国土交通省
 マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針
 (案)に関するパブリックコメントの募集結果について
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平成14年12月13日
<連絡先>
住宅局市街地建築課
(内線39643、39644)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成14年10月23日から平成14年11月1日までの期間において、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」第4条第1項の規定に基づき国土交通大臣が定めることとされている「マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(案)」について、パブリックコメントの募集を行いました。その結果、重複内容を除き78件の御意見を頂きました。頂いた御意見の概要及び国土交通省の考え方を(別紙)のとおりまとめましたので、公表いたします。


 

マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(案)
について頂いた御意見とそれに対する国土交通省の考え方

(別紙)

<前文>

(頂いた御意見)

 「都市再生と良好な居住環境の確保」に至る方法が「建替え」であるとするのは短絡的過ぎるのではないか。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、第四段落目に「適切な修繕等により既存ストックを有効に活用するとともに」を加筆することとします。

<第一 マンションの建替えの円滑化等を図るため講ずべき施策の基本的な方向>

(頂いた御意見)
 「修繕のみでは居住環境の維持、回復が困難な場合には、円滑な建替えを行い・・・」とあるが、この表現が想定している状況は明らかでない。第二―2−ニで示されている「技術的指針」を中心にした技術情報が本方針案と併せて提示されないと、円滑化の基本的な方向が適正かどうか判断がつきかねる。
(国土交通省の考え方)
 第二―2−ニに基づき国土交通省が作成することとしている技術的指針(マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル)については、案を公表し意見募集を行う予定です。

(頂いた御意見)
 耐震性能が著しく低く共用部分以外の耐震補強が困難なマンションは、建替え以外に救済手段はないため、第1段落4行目に「または部分的な耐震補強では必要な耐震性能を確保することが困難で、危険であると判断される場合」を加えるべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、第一段落目「居住環境の維持回復」を「良好な居住環境の確保」に修文します。

(頂いた御意見)
 今後の都市再生の必要性をふまえ、効用増を目的とした建替えについても含まれる表現とすべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、第一段落目「居住環境の維持回復」を「良好な居住環境の確保」に修文します。

(頂いた御意見)
 合意形成段階のみならず、マンションの建替え全般を通し各段階において、権利変換計画作成ノウハウを有する再開発コンサルタントや権利調整、まちづくり等に関する技術・経験を有する様々な専門家、NPOの活用が効果的であり、その旨を記述すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、第二段落目に、「建築、マンション管理、まちづくり、権利調整等の技術及び経験を有する、一級建築士、マンション管理士その他の専門家を適宜活用し、」を加筆します。これに伴い、以下の各事項における専門家の活用に関する記述を削除します。

(頂いた御意見)
 「マンションが区分所有形態という区分所有者が容易に建替えを決定できない環境下にあることから」という基本認識は,区分所有法に対する誤った印象を国民に与える恐れがあり、行政側の説明としては不適切であると考える。建替えの困難性は、区分所有形態にあるということではなく、建替えの必然性を合理的に説明し得ない事例が多い点にこそ求められるべきであろう。
(国土交通省の考え方)
 マンションの区分所有形態が、建替えの容易な意思決定の隘路になっている事実は否定すべくもなく、一戸建てなどその他の住宅にはない状況下にあることから、今般、マンションを対象にした建替え事業法制を制定したものです。建替えが必要か否かの根拠を示す道筋については、区分所有法の改正による建替え決議の要件の明確化とともに、指針の整備や事例の集積をもって解決していくことが必要と考えます。

(頂いた御意見)
 「国及び地方公共団体は緊密に連携して相談体制の整備、情報提供等に積極的に努める」とあるが、相談が事実上の指導に変質することも予想されるため、区分所有者の自助努力を促進する意味からも行政の責任範囲を明確化するべきではないか。
(国土交通省の考え方)
 情報提供等には、組合設立認可申請手続き等に関するマンション建替え円滑化法に関する知識の付与、申請図書の作成方法の指導等も当然に含まれるものとして記述しています。その際に、区分所有者に代わって設計図書を作成すること等まで、行政に求めているものではありません。

(頂いた御意見)
 「地方公共団体は、適切に財政上の支援を行うこととする。」と断定的に記述しているが、財政上以外の多様な支援も必要である。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、「財政上の支援その他の多様な支援を行うこととする。」と修文します。

(頂いた御意見)
 「地方公共団体は、適切に財政上の支援を行うこととする。」と記述しているが、相談体制の整備等は「努めるとともに」とされているため、表現を合わせるべきではないか。
(国土交通省の考え方)
 財政上の支援については、「一定の要件を満たすマンションの建替えについて」適切に行うという意味であり、相談体制等の整備等とは扱いが異なります。

<第二 マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項>

 【1 マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成のため管理組合等が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)

 イに「管理組合が適切な時期に区分所有者に対する説明会を行う必要がある」とあるが、建替えに関する業務を管理組合が行うという根拠は何か。
(国土交通省の考え方)
 建替え決議を経てマンション建替組合が設立されるまでは、管理組合を中心とする検討活動が一般的と考えられるためです。

(頂いた御意見)
 情報提供については、「議事録ないし文書の配布」等の方法を具体的に記述すべきである。
(国土交通省の考え方)
 情報提供の方法は、私的自治の観点から、管理組合の総会等で取り決めをしつつ当該マンションにおいて適切な方法を選択すべきであるため、例示はしないこととします。

(頂いた御意見)
 高齢者の合意促進を図るため、バリアフリー住宅、グループリビングタイプ住宅等の設置するなど高齢者世帯への対応策を十分検討する必要がある旨を記述すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、ロに「必要に応じ、高齢者世帯に配慮した建替え計画の作成に留意する」旨を加筆します。

(頂いた御意見)
 建替えに関わる業務を管理組合が行うことが可能であるならば、管理費、修繕積立金を取り崩すことなく検討作業を行い得ることが維持管理と建替え準備業務が両立することが条件となろう。
(国土交通省の考え方)
 建替えか修繕かを判断するための検討に要する経費負担は、あくまでも自助努力によることが原則です。ニに示すとおり、管理組合の総会において、必要に応じ規約の変更を行い、当該検討に修繕積立金等の充当を可能とするよう取り決めることによって、結果が、修繕又は建替えとなっても、共に衡平性は保てるものと考えます。

(頂いた御意見)
 費用比較は仕様や単価が標準化されていない現状では,担当する専門家によってバラつきが出るため、工事単価や工事仕様を比較可能な形に標準化すべきである。
(国土交通省の考え方)
 2―ニに基づき国土交通省が作成する技術的指針(マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル)において、工事に係る費用の事例等を参考として紹介することとしています。

(頂いた御意見)
 管理費等の建替え検討費用への充当に関する考え方や総会決議、規約への規定等の取り決め方法を明示されるよう希望する。
(国土交通省の考え方)
 2―ハに基づき国土交通省が作成する合意形成の進め方に関する指針(マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル)において示す予定です。

(頂いた御意見)
 ホの文中において、「マンション」と「棟」が混在し、混乱を招くので、表記の工夫が必要。
(国土交通省の考え方)
 本項においては、「マンション」に統一して記述することとします。

(頂いた御意見)
 「権利変換計画」が盛り込まれており、再開発コーディネーターや再開発プランナーの活用が不可欠であり、専門家の例示として示すべき。
(国土交通省の考え方)
 第一において、専門家の活用について統一的に記述します。個別の名称の例示は、法的根拠のあるものに限ります。

(頂いた御意見)
 専門家の活用に関して、一級建築士等の個人資格者のみでなく、建設業者やマンション管理業者等の法人を活用する方法もあることを明記すべきである。
(国土交通省の考え方)
 第一において、専門家の活用について統一的に記述します。専門家には法人も含まれると考えます。

(頂いた御意見)
 マンションの建替えに向けた管理組合の合意形成を促進するために、マンションの管理運営に十分な知識及び経験を有しているマンション管理業者並びにその使用人たる区分所有管理士の活用を明示すべきである。
(国土交通省の考え方)
 第一において、専門家の活用について統一的に記述します。

(頂いた御意見)
 マンション管理士等による指導、助言を受ける一定規模以上のマンション管理組合に対し、報酬の予算化を義務付けるべきである。
(国土交通省の考え方)
 現在、マンション管理士による任意の団体が設立され、倫理規定等が制定されているところです。マンション管理士に対する報酬の負担方法等は各管理組合ごとに判断すべき内容であり、予算化の義務付けを盛り込むことは適切ではないと考えます。

 【2 国及び地方公共団体の取り組むべき事項】

(頂いた御意見)

 地方公共団体において、「建替えに関する窓口を整備する」とあるが、現実的には難しいのではないか。
(国土交通省の考え方)
 地方公共団体において、主としてマンション建替えが想定される大都市地域の都道府県、市等においては、マンション建替え円滑化法に基づき、認可、監督事務等を行う必要があり、当該事務担当部署が「建替えに関する窓口」として機能する必要があるため、必要です。

(頂いた御意見)
 建替えの判断根拠となるのは、建物劣化の技術的判断と区分所有者の経済的条件にある。国、地方公共団体が技術情報及びそれの相談体制を充実させることが重要である。特にニで指摘されている「建替えと修繕との比較検討にあたって」の技術的指針の作成は、管理組合が建替えを検討するうえでの必須条件である。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘のとおりであり、本基本方針において、国、地方公共団体による情報提供、相談の体制づくりや、判断のための指針の作成、提供などを規定しているところです。

(頂いた御意見)
 ハで指摘されている合意形成指針は、「建替えは区分所有者の自助努力で行うことが基本である」という基本的方向と矛盾する。建替えを区分所有者の自治に委ねるという基本方針を堅持するのであれば、国及び地方公共団体は区分所有者の意思形成には関与すべきではない。あくまでも技術指針の提示や技術情報の提供など技術的及び財政的な支援に限定すべきである。
(国土交通省の考え方)
 素人である区分所有者が、自助努力により建替えに向けた手続きを進めていく上で、その手順を指し示すことが必要不可欠であると各方面から指摘されており、その要請に応えたものです。

(頂いた御意見)
 建替えと修繕その他との比較検討においては、良好なストックの活用の観点から建物診断の実施が重要であり、盛り込むべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、ニにおいて、「当該検討のための技術的指針」の前に、同指針の内容でもある「建物の老朽度判定を含む」を加筆します。

(頂いた御意見)
 建物の劣化状況や損傷の程度の診断調査業務を公正な立場で行う独立した第三者機関が設置されるべきである。
(国土交通省の考え方)
 外部の専門家に依頼して診断等の調査を実施することにより、公正な立場で判断されるものと考えます。さらに第三者機関の設置が必要か否かについては、今後のマンションの建替えの状況を見ながら判断してまいりたいと考えます。

(頂いた御意見)
 建替え時には住民の高齢化が十分予想される。したがって、建替えか修繕かを判断する指針においては管理組合がこれら高齢者に理解しやすい建替えないし修繕のための資料化を図れるよう、具体的なモデルケースによる指針を作成するべきである。
(国土交通省の考え方)
 今後の検討事項として承ります。

(頂いた御意見)
 管理組合等の建替えのための検討費用については優良建築物等整備事業の活用等が示されているが、財政事情等により地方公共団体の取り組み姿勢に大きな較差が生ずることが懸念される。基本方針においては、こうした懸念に対する指導的な表現が必要と考える。
(国土交通省の考え方)
 地方分権推進の観点から、補助制度を設けるか否かは、あくまでも地方公共団体の自治事務であり、補助を強制することは望ましくないものと判断します。

(頂いた御意見)
 「建替え検討費用について優良建築物等整備事業の活用等」とあるが、地方公共団体の負担の軽減を図る措置や適切な支援メニューを用意する方が適当ではないか。
(国土交通省の考え方)
 優良建築物等整備事業については、地方公共団体及び国が折半して支援する仕組みとしております。

(頂いた御意見)
 建替え方針決定の前において建替えか修繕かの比較検討にあたって十分な検討ができるよう行政の助成が必要と考える。また、組合財政を考え、補助金の施工業者等による代理受領を可能とすべきではないか。
(国土交通省の考え方)
 建替え方針を決定する前の段階における検討調査費用は比較的小額でもあり、修繕積立金等管理組合の資産の活用で対応が可能と考えます。また、補助金は、補助事業者ではないものに対して直接交付することはできません。組合からの代金支払い時期を補助金の交付後とすべきものと考えます。

(頂いた御意見)
 「管理組合等」の定義、範囲を明確にすべきである。
(国土交通省の考え方)
 管理組合等としているのは、建替えか否かの検討を組織的に行うためには、管理組合が母体となることが一般的と考えられるからで、管理組合ではない区分所有者によるその他の検討組織も含めて表現したものです。

<第三 マンション建替事業その他のマンションの建替えに関する事業の円滑な実施に関する事項>

 【1 マンション建替事業の施行者等が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)

 イに関して、建替え決議から建替組合設立までのプロセスを指針で示すことが必要。
(国土交通省の考え方)
 第二―2−ハに基づき国土交通省が作成する合意形成の進め方に関する指針(マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル)に示すこととしています。

(頂いた御意見)
 イにおいて、「マンション建替組合による施行を行う場合には」と前置きする必要があるのではないか。
(国土交通省の考え方)
 マンション建替組合を設立して建替えを行うことが、マンション建替え円滑化法による建替えの基本形として記述したものですが、ご趣旨を受け、以下のとおり修文します。「建替え決議後において建替えに関する事業の方法を円滑かつ迅速に決定するよう努めることとする。」

(頂いた御意見)
 開発事業者に譲渡した区分所有権等に対応して事業者が発行する証券を区分所有者等が取得、その証券利回り相当分と賃貸住宅居住権を交換する手法を提案したい。
(国土交通省の考え方)
 一般的ではない事業スキームについて基本方針に例示することは適当でないため、盛り込むことは困難ですが、今後、事業手法を検討するにあたり参考としたいと考えます。

(頂いた御意見)
 売渡請求権の行使を円滑にすすめるため、売渡請求権の行使に際しての時価の算定に関しては施行者の裁量で定められることとして欲しい。
(国土交通省の考え方)
 「基本とすることが望ましい」として、一定の拠所を示したもので、組合において、予め算定方法を議決の上、売渡請求権を行使することを否定しているものではありません。しかしながら、価額評価の自由度を阻害するおそれがあり、ロ及びハを統合し、「売渡請求権行使に当たっては、先行事例を参考とするとともに、審査委員の意見を聞くことなどにより、区分所有権及び敷地利用権の時価を適正に評価しなければならない。」との記述にとどめ、2 国及び地方公共団体が取り組むべき事項において、「ヘ 国は、マンション建替組合等による売渡請求権行使に当たっての時価の算定基準の明確化に資するよう、事例の集積に努めることとする。」を加筆します。併せて、従前・従後の区分所有権等の価額評価についても具体的な記述を避けることとし、削除します。

(頂いた御意見)
 売渡請求額の算定方法は、当然のこととして財産権、居住権、生活権が十分に擁護される金額が設定される算定方法が講じられるべきである。
(国土交通省の考え方)
 前述のとおりの記述に変更します。

(頂いた御意見)
 売渡請求による転出区分所有者もまた、賃借人と同様に、立ち退きに伴う移転料を建替事業者から得ることができるとするのが衡平と考える。
(国土交通省の考え方)
 転出区分所有者に移転料を支払うか否かは、建替えに参加する区分所有者が、自らの判断のもと、事業計画にその予算を計上することについてマンション建替組合の総会において決定することにより可能です。

(頂いた御意見)
 数筆の敷地からなる団地であっても一括して建替え決議及び組合設立が可能となるようにすべきである。
(国土交通省の考え方)
 先日公布された区分所有法及びマンション建替え円滑化法の一部改正法では、敷地全体が共有である一体性に着目して一括建替え決議の手続きが盛り込まれたところです。数筆の敷地からなる団地であっても、団地内の建物が全て区分所有建物であり、当該敷地が全て団地内の区分所有者の共有である場合については、同様に一括建替え決議が可能ですが、全体共有地、一部共有地が混在する団地の場合は、個別に、敷地ごと若しくは棟ごとに建替え決議又は全員同意手続きを経ることが必要となります。また、この場合には、その他、団地内の区分所有建物の全てを団地管理組合の管理対象にしていることが必要です。

(頂いた御意見)
 隣接地に所在する複数のマンションが共同して建替事業を行う場合の手法についても明示すべきである。
(国土交通省の考え方)
 先日公布された区分所有法及びマンション建替え円滑化法の一部改正法においては、隣接する別敷地に存するマンションについて共同して、一のマンション建替組合を設立の上建替えを行うことができる規定が盛り込まれております。

(頂いた御意見)
 マンション建替組合の組合員以外の関係者の努力義務について、新規項目として追加すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ここでは、団体自治の観点から組合員の協力義務を記述したものであり、その他の関係者は組合員ではないため、義務を規定することは行き過ぎと判断したものです。

(頂いた御意見)
 建物を解体した後、新しい建物の建設工事に着手する以前に倒産した場合、円滑化法に定められている権利変換計画を実行する条件は失われる。この時、その建物に設定されていた第三者の権利たとえば抵当権や賃借権はどのように保護されるのであろうか。法律ではそのことには全く触れられていない。区分所有者の権利も含めて、その建物に設定されている諸権利を保護するためにも事業継続の具体的措置を示すべきである。
(国土交通省の考え方)
 施工業者の倒産については、一般的な倒産法制における手続きや債権債務関係での処理が求められるべきであり、また、施工業者の選定にあたって慎重を期すべきと考えます。

(頂いた御意見)
 審査委員に望ましい者の資格を例示するべきであり、また区分所有者の代表も当然加えるべきである。
(国土交通省の考え方)
 審査委員は第三者の審査機関として機能すべきであり、区分所有者はあくまでも、審査を受ける側です。なお、望ましい資格者については、第二−2−ハに基づき作成することとされている合意形成の進め方に関する指針において例示することを考えています。

(頂いた御意見)
 へにおいて「建替えに努めることとする。」を「建替えに努めることが望ましい。」のほうがよいと思います。
(国土交通省の考え方)
 複数のマンションをまとめて一のマンション建替組合を設立することができる制度を活用し、可能な限り効率的な建替えに努めるべきであるとの観点からの記述です。

 【2 国及び地方公共団体が取り組むべき事項について】

(頂いた御意見)

 建替えは区分所有者自らの自助努力で行うことが基本であり、参加組合員制度等の普及についてはそれが最初に有るのではなく、自助努力に伴い必要が生じた場合に民間事業者の専門知識・資金力の活用を図ることができるようにその普及を図ることとしたほうが良いと考える。
(国土交通省の考え方)
 自助努力で行うことが基本であることは第一で述べていますので、ここでは特に述べていません。

(頂いた御意見)
 建替えに関する事業を支援するため、「既存住宅ローン等の(根)抵当権者である民間金融機関の資金面および手続き面での支援」を追加すべきである。
(国土交通省の考え方)
 マンション建替え円滑化法における権利変換手法の導入により抵当権者等の保護が既に図られていると考えます。

(頂いた御意見)
 区営・区立住宅等は現状では空家住戸数が少なく、応募数が殺到して相当な倍率となっており、区が建替え勧告したものではない個人資産であるマンションの建替えのために公募以外に優先的に提供することは難しいと考える。
(国土交通省の考え方)
 仮住居として公営住宅等の公共賃貸住宅を活用することについては、空住戸の発生状況に応じて可能な限り対応すべきとの観点からの記述であり、あくまでも努力規定です。

(頂いた御意見)
 仮住居の確保について、公営住宅のみならず幅広い支援に努めるとする主旨から、「地域の実情を踏まえつつ多様な支援に努めることとする」という記述に変更すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、ニを次のように修文します。
 「地方公共団体は、工事期間中の仮住居の確保について、地域の実情を踏まえつつ、公営住宅等の公共賃貸住宅の活用その他の多様な支援に努めることとする。」

(頂いた御意見)
 国及び地方公共団体による資金面での支援に関しては、要件を出来るだけ簡素化し、また、認定申請業務や補助金交付申請業務が施行者にとって過重な事務負担とならないよう配慮するとともに、予算枠等の要因で交付額が変動することのないよう配慮して欲しい。
(国土交通省の考え方)
 手続き等の簡素化については可能な限り配慮したいと存じます。マンション建替えに関する国庫補助制度は、地方公共団体経由による間接補助であり、地方公共団体における予算措置が前提であり、予算枠により交付額が変動することは避けられないものと思われます。

(頂いた御意見)
 総合設計制度による高さの緩和についても容積率の最高限度の緩和に加えて例示すべき。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえて、「容積率制限又は高さ制限の緩和」と修文します。

(頂いた御意見)
 行政には、特に技術的支援を望みたい。その点をはっきり記述してもらいたい。
(国土交通省の考え方)
 ロにおいて、「技術的援助に努めることとする。」と記述しています。

(頂いた御意見)
 どのような技術的援助が図られるのかについて触れてもらいたい。また組合の定款、個人施行の規約などの標準モデルを示してもらいたい。
(国土交通省の考え方)
 技術的援助の内容については、マンション建替え円滑化法その他のマンションの建替えに関する法令、制度に基づく手続きの紹介、助言などを想定しています。定款等の標準書式等については、マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアルにおいて例示する予定です。

(頂いた御意見)
 補助制度、融資制度、税制の一層の拡充をお願いする。
(国土交通省の考え方)
 引き続き、需要動向を把握の上、制度改善に努めてまいります。

<第四 再建マンションにおける良好な居住環境の確保に関する事項>

 【1 マンション建替事業の施行者等が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 再建マンションの住戸規模は、施行マンションの各所有者が有する権利に応じて設定されるべきであり、居住者人数・世帯構成とは無関係と考えられるので、削除すべきである。
(国土交通省の考え方)
 建替えを機会に世帯構成等に応じて各所有者が必要な住戸規模を確保することが適切であり、基本的な配慮事項として必要と考えます。

(頂いた御意見)
 「居住者の世帯構成を考慮して」とすると、区分所有者の資金力や建替え前後のニーズの変化が無視される恐れがあるため、その旨配慮した記述とすべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、「従前の床面積、居住者の世帯構成、区分所有者の資金力等を総合的に考慮し、適切な住戸規模となるよう努めることとする。」と修文します。

(頂いた御意見)
 「生活支援施設の併設に配慮」とあるが、施行者等にとって実際に併設することは現実的に厳しいのではないか。
(国土交通省の考え方)
 高齢者等の介護サービスを行う施設や保育所等の運営は、組合が自ら行うというよりは、当該施設運営を業とする社会福祉法人等が行うのが一般的と考えられます。なお、そのような施設を併設する場合の建物の建設費等については、優良建築物等整備事業の割増補助の制度があります。社会福祉施設の設置・運営については、厚生労働省所管の支援制度の活用が考えられます。

 【2 国及び地方公共団体が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 イとロについては、取り組むべき姿勢に違いは無いため、表現を統一すべきではないか。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、ロにおいて、「積極的活用により努めることとする。」を「積極的活用により必要な支援に努めることとする。」に修文します。

(頂いた御意見)
 「生活支援施設の併設」には行政の支援が必要である。
(国土交通省の考え方)
 高齢者等の介護サービスを行う施設や保育所等の運営は、組合が自ら行うというよりは、当該施設運営を業とする社会福祉法人等が行うのが一般的と考えられます。なお、そのような施設を併設する場合の建物の建設費等については、優良建築物等整備事業の割増補助の制度があります。社会福祉施設の設置及び運営については、厚生労働省所管の支援制度の活用が考えられます。

<第五 マンションの建替えが行われる場合における従前のマンションに居住していた賃借人及び転出区分所有者の居住の安定の確保に関する事項>

 【1 マンション建替事業の施行者等が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 移転料の支払いを推奨すると解釈される内容であり、賃貸人の負担を増加させることで、建替事業の推進が阻害される可能性がある。賃借人の居住継続の意向の有無等、個別に事情が異なるため、当該記述は不要と思われるので、削除すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、移転料支払いが必須要件と捉えられる恐れがあるため、削除するとともに、併せて、2―ハの「賃借人に対する」も削除します。

 【2 国及び地方公共団体が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 マンションについて、これほどの手厚い支援を行うことは、他の居住形態(戸建て住宅)との関連において公平性・必要性等に疑問があるのではないか。
(国土交通省の考え方)
 マンションが戸建て住宅に比べ、特に区分所有形態という容易に建替えを決定できない環境下にあることから、老朽化等により建替えを余儀なくされたマンションの自助努力による建替えのための事業法制度を制定するとともに、関連する支援制度を拡充したところです。

(頂いた御意見)
 都市再生住宅制度の活用による賃貸住宅の供給促進という方針は、転出者に賃貸住宅に住むことを促すこととなり容認できない。
(国土交通省の考え方)
 地方公共団体が対応できる主たる方法として例示しているものであり、転出区分所有者が代替資産を取得し転居することを否定しているわけではありません。

(頂いた御意見)
 代替住宅の確保について、公営住宅のみならず幅広い支援に努めるとする主旨から、「地域の実情を踏まえつつ多様な支援に努めることとする」という記述に変更すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、イを次のように修文します。
 「地方公共団体は、地域の実情を踏まえつつ、公営住宅等の公共賃貸住宅への優先入居その他の多様な支援に努めることとする。」

(頂いた御意見)
 民間住宅の活用を視野に入れた代替住宅の確保に向けた施策展開の充実を図るため、民間賃貸住宅への仮移転や本移転を余儀なくされる高齢者等を対象とした「従前居住者向け家賃補助」などの創設を希望する。
(国土交通省の考え方)
 平成14年度予算において、マンション建替え円滑化法に基づく建替えに伴って転出する者で住宅に困窮する者については、都市再生住宅制度により、民間賃貸住宅の借上げに伴う家賃減額に対する補助が可能となっています。

<第六 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進に関する事項>

 【1 国及び地方公共団体が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 市町村等における危険又は有害な状況にあるマンションの的確な把握のため、一級建築士、マンション管理士等の活用を明記すべきである。また、公的主体による事業代行など事業継続のための制度確立、また、民間事業者の参入の配慮が必要ではないか。
(国土交通省の考え方)
 第一において、専門家の活用について統一的に記述します。本勧告制度は、あくまでも自助努力による建替えを促すものであって絶対的完遂までを求めておらず、したがって、公的主体による事業代行制度は設けることは考えていません。なお、民間事業者の活用に関しては、第三―2−イにおいて、参加組合員の制度の普及等について記述しています。

(頂いた御意見)
 マンションに対して財政的な支援まで行うのならば、マンションに関する情報の届出義務を課す等、マンションストック情報の集積を容易にするための仕組みを円滑化法上に取り入れることが必要ではないか。
(国土交通省の考え方)
 危険又は有害な状況にあるマンション建替え勧告のために、区分所有者等に対しマンション情報の届出義務を課すことは過大な規制であると考えており、法で一律にそれを定めることは好ましくないものと考えます。

(頂いた御意見)
 データベースを作らずとも、危険又は有害な状況にあるマンションならば地域の行政担当者が容易に把握できるのではないか。データベースを作る意義が理解できない。
(国土交通省の考え方)
 地方公共団体において、マンションが危険又は有害な建築後経過年数とともに老朽化が進み危険又は有害な状況に至ると考えられるため、少なくともマンションの所在、建築年、戸数を一覧できるリストを備えておくことは必要なことと認識しております。

(頂いた御意見)
 危険又は有害の概念がデータベースの中でどのように選択表現されるのか気になる。やはり技術的な基準ないしガイダンスが必要と考える。
(国土交通省の考え方)
 勧告対象となる危険又は有害な状況にあるマンションの基準は、国土交通省令で定めることとしております。

 【2 区分所有者等が取り組むべき事項】

(頂いた御意見)
 勧告の要請は、区分所有者の大多数の合意に基づき、当該マンションが勧告の基準を満たしていることの蓋然性を示す資料を添付して行う仕組みとし、制度の濫用を防止すべきである。また、市町村が勧告の基準を満たすか判断するための国庫補助制度の創設を検討してもらいたい。
(国土交通省の考え方)
 資料の添付、区分所有者の多数の合意などの要件を課すことは、過大な規制となるものと考えますが、勧告のため必要な資料の提出を求めることは可能と考えます。なお、市町村が勧告の基準を満たすかどうかの判断は、市町村の本来事務であり、それに対する国庫補助制度の創設は基本的に困難と考えます。

(頂いた御意見)
 市町村長が実施する立入検査については、区分所有者の協力が得られない場合に事務の円滑な遂行が困難になる惧れがあるため、「協力しなければならない。」とすべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、ロにおいて「協力しなければならない。」に修文します。

(頂いた御意見)
 建替え勧告の運用にあたっての、市町村長の運用の基準を示すとともに、基準においては当該マンションの物理的な状況に加え、居住者の合意形成に関する状況を総合的に勘案する方向性を示してもらいたい。
(国土交通省の考え方)
 地方公共団体等に向けた通知において、地方公共団体の留意事項について明示することを予定しています。

<第七 その他マンションの建替えの円滑化等に関する重要事項>

(頂いた御意見)
 従来、建替え決議後に訴訟等が起ると,管理組合が実質上、管理放棄するケースが少なくなかった。区分所有法では,区分所有建物が存続している間は、区分所有者には建物を保存していくことが義務付けられているが、実際には守られていない。そこで,この基本方針の中に建替え決議後であっても、区分所有建物が存続する限り、管理組合は建物の管理を継続する義務を負っていることを明記すべきである。
(国土交通省の考え方)
 管理組合が管理対象とする区分所有建物が存続する限り、適正に管理すべきものであることは自明であるため、特記を要しないと考えます。

(頂いた御意見)
 不法占拠、新たな権利設定等に対する法的対抗手段の設定が容易に行える制度の制定が必要と考える。また、管理組合財産のマンション建替組合への引継ぎに関して、不参加者への返還手続き等の指針を作成すべきである。
(国土交通省の考え方)
 マンション建替え円滑化法にあっては、権利変換手続開始の登記により、施行者の承認なくして権利の処分等ができないこととなりますが、不法占拠については、組合等においてルールを決め未然に防止する措置が別途必要となるとともに、その解決は、民事執行等の民事上の手続きに従って行うべきものと考えます。なお、管理組合財産のマンション建替組合への引継ぎに係る留意点等については、第二―2−ハに基づき国土交通省が作成する合意形成の進め方に関する指針(マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル)において示すこととしています。

(頂いた御意見)
 再建マンションの管理規約の作成に衡平を期すためマンション管理士が関与することを記述すべきである。
(国土交通省の考え方)
 ご趣旨を踏まえ、作成される管理規約の適正さを担保するため、ハを2施行者等が取り組むべき事項のイとして、「標準管理規約を参考にしつつ」を加筆します。

(頂いた御意見)
 「リサイクル材の使用に努める」の記述を本法に盛込むことの必要性があるのか疑問であり、削除すべきである。
(国土交通省の考え方)
 組合等は、建設リサイクル法の「発注者」にあたり、同法第6条の責務規定の適用を受けた配慮事項として必要なものです。

(頂いた御意見)
 建替準備作業には、調査設計その他の費用がかかり、これを管理組合の支出対象と建替え組合の支出対象とを区別すべきである。
(国土交通省の考え方)
 建替えのための準備作業については、マンション建替組合が設立されるまでは、管理組合の負担により行い、マンション建替組合設立後はマンション建替組合が担うのが一般的な形態と考えられ、それまでに管理組合が支出した額はマンション建替組合に承継する形をとることとなると思われます。一方、管理組合は、マンションを除却するまでの間、適正な管理を行う義務が求められます。

(頂いた御意見)
 販売会社等マンションに関わる構成者を広く網羅し、そのそれぞれについて言及する必要がある。特に、円滑化促進の名目に隠れて、企業の営利追求の契機とならぬよう、配慮が必要と考える。
(国土交通省の考え方)
 基本方針は、マンションの円滑化等のための基本的な事項を定めるものであり、第一において、マンションの区分所有者等建替え関係者は、適切な役割分担のもとで建替えの円滑化に努める趣旨の記述を行った上で、区分所有者等の建替え当事者と国及び地方公共団体との対比においてその取り組むべき事項を整理したものです。

 【2 国及び地方公共団体が取り組むべき事項】(3に繰り下げ)

(頂いた御意見)
 民間事業者を参加組合員等として選定する手続きに関して、公正とみなせる基準を明確にした選定手続きを指針として具体的に示すべきである。また地方公共団体が管理組合等に対して指導又は助言を行う必要性を明記した意図は何か教えて欲しい。
(国土交通省の考え方)
 「手続きが公正に行われ」ているか否かは、区分所有者が集会における決議により、一定の競争原理を取り入れた選定ルールを定める等、公明正大な手続きにより民間事業者を選定しているかどうかによって判断されるものと考えます。第二―2―ハに基づき国土交通省が作成する合意形成の進め方に関する指針(マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル)において例示したいと考えています。

(頂いた御意見)
 「助言を行わなければならない。」という表現は義務的であり、「助言を行うよう努めることとする。」という記述に変更すべきである。
(国土交通省の考え方)
 区分所有者が、集会における決議により、一定の競争原理を取り入れた選定ルールを定める等、公明正大な手続きにより民間事業者を参加組合員等として、選定しているかどうかによって判断されるものと考えます。その場合において、地方公共団体による助言は必要不可欠であると考えます。

(頂いた御意見)
 建替えに伴う紛争処理に関して、マンション管理センター等に紛争の調停機関を設置すべきである。
(国土交通省の考え方)
 今後の紛争の状況、内容を勘案しつつ、その必要性を判断したいと考えます。

<その他>

(頂いた御意見)
 各事項において、主体(主語)を明記するとともに、語尾の統一又は整合をとるべきである。
(国土交通省の考え方)
 見出しどおりに、区分所有者等の建替え当事者に関する事項又は国及び地方公共団体が共に関与する事項については主語を省略しての記述としたものですが、語尾の表現も含めて統一がとれていない部分もありましたので、今一度見直しを行い、必要な修正等をさせていただくこととします。


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