住宅リフォーム市場の実態把握と市場活性化に関する研究
◆要旨
本研究では、住宅市場の現況を概観し、住宅リフォームの特性や市場構造等住宅リフォーム市場の実態を整理するとともに、我が国における住宅リフォーム市場活性化の方向性を考察・検討している。
わが国の住宅事情は、戦後の住宅不足を背景とした大量供給を経て数量的には一応の充足は果たしているものの、質的に十分に国民の欲求を満たしているとはいえない状況にある。
このため、国民が多様な選択肢の中から、安心して無理のない負担でニーズにあった住宅の選択を行うことができる住宅市場の条件整備や、良質な住宅が供給・管理・流通する循環型住宅市場の環境整備が重要であり、これを促すプロセスにおいて、住宅リフォームは重要かつ不可欠な要素となっている。しかしながら、住宅リフォーム市場は未だ小規模にとどまっている。
住宅リフォームは、その内容が非常に多様でリフォーム内容に応じてそれぞれ専門の工事業者が多数存在するとともに、参入規制の低さから様々な業種・業態が入り混じっている。このため、住宅リフォーム市場は消費者にとって非常にわかりにくく、不透明な面が多い。また、住宅リフォームと関係の深い中古住宅の品質を明示する制度として住宅品質確保法の住宅性能表示制度があるが、その利用は伸び悩んでいる。
住宅リフォーム市場の活性化のためには、潜在的なものも含めた消費者が求める多様な需要動向を把握することが重要である。一方、住宅リフォーム市場の中心的役割を担う住宅リフォーム事業者について見ると、受注生産形態であるといった他の商品とは異なる特性を有するため住宅リフォーム事業者に対する消費者の関心は必然的に高くなるものの、住宅リフォーム市場の不透明性などにより、消費者の信頼感を十分に得ていない。このため、施工品質や費用の透明性の向上等による住宅リフォーム事業者の信頼性向上を図る必要がある。また、住宅性能保証や瑕疵保証といった消費者の立場にたったリスク回避体制の整備強化、住宅リフォーム関連情報の浸透促進が今後さらに望まれる。
良質な住宅ストックの形成のためには住宅の基本性能の維持・向上に着目した政策的な支援をすることが重要である。
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