我が国の運輸部門におけるCO2排出量は近年減少傾向を示しているものの、世界的な情勢を鑑みれば、引き続き、対策の強化を検討していくことが必要である。そのうち、物流分野については、生産活動の派生需要であることから、物流事業者のみの取組では限界があるため、荷主業界と協働し、物流におけるCO2排出量の削減に取組むことが必要である。
　本調査研究は、物流におけるCO2排出量の削減を促進するため、省エネ法など既存の法制度が定着していることを踏まえつつ、将来的な更なる取組みとして、物流に関する環境情報の開示について、サプライチェーン全体を捉えて、具体的にいかなることができるかとの問題意識に基づき、取り組んできたものである。
　具体的な調査研究内容は、特定荷主に対するアンケート調査、先進的な取組みを行っている企業に対する訪問ヒアリングなどを行い、企業の実務家の方々からご意見をいただきながら、その取組状況を把握した。また、企業が本問題に取組むに当たっては、マーケット（消費者及び投資家）の関心の程度が重要な判断要素と考え、消費者や証券等のアナリストに対するインターネットを活用したアンケート調査を実施した。
　その結果、企業の取組状況を踏まえるとともに、現実的な対応の可能性を考慮して、連結企業グループベースでの把握・開示（物流セグメントを分けたもの）等を提案することを結論とした。
　当研究所では、今後、本調査研究に盛り込まれた内容をさらに具体化するための調査研究を実施することとしている。