水素エネルギー社会におけるインフラ及び都市・住宅に関する研究
◆要旨
1.本研究の目的
本研究では、水素エネルギー社会への円滑な転換に資することを目的として、水素エネルギー社会におけるインフラ及び都市住宅のあり方について検討を行うこととし、以下の5つの項目について検討・整理を行った。
・水素エネルギー社会とその将来展望
・わが国の水素エネルギー社会への取組
・水素エネルギー社会を目指す各国の戦略的取組
・水素エネルギー社会における新たなインフラのあり方
・水素エネルギー社会における新たな都市・住宅のあり方
2.本報告書の内容
○第1章 水素エネルギー社会とその将来展望
(執筆:水素エネルギー協会 岡野一清理事)
現在までの水素エネルギー技術開発の状況等を踏まえた上で、水素エネルギー社会実現に向けての課題、水素エネルギー社会の将来展望について執筆いただいた。
○第2章 わが国の水素エネルギー社会への取組
わが国での水素エネルギー社会への取組は近年始まったものではないが、1990年代に地球温暖化問題の深刻化とともに、燃料電池実用化への取組が活発化した。本章では、そのような流れを受けた近年のわが国の水素エネルギー社会へ向けた取組及びわが国の水素エネルギー社会への移行シナリオについて整理を行った。
○第3章 水素エネルギー社会を目指す各国の戦略的取組
(執筆:京都大学国際融合創造センター・フェロー 大橋一彦氏)
現在欧米を中心とした世界各国で、水素エネルギー社会を目指した戦略的な取組が行われているところであるが、各国の国土構造、エネルギー依存構造、エネルギー需要、技術水準等、各種要因によって水素エネルギー社会への取組や位置付けには差異がある。本章ではそのような各種要因も踏まえて、世界各国の取組状況・今後の取組方針等を執筆いただいた。
○第4章 水素エネルギー社会における新たなインフラのあり方
(執筆:京都大学国際融合創造センター・フェロー 大橋一彦氏)
水素エネルギー社会を実現する上で、水素を燃料電池に供給する水素供給インフラの整備が必要となる。この場合、水素供給インフラの整備として、現在と全く異なる大規模なエネルギーインフラを構築することは財政上、環境面での制約等に鑑みると困難であり、既存の社会資本を有効利用する形で整備されるのが一つの選択肢と考えられる。本章では、以上を踏まえた望ましい水素供給インフラのあり方について執筆いただいた。
○第5章 水素エネルギー社会における新たな都市・住宅のあり方
(執筆:株式会社住環境計画研究所 中上英俊所長)
現在家庭用の定置型燃料電池の開発が活発に行われており、燃料電池車より先に普及段階に入るという予測もされている状況にある。その家庭用燃料電池の普及に当たり、都市内においての水素の貯蔵の方法や運搬方法、また住宅での使用方法のさまざまな課題が存在している。本章では以上を踏まえた水素エネルギー社会における都市・住宅のあり方について執筆いただいた。
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