国土交通省
 小型漁船が兼業できる用途の拡大について
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平成13年4月
海事局安全基準課
     

1.改正の背景

(1)現行制度の概要

 日本船舶は、船舶安全法(昭和8年法律第11号)により、船舶の堪航性及び人命の安全の保持のために必要な施設をなさなければ航行の用に供せないこととなっており、必要となる具体的な構造や設備等については、同法に基づく命令により定められています。
 これらの基準は、大きく分類すると、船舶の大きさ(総トン数が20トン以上であるか20トン未満であるか)及び用途(漁船であるか漁船以外の船舶であるか)により、異なるものとなっています。具体的には、総トン数20トン未満の漁船以外の船舶には小型船舶安全規則(昭和49年運輸省令第36号)等が適用され、総トン数20トン未満の漁船には小型漁船安全規則(農林省・運輸省令第1号。以下「小漁則」という。)等が適用されることとなります。

(2)昭和53年の船舶安全法施行規則の一部改正について

 (1)のような基準体系の中で、昭和53年以前は、遊漁※1と漁ろうを兼用する船舶であって総トン数20トン未満のものに対して、漁船以外の船舶(一般の小型船舶と同様)として取り扱い規制を行っていたため、遊漁に従事する場合と漁ろうに従事する場合とで、その都度用途及び航行区域の変更を行い、臨時検査※2を受けなければならないケースが非常に多く見られ、その手間やコストがユーザーの負担となっていました。
 そこで、昭和53年に船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号。以下「施行規則」という。)の一部を改正し、このような遊漁と漁ろうを交互に繰り返す総トン数20トン未満の船舶について、上記の不都合を解消するとともに、適用すべき技術基準を明確化(漁船及び漁船以外の船舶に対する基準の両方を適用。ただし、例えば遊漁を行う場合は小漁則は適用しないというように、いずれかの用途に用いるときは、他の用途に用いる場合の基準は適用しない。)し、当該船舶を「小型遊漁兼用船」として位置付け、定期検査※3や中間検査※4の際に、一度に両方の基準に係る検査を行うことで、臨時検査を何度も受けずに済むよう合理的な検査体制の確立を図りました。

(3)今回の改正について

 近年、小型遊漁兼用船や小型漁船を港湾工事の際の作業船や調査船等として兼用するケースが増加してきていますが、現状においては、昭和53年以前の小型遊漁兼用船の場合と同様に、遊漁や漁ろうに従事する場合と作業船等に用いる場合とで、その都度用途及び航行区域の変更を行い、臨時検査※2を受けなければならないこととされています。この変更等に要する手続きの手間、コスト負担等から、遊漁以外の用途に用いる小型漁船についても、現在の小型遊漁兼用船と同様に、変更の度に必要とされている手続き(現行制度)を取ることなく、他の用途(作業船、調査船等)を兼用することが可能となるよう強く求められています。
 このため、コストの削減を含めユーザーニーズに対応するべく、現行の検査体制・手続きを合理化し、近年の社会経済活動の実態に適合した規制へと見直しを行います。具体的には、施行規則の一部を改正し、これまでの遊漁と漁ろうの兼用(小型遊漁兼用船)のみならず、作業船等として兼用するケースをも含めた概念として「小型漁船兼用船」(仮称)と位置付け、小型漁船が兼用できる範囲を拡大することとします。(別紙1参照[PDF形式]

2.改正の概要

(1)船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)の一部改正

 これまでの「小型遊漁兼用船」を「小型漁船兼用船」(仮称)と改定し、小型漁船が兼用できる用途の範囲を拡大することとします。

(2)海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令(昭和40年運輸省令第39号)の一部改正

 (1)の改正に伴う所要の改正を行います。

 

  

※1「遊漁」   : 旅客がつり、網、銛(もり)その他の漁具により魚類その他の水産動植物を採補すること。
 
※2「臨時検査」: 船舶の構造、設備等について船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼすおそれのある改造又は修理を行うときや船舶検査証書に記載された条件の変更を受けようとするとき等に、定期検査又は中間検査の時期以外の時期に行われる検査。
 
※3「定期検査」: 船舶を初めて航行の用に供するとき又は船舶検査証書の有効期間(5年又は6年)が満了したときに、船舶の構造、設備等について船舶安全法関係法令の基準どおりに施設されているかどうかを確認するために行う精密な検査。
 
※4「中間検査」: (前回の)定期検査と(次回の)定期検査の中間の時期に行う簡易な検査。

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