国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


客員研究官論文 防災の法制度に関する立法政策的研究…その2…

◆要旨

 本研究は、現行防災法制度について、現在直面している課題の解決のためにどのような改善策が必要かという通常のアプローチによる検討を行うに止まらず、防災法制度を体系的視点から捉えた上で、本来、どのような法制度から成る構成が望ましいかを念頭に置いて、防災法制度全体の基本的構造について、その再編を図るためにどの様な改善が必要かという立法政策的なアプローチを試みたものであり、昨年度発表した「その1」で残された課題を検討した成果である。
「序章 防災の法制度に関する立法政策的研究・・・その2・・・」においては、本研究の趣旨及び概要について述べる。

第1編は、防災の法制度の構造的問題を取り上げている。
「第1章 災害対策の対象としての災害の意義」においては、災害対策の対象としての災害をどのように捉えるべきかという論点について、災害対策の意義、定義上の射程距離、目的の問題、保護法益の問題を検討する。
「第2章 地区防災計画制度の問題点と考え方」においては、従前の防災計画と地区防災計画の本質的な違いについて明らかにし、現行制度の問題点に関し、地域防災計画の中で定めることの問題、具体的な弊害、地区防災計画の背景にある柔軟性と公助では対応できない部分について指摘し、地区防災計画素案の策定について分析し、地区防災計画の内容について論じた後、地区防災計画に関する承継効について検討する。

第2編は、各論課題について検討を行っている。
「第1章 災害予防の手段としての土地利用規制制度について」においては、現行防災法制度の基本構造を明らかにした上で、災害予防行政の施行方式に関し、災害防御施設の整備と土地利用規制との関係、2つの手段の基本的な違いと仕分けに当たっての視点を検討し、災害予防手段としての土地利用規制の法的性質に関し、土地利用規制と比例原則について、災害予防のための土地利用規制の性格と問題点について論じ、法制度の改善方向を提言する。
「第2章 災害リスクを反映した土地利用計画・土地利用規制のあり方について」においては、具体的な災害類型に対応した土地利用計画及び土地利用規制の制度上・運用上のあり方について考察しており、地形・地盤と災害との関連、現行制度と課題、海外の事例、土地利用規制の費用・便益、防災目的の土地利用規制・土地利用計画のあり方、制度上・運用上の改善策を論じる。
「第3章 災害救助法の基本問題に関する考察」においては、災害救助法の救助の性格を明らかにし、その構造的問題点を指摘する。また、長期にわたる避難における問題を明らかにし、その改善策を提言するとともに、もう一つの重要課題である現物支給原則の改善策を論じる。
「第4章 企業等の民間組織の災害時の役割と責務の位置づけに関する考察」においては、企業等の民間組織の災害時における役割と責任を分析し、災害対策基本法で規定する指定公共機関、指定地方公共機関及び協力組織の役割の拡充について検討する。
「第5章 被災者生活再建支援のあり方に関する考察」においては、住居確保支援の基本スキームに関し、復旧段階における住まいの確保支援の基本的スキームと恒久的住まいの確保支援の基本的スキームを検討する。次に、生活再建支援の基本スキームに関し、生活再建プランの作成、支援内容の検討に当たっての基本的考え方、災害生活保護制度の整備、被災者生活再建支援制度の拡充を論じる。

 

◆詳細

本文(PDF:2.37MB)

◆キーワード

地区防災計画、防災責任、補完性の原理、承継効、土地利用規制、土地利用計画、必要最小限規制原則、災害防御施設、比例原則、補償、応急的・一時的救助、長期避難、現物支給原則、住居確保支援、生活再建支援、国際防災、費用便益分析、原因地、受益地

◆発行

国土交通政策研究第114-2号/平成27年3月

◆在庫

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