国土審議会

第16回国土審議会・議事要旨

第16回国土審議会 議事要旨
 
 
1.日時
  平成27年3月24日(火)16:30~18:30
 
2.場所
  国土交通省10階共用会議室A
 
3.出席委員
  奥野信宏会長、石原邦夫会長代理、金子一義委員、細田博之委員、前原誠司委員、松浪健太委員、森英介委員、山本公一委員、田中直紀委員、吉田博美委員、沖大幹委員、沖原隆宗委員、小田切徳美委員、垣内恵美子委員、川勝平太委員、木村陽子委員、清原慶子委員、崎田裕子委員、佐々木眞一委員、佐藤宣子委員、澤田陽子委員、原田昇委員、御厨貴委員、宮脇淳委員、望月久美子委員
 
4.議事
 (1)新たな国土形成計画(全国計画)中間とりまとめについて
 
主な発言内容(委員発言順)
(1)開会挨拶
 ○審議会冒頭、西村副大臣より挨拶
(2)議題
 (1)新たな国土形成計画(全国計画)中間とりまとめについて  
奥野部会長より計画部会の議論について報告、中間とりまとめについて事務局から説明。その後、意見交換が行われた。各委員から出た意見は以下のとおり。
 
  • 対流は良い言葉であるが、国民にどう説明するかが重要である。地域に特色があれば対流が生まれるという単純なものではなく、対流を促す側面を考えるべき。
  • 今後、国が策定した地方創生の総合戦略等を勘案し地方でも総合戦略を書いていくが、2060年に一億人程度の人口を維持するという目標に対して今度の国土形成計画をどう位置づけるか。地方創生をさらに促進させるような国土形成計画とすべき。
  • 若者が働き続けられ、地方に住み続けられる社会、女性が出産後も活躍できる社会を実現する必要性について記載されているのは良い。社会基盤がなければ人はそこに住み続けられないので、女性や若者が働き地域に住み続けることができるためには具体的に何が必要なのか今後記載すべき。
  • 東日本大震災の被災地について、震災を契機に加速した人口減少等により教育環境や労働環境が悪化している。被災地に寄り添った計画にすべき。
  • 対流促進型国土は地域の個性の差が対流を大きくする。このため、地域間の競争を促進するような発想も必要なのではないか。
  • コンパクト+ネットワークの実現にはICT技術の活用が不可欠。来年度から始まるマイナンバーを災害対策分野で活用することやサイバーセキュリティーの重要性にも触れてほしい。
  • オリンピック・パラリンピック開催は日本の安全・安心をアピールするいい機会となる。地域活性化の側面からもオリンピック・パラリンピック開催効果がレガシー(遺産)として日本全体に広がるような方向性を示すべき。
  • 中間とりまとめ概要の2頁に「変化する国際社会の中で競争の激化」とあるが、国際社会は競争だけでなく共存・共生も進んでいる。自然災害の発生など他地域が困っているときに手をさしのべることも国際社会における存在感を高めることになり、また、外国の災害が日本経済にも影響を及ぼすこともある。国際社会の相互依存が進んでいるという視点も必要。
  • 同3頁に「都市と農山漁村の相互貢献による共生」とあるが、何かの際に力になる「貢献」より、相手なしではやっていけないという意味では「依存」が適切ではないか。
  • 人口減少に伴う開発圧力の低下機会を捉えた国土利用の選択的利用は、時間軸の設定が大事。地域の特性や状況に応じて強制的ではなく前向きな選択的国土利用をしていくためには、戦略的かつ長期的な計画を示す必要がある。
  • 前向きな計画であるが、施策がうまくいかなかった場合の次の手を包含する内容にできるといい。
  • 自治体の総合計画に相当する国家レベルの計画が無いなかで、国全体の総合計画として意義深いものと認識。
  • コンパクト化による地域格差を生じさせないためにはネットワークが重要となる。重層的で強靱な「コンパクト+ネットワーク」については、議論を深め、具体的な事例を示すことが重要。
  • 東京一極集中の是正と東京圏の位置づけについて、東京都の中でも人口減少に直面している自治体もあるため、地方創生には東京圏も含むと認識すべき。
  • 共助社会づくりの部分に「コミュニティ再生」とあるが、昔に戻るのでは無く新しいコミュニティを作るという意味では「コミュニティ創生」の方が良いのではないか。
  • 国土基盤の整備については、ファシリティ・マネジメント(多機能化、複合化、包括化、広域化等の観点で維持管理を行う)の考え方が重要。
  • 国土強靱化の議論でも重視している共助社会には、コミュニティ創生という概念も含まれている。
  • 国産材自給率も18%から28%まで回復してきており、木材輸出やバイオマス発電などの動きがあるが、一部には土壌保全を考えない施業も見られるなど少々過熱気味になってきているという面もあることから、土壌保全についても視点として入れてほしい。
  • コンパクト化については、財政制約下で効率化を図るという点で必要だと思うが、食文化など、現在は効率的ではなくとも将来的には多様性の維持、ひいては競争力の向上につながるものもある。また、森林のように、分散して存在している方が効率的な資源もある。コンパクト化すべきものと分散化すべきものに分けて資源をとらえるべき。
  • 対流だけでなく、循環という観点も重要。農山村において、食料、エネルギー、畜産飼料は海外からの輸入に頼っているなど、内部循環型ではないという弱点もある。内部循環を取り戻すことがしなやかさを創ることになる。
  • 「国土づくりの目標」は我々の考えと一致する。目標の背景には、東京への過度の一極集中と地方で新規産業が生まれないためにマーケットが大きくならないことによる閉塞感がある。地方創生は閉塞感を打破する成長戦略であり、国土形成計画についても成長戦略であるという認識を持つことが重要。
  • スーパーメガリーションが複眼型で均衡のある発展をすることで、地方にも対流が波及し、日本全体の成長につながる。
  • リニアについては、国家プロジェクトとしてとらえ、東京―大阪間の同時開業を目指していくべき。
  • リニアにより、スーパーメガリージョンが形成されることによりどのような変化が起こるのか、時間軸の設定と共に記載してほしい。
  • 対流という言葉がわかりにくい。対流を起こす仕組みと取組について、もっと明確にわかりやすく書くべき。
  • コンパクト化だけでなく、拡大したものを縮小していくという視点も重要。
  • 反省点として、地域の建設業の担い手であり地方の地形に精通している建設作業員を減らしてしまったことも記載すべき。
  • 地方は東京を経由せずに直接海外とつながりたいと思っているが、国際化を担える人材が不足している。
  • 本文の7頁に「海に囲まれた」という表現があるが、閉ざされている印象。「海に開かれた」と書いてはどうか。
  • 国会等の移転について本気で考えるべきである。韓国の事例を参考にすると、首都機能移転により対流が起こる。
  • 5全総に記載されていた、4つの国土軸について、重なる部分を整理して課題を掘り下げるべき。
  • 地方の創意工夫を生かしていくための国土計画とすべきであり、その意味で、第2部で国と地方の役割分担を明確にして欲しい。
  • 時間軸については、例えば高齢化の進展やピークアウトなどの状況が地方によって異なることなどを踏まえる必要がある。また、このような地方間の時間軸のずれが対流を生み出す要素となることも認識する必要。
  • 機能を集積させ、それをネットワークでつないでいく中で、所得循環を地域毎に形成することが重要である。
  • 「対流」と「滞留」は、耳で聞くだけの場合、音が同じなので混同される場合があり、注意が必要。
  • コンパクト+ネットワークを展開していく際には、いかに拠点やネットワークを整備するかが重要。
  • 地球環境問題や異常気象への対策については、もう少し強く記載してほしい。
  • 大都市の高齢化問題は記載されているが、活力ある超高齢化社会を実現するためには、地方の高齢者がどこに住んでどういう暮らしをするのかについて、社会システムとしての議論をしても良いのではないか。
  • 本文の「対流」の記述について、主語と目的語が混在して分かりづらい。ここでの記述が後段の基本となるので、書き方を鮮明にすべき。
  • 対流がわかりにくいのは、東京一極集中の是正と絡めているからではないのか。「東京一極集中の是正」ではなく、「国家の多極化」という概念を打ち出し、多極化された拠点に対流が生まれるという記述の方がわかりやすいのではないか。そうすれば、多極化の拠点の対流、都市と地域の対流、海外との対流がイメージしやすい。
  • 多極化の拠点のイメージは、国土交通省の地方整備局単位程度とすべきである。原案では東北や九州における拠点化がイメージしにくい記載となっている。
  • 自治体消滅もあり得る中で、どのように選択と集中をするのかという攻めと守りの視点が必要。
  • 南海トラフ地震等激甚災害への対応とその効果についても触れるべき。
  • 今回の計画の性格は、国土を取り巻く厳しい状況への対応がメインテーマであり、田園回帰や働き方の変化など、ライフスタイルの選択肢拡大に対応するための計画という側面があると理解。
  • 山村、地方中小都市、地方大都市の3層のネットワークが重なることで東京一極集中を是正するという考えには賛成であるが、3層のネットワークを同時に進めるということがイメージしづらいため、具体的な説明が必要である。
  • 小さな拠点では、生活交通をさらに作り上げていく必要がある。また、集落ネットワークを担う組織の法人化も必要。
  • 機械で代替できるような分野には雇用は生まれず、イノベーションが重要。付加価値を生むためには、技術力だけではなく、これまで社会が培った伝統、文化、歴史等に根ざしたデザインや使い方、また、それを創造する人材が必要。今回の計画は人に着目しておりこの点を評価したい。
  • 共助と互助の概念の整理が必要である。共助は社会的に制度化されたものという印象を持っている。共助は互助も含むものであれば、そのように整理すべき。
  • 政府が持っている資産については、民間の力も活用して使っていくことが必要であり、そのための環境整備が必要。
  • 計画の実現には、他省庁、地方との連携が必要である。そのため、全体を巻き込むような観点が必要。
  • 全総から時代を経て、今は社会インフラがある程度整備されているので、作るから使う、選択と集中、国際マーケットとのつながりという観点を盛り込んでいけば自然と対流が起きるようなものになっていくのではないか。国土交通省が主体となって対流を起こすのだという視点を盛り込んでほしい。
  • この計画を具体的に進めるためには、地域の課題を地域の資源で解決するという観点、専門家と地域住民との共存連携の観点、取組主体が補助金での運営から自立的なコミュニティービジネス等に移行していくという視点が重要。このような動きを作ることにより、対流も生まれる。
  • 企業と環境は対立するものではなく、環境技術を導入している企業は、雇用創出のみならず生物多様性の確保にも貢献できる。政府としても後押しがあると良い。
  • 企業の活動にはモノやヒトの移動が伴う。渋滞や事故を防ぐ対策、ミッシングリンクの解消等にも触れてほしい。
  • 最近、電気自動車を非常電源として家屋につなぐことが出来るようになった。災害復旧時に柔軟な対応ができるように、緊急対応時の規制緩和も検討してほしい。
  • 概要版は非常にコンパクトにまとまられているが、7回にわたる計画部会の熱心な議論を読み取るためにも、ぜひ本文を読んで欲しい。
  • 日本の命運を決する10年という覚悟が感じられる表現は良い。
  • 自分たちの地域のことは、自分たちで決めると感じられるような計画であるべき。
  • 「捨てる」、「あきらめる」、「たたむ」といった言葉について、効率性のみの観点で強制しないという前提で、タブー視せずに記載するべきである。地域が自らの考えで上手に地域をたたむという観点についても記載すべき。
 
(3)閉会挨拶
  うえの政務官よりあいさつ。
 

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