国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 政策効果の分析システムに関する研究IV

 −輸送コストを考慮した産業立地ポテンシャルモデルの構築について(九州地域を事例として)−

◆要旨

 近年の産業構造の高付加価値化、水平分業の進展、コンテナ化等の物流サービスの高度化などに伴って、産業立地の多様化が進んでいる。また、交通インフラの整備(港湾、高速道路等)が、産業・貿易構造の変化と相まって産業立地構造の変化を促してきた面も否定できないだろう。本研究では、九州地方をケーススタディとして、交通インフラの整備が地域の産業立地に与えるインパクトを推計するモデル(産業立地ポテンシャルモデル)を構築した。
 製造業の各産業別に、各地域における海外・九州内・国内他地域からの原材料の輸送コスト、九州内・国内他地域の市場への製品の輸送コストおよびその他の各二次生活圏の特性を説明変数とし、産業立地ポテンシャルを被説明変数とするモデルを構築した。モデルの構築においては、国内9地域間産業連関表、工業統計調査などのデータを使用し、二次生活圏間の所要時間の計算には、国土交通省が開発した総合交通分析システム(NITAS)を使用した。複数の主要産業について分析した結果、統計的に有意なモデルが推定された。
 推定されたモデルを用いて、シナリオ分析を行った。シナリオとして輸入拠点港湾の拡大・強化および高速道路等の整備を想定し、産業別に各二次生活圏における産業立地ポテンシャルの変化を分析した結果、輸入拠点港湾化を想定した港湾の周辺や高速道路等の整備により輸送コストの低下が想定される二次生活圏で産業立地ポテンシャルが高まることが分かった。また、シナリオ分析として、別途に検討した国際物流需要予測モデルによる九州合計の産業別の生産額の推計値を用いて、2015年の産業別二次生活圏別の産業立地ポテンシャルを推計したところ、多くの二次生活圏で産業立地ポテンシャルが増加し、特に港湾や高速道路の整備が想定される二次生活圏において増加率が高いという分析結果が得られた。
 本研究において構築された産業立地ポテンシャルモデルにより、将来の港湾、高速道路等の交通インフラの整備が産業立地に与える影響を分析することができる。分析結果は、物流ネットワーク整備や産業立地政策の検討にあたり大いに参考になると考えられる。


◆発行

国土交通政策研究第72号/平成18年10月

◆在庫

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◆詳細

詳細(PDF:2.0MB)

◆事後評価

内部評価シート(PDF:12KB)
有識者評価シート(PDF:12KB)