第5回土地収用制度調査研究会 議事概要



日時: 平成12年11月30日(木)14:00〜16:00
場所: 霞山会館
議事: 土地収用制度調査研究会報告書に盛り込むべき事項について
出席者: 法学界、環境、マスコミ等の分野の有識者14名
議事要旨:
  フリートーキングにおける意見の概要は以下のとおり
  事業認定の手続については、事業計画の策定段階において情報公開や住民参加をやるべきという議論が既に何回もされているが、ただ、現実には事業認定よりもはるか以前の事業計画の策定段階で一方的に事業計画を決めたというようなことが問題になることがあるので、事業計画の策定過程の問題を一切除いてしまうことには躊躇を覚えるが、一方で、これは、各個別法について踏込むという非常に難しい問題でもあるので、土地収用法の射程ということを考えると事業認定手続以降に限ることもやむを得ないと思う。
  事業認定については、土地収用法の根幹であるということは間違いないと思うが、一部の学者には事業認定を廃止したほうがいいと言っている人もいる。また、事業の即地的な確定があった場合には、任意買収にあまりに強く依存するということはかえって公平を欠くことになる等の理由から、例え用地の買収率がゼロであっても直ちに土地収用法を適用する方がよいとの意見もある。もっとも、そこまで踏み切ることは大変難しいと思う。
  収用委員会審理における代表者の選定制度については、行政不服審査法の総代制度とは違うから、選定を強制することまではせず、勧告にとどめるのもやむを得ないと思うが、一方で、実効性の面でどうかという危惧もある。
  生活再建措置の充実ということについては、賛成である。ただ、従前、生活再建措置を受けていなかった者と、今後その措置を受ける者とのバランスについては検討する必要があるかもしれない。
  ミティゲーション(代償措置)のための代替地の収用については、必ずしも玉突き的な収用といった問題が生ずるわけではないので、積極的に考えるべきではないか。
  公共事業の問題には、土地収用法以前のところに非常に問題があり、そこが土収用法に持ち込まれ、それが具体的な問題として顕在化するわけであるから、それ以前の話を言ってみてもしようがないということは確かで、これは公共事業全体の問題として論じなければならない話だ。
  事業計画の策定段階の問題についても、できれば研究委員会の報告書として若干触れておいた方がよいと思う。
  我が国の土地収用と全総計画(全国総合開発計画)等との関係で一つ大きな問題があり、それは、全総で国の根幹的な施設について決めた後、例えば、ブロック計画でその計画を正当化するための手続をきちんと踏んでいるかといえば必ずしもそうではなく、そういう中間段階での手続なしに直ちに事業の実施まで落ちてしまうというところに大きな欠陥があるということである。 国が今進めているパブリック・インボルブメントをやろうとしても、その中間段階の手続プロセスがないためにそれがうまく働かないという可能性があるとの話も聞いている。これについての手当が全国総合計画と国土利用計画の今後の改定の議論の中で出てくる可能性が全くないわけではないので、本研究会の意見をそれに若干なりとも反映できるような記述を報告書に入れておくべきではないか。
  今回の土地収用制度の見直しについては、現場の第一線で苦労をしている者は非常に期待している。
  この研究会の報告書に、審議経過のようなものをまとめて記述し、その中で事業計画策定段階における問題点について、この研究会では土地収用法の見直しという使命から申請前の説明会は土地収用法の枠内でやるということにしたが、事業計画策定段階の調整についてはこの委員会としては結論が出せなかった、しかしながら、大変重要な問題なので別途の場で十分な議論の展開を期待したいということを、意見として付記したらどうか。
  公共事業の計画策定段階からの住民参加や情報公開が行われていないために、収用制度が非常に重荷を負っているというところに問題があると思う。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]


前ページに戻る