国土交通省
 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律試案
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別紙


1 総則
(1) この法律は、自動車運転代行業の業務の適正な運営を確保し、もって交通の安全及び利用者の保護を図ることを目的とします。
(2) 自動車運転代行業とは、自動車を運転する役務を提供する営業のうち、主として、夜間において、客に飲食をさせる営業を営む者から酒類の提供を受けて酒気を帯びた状態にある者の依頼に応じ、当該依頼をした者(以下「酔客等」といいます。)が使用する自動車(以下「顧客車」といいます。)に酔客等を同乗させることにより営むものをいうこととします。(別添1)
(3) 代行業務用自動車とは、自動車運転代行業(以下「運転代行業」といいます。)の業務に関し、顧客車に随伴して走行すること等により自動車運転代行業者(以下「運転代行業者」といいます。)の運転者の輸送の用に供する自動車をいうこととします。
2 運転代行業の要件等
(1) 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの、道路交通法又は道路運送法の規定のうち一定のものに違反した者等一定の事由に該当する者は、運転代行業を営んではならないこととします。
(2) 運転代行業を営もうとする者は、(1)の事由に該当しないことについて都道府県公安委員会(以下「公安委員会」といいます。)の認定を受けなければならないこととします。
(3) 公安委員会は、認定をするときは、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならないこととします。
(4) 公安委員会は、(1)の事由等に該当する者があるときは、その者に対し、認定を取り消すことができることとします。
(5) 運転代行業者は、自己の名義をもって、他人に運転代行業を営ませてはならないこととします。
3 運転代行業者の義務
(1) 運転代行業者は、事業の開始前に、利用者から収受する料金を定め、営業所において掲示しなければならないこととします。
(2) 運転代行業者は、運転代行業務中の事故により発生した損害の賠償のための保険契約の締結等損害の賠償を行う場合に備えてとるべき措置を講じなければならないこととします。

〈備考1〉運転代行業の保険に加入している運転代行業者の割合は、平成11年度で70%程度となっています。

(3) 運転代行業者は、運転の役務の提供に関し、自動車運転代行業約款を定め、その実施前に、国土交通大臣に届け出て、営業所に掲示しなければならないこととします。また、国土交通大臣が標準自動車運転代行業約款を定めて公示した場合において、運転代行業者が、標準自動車運転代行業約款と同一の約款を定めるなどしたときは、その約款については、届出をしたものとみなすこととします。
(4) 運転代行業者は、運転代行業務を開始する前に、利用者に対し、役務の提供の条件について説明しなければならないこととします。
(5) 運転代行業者は、営業所ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験等の要件を備える者のうちから、安全運転管理者等を選任しなければならないこととします。
(6) 運転代行業者等(安全運転管理者等を含みます。)は、その者の業務に関し、運転者に対し、最高速度違反、駐停車違反等をすることを命じ、又は運転者がこれらの行為をすることを容認してはならないこととします。

〈備考1〉道路交通法令違反に占める最高速度違反、駐停車違反等の割合は、タクシー事業、バス事業、トラック事業等に比較して高い傾向にあります。

(7) 運転代行業者は、第二種免許を受けており、かつ、その効力が停止されていない者でなければ、顧客車の運転者としての業務に従事させてはならないこととします。

〈備考1〉過去5年間の1億走行キロ当たりの交通死亡事故件数は、タクシー事業に比較して高く(約2〜5倍)なっています。(別添2)
〈備考2〉1月24日まで意見の募集を行っている「道路交通法改正試案」において、運転代行業の場合も、第二種免許を要するものとしているところです。
〈備考3〉第二種免許の義務付けについては、法律公布後、施行まで一定の猶予期間(3年程度を予定)を設けることとします。

(8) 運転代行業者は、顧客車の運転者としての業務に従事させるときは、顧客車に、運転代行業務中である旨の表示又は装置を表示し、又は装着しなければならないこととします。
(9) 運転代行業者は、代行業務用自動車について、代行業務用自動車である旨を表示することなど表示等に関する一定の事項を遵守しなければならないこととします。
(10) 運転代行業者は、運転代行業務に従事する従業員に対し、運転代行業の業務を適正に実施させるために、必要な指導及び監督をしなければならないこととします。
4 業務の監督
(1) 運転代行業者は、営業所ごとに、運転者の名簿等を備えて、必要な事項を記載しなければならないこととします。
(2) 公安委員会又は国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、運転代行業者に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員若しくはその職員にその営業所に立入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができることとします。
(3) 公安委員会又は国土交通大臣は、運転代行業者等が、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反し、又は運転代行業務に関し道路交通法、道路運送法等の規定のうち一定のものに違反した場合において、運転代行業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは、当該運転代行業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができることとします。
(4) 公安委員会は、運転代行業者等が、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反した場合等において、運転代行業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるときなどは、政令で定める基準に従い、当該運転代行業者に対し、6月を超えない範囲内で期間を定めて運転代行業務に係る営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができることとします。この場合において、3(1)から(4)まで及び(9)等に関する営業の停止命令は、国土交通大臣の要請があった場合に行うものとします。
(5) 公安委員会は、2(1)の事由等に該当する者があるときは、その者に対し、営業の廃止を命ずることができることとします。
5 その他
(1) 公安委員会と国土交通大臣は、運転代行業務の適正な運営を確保するために必要な連絡を保つこととします。
(2) 公安委員会の停止命令等に違反した者に対する罰則等を整備することとします。

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