ユビキタス社会に対応した都市交通支援システムに関する研究 I
−都市複合型携帯端末の開発−
◆要旨
IT革命が進み、身の回りのあらゆるモノにコンピュータが入り、それらがネットワークでつながるという「ユビキタス社会」が現実のものとなりつつある。
コンピュータが至るところに存在し、いつでも、どこでもその能力を利用できる環境は、私たちの生活をより便利で快適なものにすることができる。
ユビキタス社会は、特に様々な交通機関や施設でのサービスを日常的に利用する都市生活者層において、そのメリットが大きいものと想定される。現在でも様々な交通機関や施設では便利で快適なサービスは提供されているが、多くの場合、私たちはそのサービス毎に必要なモノを揃えなければならない。外出先での連絡手段やインターネットには携帯電話やノートパソコン、GPSを利用したナビゲーションを利用するには、カーナビやGPS対応携帯電話、鉄道やバスでICカードを利用するには、事業者毎のカード、お店でのポイントによる割引等には店舗毎のカードなど色々なモノが必要で、利用するサービスが増えれば増えるほど必要なモノも増え、「一つのモノで全部できたら便利なのに」と思うことも少なくない。都市生活において、こういった様々な交通機関や施設でのサービスを1台で簡単・便利で快適に利用できるモノは、現在ではまだ実現されていない。
本研究では、都市生活において、様々な交通機関や商業施設でのサービスを1台で簡単・便利で快適に利用できる「都市複合型携帯端末」について、端末に盛り込む機能、使用する情報基盤、使いやすい形態、技術上の課題を検討し、その検討結果を元にプロトタイプの都市複合型携帯端末を作成すると共に、このプロトタイプの都市複合型携帯端末を利用して実証実験を行い、考察した。
本研究が、様々な交通機関や商業施設でのサービスを1台で簡単・便利で快適に利用できる端末(都市複合型携帯端末)の実現と普及の助けとなり、ユビキタス社会における都市生活者の日常がより便利で快適になることに役立つことを期待する。
本研究の実施に当たっては、「マルチモーダルITS委員会」を開催し、名古屋大学森川教授、千葉工業大学赤羽教授、愛媛大学羽藤助教授、慶応義塾大学大学院植原講師にご指導頂いた。又、エコロジーモビリティ財団、松下電器産業株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社イーウィズユーをはじめとする関係の方々から多大な協力を賜った。
本報告書発刊に当たり、ここに厚く感謝の意を表する次第である。
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