い組織でなかったことが、第三者委員会からも指摘され、そのことに努めてきたわけですが、そのことが徹底されていなかったと、私感じた次第です。
これから私をはじめとする省幹部が局長級職員と1対1で意見交換する機会や、省幹部と若手職員との意見交換の機会を積極的に設け、風通しのよい職場環境を創出することで、組織風土の刷新を図ってまいりたいと思います。
また、課長級昇任時の研修において、再就職規制について再徹底するとともに、職員やOBが外部からどのように見られるかを客観的に学ぶ場を設けるなど研修の充実を図っていきたいと思います。
それから2点目の公正・公平な行政ですが、政策決定過程における審議会や委員会などにおいて、多様な意見を聴取する機会を必ず設ける仕組みを導入する。
特定の団体、企業に偏らない幅広い意見を政策に反映していきたい。
その具体的な施策を今考えているところであり、実行していきたいと思います。
また、政策評価のサイクルにおいても、多様な意見を聴取して実施する。
このように改善することにより、事後的なチェック機能も強化していきたいと思います。
もう一度全体の奉仕者である国家公務員の原点に立って風通しのよい組織を作っていきたいと思います。
それから、今回の事案で課題となっている情報管理について、いわゆる「線引き」については、外部への送付及び発令前の送付は一切禁止するとともに、退職者が分かる情報は載せないこととするなど、異動情報の管理について是正を指示しました。
また、省全体において、外部アドレスの存在をチェックさせ、宛先が不明であったり、不適切なものは即座に削除させる、その是正を、その指示をしているところです。
これらについては、私自身が主導して、直ちに実現に向けて実行したいと思います。
私自身も先ほど申し上げた、いろいろな方との対話、また若手との対話、昨年も実は若手との対話、数回いろいろな部署で働く方々とやり、いろいろな御意見を聞いて、それらをまた国土交通省の組織改革に生かし、フィードバックさせたつもりだったのですが、今回こういう事案が生じました。
更なる改革に向けて私が先頭に立って頑張っていきたいと思っています。

国土交通省OBによる民間企業役員人事への介入について

(記者)

OB問題についてお伺いします。
4月27日にFACTAから取材があって、人事課長が久保田局長から会食の事実を聞き取っていると思うのですが、この時点で人事課長以外にこの会食の事実を知ったのは誰なのかというのと、誰が大臣に報告しなくてよいと決めたのかを教えてください。

(大臣)

そのことについては、通告もなく、この場で正確にお答えできないので、後ほど事務方から答えさせます。

(記者)

少なくとも久保田局長はこの4月27日の時点で会食に来ましたという事実は認めてます。
そこまでは久保田局長は伝えてなかったのは個人の資質だったと思うのですけど、それ以降に伝えてなかったということは事務方の組織ぐるみの隠ぺいだったと言わざるを得ない気はするんですけど大臣の認識を教えてください。

(大臣)

隠ぺいだったという今の御指摘ですが、マスコミからの問い合わせに対して、会食に参加したと答えていますので、隠ぺいではないと私は思います。
それと、私自身に報告がなかったということについては、先ほども申し上げましたが、甚だ緊張感を欠いた対応であったということで私からも厳しく、私が5月18日にそのことを知った時点で厳しく注意をしたところです。

(記者)

今の確認ですけど、FACTAにはもう質問があった時点で4月27日に会食があったことは回答されているということでよろしいですか。

(大臣)

細かい事実関係については、私分からないので、後ほど事務方から報告させます。

(記者)

事実関係の確認のために20日間大臣に報告が上がらなかったという大臣の先ほどの答弁だったのですけれども、ここの説明で納得いかないのが、事実関係の確認でこんな20日間もかかるのかというのと、5月18日にFACTAのオンラインが出て、時間がかかるのだったらFACTAのオンラインの後にまで調査がかかることもあると思うのですけど、5月18日に何でFACTAが出たら、事実関係の確認が完了して、報告が出来る体制になるのでしょうか。

(大臣)

時間がかかったと、私に報告がありましたが、基本的にはそういうことが分かった時点で、直ぐに私に報告されるべきことであったと思います。
そのことについては、厳しく私から注意をしたところです。

(記者)

大臣、それは誰に対して厳しく注意したのでしょうか。

(大臣)

人事課長に対して厳しく注意しましたし、そのことを含めて事務次官以下省幹部に対して、厳しく厳重注意したところです。
今後このようなことがないようにということです。

(記者)

人事課長以外に省幹部の複数人がこの事実を知っていたという認識でよろしいですね。

(大臣)

そのことについて、私把握していませんので、細かい点ですので後ほど事務方に聞いていただきたいと思います。

(記者)

会食の費用は、国会の答弁で1次会は局長も部長も払ったとご答弁されてますけれども、2次会は調査中だという答弁ですが、この1次会、2次会含めて費用はどのように払われたのか教えてください。

(大臣)

私が報告を受けていますのは、現在、公務員倫理法上の問題もあるのではないかとの指摘を受けていますので、現在調査を進めているところです。
この結果を踏まえて、厳正に対処したいと思います。

(記者)

話題変わりまして、「線引き」の先の大臣の答弁の話で対応策として、今後「線引き」で退職者が分かる情報を載せないように是正を指示したということですけど、この退職者が分かる情報を載せないようにするということは、これまで作っていた「線引き」に退職者情報が載っていて、それは天下りのあっせんに使われる可能性があったという理解でよろしいでしょうか。

(大臣)

これまでの「線引き」に退職者が含まれていたことは事実です。
しかし、国会でも何遍も答弁を申し上げていますけれども、それが退職者の就職のあっせんに使われていたということではまったくないと認識しています。

(記者)

そうすると退職者が分かる情報を載せないようにすることの是正策の意味がよくわからないのですが。

(大臣)

国民から今回疑惑を招いたという観点から、その疑惑を招きかねないことについては、これを是正していくということです。
これまでに「線引き」を使って再就職のあっせんがあったとは我々は考えていません。
これは、これまで何回もいろいろな場面で申し上げてきたところです。

(記者)

あと、OB25人の、「線引き」の送信先の25人、今発覚している25人なのですけど、この25人が再就職先に利害関係企業があるかどうかを調べることが、どうしてプライバシーの問題になるとか、再就職のあっせんに関わってしまうから調べられないとかの理由付けになるのかを教えて下さい。

(大臣)

OBについては退職後の就業の状況や、その他の個人情報は国家公務員の再就職等規制違反が疑われることのないよう、国土交通省としては基本的には把握していません。
またOBについては既に公務を離れた民間人であり、なんらかの保有している情報があったとしても個人情報保護の観点から個人の特定が可能となる情報をお示しすることは困難です。

(記者)

個人を明かせと言っているとか、企業を明かせと言っているわけではなくて、再就職先に一つでも利害関係企業があるかどうかだけを知りたいのですが、それは個人のプライバシーにつながったりとかそういうことにはならないとは思うのですが。

(大臣)

いわゆる先ほど申し上げたように、そのことが例えばその社には1名しかいないというようなことであれば、氏名を明らかにしないとしても結果的にそのような明らかにすることにつながるという意味で、先ほど申し上げた観点から、個人情報保護という観点から、お示しすることは困難だと思います。

(記者)

最後確認ですけど、今再就職等監視委員会に調査をお願いしている項目ですけど、これは会食の事実だけを調査をお願いしているのか、この一連のOBの介入問題含めて、一連の問題の調査を求めているのかどちらでしょうか。

(大臣)

再就職等監視委員会がどのような範囲で調査をされるのかは、再就職等監視委員会の主体がお決めになることで、こちらがこの範囲で調査をしてくださいとか、申し上げているわけではありません。

(記者)

会食の時点で大臣は調査を依頼したと、お願いをしたとおっしゃっていて、主体は分かっています、再就職等監視委員会が決めるのは分かるのですけれど、国土交通省として調査の依頼の範囲については、どのような報告の依頼の仕方をしているのか教えてください。

(大臣)

今回、再就職等監視委員会に私が調査をするように、国土交通省として調査をするようにお願いをした、適切な処置をお願いしたいとお願いしたのは、まず報道があった段階で、私は国土交通省の中での調査を行いました。
それからもう一点は、いわゆる空港施設株式会社の報告書が出た時点で、その私が第1回目に行った調査にない事項が明らかになりました。
そこでまた2回目の調査を行ったわけです。
そして、その後また会食の問題が出てまいりました。
それはもう1回目、2回目の私の調査にない結果が出てきたわけです。
ですので、これは1回目、2回目に行った調査の信頼性に関わると、こういう観点から再就職等監視委員会に調査をお願いし、適切な対処をお願いしたところです。
一言付け加えると客観性、第三者性ということを踏まえて、この独立した機関である再就職等監視委員会に調査をお願いしたということです。

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