国土交通省
 「自動車リコール制度の改正試案」に関する意見募集の
 結果について
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平成14年3月14日
<連絡先>
自動車交通局技術安全部
管理課(内線42114)

電話:03-5253-8111(代表)


 

   国土交通省では、平成14年1月25日から平成14年2月14日までの期間において、「自動車リコール制度の改正試案」に関する御意見の募集を行いました。その結果、397件の御意見を頂きました。
 頂いた御意見の概要及び国土交通省の考え方を下記のとおりまとめましたので、公表いたします。


「自動車リコール制度の改正試案」に係る
頂いた御意見とそれに対する国土交通省の考え方

  1. リコール制度全般に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 不具合が発生した場合には、メーカーが迅速な対応を図ることが重要であり、リコール制度の整備は必要(2件)
    • リコール制度の強化は、安全で健全な社会環境が定着し消費者の信頼関係がより深まる社会が創生されることから、重要なこと(1件)
    • 欧米並かそれ以上のリコール制度の改正を希望(1件) 等
    (国土交通省の考え方)
     ご意見のとおり、今回のリコール制度改正により自動車の安全確保及びユーザー保護が強化されるものと考えています。

  2. リコール命令及び罰則に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 現状のリコール制度の中で、メーカー関係者による不適切な事例が一部で認められた以上、法的な強制力をもって実施を求めることや罰則の制定によるけん制は必要(9件)
    • 命令や罰則の行政裁量の幅が大きすぎる(8件)
    • リコールの命令を出せる規定は必要。命令が手遅れになる可能性があるため、リコール届出が適切に行われていない場合の罰則強化に更なる重点を置いたものにすべき。意図的なリコール隠しには断固たる処罰を望む(5件)
    • リコール命令に異議がある場合の手続きを明確にして欲しい(3件)
    • 罰則の詳細な内容が不明確(2件)
    • 罰則強化は長い目で見てわが国企業のグローバル化に良い効果をもたらす(1件)
    • 産業活動に規制を加えるべきではない(1件)
    • 装置メーカーは中小企業が多いことも考慮して、罰則の内容を決めるべき(1件)
    • 輸入車や輸入製品の場合、本国で同じ不具合が確認されないとリコールの実施は難しいので、本国メーカーに対する命令権についても考慮すべき(1件)
    (国土交通省の考え方)
     近年、自動車のリコールに関する不正事案が相次いで発生し、自動車の安全性や自動車に対するユーザーの信頼を揺るがす社会問題を招いたところです。このため、リコール命令の創設及び罰則強化を図り、リコール制度の確実な実施を図ることとしています。
     罰則については、リコールに関する虚偽報告(現行20万円以下の罰金)や密かにリコールを実施した場合(現行100万円以下の過料)の罰則を強化するとともに、リコール命令に従わなかった場合の罰則を新たに規定することとし、いずれの場合も、個人に対して懲役1年以下又は罰金300万円以下、法人に対して罰金2億円以下とします。
     命令に異議がある場合には他の行政処分と同じように不服審査の手続があります。また、輸入車や輸入後付装置については、輸入事業者に対して命令を行うことになります。

  3. 後付装置リコール制度の必要性に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 制度の導入は規制緩和の流れに逆行(43件)
    • 本制度は、自動車の安全の確保及びユーザー保護のために不可欠である(36件)
    • 本制度は法制化の必要性に乏しい(34件)
    • 不具合が生じた後付装置については、自主回収等で十分に対応できている(32件)
    • 製品の安全性は製造物責任法で十分対応している(26件)
    • 制度の導入は、メーカーの責任の明確化であり適当(20件)
    • 諸外国とは検査制度等が異なるため、日本では後付装置リコール制度までは必要ない(17件)
    • 自分が所属する業界においては、後付装置リコール制度を必要とするような事故・欠陥の事例や、隠れて対策を行う等の不適切事例は発生していない(16件)
    • 大多数の装置メーカーの製作する製品は高品質で、業界基準やJIS規格により品質が保持されており、後付装置リコール制度を導入する必要はない(11件)
    • リコール制度を導入するのではなく、自由競争にゆだねるべきであり、粗悪な製品やそれを作る製作者は市場の中で淘汰される(9件)
    • 制度の導入は時期尚早である(8件)
    • 後付装置は車種を選ばず広範に販売されるものであり、リコール制度にはなじまない(6件)
    • 制度の導入により、ユーザーとメーカーの信頼関係が深まると考えられ、適当である(3件)
    • 安全性の確保の観点からは、リコール制度を実施するより、正しい使用・取付方法をユーザーに提供する事がむしろ重要(2件)
    • リコール制度を導入するのではなく、メーカーの品質向上策のバックアップを行うべき(2件)
    • 本制度は、製作者等に「良品を作らなければならない」という意識が再認識される制度であり、導入は良いことである(1件)
    • 装置メーカーは数千社あり、国によりすべてを監督することは困難(1件)
    (国土交通省の考え方)
     自動車台数の増加やユーザーニーズの多様化などを背景に、自動車の使用開始後にユーザー等が自由に取り付けたり交換したりするチャイルドシート、タイヤなどのいわゆる「後付装置」が多数流通し使用されているところですが、これらの後付装置については、現在、リコールの対象となっていません。このため、設計や製造に原因のある不具合が発生しても、その後の措置は、専ら装置メーカーの判断に委ねられており、仮に適切な改善措置がとられない場合には、ユーザーに不利益を及ぼすとともに、安全性等が確保できない事態が生じることが懸念されるところです。
     このため、「後付装置」が多数流通し使用されていることに対応して、後付装置を備えた自動車の安全確保及びユーザー保護を図るため、後付装置リコール制度が必要と考えています。
     なお、リコール制度は一定の範囲の装置に設計や製造に原因のある不具合が発生した場合、装置メーカーが事前に国に届け出た上で回収修理等を行うものです。
     また、リコール制度は事故の未然防止を目的とし、製造物責任法は事後救済を目的としており、これらは相互に補完し合うものであると理解しています。 

  4. 後付装置リコール制度の対象装置に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 後付装置リコール制度の対象装置の範囲を明確にすべき(54件)
    • 行政による一方的な対象装置の拡大を懸念(14件)
    • リコールの対象装置の決定の際には、不具合件数の統計等により、その必要性を明らかにするべき(5件)
    • タイヤやチャイルドシートをはじめ安全性に重大な影響を及ぼす後付装置についてもリコール制度の規定を適用すべき。米国においても後付装置について自動車と同じ規定がなされている(4件)
    • 後付装置をリコール対象とすべきことは諸外国の例からも明らか。対象は、タイヤ・チャイルドシートに限らず、全ての後付装置とすべき(2件)
    • 自動車メーカーが把握できない後付の安全に係わる重要な装置・部品は対象とするべき(1件)
    • 粒子状物質減少装置、酸化触媒等の後付装置についても対象とするべき(1件)
    • ブレーキを対象にするべき(1件)
    • 燃料、油脂を対象にするべき(1件)
    • 施行前に生産された製品については対象外として欲しい(1件)
    • 基準不適合のすべてをリコールの対象とするのではなく、安全上の重大な欠陥に対象をしぼるべき(1件)
    (国土交通省の考え方)
     後付装置リコール制度においては、自動車の装置のうち、自動車の購入後に主に一般ユーザーが自由に交換し又は取り付ける後付装置であり、その使用量が多いものと認められるものを対象として政令で定めることとしており、具体的には、タイヤ及びチャイルドシートを対象にすることを想定しています。
     また、対象の見直しにあたっては、事前に学識経験者、関係業界等からなる検討会を開催し、必要性や問題点等について十分に検討することとします。
     なお、法律の施行前に生産されたものも対象となります。

  5. 後付装置リコール制度の実施に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 自動車及び後付装置について、国(または第三者機関)の不具合情報の収集体制の強化が必要(7件)
    • ユーザーに対して、国が収集した不具合に関する情報を広く提供すべき(5件)
    • 車両不具合の分析を行う第三者機関の設置による車両の安全性向上が必要(5件)
    • 後付装置においては、現時点ではユーザーからの不具合情報をメーカーが収集する体制ができていない(5件)
    • 後付装置を購入し取り付けているユーザーをメーカーが把握できる制度をあわせて導入するべきである(5件)
    • 自動車及び後付装置について、製作者や販売店が保有するユーザーからのクレーム情報を国に対して報告することを義務付けるべき(3件)
    • 後付装置ユーザーを把握する制度を導入すると、プライバシーの問題があり後付装置の購入意欲が減少されるため適当ではない(2件)
    • 公布から施行までの期間は3年程度必要である(1件)
    (国土交通省の考え方)
     装置メーカーは、お客様相談窓口等の情報入手ルートや販売に係る情報提供ルートなど既存のルートを活用することにより、不具合情報の収集を行うことになります。
     一方、現在、国土交通省は、不具合情報ホットライン、ユーザー相談等不具合情報処理システムを活用して自動車に関する不具合情報の収集を行っており、後付装置に関しても、今後、これらのシステムの活用と充実を図るとともに、後付装置について分析を行い、メーカーに提供することとしています。また、収集した不具合の情報はホームページでの公表を行っていますが、これについても充実を図ってまいります。
     なお、後付装置ユーザーを把握する制度に関しては、予定しておりません。
     また、施行までには準備、周知等のため一定の期間が必要と考え、後付装置リコール制度については、法案において公布から施行まで1年半としています。

  6. 後付装置リコール制度の影響に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 制度の導入によりメーカーへの負担が大きくなり、その結果としてユーザー負担の増大につながる(63件)
    • 後付装置リコール制度は中小企業に与える影響が大きい(47件)
    • 制度の導入は純正部品に比べて優良部品が差別されるものである(34件)
    • 制度の導入はリサイクルの推進に逆行するおそれがある(8件)
    • 制度の導入は技術開発を阻害するおそれがある(2件)
    • 制度の導入は輸入障壁となるおそれがある(1件)
    (国土交通省の考え方)
     保安基準不適合が発生しない場合は製作者は何ら措置を講じる必要はありません。設計又は製作の過程にあると認める保安基準不適合によりリコールを実施することとなった場合には、適切な措置が講じられることは当然であるものの、国も関係情報の収集・提供等を実施することから、企業にとって過大な負担増加にはならないと認識しています。したがって、後付装置の価格上昇を招くことは考えにくく、他方、基準不適合装置の回収等が促進されることになるので、ユーザーのメリットは増加するものと考えています。なお、基準適合性に関して、純正か否かで差を設けてはいません。
     また、後付装置リコール制度の導入は、開発や品質管理に反映されることで、製品の品質向上にもつながることが期待されます。このことから、技術開発の進展やリサイクルの推進に対しても、むしろ資するものと考えています。
     なお、内外無差別ですので、輸入障壁となるものではありません。

  7. 後付装置リコールの運用等に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 後付装置の不具合は使用法や装着法が原因である場合も多く、リコールの判断が困難(64件)
    • 後付装置リコール制度の詳細が不明確(63件)
    • 保安基準が不明確であるので、リコールの判断が不明確になる(23件)
    • 後付装置リコール制度の導入によりメーカーに課される内容が不明確(15件)
    • リコール届出情報のユーザーへの通知方法が不明確(4件)
    • 現場においては、製造の管理履歴が十分ではなく、リコール対象となる製品の範囲を特定することは困難(1件)
    (国土交通省の考え方)
     これまで、制度の詳細及びその運用に関して関係者等に説明し、意見の交換を行ってきました。
     今後、後付装置リコール制度の対象とする装置を政令で定める際には、次の点について、関係者等の理解を得るため十分に議論し、予めその内容を明らかにします。
     後付装置リコール制度の対象とする装置毎に、その装置についてリコールを実施するか否かを製作者等が判断するために必要な基準を、保安基準において、定量的、客観的、網羅的に明記します。その際、他の装置等の基準との切り分けに配慮します。なお、判断をさらに容易にするための、事例等を記載した指針を策定します。
     また、製作者等がリコールを実施する際に行うべき改善措置の内容と手続き、ユーザーへの周知方法、実施状況の報告等について、国土交通省がこれを不十分として勧告や指示を行う場合の基準を含めて、後付装置リコール制度の対象とする装置毎に客観的で網羅的な実施要領を策定し、公表します。
     なお、リコールには該当しないものの、商品性向上の観点から製作者等が任意に市場で措置を行う場合について、その届出は義務付けではありませんが、今後、製作者等が求めるときの取扱いについて検討します。

  8. 後付装置リコール制度の効果に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 後付装置リコール制度は実効性が低い(84件)
    • ユーザーが後付装置の品番等を把握するのは難しく、新聞等での告知のみではリコールに該当しているかどうかユーザーが判断できない(6件)
    (国土交通省の考え方)
     実効性については、リコール制度の導入によりユーザーに対して国等から確実に情報が公表されることにより、現在の自主回収に比して回収等が促進され、効果が上がるものと考えます。

  9. 関係業界との意見交換等に関する意見

    (頂いた御意見)

    • 後付装置リコールの導入について業界との意見交換が不十分(67件)
    • パブリックコメントの意見募集期間が短い(4件)
    (国土交通省の考え方)
     後付装置リコール制度の導入が早急に必要なため、昨年10月より国土交通省としてのべ50回以上関係業界と意見交換し、また、説明会を開催してきたところです。さらに、パブリックコメントも募集し、ユーザーや業界関係者の意見もいただいています。こうした方法によりいただいた意見を踏まえて制度の内容を検討していますが、円滑な実施に向けてさらに丁寧な説明を心がけます。

  10. その他の意見

    (頂いた御意見)

    • 道路運送車両法を含めた保安規制全体の体系を見直すべき(14件)
    • 粗悪な後付装置の排除のためにリコール制度ではなく別の規制を設けるべき(2件)
    (国土交通省の考え方)
     道路運送車両法等については、今回の改正も含めこれまでも、適時・適切に改正を行っていますが、今後も必要に応じて適切な見直しを行います。


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