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● 報告書概要
不確実性下の意思決定: リアル・オプション・アプローチと鉄道分野への適用可能性 ◆要旨 本報告書では、不確実性下における投資決定の評価手法のひとつとして、リアル・オプション・アプローチを取り上げ、このアプローチの鉄道分野への適用可能性について検討を行った。リアル・オプション・アプローチとは、大雑把に言って、金融におけるオプション価格の理論を援用して、経営における意思決定の余地(選択権、オプション)が存在することによる価値を求めるアプローチである。本報告書では、リアル・オプション・アプローチの概要、このアプローチもととなる金融におけるオプション価格の理論の概要、およびこのアプローチの実際の適用例を紹介した。その上で、鉄道分野へのリアル・オプション・アプローチの適用可能性を検討するために、2つの仮想的なシナリオ、フリーゲージトレインに関するシナリオと貨物線に関するシナリオを作成した。 仮想的なシナリオ作成を行った後、リアル・オプション・アプローチの適用可能性について次のことを考察した。リアル・オプション・アプローチは、金融のオプション理論を実際の意思決定に適用したものであり、その価値の推計が市場価値と関連付けられるという形で意味をもつ。しかしながら、そのオプション価値の推計に当たっては適切なシナリオ作りの問題や、推計に必要な諸変数の求めること(ボラティリティ等の推計)などの問題がある。そのため、リアル・オプション・アプローチによって導出された推計値を直接的な投資の判断に利用するには注意が必要である。ただし、鉄道分野に関していえば、リアル・オプション・アプローチを適用できるような事例(プロジェクトの実施、延期等)がたしかに存在し、それらの事例の中にはオプション価値の高いものもあると考えられる。この場合、適切なシナリオを描いてオプション価値の推計を行うことで、それを投資決定の参考にすることは意味のあることと思われる。
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◆発行 |
国土交通政策研究第15号/平成14年12月 |
◆在庫 |
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◆詳細 |
詳細(PDF:182KB) |