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● 報告書概要
航空法における独占禁止法適用除外制度の効果に関する調査研究 ◆要旨 国際航空市場においては、単一の航空会社間の競争から、スカイチーム、スターアライアンス、ワンワールドといった巨大なグローバルアライアンス間の競争へと移行し、航空会社はアライアンス内における事業提携を深め、国際競争力の向上を図っている。我が国では、航空会社が他社と提携する際に締結する協定に対しては航空法において独占禁止法の適用除外を認める制度(ATI)がある。
提携深化協定については、フライトスケジュールの調整による乗り継ぎ利便の向上、既存幹線路線の供給量の増加等の利用者利便の増進が期待される一方、市場における競争の制限につながり、運賃の高騰等、移動可能性の制約要因となるおそれがあるとの意見もあるところであり、ATIのあり方について諸外国の制度の運用状況等を分析検討しつつ、そのあり方について検討することが必要となっている。 以上を踏まえ、本調査研究においては、 ・米国、欧州等諸外国における競争法適用除外制度の取扱
・我が国航空会社において実施されている提携深化協定(航空会社間の提携関係の深化を図るための協定)による運賃への影響 等について、現時点で可能な範囲で試行的に調査・分析を行った。
その結果、諸外国においては、制度自体はそれぞれ異なるものの、概して、国際航空協定に関して、利用者利便等の公共の利益や経済的効率性を勘案し、競争法との整合性について判断するスキームが構築されており、提携深化深化協定についても前述のスキームを通じて実施が認められている点については共通であることがわかった。特に、米国においてはグローバルな航空政策の側面から、我が国と同様に運輸当局(DOT)が認可を実施していることがわかった。 また、我が国の提携深化協定による運賃への影響について、今回行った分析においては、ATIの認可を受けた提携深化協定の実施後、運賃が低下したことが確認されており、ATIによる競争減殺効果は確認されなかった。 上記の結果より、現時点においてATIは航空分野におけるグローバルアライアンス間競争を活性化する上でのツールとしての機能を果たしているといえ、引き続き制度を適切に運用していくことが求められる。 一方で、本調査研究は提携深化協定開始後間もなく実施したものであるため、短期間のデータを用いた分析となっている点が課題である。制度のもたらす影響をより適切に把握する観点から、引き続きモニタリングを続け、広範かつ長期的なデータの蓄積を図ることが必要であると考えられる。 |
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◆詳細 |
本文(PDF:927KB) |
◆キーワード |
国際航空市場、提携深化協定、競争法適用除外、アメリカ、EU、オーストラリア |
◆発行 |
国土交通政策研究第110号/平成25年7月 |
◆在庫 |
<在庫有>(重量230g 厚さ5mm) 報告書を郵送希望の方はこちら |
◆事後評価 |
内部評価シート(PDF:90KB) 有識者評価シート(PDF: 73KB) |