計画部会

第4回計画部会・議事要旨

1.日時
  平成26年11月14日(金)16:00~18:00
 
2.場所
  中央合同庁舎3号館10階共用会議室A
 
3.出席委員
  奥野信宏部会長、家田仁委員、垣内恵美子委員、坂村健委員、佐々木眞一委員、高橋泰委員、橋本哲実委員、藤沢久美委員、藤原忠彦委員、望月久美子委員、森民夫委員、野城智也委員、鷲谷いづみ委員
 
4.議事
 (1)安全・安心で持続可能な国土の形成について
 (2)地域を支える人づくり、共助社会づくりについて
 (3)中間整理の骨子案について
 
主な発言内容
(1)開会挨拶
 ○審議会冒頭、奥野部会長よりあいさつ
(2)議題                        
安全・安心で持続可能な国土の形成、地域を支える人づくり、共助社会づくりについて事務局から説明。その後、意見交換が行われた。各委員から出た意見は以下の通り。
 
<安全・安心で持続可能な国土の形成>
・ 国土交通省が策定する計画であることから、空間的なことについてもっと具体的なことを出し、それに基づいて議論を行うべき。
・ 化石燃料を使う以前の日本では、無秩序に森林を伐採して山を禿げ山に変えてしまったという状況もあるため、単純に昔のやり方に戻しても国土は維持できない。日本国民が失敗を繰り返して努力してきたことにより、この豊かな国が出来ている。このことを忘れてはいけない。
・ きめ細やかな土地利用の選択を地域に任せるだけでなく、国として全体の哲学を示し、やるべきこと、やらなくても良いこと等を地方に伝達することが重要。
・ 基礎自治体も大きさはまちまちで、かつ、課題により実施主体として適する規模が異なる。実行主体のスケールについて記載すべき。
・ 広域的な観点も重要だが、住民にとって身近なことは、基本的には市町村が責任を負うべき。
・ コンパクト化に住居の移転を含めることは問題。
・ 日本を300~400の地域に分けて地域毎に評価する必要がある。そのために省庁横断的に利用できる地域毎のデータベースの整備を進めるべき。
・ 「節度ある豊かな生活」というキャッチフレーズは分かりやすくて良い。
・ 「好機と捉え」という表現は前向きで良い。
・ 安全についてはソフト面の強化が必要。日本は危機管理能力が低いと国際的にも評価されており、リスクアセスメントの実施やリスク毎の管理手法の明確化などガバナンス能力の向上が必要。
・ 安全・安心という観点では、経済成長と危機管理は車の両輪。民間のレジリエンス投資を促進させる取り組みが必要。金融サイド民間の取組を格付けしているので、活用が可能。
・ 多重性を確保するためには、インフラの結び目の強化が必要である。例えば、港湾と道路を個別に強化しても、その結び目が機能しなければ、物資の輸送は難しくなる。
・ 首都圏のバックアップについて考えておくべき。
・ 東北の復興と福島の問題については言及すべき。オリンピック・パラリンピックと東北・福島の復興はセットで書くぐらいの気持ちが欲しい。
・ 現在の土地利用法制度は、地目毎に個別法で行われているため、将来的に法制度の一元化が必要。
・ 土地の登記制度の不備と地籍調査の遅れで、国土のデッドストック化が進んでいる。
・ 居住地の安全な地域への移転には、地籍調査のスピードを上げることが重要であり、所有と利用を分けて考える必要がある。
・ 地方に適度な産業が分散するようなインフラ整備が必要である。
・ 「食料の安定供給」、「農業・農村の多面的機能」に対して「農村振興」が欠けている。3つの観点が組み合わさって一体となって進めるべきものである。
・ 外国人労働者の活用について記載が必要ではないか。
・ 道路に再生可能エネルギーを埋め込むなど、再生可能エネルギーとインフラを組み合わせ、お金を生み出す仕組みがあっても良いのではないか。このことに関して、民間活力を導入すべきである。
・ 「持続可能な国土の形成」に、生態系保全と国土経営の2つの意味が混在されて使われているように見えるので、分けて記載すべき。
・ 自然環境のみに特化して取組を行うよりも、総合的な視点で取組を行うことがむしろ自然環境の再生に繋がる。そのような観点からも、防災・減災や国土管理の視点と組み合わせることは賛成である。
・ 企業による自然環境再生等の活動をサポートすることが必要。
・ 「国土の国民的経営」について、今までと違うことは何なのか、どのようなインセンティブがあるのか、ということを明確にすべき。
・ 文化的景観を利用したサービスでお金を生み出す仕組みが必要であり、そのために必要な規制緩和も進めていくべきである。
・ 国家安全保障の観点からも、海岸線に人が住み続けることが重要である。
・ 「しなやかな」や「きめ細やかな」といった曖昧な修飾語の乱用は避けるべき。
 
<地域を支える人づくり、共助社会づくり>
・ 4全総、5全総から多様な主体の参加による地域づくりが位置付けられてきており、「共助社会づくり」のルーツは国土計画にある。本年度の政府の骨太の方針や成長戦略でも言及されているなど、その重要性は認識されてきている。
・ 行政だけで全ての地域課題に対応出来るわけではないことは世界でも認識されており、オープンデータを含めICTを活用して多くの人が協力し合って国づくりの仕組みを考えていく必要がある。
・ 国土づくりの理念を地域に浸透させるため、地域の大学等と協力しつつ、国の施策や計画をわかりやすく説明するセミナー等を開くべき。
・ 共助社会づくりの活動に行政が関わると、公平性が強調されてうまく機能しない場合があるので注意が必要。消防団の活動などは行政の補完としての共助なので、行政が関わっても問題はない。他方、最近はNPO等が自由に活動するようなタイプの共助も活発になってきており、そのような場合、行政は、情報提供や相談等の条件整備という形で間接的にサポートを行うのが良いのではないか。
・ 行政の補完としての共助と、自由活動に基づく共助は異なるものであるので、分けて書くことが必要。
・ ソーシャルビジネスを活発化させるには、ソーシャルイノベーションを起こすことが重要。例えば、社会が夏期の軽装を受け入れたことにより、クールビズが普及して関連するビジネスが活発になったことが好例。
・ 共助社会づくりでの行政の役割は人材育成の対応である。
・ 人材育成も大切だが、地方は人口が少ないので、国がコンサルタントの役割を果たすことも必要。
・ EUにおけるプロジェクト形成は複数の加盟国の参加が義務付けられている。日本においても、離れた地域の参加を義務づけることにより、人のネットワークを作っていくことも考えてはどうか。
・ 人づくりについては、新しいことがどれだけ打ち出すことが出来るのか考えてみる必要。
・ 「人づくり」という言葉は使わない方が良い。「求められる人材」は企業の言い方であり、地域には強い人もいれば弱い人もいる。人はつくられるのではなくその地域で育つものである。
・ 女性の就業形態の改善には、職住保が近接するまちづくりが必要。職場が離れている大都市では、ITを活用した仕事環境の整備が必要。
・ 高齢者に活躍してもらうためには、高齢者しか出来ない仕事、例えば、経験やコミュニケーション能力を活用して専門性を有する若者をサポートするなど、総合力が必要な仕事を任せることが重要。高齢者に仕事を恵むかのように見える書き方は避けるべき。
・ 労働環境の整備は、国が直接行うよりも、例えば、女性の労働環境に対してよく分かっている女性の起業家を支援するなどのサポートを行った方が効果的。
・ NPOは経理や人事を苦手としている。企業のOBはそれら分野が得意であるため、地域の活性化に企業OBを活用することが重要である。
・ 住民税は住民としてのサービス享受に対する負担と考えられており、納税や住民登録のあり方まで踏み込むことは難しい。
・ 共助社会を構築するためには、人を集めるだけでなく資金が投入されることが必要。資金を集める仕組みが必要だが、価値を見いだしている人ほど多くの負担をしてもらうことが効果的であり、このような資金には公費は向かない。志ある資金集めのためには寄付文化の醸成が必要である。
 
<計画全般>
・ コンパクト+ネットワークの考え方については、考え方だけでは地方は何をやって良いのか分からないので、具体的に踏み込んだ記載をすべき。
 

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