国土交通省
 道路運送車両の保安基準等の一部改正に係る
 パブリックコメントの募集結果について
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平成14年3月27日
<連絡先>
自動車交通局技術安全部
技術企画課(内線42255)
審査課(内線42313)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成14年1月22日から2月20日までの期間において、ハイマウントストップランプ(補助制動灯)などに係る道路運送車両の保安基準等の一部改正について意見募集を行いました。
今般予定している道路運送車両の保安基準等の一部改正は、自動車の安全確保に関する国際的な整合性を図るため、「車両等の型式認定相互承認協定(略称)」に基づく相互承認対象装置に以下の装置等を追加することに伴うものです。

  1. ドアロック及びドア保持装置(協定規則第11号)
  2. 座席及び座席取付装置等(協定規則第17号)
  3. 頭部後傾抑止装置(協定規則第25号)
  4. 灯火器の取付け(協定規則第48号)
    • 乗用自動車へのハイマウントストップランプ(補助制動灯)の義務付け
  5. 突入防止装置(協定規則第58号)
    • 貨物自動車用突入防止装置の義務付け対象車種を車両総重量3.5トン以上の貨物自動車に拡大
 その結果、17通の御意見を頂きました。その内訳は以下のとおりです。
意見内訳

 頂いた御意見につきましては、内容を整理し、これに対する国土交通省の考え方を取りまとめましたので公表します。
 国土交通省では、頂いた御意見を踏まえ、道路運送車両の保安基準等の一部改正を近日中に行う予定です。


道路運送車両の保安基準等の一部改正に係る意見と
それに対する国土交通省の考え方

  1. ドアロック及びドア保持装置(協定規則第11号)に関する意見

    (頂いた御意見)
     御意見はありませんでした。

  2. 座席及び座席取付装置等(協定規則第17号)に関する意見

    (頂いた御意見)
     並行輸入品の座席の場合、座席の強度等に問題がないにもかかわらず車検にパスしないものもあると聞くがどうなのか。(1件) (国土交通省の考え方)
     座席については、指定自動車等に備えられている座席(頭部後傾抑止装置を含む。)及び座席取付装置と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた座席及び座席取付装置であって、その機能、強度を損なうおそれのある損傷のないものは、座席取付装置及びシートバック衝撃吸収要件の基準に適合する例としています。

  3. 頭部後傾抑止装置(協定規則第25号)に関する意見

    (頂いた御意見)
     使用過程車には適用せずに、新車にのみ適用されたい。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     使用過程車に装着する場合の使用者への負担及び実効性の観点から、頭部後傾抑止装置の義務付けは新車にのみ適用することとしています。

    (頂いた御意見)
     協定規則25号の規定には、乗用自動車の座席が協定規則17号に適合している場合、協定規則25号の取得を除外するとしているが、国内でもこの取扱いについて整合が図られると理解してよいか。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     国内における取扱いについても整合することとしています。 

  4. 灯火器の取付け(協定規則第48号)に関する意見

    1. ハイマウントストップランプ(補助制動等関係)
      (頂いた御意見)
      • ハイマウントストップランプの義務付けに賛成(補助制動灯は、今や「標準装備」と言え非装着車が埋没してしまい危険である。(1件)
      • ハイマウウントストップランプの義務付けに反対(ユーザーの選択肢を奪い、後方視界の阻害するなど必要性が明確でない)。(1件)
      • 中央一点点灯は距離感がつかめず危険であるため、左右一対の設置を望みたい。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       昭和61年よりハイマウントストップランプの自動車後面中央部への装着を義務付けている米国では、義務付けにより追突事故が4.3%減少したとされています。また、欧州でも平成8年から乗用自動車に義務付けています。
       我が国においては、追突事故が車両相互の事故の3割以上を占めており、また、その数が近年急増していることから、全ての乗用車にハイマウントストップランプを義務付けることは、追突事故の低減を図るため急務であると考えています。
       取付個数については、ハイマウントストップランプの照射光線が他の交通に眩惑を与えることがないよう、自動車の構造上後面中央部へ装着できないものを除き1個でなければならないとしています。

    2. 灯光の色
      (頂いた御意見)
      • 前照灯の色を白色に限定することは、ユーザー及び部品メーカーを圧迫する。規制するのであれば十分な周知期間と相当の猶予期間を似て対応すべき。(1件)
      • 米国車には橙色の灯火が多々あるため、車幅灯を白色に限定した場合、北米車の排除につながりかねない。白色に制限するのであれば、十分な周知期間と相当の猶予期間を似て対応すべき。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       灯光の色に係る基準は新車にのみ適用されることとなり、義務付けにあたっては十分なリードタイムを設けることとしています。

      (頂いた御意見)

      • 前照灯の灯光の色は、道路状況により黄色光のほうが白色光より視認性が優れている場合があるので安全面から選択できるようにすべき。(1件)
      • 車幅灯の灯光の色は、現行の基準(白、淡黄色、橙色)を改正しなくても不都合はないのでは。(1件)
      • 特殊自動車の車幅灯は汎用品の方向指示器と一体化されている装置を使用しているため、橙色の灯光を認めてもらいたい。(3件)
      (国土交通省の考え方)
       前照灯及び車幅灯の灯光の色については、自動車の前面の灯光の色を白色に統一するという国連の自動車基準調和世界フォーラムの灯火器専門分科会における方針に沿ったものであり、方向指示器の灯光の色(橙色)と明確に区分し被視認性の確保を図るものです。

    3. 灯火器の取付位置等
      (頂いた御意見)
      • 「灯火器の取り付け」については、対象自動車を明確にし、特殊自動車への適用を除外すべき。(1件)
      • 特殊自動車には前照灯及び前部霧灯の取付高さ要件及び視認要件を適用除外とすべき。(5件)
      • 特殊自動車には車幅灯の取り付け高さ要件を現行のままとすべき。(4件)
      (国土交通省の考え方)
       大型特殊自動車(ポール・トレーラを除く。)及び小型特殊自動車については、その車体形状や使用形態の特殊性を考慮し、必要に応じて協定規則第48号で規定されている灯火装置に係る取付高さ及び視認範囲要件の適用を除外する予定です。

    4. その他
      (頂いた御意見)
      • 前照灯照射方向調節装置は米国車には採用されていないため、強制要件とした場合、米国車を排除することとなるので任意要件とすべき。(1件)
      • 後部霧灯を強制適用すると米国車を排除することとなるため、任意要件とすべき。(1件)
      • 側方照射灯(コーナリングランプ)は従来とおりの任意要件とすべき。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       前照灯照射方向調節装置、後部霧灯及び側方照射灯(コーナリングランプ)の備え付けは、これまでどおり任意要件とします。
       ただし、すれ違い用前照灯の照射方向に係る要件については協定規則第48号に整合することとします。

      (頂いた御意見)
       前部霧灯の点灯表示装置は、米国車には装着されていない車両が存在するため、強制要件となった場合は自動車製作者等に改善等の負担を強いることとなるため、任意要件とすべき。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       協定規則48号に規定する前部霧灯の点灯表示装置は、不必要な点灯や消し忘れ等による対向車への眩惑を防止することを目的としたものであることから、我が国では義務付けることとします。
       なお、本要件は新車にのみ適用されることとなり、義務付けにあたっては十分なリードタイムを設けることとしています。

      (頂いた御意見)
       今回の採択に伴い番号灯の基準は変更となるのか。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       番号灯に係る要件については、従来と何ら変更はありません。

      (頂いた御意見)
       ガス・ディスチャージ式前照灯への前照灯洗浄装置を義務付けるのか。また、前照灯の昼間点灯要件についても義務付けるのか。(1件)
      (国土交通省の考え方)
       前照灯洗浄装置の備え付けは、これまでどおり任意要件とします。
       また、前照灯の昼間点灯要件は、既に義務付けられている二輪自動車の有目性が相対的に低下するおそれがあることから、二輪自動車以外の自動車への義務付けは行わないこととしています。

  5. 突入防止装置(協定規則第58号)に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 事故時の被害拡大防止のため、義務付けは賛成である。効果的な潜り込み防止装置であることが望まれる。(1件)
    • 装置を取り付けることによる事故防止上の効果が明らかになっていない。(3件)
    (国土交通省の考え方)
     運輸技術審議会答申に基づき設置されている車両安全対策総合検討会における検討結果では、後部突入防止装置を3.5トン超え7トン以下の貨物自動車に装着した場合、当該車両への乗用車のもぐり込み事故の死者低減効果割合は33%と大きな効果が期待できることから、車両総重量3.5トン以上の貨物自動車への潜り込み防止装置の義務付けを行い、具体的な構造基準を定めることとしています。

    (頂いた御意見)
     自動車によっては突入防止装置を取り付けることにより、作業効率が著しく損なわれることがあるため、備え付け要件の取付高さを考慮されたい。(5件)
    (国土交通省の考え方)
     突入防止装置の取付高さについては、当該装置と同等の潜り込み防止性能を有する構造について明確化を図り、適用除外とする車両の構造・用途等について整理します。

    (頂いた御意見)

    • 使用過程車には適用せずに、新車にのみ適用されたい。(3件)
    • 装置取付にあたっては費用軽減について考慮していただきたい。(2件)
    • 受益者負担の原則から考えて、使用過程車への装置取付費用をユーザーに課すのは不当である。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     使用過程車に装着する場合の使用者への負担及び実効性の観点から、突入防止装置の義務付けは新車にのみ適用されることとなります。また、義務付けにあたっては十分なリードタイムを設けることとします。

    (頂いた御意見)
     後面の自動車登録番号標を突入防止装置を利用して故意に見えにくくする状況も一部には見られることから、これらの行為防止の手段を取られたい。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     突入防止装置の義務付けは新車にのみ適用され、これらは新規検査等を受けることとなりますので、不正な装着が行われないと考えております。

    (頂いた御意見)
     突入防止装置の義務付けは車両総重量で規定するのではなく、車両の許容軸重で規定すべき。車両総重量が3.5トンを超える可能性のある貨物自動車は、自動車メーカーが標準で突入防止装置を備えることとなるため、標準車に架装物を取付けた場合でも費用負担が軽減できる。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     本基準の適用範囲を許容軸重3.5トン以上の貨物自動車とした場合、許容軸重3.5トンを若干上回る車両総重量 3.5トン以下の貨物自動車についても同基準が適用されることとなり、これら自動車のユーザーにとっては過剰な経費負担を負わなければならないこととなります。従って、基準の適用は車両総重量により区分することが適切と考えております。

  6. UN−ECE規則の採択に関する意見

    (頂いた御意見)  UN−ECE規則を、最大限多数、早期に採択することを要望する。(1件)
    (国土交通省の考え方)
     今後の採択にあたっては、日本の安全・環境基準を低下させないことを前提として、国内外からの要望や、相互承認・基準調和による経済的効果等を考慮し、優先度の高いものから採択を行うこととしています。


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