国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 わが国の都市・国土空間におけるアクセシビリティと経済活動に関する研究

−空間経済分析アプローチ−

◆要旨

都 市・国土空間と経済に関する理論的・実証的研究がこの10年余りの間に大きな前進を遂げている。集積メカニズムを解明するための経済理論や実証的 な研究が発達するとともに、空間を形成する上で重要な役割を果す公共投資の経済効果等についての実証的研究も目覚しい発展がみられる。 公共投資の経済効果については、その効率性に関する評価を目的とする多くの研究が行われているが、公共投資により形成される地域間のアクセシビリティは、 都市・国土構造の変容をもたらすものであることから、集積の経済との関係を踏まえた分析が必要がある。

と りわけ、交通関連の公共投資は集積の経済の「エンジン」の役割を果すとされる輸送費に大きな影響を及ぼすが、輸送費については、インフラの整備水準だけで なく、所要時間や運賃等のソフト面も考慮する必要である。 本研究は、このような「空間経済分析」に関する既存研究における分析手法とその成果を概観し、産業の地域特化の動向を調べるとともに、交通一般化費用等に 関する一次統計等から入手・作成が可能なデータを用いて実証分析を行った。主な分析結果は以下のとおりである。

ま ず、産業の地域特化の状況とその変化の方向は、わが国の都市・国土構造のあり方を検討する上で重要な要素である。そこで、所得格差を測るために用 いられるジニ係数を応用した地域特化係数の動向を1966年から2001年にかけて調べたところ、映画・ビデオ制作業、情報サービス・調査業等、知識集約 型の業種において地域特化係数の上昇が見られ、従来、地域特化傾向の高かった精密機械器具製造業や電気機械器具製造業の地域特化係数が低下してきているこ とが判明した。知識創造による経済活性化の必要性が叫ばれるなか、その一翼を担うと期待されるソフト産業が一定の地域に集積しつつあることがうかがえる。

また、わが国の都市・国土空間において、都道府県間のアクセシビリティが経済活動にどのような影響を及ぼしているかを分析した結果、首都圏及び大阪圏の交 通一般化費用が上昇したことに伴うアクセシビリティ低下により、1990年から1998年までの9年間で69兆3000億円あまりの損失、即ち、年平均7 兆7000億円あまりのGDP減少が引き起こされた可能性があることが示された。この期間のわが国のGDP成長率は、交通サービスの改善、渋滞緩和等によ り首都圏及び関西圏に係る都道府県間の交通一般化費用の低下を防ぐことにより、年率1.6%程度の上昇の余地があったということができる。


◆キーワード

空間経済、集積の経済、アクセシビリティ、地域特化

◆発行

国土交通政策研究第19号/平成15年6月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:1.1MB)

◆事後評価

内部評価シート(PDF:10KB)
有識者評価シート(PDF:5KB)