第3回広域自立・成長政策委員会 議事概要

第3回広域自立・成長政策委員会 議事概要

1.日時
  平成21年8月24日(月)15:00~17:00

2.場所
  観光庁国際会議室(中央合同庁舎第2号館16階)

3.出席委員(敬称略)
  寺島委員長、青山、秋池、井熊、大谷、大西、櫻内、高木、根本、原山、松原、宮川、村木、横張

4.議事概要
(1)開会
(2)議事及び主な発言内容
 【議事1 地方から見た広域圏の成長の課題について】
(北陸電力代表取締役会長 新木富士雄氏、環日本海経済研究所理事長兼所長 吉田進氏より講演)
  ○新木氏より
・北陸では、地域の強みと弱みを分析した結果、東アジアの経済発展を取り込んで発展する北陸という地域戦略を打ち出している。
・地域戦略にその上で、広域地方計画の策定、東アジアとの文化・経済交流、産官学ネットワークの形成などに連携して取り組んでいる。
・更なる連携に向けた課題としては、港湾の連携が進んでいないこと、広域観光への推進体制が弱いことといったことがある。
・将来的には道州制が考えられるが、国家として果たすべき責務は維持することが前提であり、様々な課題がある。
・自立成長に向けた課題としては、財政基盤の強化、人材の育成・定着・誘致などがある。
・北陸圏は、エネルギー、食料、人材等を都市に供給し、その結果として、大都市圏が経済的に繁栄しているものであり、地方を切り捨てるのではなく、地方と都市が支え合い、助け合うというパートナーシップの思想が必要である。

  ○吉田氏より
・ロシア、中国東北部などの北東アジア諸国は、経済成長により、その役割が増大している。特に、今後は、ロシアがアジア向けに石油、天然ガスを供給するためのインフラ整備が進み。エネルギー供給地としての役割も非常に重要になる。
・日本海沿岸各県は、それぞれ太平洋側諸県と結びついており、日本海沿岸各県の連帯意識は弱い。また、港湾、新幹線などの基盤整備も整っているとは言えない。
・日本海沿岸各県は、90年代から、対岸国とモノ・人の交流が進んでおり、最近では秋田県の「環日本海シーアンドレール構想」のように、海上輸送の強化に取り組んでいる。
・今後は、重要性を増す北東アジア諸国との交流を日本海沿岸各県が担うべきである。そのためには、既存の各県の取組だけではなく、広域的に連携した者による交流の強化、情報交換の「場」づくり、地域に根付いた貿易商社の育成といったことが必要だと考えている。

 【議事2 意見交換】
(地場企業の海外進出について)
・北陸では、中国への進出は非常に多いが、韓国への進出は非常に少ない状況にある。また、中国への進出の状況を見てみると、大手企業の進出に関連しているものがほとんどで、独自に出て行く動きは少ない。
・市場としての中国に進出するためには、会計・法務・コンサルティングなどサービスビジネスのインフラの進出が大事だが、非常に遅れているのではないか。
・これまでは、ものづくりだけに集中してやってきた。今一番欠けているのは商品化・販売の部分である。商社の視点は非常に大事であり、地域での中小企業にとって大きな影響があると思っている。
・中国に進出している法律事務所と連携して進出していくことが大事。かつて日本に留学していた中国人が立ち上げた法律事務所などを活用しているようだ。

(環日本海の交通ネットワークについて)
・外国との空路では、富山空港と小松空港にはあまり中国との空路はない。ヨーロッパとのカーゴではルフトハンザがある。また、新幹線が整備されると、羽田-富山便が減少し、物流にも影響が及ぶことが、今後の問題だと考えている。
・新潟では、中国との関係で注目されるのはハルピンとの空路であり、週4便、約70%の乗客率となっている。ロシアとの空路では、一社の独占状態のものもあり、運賃が高騰し、交流の妨げになっているという問題がある。
・現在は、人流にモノを乗せているイメージ。ロシアへの花きの輸出もだいぶ伸びてきているが、旅客便で輸送しているため一定数以上は進まない。
・シーアンドレールでヨーロッパとつなぐという観点で見ると、ヨーロッパを市場とするという考えもあると思う。サンクトペテルブルグまで名古屋港から40日かけて運んでいる部品がシベリア鉄道を使うと8日でいけるという検証結果もあるようだ。しかし、船賃と鉄道賃の格差の問題があり、鉄道の運賃の調整幅は5~10%だが、船賃は半分くらいのときがあるため今のところは船を使ったほうが良い状況である。

(北陸圏の自立・成長について)
・地方では、山などの自然がある一方、土砂崩れが発生するなど、デメリットを抱えている部分もある。自立ということは大事だが、何をもって自立とするのか、その前提を深く理解してもらう必要がある。
・地域から人材が流出しないようにするには、地域の特色を活かしたカリキュラムが必要だと考えている。福井大学では、原子力に関する教育が充実しており、これを若狭湾のエネルギーセンターなどにフィードバックすることにより、アジア全体での原子力関連の人材基地を目指している。
・北陸は、持ち家比率、子供の教育学力レベルなどが全国1位であるほか、先端の教育機関なども数多く存在している。また、産業基盤技術力レベルの高い企業があるほか、レベルの高いベンチャー企業も存在するなど、日本にとって非常に重要な基盤を持った地域である。
・日本と海外との貿易は、1~6月の統計によると、アメリカとの比率17.3%、中国20.4% ユーラシア大陸73.6%となっており、日本海を取り巻く大きなダイナミズムを取り入れていくことが環日本海にとって大切な視点である。

(広域的な課題への取組について)
・ブロック毎に広域地方計画が策定されたが、計画策定後の実行面について法律上の位置付け不十分ではないか。計画で位置付けられた広域的な目標の実現について各省と各都道府県をリードできるよう、実行面を重視した主体を位置付けるような仕組み作りが必要ではないか。また、実施主体を軌道に乗せるためにはお金の手当が実務的には重要であり、検討していく必要がある。
・これまでの議論を聞いた感想として、各地域それぞれの広域問題を考えるアリーナ・協議会のようなものが必要ではないか。また、またそのアリーナからの意見を縦割りでバラバラに意見を受け止めるのではなく、シングルウインドウとして受け止める役所側の仕組みも必要ではないか。

※ 最後に寺島委員長より今後の方向性について発言
・全体を見渡した時に、アリーナという発言がありましたが、私は道州制への段階的接近法と思っていますけれども、やはり、法制度的にもきちんと裏付けのある責任ある広域主体を装備していく必要がある。実態のあるところに総合化・体系化・ネットワーク化していくよう、省庁を越えた広域連携主体のようなものを制度設計していくべき局面にきていると思っている。
・これを今後の1つの課題として受け止めながら、次回の議論に向けて、事務局に是非そういった視点から踏み込んだ提案、方向付けをまとめていただければ、この委員会の落ち着きどころが意味のあるものになっていくと思っている。

(3)閉会

                                                     (速報のため、事後修正の可能性があります。)

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