国土交通省 国土交通研究政策所 Policy Research Institute for Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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 国土交通政策研究所は、国土交通省におけるシンクタンクとして、内部部局による企画・立案機能を支援するとともに、 政策研究の場の提供や研究成果の発信を通じ、国土交通分野における政策形成に幅広く寄与することを使命としています。
  

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 ● 報告書概要


 客員研究官論文  北欧型NPMモデル:分権型から集権的システム改革へ

  (新潟大学経済学部教授大住莊四郎)

◆要旨

北 欧型NPMモデルは、古典的なNPMモデルと対比されて論じられてきた。前者は、NPMでいう二つの特徴(1.業績/成果主義、2.市場メカニズムの活 用)のうち、市場メカニズムの活用には消極的で、組織マネジメント面での現代化を中心とした改革パターンを描いているとされた。北欧諸国は、エイジェン シーを基本とした分散/分権型システムで「大きな政府」のマネジメントを進めているという点はその特徴とされる。
近年のデンマーク・スウェーデンの改革の動向をみると、エイジェンシーの自律性は確保しつつも政治的な意思決定プロセスのための情報開示と現場の目標によ る管理の導入のすがたが明確になっている。つまり、NPMの一つのひな形である「戦略計画と業績測定(パフォーマンス・メジャーメント)」を核としたマネ ジメント・システムのすがたが明確になっているのである。発生主義会計による厳格なコスト管理からスウェーデンでは発生主義予算へと発展している。組織マ ネジメントのうえからも、業績に基づく支払いやベンチマーキングの適用、バランスド・スコア・カードなどのホリスティックなマネジメント・モデルのエイ ジェンシーへの適用などNPM改革に共通する改革アプローチが明確になっており、NPM改革ビジョンが共有されているようである。
このような現実をみると、北欧モデルもマネジメント・システムとしては、NPMによる改革モデルに収斂しつつあるとみられる。一方で、歴史・社会・文化的 背景の相違などから英国やニュージーランドなどのNPM先行国とは異なった改革のパスを形成している。NPM改革ビジョンの共有と複数の改革パスの存在 は、日本のNPM改革にも大きな示唆を与えるものである。


◆発行

国土交通政策研究第8号/平成14年8月

◆在庫

<在庫切>

◆詳細

詳細(PDF:587KB)