国土交通省
 移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造
 及び設備に関する基準の一部改正に関する御意見の
 募集結果について
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平成14年10月16日
<連絡先>
総合政策局
  交通消費者行政課
(内線25504、25518)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成14年4月30日から5月29日までの期間において、移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(移動円滑化基準)の一部改正に関する御意見の募集を行いました。また、同期間、交通エコロジー・モビリティ財団において、旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン案に関するパブリックコメントの募集を行いました。これらの結果、合計で126件のご意見を頂きました。
 これら頂いたご意見を踏まえ、一部案を修正の上ガイドラインを策定いたしました。

 頂いたご意見の内容につきましては、本基準及び本ガイドラインに直接的に関係しないものも含め、案件・内容ごとに適宜集約させていただき、これに対する国土交通省の考え方を別添のとおりまとめましたので、公表いたします。
 なお、今回国土交通省に寄せられたご意見のうち、旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン案に関する内容のご意見については、旅客施設における音による移動支援方策ガイドラインの項にて考え方をまとめさせていただいております。

 今回は多数の貴重なご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございました。今回直接基準及びガイドラインに反映することができなかったご意見についても、今後の交通バリアフリー施策の推進に当たって、参考にさせていただきたいと考えております。

※「旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン」の内容については、交通エコロジー・モビリティ財団のホームページ(http://www.ecomo.or.jp/)において公表する予定です(一部抜粋)。また、同ホームページにおいても、ガイドラインに寄せられたご意見とそれに対する考え方を掲載する予定です。


パブリックコメントの概要

 

 移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準の一部改正及び旅客施設における音による移動支援方策ガイドラインの原案について行ったパブリックコメントの結果の概要は、以下の通りである。


パブリックコメントを受けたガイドラインの主な修正点

 

  1.  エスカレーターにおいては、進入不可能なことを知らせる音響または音声案内、自動運転エスカレーターにおいては、運転停止中においても音声案内を行うこと、乗り口端部にスピーカーが内蔵されたエスカレーターであればなお望ましいことを追加する。

  2.  鉄軌道駅のプラットホーム上の階段においては、音響信号の案内音とは区別することを追加する。

  3.  音案内を行う際の基礎知識として、視覚障害者の特性、繰り返し周期、再生周波数帯域、音量、維持管理に関して追加する。


移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する
基準の一部改正に関する御意見とそれに対する国土交通省の考え方

1.移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(移動円滑化基準)の一部改正について

全般

(頂いた御意見)

音案内に係る音色等の統一が必要
 移動円滑化については、音色、表示方法、色彩、形の全国統一が必要と考える。改正の概要にある音によるだけでなく、音色の全国統一をすべきである。他にも、ホームでの非常押しボタンの設置を示す表示、優先席表示(優先席なのか優先座席なのかも含め)等は、電鉄各社でまちまちであり、すべて全国統一すべきである。
(国土交通省の考え方)
 旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン(以下、本ガイドライン)では、場所毎の音響・音声案内について、音の内容により判別できるものとして、標準例を示している。具体的な音色などの設定については、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」を参考とし、個別の空間条件に応じて、個々の駅で検討されるものと考えられる。表示方法、色彩などについては、平成13年8月に作成された「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン(以下、整備ガイドライン)」に示されているため、そちらを参照されたい。

(頂いた御意見)
地下鉄駅構内では、様々な音が氾濫している状態であり、音声、音響装置を設置することは混乱を招く。改正に反対するとともに、携帯端末を用いた誘導システムを導入すべき
 駅における誘導システムとして常時における音声及び音響案内装置は設置していない。過去に駅出入口に音響案内装置を設置していたことがあるが、すぐに附近住民より、生活権の侵害、精神的苦痛等、強烈な苦情が多数寄せられ、協議に苦慮し、結果として装置の撤去を行った事例がある。したがって視覚障害者団体の要望に対しても下記理由により現状での理解をお願いしているところである。これは、ここ数年の内には、利用者が端末を持ち歩き、利用者のリクエストに応じて音による誘導案内が行える「端末を用いた誘導システム方式」が全国的に規格統一化される事と考えているからである。従って、今回の改正においては、抜本的な解決には至らず、視覚障害者や附近住民に混乱と苦痛を与えるだけであるため、改正に反対するとともに、一刻も早い「端末を用いた誘導システム方式」の規格統一化の実現に向けての検討をお願いする。
 地下鉄駅構内では、列車自身の運転音をはじめ、警笛、発車予告ブザー、エスカレーターの反対側乗り入れを防止する警告ブザー、券売機の案内音・警告音、集改札機の異常時チャイム等様々の電子音を使用しているほか、列車接近・到着・出発、終電車の案内及び危険防止、マナーアップの呼びかけ並びに音楽によるBGM等の放送など、多くの音声が常に流れている状態である。このような状況下で、改札口、トイレ、階段、エスカレーター等近接した駅レイアウトの中で、その位置を誘導する音声、音響装置を設置することは、音の反響音、輻輳による喧噪化をもたらし、かえって混乱を招くこと必至であるため、常時による音声及び音響案内の設置を義務化することは拙速であり、一刻も早い「端末を用いた誘導システム方式」の規格統一化の実現に向けての検討をお願いしたい。
(国土交通省の考え方)
 現行の移動円滑化基準における「点字による案内板その他の設備」は、音声、触知図等による案内を含めた概念であり、今般の移動円滑化基準の改正については、「旅客施設における音による移動支援方策に関する研究会」(以下、本研究会)におけるヒアリング調査により、改めて視覚障害者の旅客施設内での音案内に対するニーズが高く、視覚障害者に対する案内の方法として、各施設付近での音による案内も有効であることが明らかになったことから、視覚障害者に案内を行う設備の例示として「音による案内を行う設備」を明記するものである。
 携帯端末については本研究会において既存システムの実地調査、議論を重ねた。しかし、「5.あとがき」に示すとおり、「1現状では特定の方式へ統一を行えるほど絶対的に優位な方式はないこと、2不特定多数の利用者が利用する場合、誰もが利用できる案内方式が望まれていること、などから統一的な方式を示すには至らなかった。」一方、本ガイドラインで示している内容は、視覚障害者のニーズに基づいて、個々の場所における案内の内容をまとめたものであり、本ガイドラインで示す音案内が設置されることにより、端末を用いなくとも、視覚障害者のニーズに十分対応できるものとなっている。
 確かに、現在、各方式の端末の統一化も検討されていることから、今後の技術開発動向、製品の普及動向、端末の統一化への検討動向を見定めることとしたい。
 なお、本ガイドラインは、端末を用いた方式を否定するものではなく、いくつかの方式について参考事例として紹介している。
 また、旅客施設での多様な音については、本ガイドライン「参考10.音案内を行う際の基礎知識」において、「不必要な騒音や音楽を排除した上で、確定的な音情報を人工的に配置することが望ましい」と記述しているところである。

点字による案内板との関係について

(頂いた御意見)

点字による案内板より音による案内を優先すべき
 駅出入り口付近、トイレ出入り口付近の案内板設置に関して、どちらも「無いよりはあった方が良い」と思う程度である。トイレについて最も必要な案内項目は、男女の別と水洗トイレの水の流し方だけである。従って、触知板による案内の必要性はあまり感ず、「音(声を含む)による案内」の方を優先させるべきである。案内板に触れ触覚で設備の配置等の情報を得るには、指や手で捕らえたピンポイント的な情報を頭の中で合成していかなければならず、想像以上に時間がかかる。外出前に職場や自宅で調べるのには適しているが、移動中の場合は能率的でない。
 また、点字による案内板がどこに設置されているかを、視覚障害者に知らせる手段が検討されていない。離れた位置から案内板を探す場合、晴眼者が目で見て探すように、視覚障害者は音情報を聞き分けて探す。案内板がここだと音で知らせるくらいなら、音(声を含む)で案内した方が無駄がない。
(国土交通省の考え方)
 本研究会におけるヒアリング調査により、改めて視覚障害者の旅客施設内での音案内に対するニーズが高く、視覚障害者に対する案内の方法として、各施設付近での音による案内も有効であることが明らかになったことから、移動円滑化基準についても、視覚障害者に案内を行う設備の例示として「音による案内を行う設備」を明記するよう、改正を行う。

※なお、今回国土交通省に寄せられたご意見のうち、旅客施設における音による移動支援方策ガイドラインに関する内容のご意見については、2.旅客施設における音による移動支援方策ガイドラインの項にて考え方をまとめさせていただいております。

2.旅客施設における音による移動支援方策ガイドラインについて

研究会名簿

(頂いた御意見)

音響と音環境、音環境と視覚障害の関係について詳しい専門家を委員に入れるべき
 名簿を見た限りでは、旅客システムの関係者や専門家、視覚障害者や視覚障害者施設の関係者、および視覚障害についての専門家が招聘されているが、音響や音環境、ひいては音環境と視覚障害の関係に明るい委員が不在と感じられる。現在の委員構成について、視覚障害者に対する音案内や音誘導の必要性や有用性、設置する際の企業側と障害者側の意見は考慮できると思われるが、実際に設置する場合の条件や影響について、考慮や総合的な調査が重視されないのではないかと危惧される。一部の音響信号機のように騒音公害の火種とならないようにするためにも、音環境と視覚障害者に明るい人員を委員として招聘し、その上で、広範囲で総合的な実地調査を行ってからガイドラインを公表するよう要望する。
(国土交通省の考え方)
 委員については、視覚障害者、視覚障害に詳しい学識経験者、視覚障害者の音環境認知に詳しい専門家などで構成され、WGなどで十分に議論し、ガイドラインの作成に至っている。音案内設置にあたっての条件などについては、視覚障害者の音環境認知に詳しい専門家を中心に、設置上の配慮事項として「参考10.音案内を行う際の基礎知識」に記述している。

1.音による移動支援方策研究会報告書

全般

(頂いた御意見)

音案内に係る音色等の統一が必要(再掲)
 移動円滑化については、音色、表示方法、色彩、形の全国統一が必要と考える。改正の概要にある音によるだけでなく、音色の全国統一をすべきである。他にも、ホームでの非常押しボタンの設置を示す表示、優先席表示(優先席なのか優先座席なのかも含め)等は、電鉄各社でまちまちであり、すべて全国統一すべきである。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインでは、場所毎の音響・音声案内について、音の内容により判別できるものとして、標準例を示している。具体的な音色などの設定については、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」を参考とし、個別の空間条件に応じて、個々の駅で検討されるものと考えられる。表示方法、色彩などについては、平成13年8月に作成された「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン(整備ガイドライン)」に示されているため、そちらを参照されたい。

(頂いた御意見)
音声案内をする際にも視覚情報が必要
  •  ガイドラインは弱視者をあまり配慮していない。音声案内をする場合必ず視覚情報も合わせて行うよう明記すること。視覚情報は目の高さまたは近づいて見ることができる位置に表示することを明記。
  •  色弱等の視覚障害者に対しては、光(キセノン灯、カメラのフラッシュのような光源)も有効な手段になるのではないか。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインにおける音案内に相当する視覚表示設備については、整備ガイドラインで、内容、表示方式、表示例などについて示している。

(頂いた御意見)
白杖による移動安全確保の条件整備が必要
 白杖による単独歩行を支援する条件が整っていないために歩行者が少ない。その結果が白杖歩行や視力障害者に対する理解促進を妨げている。こうした悪循環をたたなければ歩行の問題は基本的には解決しないと考えている(介助されている場合は一般の人々は関心を持たない)。また、経験を生かした歩行については、白杖歩行はほとんどの場合経験歩行であり、経験のないところを歩くには介助者や支援者を伴っている。従ってはじめてのところを歩行することは極めて稀である。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインで示されている音案内が設置されることにより、単独で歩行する視覚障害者の移動の支援につながるものと考えている。

(頂いた御意見)
誘導ブロック等視覚障害者支援施設設備の統一の必要
 誘導ブロックをはじめ各種の支援設備が設置者や発案者によってまちまちであり、そのことが歩行者に過大な負担を強いている。駅ではこうなっているが一歩外で出れば違う方式のものが使われている。自動改札機などのように機種や製造会社による形の差がほとんどない例は他にはあまり見られない。そのために白杖歩行者は場所による違いを綿密に記憶していなければならない。統一さえあればこの問題は解消し歩行指導も容易になり歩行者の数も増加するはずである。
(国土交通省の考え方)
 視覚障害者誘導用ブロックについては、JISにおいて形状の統一が図られたところであり、今後統一的な形状の視覚障害者誘導用ブロックが敷設されていくと考える。

(頂いた御意見)
他の目的に設置されている音声案内を(音源位置を決めて)利用すべき
 音源の発生位置を決めてあればそれを手がかりにすることができる。例えば「駅構内は禁煙です」といった常時流しているアナウンスが階段の登り口や降り口の上から流れていることになれば、それにより階段の位置を知ることができる。このように他の目的に設置されている設備を白杖歩行者は聞き分けて、手がかりにしている。この点を応用することにより視覚障害者だけのための設備を用意するよりも効率的であり、経費もかからないということになる。

(頂いた御意見)
 旅客施設構内における、様々な案内放送は、目的に応じて音源設置位置も異なっている。なお、本ガイドラインにおいては、視覚障害者の移動を支援することを目的としているが、既存の製品を活用すること、視覚障害者以外の利用者にも有用であることを念頭におきながら検討したものである。

(1)ガイドラインの性格

総論

(頂いた御意見)

現状より更に高い水準のガイドラインを目指して欲しい
 この一文が盛り込まれているのを、高く評価する。JR根岸線の磯子駅に設置され、実証実験が行われている音声ガイドシステムは、単なる位置情報だけでなく、次に発車する電車に関する情報も提供するなど、掲示板が見えない視覚障害者には、まことに利用しやすい改札口になっている。ガイドラインとしては、現状の追従ではなく、さらに高い水準を目指していただきたい。
掲載箇所:(1)ガイドラインの性格
 他方、本ガイドラインを超えた内容や本ガイドラインに記載のない内容であっても、移動円滑化に値する内容については、公共交通事業者等は積極的に実施することが望ましい。
(国土交通省の考え方)
 ご意見の通り、より高い水準を目指した、全ての利用者にとって使いやすい旅客施設が整備されていくことを期待したい。

(2)基本的な考え方

総論(駅利用)

(頂いた御意見)

初めて駅を利用する場合の事前の情報収集
 初めて利用する駅については、事前に情報を集めておく。集める情報の項目は場合によって違うが、おおよそ次のような物である。「経路上にある乗車駅・乗換駅・下車駅の名前(当然である)。駅からでる場合の出口(北口・南口・A2番出口など)。それぞれの駅の下車・乗車ホームの番号。上記の駅に電車が到着した時、進行方向どちら側のドアが開くか。乗車時、何両目の車両に乗れば、目指す改札口や連絡通路に近いか。下車してどちらへ行けば、目指す改札口や連絡通路へ行けるか。自動改札機はイオカードやパスネットカードが使えるか。駅構内での案内放送は、必要な情報が得られる内容かどうか。これらの情報を得る方法としては、現地を知っている人に尋ねる。催しなどでは主催者に尋ねる。必要ならそれぞれの駅に電話をして尋ねる。」等である。

京急線横浜駅の案内放送について
 実際に行動を開始する時には次のことを心がけている。移動に要する時間を十分に取る。自分には難しいと思われる経路は選ばない。(例:山手線から中央線への乗換の場合、東京駅ではなく神田駅を利用する。山手線から京浜東北線への乗換の場合、品川駅でなく田町駅を利用する。)駅を利用する場合、重要なのは駅の案内放送である。京浜急行電鉄の横浜駅では、自動案内放送が行われているが、次の情報が含まれているため、安心して電車に乗ることができる。入線してくる電車の行き先、電車の種別(各駅停車か特急か等)、編成(8両・12両など)と停車位置の目標、どこで通過電車を待つか、乗り継ぎ駅や乗換駅についての案内等。電車が駅に近づいている時、入線して停車時等、時間経過に従って放送内容が変わっていくので(いつも利用していると)、あとどれくらいで電車が入線してくるかがわかる。通過電車の案内、品川方面行きと横須賀方面行き(上り下り)の案内放送を男性音と女性音で使い分けている。京急線の横浜駅の案内放送を良い手本とするのが良い。

(国土交通省の考え方)
 ご意見を踏まえ、今後の検討の材料とさせていただきたい。

総論(構造把握)

(頂いた御意見)

階段下の空間について
 ホームからの上り階段がついている場合、階段の裏側になっている斜めの壁(階段の下側)に入り込み、頭をぶつける危険がある。これを防止する試みとして、頭を打つ辺りから鎖で囲っている例がある。これは、はじめての場合には意味がわからなかったが経験をしてからその駅で危険予知ができるようになった。階段下に入り込むのは大変危険で避けたい。しかし逆に下り階段で階段のふちの低い壁がある場合には、かえってその壁付近に降りてその壁を伝っていく方が安全である。理由:こうした駅の場合には、むしろ階段の手前で降りて階段のふちにある低い壁を伝い、回り込んで階段に達するという方法をとっている。この付近はホーム端との距離が狭く危険に見えるが、その位置や構造を認識していればかえって安全性が増すと考えている。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおいて、「階段下に十分な高さのない空間を設けない、やむを得ず設ける場合は、柵などを設置する」と記載している。

1ねらい

(頂いた御意見)

誘導案内施設と位置案内
 誘導案内施設と位置案内は同じであり、切り離さないで頂きたい。一部の視覚障害者の意見だけを聞いて、すべての障害者の意見を聞いたと思わないで頂きたい。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインの検討に際して行った、約100名の単独歩行の視覚障害者対象のヒアリング調査(以下、ヒアリング調査)、ワーキング、研究会での議論により、音による案内は駅構造を大まかに把握しているが、正確な位置と内容を確認したい利用者に対する位置案内として活用することが有効であることが明らかになった。また、施設を音源位置としているため、方向を確認することにも利用することができると考えている。

3対象とした場所

エレベーター

(頂いた御意見)

エレベーターの外でも音案内を行うべき。また、押しボタンの位置を統一すべき
  •  エレベーターには外へ出る音がなく位置がつかめない。デパートのエレベーターの場合、その階にきた時に外へチャイムが流されているのでよくわかる。「ホームへ参ります」「改札階へ参ります」などのメッセージは室内だけであり、これが流れるときにはドアがしまってしまい外には聞こえない状態になっている。JRの新設エレベーターはホームが狭いため反対側に出るものもある。そのことが音声で知らされる例もあるが、全く告知のない物もあり降りる機会を失することになる。押しボタンの位置がまちまちであるために、触知しにくいことがある。高さを一定のものに統一してほしい。
  •  案内のアナウンスは、扉の外にいる人に聞こえるように、スピーカーを扉の外にも設置し、到着や扉の開閉が音で分かるようにすべき。

エレベーター付近での音案内を盛り込むべき

  •  「旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン案」は、良くまとまっていると感じた。気がついたことだが、「エレベーター」の音響、音声案内について全く触れられていない。これはどのように解釈すればよいのか。点字ブロックで誘導されているが、実際に視覚障害者が一人で利用するためには、音による案内もガイドラインで決めておく必要がある。エレベーターは、車いす使用者の意見が大きく反映され、かごのサイズ等詳細なガイドラインがあるのに対して、視覚障害者に対しては、いまだに点字ブロックと点字表示のみで、あとは「望まれる」という記載にとどまっている。ガイドラインの文言の「望ましい」という表現は規制力がないので、鉄道事業者には「=何もしなくても良い」という解釈をとられる可能性がある。具体的な詳細内容が本ガイドラインにも記載されていないため、今回は期待があまり持てない。実際、現在の状態では使えないことが多いため、視覚障害者の方は駅ではエレベーターはほとんど使用されていないようだ。しかし、地下鉄の駅では、地上から改札へ直接エレベーターが設置され、階段のない場所もある。(例えば、南北線「東大前」、大江戸線「蔵前」など都内に多数ある。)今回、「音による視覚障害者の移動支援方策ガイドライン」では、5.地下鉄の地上出入口として触れていただけで、これで階段とエレベーターの区別ができるのだろうか。一番困ることとして、いつエレベーターが到着したのか音がないので分からない、どこへ行くエレベーターか音声案内がないので分からない、などがある。
  •  エレベーターの位置を知らせる音声案内を盛り込むべき。エスカレーターにしてもエレベーターにしても使う人がどこにあるのか分からなければ無用の長物になってしまう。
  •  エレベーターにおける音声案内は必須。初めて利用する駅で、エレベーターが、どこへ向かうものかの案内がなければ乗れない。階段の手すりには、点字で向かう方面が案内されているが、これと同様に、音声の方面案内が必要。また、かご内アナウンスは、扉の外にいる人に聞こえるように、スピーカを扉の外にも設置し、到着や扉の開閉が音でわかるようにする。
  •  扉の外のボタンを押したら、「上りのボタンが押されました。」などと応答する案内が必要。エレベーター内部のボタンにおいても同様と考える。
  •  扉が開いたら、「……へ参ります。」などと扉の外に聞こえる必要がある。
  •  エレベーターの音響と音声案内がいかにバラバラかという見本がJR上野駅にある。2月22日にリニューアルされた上野駅は、バリアフリーに対しても様々に取り組み、触知案内板には「ポン、ポン、ポン」という音響がいつも流れている。公園口通路には、昨年の交通バリアフリー法施行に合わせて、エレベーターが1、2番線から11、12番線まで6基並んでいる。一番新しいエレベーターのボタンは上下の矢印が浮き出ていて、触って分かるようになっている。古いタイプのエレベーターのは、ボタンに点字表示が付記されているが、ボタンがツルツルのため、上に行くのか下へ行くのか分からない。車いすの方が出入りしやすいように、通過型エレベーターもある。エレベーターに関して、今回は触れられていないが、次回ガイドラインに期待する。
  •  駅構内にはエレベーターが設置されつつある。しかしながら、その設置場所に気付かず、階段を利用している視覚障害者や老人、肢体不自由者がいる。提案として、昇降装置の周辺には、「音響装置」や「音声合成報知器」を通路や始終端部に設置することで、その場所を知らせたり、誘導したり、行き先案内や進入不可を知らせ、利用しやすい環境を作る必要がある。
(国土交通省の考え方)
 エレベーターについては、既に「移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(以下、移動円滑化基準とする。)」ならびに整備ガイドラインにおいて、かご内・乗降ロビーでの音声案内、ボタン位置、点字案内などを示しているところである。

券売機

(頂いた御意見)

券売機における音による案内の追加等が必要
  •  券売機へ誘導・案内するガイドライン追加を要望する。鉄道を利用する基本動作として、歩道から駅に入り、切符を購入して改札を通過し、列車に乗り込む。定期券等を持っていない人は、切符を購入する必要があり、券売機への点字ブロック誘導・音(音響・音声)誘導が必要と思われる。券売機側も、車椅子対応・視覚障害者対応をしており利用しやすくなったと思われる。
  •  現状、券売機コーナーに音響案内装置を設置している(「ピン・ポン・パン・ポーン」)。対象施設を改札口のみに限定するのでなく、券売機コーナー等も対象施設として含めることを要望する。
(国土交通省の考え方)
 今回は、ヒアリング調査によりニーズが高く、案内が有効と考えられる5カ所について、音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。券売機は改札口近くにあり、確認できるとの意見が多かったため、まずは、改札口で有効な音響案内を行うこととした。

売店

(頂いた御意見)

売店を知らせる音響案内を盛り込むことが望ましい
 買い物をホーム上でのキヨスクなどの売店ですませることが多いが、これは駅の外での買い物は店の位置を覚えていなければならず探しにくい。ホーム上の売店は、電話や土産も購入できる。JRは売店の位置が階段と階段との間にあることが多いのでみつけやすいこともある。ただし、民鉄などの場合、駅の構造もまちまちであり場所も見つけにくい。このようなときに独特のメロディ等で売店を知らせるものがあればよいと考える。
(国土交通省の考え方)
 今回は、ヒアリング調査によりニーズが高く、案内が有効と考えられる5カ所について、音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。なお、必要以上に音を設置すると音の氾濫によって混乱するとの意見があった。

バスターミナル

(頂いた御意見)

バスターミナルにおける乗り場標識番号の音による案内
 バスターミナルにおける乗り場標識番号が視覚障害者にも認識できるよう、150cm 程度の高さのスピーカーで局部的な音声案内の設置を要望する。
 理由:仮に乗り場標識番号が点字表示されていても、その場所を視覚障害者が一人で見つけることは不可能となっている。「○○番乗り場到着のバスは、○○行きのバスです」とターミナルの一般案内がなされても、現在何番乗り場付近にいるか分からなければ、そのバスに乗ることはできない。
(国土交通省の考え方)
 今回は、ヒアリング調査によりニーズが高く、案内が有効と考えられる5カ所について、音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。

タクシー乗り場

(頂いた御意見)

タクシー乗り場への音声案内を盛り込むべき
 タクシー乗り場を音声で正確に分かるように、音声案内の設置を要望する。
 理由:初めての駅で視覚障害者が困るのは、タクシー乗り場やバスターミナルの位置が分からないことである。最低限、タクシー乗り場への音声誘導、正確な順番待ちの場所が分かるような仕組みが必要。
(国土交通省の考え方)
 今回は、ヒアリング調査によりニーズが高く、案内が有効と考えられる5カ所について、音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。

(3)個別の音案内のガイドライン

1改札口

隣接する点字案内板との関係

(頂いた御意見)

地下鉄改札口における音響案内については、点字案内板付近の音響案内との関係を踏まえ、適用除外を認めるべき
 「○改札口の位置を知らせるよう、音響案内装置を設置する。ただし、乗換専用改札口及び地下鉄の場合はこの限りでない」と変更するべきであると考える。なお、駅員とのコミュニケーションについては、改札口だけではなく、点字構内案内板で「駅長室」への案内も実施し、多面的なコミュニケーションの場を確保していきたいと考えている。理由:地下鉄において利用の起終点となる場所は、「5地下鉄の出入り口」で音響案内の記載があるように、「改札口」ではなく「出入口」であると考える。また、平成13年8月に出されたガイドラインのP.64「音響案内装置」では、「◇点字による案内板等の位置を知らせるよう音響案内装置を設置することがなお望ましい。」と記載されているが、狭い閉鎖空間である地下鉄駅構内において、点字案内板と改札口の2カ所で音響案内を実施することは、音の反響などにより方向をよけいわかりにくくするものと考える。改札口であることは、現状でも自動改札機の音により認識することができるものであり、ニーズが高いのは「点字案内板の音響案内」がない状況でのヒアリング結果によるものと考える。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおける点字案内板付近での音響案内は「なお一層望ましい内容」と位置付けられているため、ヒアリング調査を踏まえ、ニーズの高かった改札口における音案内を優先し、点字案内板付近での音響案内については個々の空間条件を踏まえて設置されたい。

自動改札機

(頂いた御意見)

改札口(有人改札口)の音案内は不要
 認知には自動改札機の音声(乗車券を通す音)に頼っているため、特に改札口であることを知らせる音源は不必要と考える。ただし乗客が少なく、通る人がめったにない場合には、自動改札機などの音による認知が難しい。自動改札の形はJR、民鉄ともにあまり変わりはないので触れることにより位置や方向を知ることができる。出口側については、入りかけた時に形状で判断し、隣に回ることができる。有人改札では精算している場合や訪ねている場合が多く、その乗客にぶつかるため有人改札はあまり使わない。誘導ブロックが有人改札口の方へ直角に曲がって敷かれている場合も多いが、白杖歩行者の場合も最近ではプリペイドカードを使用するため、乗車券を購入する必要はほとんどなくなった。ただ精算の場合、関西のJRの自動改札機では2枚を同時に入れて自動的に精算されるが、多くの民鉄では改札出口の前付近に精算機があり、それで精算する方式をとっている。駅員に精算してもらう場合も多いが、駅員が少なく容易に呼べず困ることがある。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインの考え方に示す通り、改札口は「鉄道を利用する際の起終点となる場所であるとともに、駅員とコミュニケーションを図り、人的サポートを求めることのできる場所」でもあるため、まずその位置を音響案内によって知らせるものである。

(頂いた御意見)
自動改札への音案内が必要
  •  最近はイオカード、パスネットカードなどを使っているため、有人改札口を利用する機会がほとんどない。有人改札口への誘導ブロックや音響を手がかりにして、自動改札を探しているが、駅の構造によっては、人の流れを横切ることになる場合がある。自動改札をもっと能率良く探す方法が必要と考える。
  •  視覚障害者が、改札口において、入場可能、出場可能の改札口の状態がわからない現状をそのままに放置せず、通行可能であることを示すため、乗車券投入口などに、投入口などであることを示す、小ボリュームの音響を発する必要がある。その気になれば、技術的にも可能だと思われる。通過可能な改札口がどこにあるか、いつも迷わされている。
(国土交通省の考え方)
 本研究会でも、自動改札機の進入可否の音声案内について議論となったが、「3.(2)3本ガイドラインにおいて対象とした場所」において示すとおり、現時点では、技術的な理由から困難であるとされたため、まずは有人改札口を優先した音響案内の普及を促進させることとした。

無人改札口

(頂いた御意見)

各駅に2名の係員の配置が必要
 昨今は、常時無人の改札口も増え(そもそも無人駅が増えている)、駅係員とのコミュニケーションが全く取れない場合がある。また、「インターホンを使ってくれれば、隣接駅の係員が対応する」というシステムもあるようだが、それでは急な用件には間に合わず、移動に際して現実的ではない。また、インターホンの設置位置が音などで示されていなかったり、使用法の説明が文字のみであったりする場合もあると聞いている。私が利用している私鉄の最寄り駅は、駅係員が普段一人しか勤務していない。親切に対応してくれているが、その係員が駅構内を巡回中は、窓口は事実上無人となるわけで、そのような状況を無くすためにも各駅の“二人勤務体制”を熱望する。
(国土交通省の考え方)
 無人駅や長い時間無人となる駅では、駅員への対応を求めることができないという点については、「5.あとがき」に示す通り、視覚障害者に限らないこと、また、一般旅客を含めた人的介助が必要になると考えられることから、本ガイドラインでは、明確な対応方法を盛り込まず、地域レベルでの総合的な支援方策のあり方として、今後の検討課題としている。

乗換改札口

(頂いた御意見)

乗換専用改札口における音声案内が必要
 乗換専用改札口にも、何らかの案内装置は必要である。この場合、音でなく、音声による案内、「○○線への乗り換え改札口です」が良い。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインでは、鉄道利用の起終点となる改札口を、優先的に案内することとした。なお、事業者、個々の空間状況に応じて、乗換改札口での音声案内を妨げるものではない。

携帯端末

(頂いた御意見)

携帯端末による改札口の音声案内をガイドラインに盛り込むべき
 JR山手線高田馬場駅、JR根岸線磯子駅の改札口の音声案内システムの方式を、ガイドラインとして盛り込むことを要望する。理由:既に多くの鉄軌道駅において導入されている。
(国土交通省の考え方)
 「5.あとがき」に示すとおり、「1現状では特定の方式へ統一を行えるほど絶対的に優位な方式はないこと、2不特定多数の利用者が利用する場合、誰もが利用できる案内方式が望まれていること、などから統一的な方式を示すには至らなかった」。本ガイドラインに示す音響案内については、端末を用いなくとも視覚障害者のニーズに十分対応できるものと考える。

音色の統一

(頂いた御意見)

改札口の音案内の音色を全国的に統一すべき
 改札口を示す誘導チャイムなどは全国的に統一するほか、他を示す音案内には用いなくする必要がある。理由:新宿駅西口付近では、案内板の位置を示すのに、改札口誘導チャイムに酷似したものが用いられ、誤解を生ずる恐れを感じた。このようなことから、特に音響案内の場合、その示す意味と対象の全国統一化と、その周知が必要である。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘の通り、本ガイドラインでは場所ごとに音響案内の標準例を示している。また、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」において、「隣り合う施設で同一音を用いない」との配慮事項を記載しており、本内容を周知徹底していく。

視覚障害者誘導用ブロック

(頂いた御意見)

誘導ブロックがあれば改札口付近の音案内は不要
 誘導ブロックがあれば設置しなくてよい。
(国土交通省の考え方)
 ヒアリング調査の結果から、改札口への音響案内の設置のニーズが高かった。

2エスカレーター

誘導案内

(頂いた御意見)

エスカレーターへの音による誘導案内を盛り込むべき
 駅構内にはエスカレーターが設置されつつあるが、その設置場所に気付かず、階段を利用している視覚障害者や老人、肢体不自由者もいる。また、エスカレーターの進入可否・行き先案内がわかりづらいという指摘も、本ガイドラインに報告されている。提案として、昇降装置の周辺には「音響装置」や「音声合成報知器」を通路や始終端部に設置し、その場所を知らせ誘導し、行き先案内や進入不可を知らせることにより、利用しやすい環境をつくる必要があると考える。例えば、「この先右側に上りエスカレーターがあります」「ここは2番出口エスカレーターです」という音声案内により、誘導・案内を行う必要がある。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘の通り、エスカレーターの位置と行き先を知らせるよう、乗降口での音声案内を示している。エスカレーター手前からの誘導案内については、過剰な音案内はかえって移動の妨げとなること、また旅客流動が交錯する旅客施設において、通路上「右」「左」などの案内は必ずしも有効な案内になるとは限らないと考えられる。

(頂いた御意見)
エスカレーターへの音による誘導案内を盛り込むべき。また、視覚障害者誘導用ブロックや、階段での音響案内との関係を明らかにすべき
 上り下り等の案内は有効と考える。しかし、それ以前にトイレと同様にどこにエスカレーターが設置されているかが解らないと思われる。ある程度離れた位置での、エスカレーターへの誘導用の音・音響・音声案内が必要ではないか。エスカレーターへの視覚障害者誘導用ブロックでの誘導がない現状において、階段と併設される場合が多いエスカレーターでは、誘導用点字ブロックとの関わりを明確にする必要があるのではないか。また、階段での音響案内との関わりの中で、ガイドラインを記述する必要があるのではないか。階段およびエスカレーター単体でのガイドラインとしては、良いものと思われる。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインの検討に際して行った、ヒアリング調査、ワーキング、研究会での議論により、音による案内は駅構造を大まかに把握しているが、正確な位置と内容を確認したい利用者に対する位置案内として活用することが有効であることが明らかになった。視覚障害者誘導用ブロックとの関係については、「基本的な考え方」に示すとおり、「エスカレーターの案内方法としては、視覚障害者誘導用ブロックを敷設することよりも音声案内を設置することへの要望がはるかに強かったため、まず音声により案内を行うことをガイドラインとして盛り込む」こととした。
 また、プラットホーム上の階段付近における音響案内との関係については、鳥の鳴き声を模した音響を標準例として示し、エスカレーター乗り口端部における音声案内と区別している。

視覚障害者誘導用ブロック

(頂いた御意見)

エスカレーターへの誘導用ブロックを敷設すべき
  •  音声案内:「○1以上の進入可能な・・・・音声案内装置を設置すると同時に、誘導用ブロックを敷設する。
     視覚障害者誘導用ブロック:「○エスカレーター前に・・・・30p離れた箇所とする。「始」は必要だが、「終」は必要はない。
  •  案内文設定の考え方:誘導ブロックがあれば、音は小さめが良い。
     以上の修正を要望する。
(国土交通省の考え方)
 「基本的な考え方」に示すとおり、「エスカレーターの案内方法としては、視覚障害者誘導用ブロックを敷設することよりも音声案内を設置することへの要望がはるかに強かったため、まず音声により案内を行うことをガイドラインとして盛り込む」こととした。
 視覚障害者誘導用ブロックの敷設については、1時間帯によって上下方向が変更されるエスカレーターの取り扱い、2進入可能なエスカレーターのみに敷設した場合における降り口での誘導方法、3運転方向と関係なく敷設した場合は、進入不可能な昇降口に進入する可能性があることや分岐が増えることにより混乱を招くおそれがあること、等の課題があるとされた。まずは音声により案内の普及を促進することとした。

逆方向からの進入防止

(頂いた御意見)

逆方向への進入防止のために、適切な音声案内が必要
  •  進入できない方向には音声案内を行わないという消極的な方法で進入の可否を表すこととされているが、大きなブザー音などによる音響案内は不適切にしても、逆方向への進入防止のために、適切な音声案内が必要ではないか。たとえば、逆方向に進入しようとした際、センサーで感知し、「ここからは乗れません」等と音声で案内すればよい。
     理由:エスカレーターへの進入の可否については、手前の床面等に表示することが移動円滑化基準及びガイドラインに盛り込まれているが、移動円滑化基準において義務づけられているはずの新設駅でさえ、全く整備が進んでいないこと。
  •  弱視者の多くは、下り階段に強い不安を感じているため、下りのエスカレーターを利用したいと思っているが、下の階とつながっているエスカレーターは、目とくし板との距離や角度との関係から、くし板の移動方向を視覚で確認するのが困難であり、万一誤認した場合には頭から転落する等の大きな事故につながるおそれがあること。
  •  乗降客が比較的少ない駅やバスターミナル等では、人が乗ったときだけ動くセンサー式の設置が増えているが、視覚障害者にとっては方向を誤認しやすく、より確実な案内が必要であること。時間帯によって方向が変わるものについても同じ。 
  •  弱視者の多くは、歩行訓練を受けていないため、移動手すりに触れて方向を確認する習慣が身についていないこと。
(国土交通省の考え方)
 本研究会において、視覚障害者は、音声の内容にかかわらず、音源に向かって歩行するという特性があるとの議論を踏まえ、進入可能なエスカレーターのみ音声案内を行うこととした。

時間帯変更型

(頂いた御意見)

時間帯によって上下方向が変更されるエスカレーターにおいても、音声案内を行うべき
 時間帯によって上下方向が変更されるエスカレーターでは、音声による案内は必須である。

時間帯によって上下方向が変更されるエスカレーターについて音案内をすべき。また、警告ブザーの設置を行うべき
 時間により方向が変化するエスカレーターの音案内についてこのような方式のエスカレーターについても、音案内をすべきである。その際の音案内は、必ずその時間における乗り口においてすれば足り、一般のエスカレーターの音案内と同方式でよい。但し、降り口への誤進入を避けるため、警告ブザーの設置は必須である。理由:このような方式のエスカレータは、現に多くの場所で設置されており、これに対する音案内を除外することは、結果として視障者のエスカレータ利用のみを妨げることになり、妥当ではない。

(国土交通省の考え方)
修正
 ご意見のとおり、このようなエスカレーターであっても、進入可能な場合は音声案内を行うこととしている。なお、「考え方」の記述を修正し、趣旨を明確にする。
 また、本研究会において、視覚障害者は、音声の内容にかかわらず、音源に向かって歩行するという特性があるとの議論を踏まえ、進入可能なエスカレーターのみ音声案内を行うこととした。

人感知エスカレーター(自動運転)

(頂いた御意見)

自動運転エスカレーターについても音案内を行うべき
 人感知一時運転式エスカレーターの音案内について最近、乗降客の少ない時間帯などでは、利用客が近付いたときにのみ稼働する人感知式の一時運転エスカレーターがあると聞く。これに対する音案内も考慮すべきである。このような一時運転のエスカレーターについても、一般のエスカレーター同様、音案内は、常時行う必要がある。
 理由:この場合、音案内も停止しているとすると、視障者にはエスカレータの存在が先ず認知できない。又、一般のエスカレータのように注意喚起案内やモータ音によりエスカレータのあることに気付くということのないまま、動き出したエスカレータに乗ってしまい、思わぬ事故にもなりかねない恐れがあるからである。
(国土交通省の考え方)
修正
 ご意見のとおり、このようなエスカレーターであっても、進入可能な場合は音声案内を行うこととしている。なお、「考え方」の記述を修正し、趣旨を明確にする。

エスカレーター利用について

(頂いた御意見)

エスカレーターの音案内の設置は移動円滑化経路及び主要導線上に限られるべき
 「○移動円滑化経路上及び主要動線上における1以上の進入可能なエスカレーターの乗り口端部において、エスカレーターの行き先及び上下方向を知らせる音声案内装置を設置する」と変更すべきであると考える。
 理由:公共交通機関の最大の使命は「安全輸送」である。ご利用になるお客様には、安全を確保した上で利便性を提供していきたいと考える。エスカレーターは、ステップが連続移動する昇降機であり、健常者でも乗降の際には注意を要することから、視覚障害者の利用には安全確保の観点から不安が残る。原則としては安全にご利用できるエレベーターへの誘導を基本とすべきで、エスカレーターへの音声案内による誘導は、エレベーターの設置がなされていない移動円滑化経路上のもの又は主要動線上のものに限定すべきものと考える。

視覚障害者がエスカレーターを利用する際の安全面での検討を行うべき
 視覚障害者のエスカレーター利用そのものについて安全に乗降出来るかどうかの検討が必要。また、特に多客時の安全確保についてより慎重な検討が必要と思われる。

(国土交通省の考え方)
 ヒアリング調査において、エスカレーターへの音案内がニーズとして高かった。本ガイドラインでは、すでに単独でエスカレーターを利用している視覚障害者の円滑な移動を図ることを目指している。

案内内容

(頂いた御意見)

エスカレーターの注意喚起放送により位置確認は可能
 エスカレーターの位置は危険を知らせるメッセージが常時流されており、この音量が比較的大きいのでかなり遠くからでもその位置を知ることができる。
(国土交通省の考え方)
 視覚障害者からは、エスカレーター利用にあたって「行き先」の案内に対するニーズも高かった。

上下方向

(頂いた御意見)

上下方向の案内が必要
  •  大筋ではこれで良いが、「上りエスカレーター(上へ向かう)」なのか、「下りエスカレーター(下へ向かう)」なのかという案内は、絶対に必要である。
     案内の例:「5番・6番線ホーム行き上りエスカレーターです」 「南口改札方面下りエスカレーターです」
  •  音声案内の案内文標準例 標準パターン上のように定めているのに、以後の例文では「{上下方向}」が全く使用されていないように思われる。「上りエスカレーター」か「下りエスカレーター」かの音声案内を盛り込むことにより、安全性が増すと考えられる。音声案内が冗長になるという理由で省かれているのかもしれないが、その際は、エスカレーターに近づいたことは、踏み板や機械音で認識できるため、「…エスカレーターです」よりも「…登りです」「…下りです」のように、「エスカレーター」を省略してもかまわないのではないか。もし「エスカレーター」をどうしても音声案内に含めるのであれば、「…です」を省略した方がよいと思われる。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘の通り、「上下方向」を追加。(PDF版には上下方向を記載しておりましたが、テキスト版では上下方向が抜けておりました。)

固定手すり(固定柵)

(頂いた御意見)

エスカレーターの固定柵の設置を行うべき
 エスカレーター利用において、課題となる例として、都営大江戸線のホームから改札へ上がる際、エスカレーターが3列のみで階段のない箇所があるが、ここには、エスカレーターごとに手前の柵がないため、直接エスカレーターに乗るようになっている。同様に、JR東京駅の中央線のホームも手前に柵がなく、直接エスタレーターに乗るようになっている。これらのホームへの経路は階段がなく、すべてエスカレーターでしか昇降できない。今回のガイドラインによって音声で誘導したとしても、より安全に誘導するために、隣り合ったエスカレーターを手前で仕切る柵が望まれる。(JR目白駅は良い事例である。)
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおいて、固定柵または固定手すりの設置に関して既に記載されており、今後本整備ガイドラインに沿った整備が行われることを徐々に改善されることを期待したい。

上下並列

(頂いた御意見)

音案内による隣接するエスカレーターの上下方向の区別は困難
 上下方向が異なるエスカレーターが2基以上並んで設置されている場合、音源はどうしても近くなるため、例えばどのエスカレーターが上り運転かを識別することは実際には難しいのではないか。
(国土交通省の考え方)
 本研究会において、視覚障害者は、音声の内容にかかわらず、音源に向かって歩行するという特性があるとの議論を踏まえ、進入可能なエスカレーターのみ音声案内を行うこととした。

(頂いた御意見)
隣接するエスカレーターの音声案内が重ならないようにすべき
 「案内のタイミングが重ならないよう配慮することが必要である。」の「配慮する事が必要である。」を「上り、下りの案内の音声を交互に発するようにする。」に修正する必要がある。
 理由:上りと下りのエスカレーターが並ぶ場合、音声案内が重なると聞き取れなくなる。
(国土交通省の考え方)
 乗降可能な乗り口のみで案内を行うこととしており、並列するエスカレーターで案内が重なることは想定されていない。

音源位置

(頂いた御意見)

音声案内の設置位置を詳細に記すべき。また、スピーカー内蔵型エスカレーターが望ましい旨盛り込むべき
 考え方「乗り口に近い位置」が非常にあいまいな表現であるため、「水平的(距離)」においても垂直的(高さ)においても乗り口に近い位置」と修正する必要がある。その上で、「この点から考慮する限り、乗降口付近にスピーカーが内蔵されたエスカレーターが望ましい。」を追加することを要望する。
(国土交通省の考え方)
修正
 ご意見を踏まえ、以下のとおり修正。
 「◇なお、上記音声案内装置の設置にあたっては、乗り口に近い位置に音源を設置すること、または、乗り口端部にスピーカーが内蔵されたエスカレータがなお望ましい。」を追加。

(頂いた御意見)
「乗り口に近い位置に音源を設置することが望ましい。」の「することが望ましい。」を「すべき。」とする
 理由:視覚障害者は、音源に向かって進みやすい。したがって、音声案内を、エスカレーターの両壁からステレオで音が流れるようにすると、エスカレーターの中心位置に向かって進入しやすくなる。
(国土交通省の考え方)
修正
 ご意見のとおり修正。

3トイレ

音声案内の必要性

(頂いた御意見)

トイレ出入口付近における音声案内を導入すべき
  •  本ガイドライン「○視覚障害者誘導用ブロックによって誘導された、トイレ出入口付近壁面において、男女別を知らせる音声案内装置を設置する」の音声案内装置の設置は必要である。
  •  他の通行人などもいるので、必ずしも視覚障害者誘導用ブロックが利用できるとは限らない。離れたところからトイレの位置を知るには、視覚障害者誘導用ブロックと点字案内板は無効である。音声案内を必ず設置する。音(声を含む)で、点字案内板の設置位置を知らせることが必要である。
  •  トイレでは男女の入口がわからない。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインに基づき、音による案内の普及を図りたい。
 (なお、移動円滑化基準において、トイレの出入口付近において、男女別、トイレの構造を示すための点字による案内板等を設置することとされている。)

案内が不要

(頂いた御意見)

トイレの音声案内は不要
 トイレの音声案内については、伊丹駅の整備の際、日常的に利用する視覚障害者からは不要との意見をいただいた(アメニティターミナル整備検討委員会)。
 その理由としては、視覚障害者自身が自分のために他の人にトイレ案内を聞かせることに対する苦痛と、自分自身もトイレ案内を毎日は聞きたくないということであった。
 検討の結果、トイレへは視覚障害者誘導用ブロックと出入口の点字案内板による案内でよいとの結論に至った。
(国土交通省の考え方)
 ヒアリング調査結果や、研究会での検討において、近くで確認できる範囲で、トイレの位置ならびに男女別の案内へのニーズが高かったことからガイドラインとして盛り込んだ。
 また、一般的に聴覚のほうが触覚よりも効率的に情報を提供できる手段とされている。

トイレ内部

(頂いた御意見)

トイレの構造がわからない
 トイレでは入ってから曲がり角が多いので迷う。便器の様式が様々なため、それを知らなければ困る等の問題があげられる。手洗いの位置もわからず音声で把握することも難しい。また誘導される場合も、手をひっぱったり、体を押したりする人がいるため、壁や突出物に頭をぶつけた経験がある。視覚障害者は壁沿いに行くことが多いので、障害物にぶつかることになる。

トイレの水洗用ボタンを音声案内や点字によってわかるようにすべき

  •  トイレの点字案内について、大便用便房の、水洗用ボタン、タッチセンサー、フットスイッチ、自動水洗の区別がつく表示が必要と考える。
  •  ガイドラインに盛り込む音案内として、水洗トイレの水の流し方の情報が非常に重要と考えるが、盛り込まれていない。ボタンを押すもの、レバーを押すもの、センサーに手をかざすもの等々、水洗方法も、それらの位置もまちまちである。そして、非常通報ボタンと紛らわしい場合もある。視覚障害者として、もっとも困ることである。次の実例を標準として検討いただきたい。
     東京都大田区のJR蒲田駅(京浜東北線)の東口にある東急プラザのトイレでは、“個室”に入ると、「このトイレはセンサーに手を触れるか、ドアを開けると自動的に水が流れます。」との音声案内が行われる。もちろん障害者に特化した設備ではない。トイレを利用する際に、慣れない場合はセンサーを見つけることは難しいが、ドアを開け個室に入る操作なら誰にでもできる。上記の音声案内にもう一言、「センサーはドアに向かって○○にあります。」が必要と考える。このような情報提供を行う音声案内を、ガイドラインに盛り込むことを要望する。
  •  トイレ入口の触知案内板に音声で水洗ボタンの位置を伝えるスイッチを設ける必要がある。または、個別トイレに利用者があることを赤外線センサーで感知し、そのトイレの水洗方法を2回案内する音声案内が必要である。
     理由:単独歩行するものにとってボタン、スイッチを探すのはきわめて困難となっている。レバー式の場合は、比較的簡単にみつけることができる。
     しかし、フットスイッチ、壁面にある押しボタン、タッチスイッチは、探し出すことが極めて困難であり、自動的に水洗されるものの場合、衣服をぬらすこともある。壁面に名刺2枚分のパネルにその旨を表記し、フットスイッチ、ボタンの情報を壁に貼り付けると大変に有効になると思われる。
     また、視覚障害者が水洗の排水ボタンが分からずに、非常連絡ボタンを押すなどの事故をよく聞く。
     また、赤外線センサーで感知して水洗方法を音声で案内している実例として、東北新幹線福島駅のトイレがあるが、案内の音声が1回だけで、しかも小さいので聞き逃してしまう。)
  •  水の流し方の違いでは、特に新幹線の車内でのトイレ問題が多い。ボタンをおすもの、そのボタンが突出していないためにわからないもの、自動水洗等、利用経験がなければわからない。
     また自動的に流れる物ばかりではないので、どの方式か判断するのに困る。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインでは、ヒアリング調査結果により、まず主要な施設の位置と内容に関するニーズが高かったため、トイレについては位置と男女別を音声によって案内することとした。トイレ内部における水洗ボタンなどの音声案内、点字表示は、さらなる検討が必要と考える。

案内方法

(頂いた御意見)

トイレ出入口の点字による案内板の位置からの情報の提供を行うべき
 この位置から、現在地と入口の方向がわかるような情報の提供が必要である。ガイドライン中に文章化されていないと、設計・製作時に抜け落ちる可能性がある。
 掲載箇所:視覚障害者誘導用ブロック○便所への線状ブロックの敷設経路は、便所出入口の点字等による案内板の位置とする。
 (<整備ガイドラインにおける視覚障害者誘導用案内など(抜粋)>より)
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおいて、視覚障害者誘導用ブロックで誘導されたトイレ出入口壁面に音声案内装置を設置するよう記載している。
 また、本ガイドラインにおいて、案内の内容について標準例にて、「右」「左」などの言葉で、現在位置からの方向を知らせるよう例示している。

(頂いた御意見)
音声案内を小さめにすべき
 音声案内:「○視覚障害者誘導用ブロックによって・・・・音声案内装置を設置するが、音は小さめが良い。
(国土交通省の考え方)
 音量選択にあたっては、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」を参照され、個々の空間条件に応じて適切に設定されることが望まれる。

(頂いた御意見)
男子トイレは男性音で案内し、女子トイレは女性音で案内すべき
  •  同じ声だと判別しづらいが、音声を男声・女声で区別するとすぐに分かる。
  •  視覚障害者は、トイレの男女別がわかりにくいという指摘が本ガイドラインに記載されている。トイレ入り口付近「音声合成報知器」を設置し、「男子用」は男性アナウンサーによる音声案内、「女性用」は女性アナウンサーによる音声を流し、男女別をわかりやすく案内を行うことを提案する。
(国土交通省の考え方)
 言葉で的確に伝えることとしており、一連の案内文中で男女別を伝えるケースも想定されるため、男声・女声の区別まで規定していない。具体的な音源については、個々の設計において配慮するべきことと考える。

4鉄軌道駅のプラットホーム上の階段

行き先案内

(頂いた御意見)

階段の行き先を音声によって案内すべき。また、その際には、携帯端末の利用を検討すべき。
  •  音響案内で階段の位置はわかるが、その階段がどこへ通じているのかという大切な情報が抜け落ちている。階段の手すりに、ホーム番号や発着列車の情報が点字で表示されているケースも多くなったが、点字が直接触れて読む文字であるということを忘れないでほしい。駅のラッシュ時には、手すりに近づけなくて、手すりの点字を読むことが非常に困難になってしまう。
     また、多くの手すりの点字がそうなのだが、手すりの金属に刻印してあるタイプでは、そこに視覚障害者にとって大切な情報が示されていることを、健常者が気づかない。視覚障害者が、なぜ人の流れに逆らって手すりを探そうとしているかを、理解してもらいにくい。京浜急行電鉄の駅で用いているシールタイプなら、少なくとも手すりに何かがあるらしいことだけは、健常者にわかってもらえると思われる。この階段は何番のホームへ行くのか、そのホームはどの方面行きの列車が発着するのか、どちらの出入口・乗換連絡通路へ向かう階段なのか、これらの情報は、階段の位置とともに必要である。これらの情報は音声案内による提供が必要であり、音声案内の提供手段として、JR山手線高田馬場駅や根岸線磯子駅などで行われている実証実験に参加してみたが、視覚障害者が携帯する個人用の端末(受信機)が便利だと思われる。
  •  晴眼者が階段の手前で、表示されている案内を見て、それが何番線へ通じているのかを知るよう、階段の位置だけでなく、“どこへ向かう階段なのか、その階段が自分の向かうべき階段なのか”を知る手段も、視覚障害者に提供してほしい。
     理由:音声案内が手持ちの受信機で聞けるので、周囲の騒音の影響を受けにくい。必要な人が必要なときだけ案内を聞くことができるので、スピーカーから流れる案内で騒音問題が発生することはない。複数ホームが並列している駅で、隣接ホームと自ホームとの音源位置の錯誤を防ぐという点で、手元の受信機から案内が聞こえて来るシステムは極めて有効である。JR山手線高田馬場駅や根岸線磯子駅などで実験が行われている音声案内システムは、駅の案内表示が見にくい弱視者にとっても、便利なものである。高田馬場駅での実験を体験した弱視の知人は、「あのようなシステムがあれば、家族やガイドヘルパーの手を煩わせずに、一人で外出ができる」と話してくれた。
(国土交通省の考え方)
 考え方に示すとおり、ヒアリング調査において降車後の退出口方向を知らせるために音響案内が有効との意見が多かった。階段の行き先については、整備ガイドラインにおいて手すりへの点字表示を示している。詳細な表示方法については、個々の駅で検討されることとなる。
 携帯端末については、「5.あとがき」に示すとおり、1現状では特定の方式へ統一を行えるほど絶対的に優位な方式はないこと、2不特定多数の利用者が利用する場合、誰もが利用できる案内方式が望まれていること、などから統一的な方式を示すには至らなかった。

設置位置

(頂いた御意見)

音響案内装置の設置を階段始端部に限定する必要はないのではないか
 現状、当社においてはホームに設置されている階段について券売機と同じ音響案内装置を階段の上部に統一して設置している。
 例えば、橋上駅舎で、上階がコンコース階・下階がホーム階の場合は、階段上部すなわちコンコースで音響案内を行っているが、ホームでは行っておらず、原案にある「階段始端部の上部に音響案内装置を設置する」の内容に合致していないことになる。音響案内装置の設置位置についてホーム上の階段始端部と限定するのでなく、階段そのものの位置が認識できればよいのではないか。
(国土交通省の考え方)
 降車後の退出口方向を確認するためには、ホーム側の階段始端部の上部が有効と考える。

標準例

(頂いた御意見)

ガイドラインにおける階段の音響案内が適切か疑問。また、階段の音案内に上下方向の区別がつくようにすべき
 京阪電鉄(カッコウとホオジロ)と南海電鉄(カナリア)の2例は、すでにある音響信号を転用したと想像されるが、広範囲に受け入れられるものであると実証されているのかが心配である。特に、現在設置されている地域以外、および視覚障害者だけでなく一般乗降客に対し、コンセンサス(感覚的に受け入れられるかを含めて)が得られるのか、実地調査やアンケートを行った後に盛り込まれた内容なのかが危惧される。
 また、階段の音案内で上りか下りかが問題にされていないのが不思議である。視覚障害者としての個人的体験では、プラットホームから転落しそうになったことは全くないが、下り階段で数段落ちたり上り階段で躓いたりして、ちょっとした軽傷を負ったことがある。もしかすると、委員として招聘されている視覚障害の方々は、階段では必ず手すりを確認する慎重な方ばかりか、階段手すりを確認できず白杖も使えないほどの混雑時に旅客施設を利用されない方かの何れではないかと想像される。
(国土交通省の考え方)
 京阪電鉄、南海電鉄で行われている音響案内は、視覚障害者用付加装置(いわゆる音響式信号)の音響とは異なる。
 また、実際に現地でヒアリング調査を行い、京阪電鉄で音響案内が設置されていることを知っていた視覚障害者から非常に好評を得た。
 また、ヒアリング調査の結果、出来る限り早く転落する危険性のあるホームからの退出方向を確認したいというニーズがあった。

修正
 なお、ご指摘を踏まえ、「参考7.プラットホーム上の階段における音響案内標準例」に関し、「視覚障害者用付加装置(いわゆる音響信号機)の案内音とは区別する」旨を記述する。

(頂いた御意見)
「参考7:プラットホーム上の階段における音響案内の標準例」について、「鳥の鳴き声を模した音響あるいは「ピン・ポーン」またはこれに類似した音響」と変更すべき
 理由:ガイドラインの趣旨を踏まえて平成5年から島式ホームの階段位置に誘導チャイムの設置を進め、平成13年度末現在で31駅81カ所に整備済みであり、音響としては「ピンポーン」に統一している。「参考7」のように「鳥の鳴き声を模した音響」を標準例とされた場合、先行して施策を実施している事業者にとっては装置の取り替えなど多大な影響が想定され、妥当ではないと考える。
(国土交通省の考え方)
 音響案内の標準例については、既に導入されている音響案内で評判の良いものを選定した。本標準例に示す「鳥の鳴き声」については、調査の結果、京阪電鉄や南海電鉄の多くの駅で既に導入されており、視覚障害者から非常に好評を得ていることがわかった。
 一方で、ホームの階段における「ピン・ポーン」によっては改札、駅出入口等との区別がつかないとの意見があった。
 なお、「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」(昭和58年3月運輸省)においては、「駅出入口、階段の降り口、点字・触知案内板等の上方には盲導鈴を設置することが望ましい」とされているところであるが、上記のような視覚障害者からの意見を踏まえ、機会を捉えて順次対応していくことが望まれる。

行き先案内

(頂いた御意見)

階段の位置を知らせるチャイムをわかりやすくして欲しい
 下車したときに階段の位置がわからない。そのための音源として設置されているチャイムにもいろいろの種類があるが、新長田駅の音源がわかりやすいと感じている。
(国土交通省の考え方)
 降車後の退出口方向を知らせるよう、階段始端部での音響案内を示している。具体的な音響案内の設定については、標準例、参考10を参考に個々の駅で検討されることとなる。
 ただし、標準例を示していることから、明らかに判別しにくい音響案内となることはないと考えている。

複数ホーム

(頂いた御意見)

「音響案内」について、「単一ホームは音源があり、複数ホームが音源なしが良い。」を追加すべき
(国土交通省の考え方)
 複数ホーム等への音響案内の設置については、本ガイドラインに示すとおり、「ホーム隙間警告音、列車接近の警告音などとの混同、隣接ホームの音源位置との錯誤によって危険が避けられない場合は、この限りでない」の配慮事項を踏まえ、個々の駅の空間条件に沿った設置ならびに設置方法が検討されることが望ましい。

ホームでのアナウンス

(頂いた御意見)

2種類以上のアナウンスは、時間をずらして、放送が1種類ずつ流れるようにすべき
 理由:ホームにおいて、上り、下りの音声案内を重ねて放送すると、いずれも聞き取れず事故などの原因になる。

アナウンスは、2回繰り返すようにすべき
 理由:通過電車や発車の電車などの騒音で、案内アナウンスが聞こえない時が多く、勘違いしてあわててホームから転落する危険がある。

(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインに既に盛りこまれた事項である。

エレベーター

(頂いた御意見)

駅構内の通路やコンコースにおいて、階段、エレベーターの位置を示す音声案内を盛り込むべき
 駅構内の通路やコンコースにおいて、階段、エレベーターの位置について、誘導プロック上を歩いている視覚障害者が認識できるよう、150cm 程度の高さのスピーカーで局部的な音声案内の設置を要望する。視覚障害者誘導用ブロックの敷設されていない箇所の階段・エレベーターの位置も、これに準じて案内を要望する。
 理由:かなり行き着けた駅においても、階段やエレベータを通り過ぎることがある。
(国土交通省の考え方)
 階段での音響案内については、ヒアリング調査により優先度の高い、ホーム側の階段始端部に設置することとした。
 エレベーターについては、移動円滑化基準ならびに整備ガイドラインにおいて、かご内・乗降ロビーでの音声案内が示されている。
 階段については、視覚障害者誘導用ブロックを敷設するよう、整備ガイドラインに示されている。

段差解消

(頂いた御意見)

ラクープ等の段差解消装置を導入すべき
 段差解消装置について、プラットホームの構造の上からも検討することが望ましい。何という名前の装置かは憶えていないが、次の駅の“隙間や段差を緩和する装置”を参考にしてほしい。
 例)京浜急行線羽田空港駅ホーム、車椅子利用者のための装置。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインの考え方に示すとおり、「段差をできる限り平らにすること、隙間をできる限り小さくすること、また、段差・隙間解消装置を設置する」旨を記載している。

隙間の警告

(頂いた御意見)

隙間の警告装置の導入
 隙間が大きいため転落する危険を生じさせるおそれがある場合は、回転灯等を設置して警告する。
 また、音声でその旨を警告する。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおいて、「隙間が大きいため転落する危険を生じさせる恐れがある場合は回転灯等を設置して警告する。
 また、音声でその旨を警告する。」旨記載されている。

車両の開閉音

(頂いた御意見)

「ドアの開閉を音声や音響で知らせることがなお望ましい。」を「知らせる。」に。
 JR東日本の新型車両では導入するというのに、ガイドラインが「望ましい」では遅れているといわざるを得ない。
 理由:ホームにおいて、上り、下りの音声案内を重ねて放送すると、いずもれ聞き取れず事故の原因になる。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインの際に議論された内容であり、空間条件や個々の状況に応じた整備が推進されるべき。

(頂いた御意見)
ドアの開閉を知らせるブザーを車両外にも聞こえるようにすべき
  •  いずれの視覚障害者も車両の音、接近の告知アナウンス、晴眼者の声かけに頼っている。
     また、線路や階段に向かってまっすぐに立っていることの重要性を認識している。転落防止に関しては、まっすぐ立つことを心がけている。車両のつなぎ目に転落する危険もあるが、これは杖で床面をしっかり触察して確認することで防止している。ただ乗車位置が確認できないので、JRの列車ドアの開閉時に鳴らされるブザーを是非、車両外にも聞こえるよう操作してほしい。
     またドアの開閉音を聞いてから脇に寄り、車体を伝ってドア内部の棒をしっかり持ち、乗車することを励行している。この方法により、経費のかかるホームドアや転落防止柵の必要性はそれほど認めない。ただ、音声に頼る場合でも弱視者が光を見て確認する場合でも、むかい側線路に止まっている車両を手前の車両と誤認することがあり、これに注意する必要がある。
  •  近頃、新型車輛では、ビンポンビンポンとの音響により、ドアが開き閉めするものがあるが、あの音は外に聞こえるべきものであり、車内に流しても意味を持たないのではと思っている。もしくは、混雑していて車内の人が開き閉めのタイミングが分からないために付けたのだろうか。地下鉄やホームの間に上り下りの電車が入ってくるタイプだと止まってドアが開いているかもわからない時があり、動いている時に触れてしまった事が何度となくある。ホームドア、可動式ホーム柵のドアの開閉に先立つ、音響や音声による案内は必須である。
  •  ホームドア、可動式ホーム柵上記の設備がない駅ホームでも、電車のドアの開閉に先立つ音響や音声による案内は必要である。最近の車両では、停車・発車時の音、ドアの開閉時の音が極めて小さく、電車が止まったのか動き出したのか、ドアが開いたのか閉まったのかがわからないことがある。そのために、動いている電車に知らずに接触してしまう危険がある。
     JR京浜東北線の電車の車両、山手線の新型車両の、ドアの開閉時のチャイムの音は、上記の状況を把握するのに有効である。
(国土交通省の考え方)
 「障害者・高齢者などのための公共交通機関のモデルデザイン」(以下、「モデルデザイン」という。)では、ドアの位置及び開閉が車内からでも車外からでもわかるようなチャイムの設置を記載している。これらの記載事項の周知徹底を図ることとする。

行き先案内

(頂いた御意見)

ホームドア、可動式ホーム柵のドアの開閉に先立つ、音響や音声による案内が必須
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインに盛り込まれた事項であり、整備ガイドラインに沿った整備が行われるよう、それらの事項を周知徹底していく。

構造把握

(頂いた御意見)

プラットホーム上での状況把握について
  •  プラットホーム上でランドマークとして利用しているのは、ホーム上の柱、ホーム上の有人の売店(開店時のみだが)、案内放送のためのスピーカー(案内放送時。隣接する別のホームのスピーカーも含む)、案内の内容もだが距離による音量の変化具合、発車の合図の電子ベルや音楽(鳴っているとき。隣接する別のホームの音も含む)は、距離による音量の変化具合も重要である。レールの継ぎ目を通るときの電車の車輪音、自分が利用する電車だけでなく、他の線を走る電車の音も含む。自分がいる位置がわかるだけでなく、何両編成の電車なのか、何両目に当たる所にいるのかも、音を数えることでわかる。ホーム上の誘導・警告ブロックがランドマークとして使える場合が少ない(全くないということではないが)。なお、JR山手線、営団地下鉄線(一部の路線)の電車内の、ドアやドア付近の手すりに貼ってある号車番号とドア番号の点字シールも、ホームに降り立ったときの自分の位置を知ったり、電車に乗る場合の目標になるなど、一人で電車に乗る場合には大変有効である。
  •  何度かプラットホームから線路上に転落しそうになったことはあるが、幸いにも今日まで転落した経験はない。転落しそうになったときと、そうでないときとでは何が違うのか考えたことを以下に記す。
     プラットホームの縁端部(従来の白線の外側)にいても、自分がどこにいるか、どこを歩いているかを確実に把握しているときは、落ちそうになることは決してない。従来の白線の内側を移動中であっても、自分がどこにいるのかを知る手がかりがない場合、他の乗客などで自分の位置を知る手がかりが一時的に利用できない場合などには、落ちそうになることが稀にある。転落を防ぐ上で大切なのは、自分がいる位置を確実に知ることと、自分が向かう方角を正しく見極めることである。

ホームドアよりホーム柵の方が望ましい
 プラットホームから線路上への転落を防止するということでは、ホームドアの設置は有効だと考える。しかし、東京の“ゆりかもめ”の駅を何度か利用してみて、私はホームドアのある所は歩きたくない。ホームを歩いていて、とても不安感じるのである。 線路上に転落することはないのだから、なぜ不安を感じるか以下に記す。
 ホームドアがある所には、向かい側の線路を通る電車や、ホーム上の人の移動に伴う“空気の流れ”がない。ホーム上の障害物(ほかの乗客を含む)による微妙な気圧の変化や、反響音(他の人の足音や話し声からの反響音を含む)の変化がないのである。これらは、プラットホームを歩くときに、自分の現在地を知ったり、移動する方向を見分けたりするためには、重要な情報である。“ゆりかもめ”の各駅にはそれがないので、自分がいる位置も、行くべき方向もわかりにくく、極めて歩きにくく、不安なのである。個人としては、プラットホームの線路側が全面的に遮蔽されていない可動式ホーム柵の方が良いと思う。

駅ホームの構造把握について
 駅ホームの構造理解:単独歩行を確実にするためには単に手がかりを求めるだけでなく、常時通行する駅の構造をメンタルマップにいれておくことが重要である。高架の駅では階段を降りてからさらにいくつかの階段があるというように、中階があるという構造になっていることが多い。また最近新設される橋上駅では改札が通路と併設されているなどのパターンが見られる。これらをことばで適切に伝えられるよう表現を互いに教えあう必要がある。

(国土交通省の考え方)
 ご意見として参考とさせていただきたい。

(頂いた御意見)
ホームの構造を事前に認識したい
 ホームの形状認識:島式・相対式という表現が普及しつつあるがこれをさらに徹底して構造の認識につなげることが特に視覚障害者の間で必要である。相対式であれば、ホーム端の反対は安全な場所であり、椅子やゴミ箱などが置かれていることが予知できる。島式の場合はホームの真ん中に椅子やゴミ箱が置かれており、それを避けようとすればななめ歩きにあり転落の危険がある。島式ホームで片側が通過列車のみの場合、鎖や柵が設置されていることがある。この場合には、そのことを知れば安心感があり、危険も防止できる。しかしそうなっていることをあらかじめ、くちこみで知る機会がなければわからないばかりか、手がかりにすることもできない。
 理由:高田馬場駅では北にノの字式(ホームを横から眺めたと考えて)の階段、中央付近に西武線との連絡口としてハの字の階段、南にノの字式の階段がある。これを別の表現で言えば、北に片側谷式、中央に岡式のように表現すれば全盲同士ではよく理解できるという経験を持っている。そしてハの字式もしくは、岡式の階段にはさまれたところに売店があるなどと表現すればどこに降りても、また迷うことがあっても、売店のあるところ、階段の内側などと表現して見える人に位置を教えてもらうことができる。こうした構造理解をしていれば迷ったり、危険な場面でも自分の位置確認が早くできる。
(国土交通省の考え方)
 初めて利用する駅などでは、ご指摘の通り、事前に駅の構造を知ることが重要であると考えており、ご意見を参考にさせていただく。また、このような場合、「3.(2)音案内設置における基本的な考え方」で示したとおり、本ガイドラインで示す音案内以外に、事前の情報提供、係員による人的サポートなどの総合的な支援策が必要となる。

行き先案内

(頂いた御意見)

ホームドアや可動式ホーム柵開口部付近を示す視覚障害者誘導用ブロック以外の案内の必要性
 ホームドアや可動式ホーム柵の開口部に点状ブロックを敷設するということであるが、開口部付近に他の乗客がいる場合にはブロックが利用できず、この目印は役に立たない、」つまり、点状ブロックで開口部を知ることはできない。別の方法と組み合わせる必要がある。
 なお、上記のような設備がない普通のプラットホーム上の点状・線状ブロックにおいても、乗客などが作っている列や、乗客の手回り品(乗客の荷物)などのために、位置確認の手段に使えない場合が多い。誘導・警告ブロックは万能ではないことを、設置者も利用者も認識する必要がある。

ホーム上の視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法の検討について
 (ホーム上の視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法の検討について、)どのような団体がどのような方を対象に、どのような形式で行われているのであろうか。少なくとも視覚障害者である私は、この点についての情報を全く知り得ていない。

(国土交通省の考え方)
 ヒアリング調査の結果から、ニーズが高く有用性の高い5ヵ所における音案内をガイドラインに盛り込むこととしており、ホームドアや可動式ホーム柵付近の音案内については盛り込んでいない。
 しかし、現在、プラットホームにおける視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法について改善すべく、国土交通省、交通エコモ財団、鉄道総研にてプラットホーム上の視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法について、平成12年度より「誘導・警告ブロック改善検討会」を設置し、検討を進めており、検討結果がまとまった際には整備ガイドラインの該当部分を改定することとしているところである。

(頂いた御意見)
駅入口の案内・誘導を地下鉄に限定せず盛り込むべき
 ガイドライン案が提示されていますが、地下鉄に限らずJR等の「駅入口」の案内・誘導についてガイドラインが必要と思われる。視覚障害者の行動として、歩道から分岐している点字ブロックの行き先がどこへ行くのかが理解できない場合がある。このことは、福祉センター・市役所・区役所でも共通の悩みといえる。駅周辺にいることは解ったとしても、「駅入口」の限定をするためのガイドラインを追加することを希望する。
(国土交通省の考え方)
 地下鉄出入り口については、ヒアリング調査等においてニーズが高く、また改札口との階層が異なり、かつ街路、建物内などに設置され、入口の把握がより困難となっているため、音響案内の設置を盛り込んだ。

5地下鉄の地上出入口

設置場所

(頂いた御意見)

地下鉄駅の地上出入口における音響案内装置の設置を、「望ましい。」から「設置する。」に修正すべき
 地下鉄が発達して、地上出入口があちこちに出来たが、どこにあるか分からない。
(国土交通省の考え方)
 地下鉄のどこの出入口に音響案内を設置するかは、駅の立地特性、周辺状況を踏まえ、個々の駅で検討するものである。

音響の区別

(頂いた御意見)

階段とエレベーターの区別がつく音響にすべき
 階段がなく、エレベーターだけの出入口がある。(エレベーターの音響も必要である。)
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインの音響案内は、入口部に設置するものであり、階段に限定されるものではない。
 エレベーターについては、整備ガイドラインにおいて、かご内・乗降ロビーでの音声案内、ボタン位置、点字案内などが示されている。

出入口名(携帯端末)

(頂いた御意見)

端末を利用して地下鉄の出入口において路線や出入口名の案内を行うべき
 地下鉄の出入口の位置を知らせるだけでは、情報としては極めて不十分である。それが何という路線の何という出入口なのかという情報が必要である。都心では、複数の地下鉄路線の複数の出入口が、比較的狭い範囲内に存在している所もあるからだ。
 既にいくつかの出入口で実際に設置されているが、ガイドチャイムで出入口が存在することと、そのおおよその位置を知らせる。手持ちの受信機で必要なときに聞けるような、「○○線××口です」といった言葉による案内設備を設ける二段構えの音声ガイドシステムが必要である。
 音声案内の例)「東西線飯田橋駅B2口です。」
(国土交通省の考え方)
 研究会の議論等においても、携帯端末を用いる方式については、特に地下鉄出入口で有効との意見が示されたが、「1現状では特定の方式へ統一を行えるほど絶対的に優位な方式はないこと、2不特定多数の利用者が利用する場合、誰もが利用できる案内方式が望まれていること、などから統一的な方式を示すには至らなかった」。

出口方向の案内

(頂いた御意見)

地上への出口がどの方面へのものか等につき、音案内があることが望ましい
 本報告書では、地下鉄駅から地上への出口に関する音案内が考慮されていない。
 理由:地上への出口がエスカレーターによるものならば、その音案内が実施されれば、ある程度離れた改札などからでもわかる。
 しかし、階段の場合、その階段上り口手摺にある案内点字表示に触れるまでは判らないということにもなりかねない。音案内がなされていれば、無駄な動きをすることなく、目的の方面出口に向かうことができる。
(国土交通省の考え方)
 音案内の対象となる場所は、ヒアリング調査結果より、音の氾濫等も防ぎつつ、ニーズが高く、有効性の高い場所を選定した。
 地上への出入口については、ヒアリング調査等により、本ガイドラインの音案内が大まかな経路を把握している利用者を対象としていること、既に視覚障害者誘導用ブロックにより誘導すること、手すりに点字表示を行うこととされている。

音量調節

(頂いた御意見)

自動音量調節機能付の音響設備を導入すべき
 視覚障害者案内の音響等が騒音となるかは、周囲の環境音との相対的関係にもよる。早朝や深夜等の静かな時と、日中の交通が激しい時等で環境音に連動した案内音とする。これは自動音量調節機能を持たせるようにする。技術的にも可能と思われる。
 理由:せっかく音響設備を設置しても、周囲の騒音とされて使用されない場所があり、何のための音響設備なのかと思われるから。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインの考え方に、「音量制御などにより騒音への対応を図るなどの配慮が必要である」旨を記載している。自動音量制御を設置することについては、空間特性、周辺の状況に応じて、個々の駅によって検討するものである。

参考10

音案内の必要性

(頂いた御意見)

風の影響について
 風が吹いていると、気流が音波の伝わる進路を遮ったり、音波を屈折させたりして、音源の方向やそこまでの距離などが感知しにくくなる。
(国土交通省の考え方)
 風による影響は「風の音」による妨害だけではないというご意見だと考える。

修正
 ご指摘を踏まえ、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」における「風の音により」を「風の音や気流の影響により」という表現に修正。

音による案内の考え方

(頂いた御意見)

環境基準における音量レベルを参照することは不適切。また、騒音レベルの変化に併せた検討を盛り込むべき。
 ガイドラインにおいては音案内の呈示音量について環境基準法に基づくdB量を参照されているが、音案内のようなリピート性が高くかつ有意味音源については、いわゆる環境基準における音量レベルを参照することは適切とは言い難い。基準値を満たしていても周辺には十分に騒音となりうる可能性をはらんではいるため十分な配慮が必要である。
 また環境基準においては昼間・夜間という大きな枠組での基準を目安としているが、交通ターミナルなどにおける暗騒音レベルの変化は、もう少し細分化された時間帯によって変化しており、その点についての検討事項を盛り込むべきと考えられる。(例えば平日・休日による違いや、ラッシュ時などへの対応など)
(国土交通省の考え方)
 環境基準を満たしているだけでは不十分であること、近隣の人たちとの協議が必要であることなどは、「参考10 2.(2)音量選択の目安」に記載している。
 なお、平日・休日やラッシュ時などについて、空間特性、旅客流動を踏まえて個々の駅で検討するものであり、統一的な基準を示すことはかえって音案内の設置を困難にする恐れもあるため、必要以上に詳細な記述はしていない。

(頂いた御意見)
音案内の設置位置の目安を示すべき
 ガイドラインにおいては、音案内の到達範囲の目安を距離やスピーカーの指向特性に着目して検討されている。設置位置については天井、もしくは壁面といった抽象的な表現であり、例えば設備の設計者は改札口のどのあたりの天井、もしくは壁に設置すればよいのか判断しにくい。そのため現状では最も当たり前な窓口上部などに音案内が設置されることが多く、これらが常駐する従業員に対して不快な存在となってしまっていることも見うけられる(その結果、音量が低く設定されたり、場合によってはせっかく設置したものを停止するといったこともある)。主たる利用者が視覚障害者であるということを想定すると、設置目安としては、点字誘導ブロックの導線上より○mの壁面、または点字誘導ブロックの上部○mまでの天井部といったような設置基準の目安があると大変有効であると思われる。
(国土交通省の考え方)
 スピーカの配置や指向性については、空間条件や個々の状況に応じて配慮すべきであり、統一的な基準を示すことはかえって適切な音案内を妨げる恐れがある。

(頂いた御意見)
音の案内の繰り返しに関する目安を示すべき
  •  音の案内の繰り返しに関する目安の記載がない。ガイドラインにおいては、音案内の繰り返しの間隔についての基準が言及されていない。それぞれの音案内の音源については、冗長的にならないように指摘されているが、それをどのくらいの間隔において呈示するのかにより、冗長性は変わってくる。この問題は使用するスピーカー(音源装置)や視覚障害者が持つ端末にも依存することであるので、基準が設けにくいのかもしれないが、単純なリピート機能を有する機器による呈示の場合、焦電センサーなどによる自鳴式発音機器による場合、端末装置からの赤外線、または電波により遠隔鳴動する機器の場合等に分類し、それぞれにおける基準を提示するべきではないだろうか。
     例えば、単純リピートを行う場合には、音源長が○秒以下の音案内であれば、○秒間隔で呈示すべきとか、焦電センサーによる場合は、音源より○m付近までの感知感度をもつこと等。この際に、単純リピート再生の場合には、周辺部への配慮を十分検討することが求められる。
  •  視覚障害者が音源を特定しやすいよう可能な限り連続的に案内することが望ましいという記述に関して、以下のことを提案したい。
     設置場所はトイレの出入り口等に限定されますが、音声機器にタイマを内蔵し30秒もしくは1分間隔での音声案内がいいのではないかと考える。通常視覚障害者の歩行速度を2km/hと仮定した場合、30秒間隔の場合、設置場所から約16m内、1分間隔の場合、約33m内でのアナウンスとなり充分施設場所限定の効果はあると考える。逆に常時アナウンスを繰り返し行うと、施設周囲に常時いる健常者に対して悪影響を及ぼす可能性があると考える。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘の通り、音の繰り返しの周期に関する記述を盛り込む。
 なお本ガイドラインでは、「1)単純なリピート機能を有する機器」を対象としている。

修正
 本文には「音の繰り返し周期は、案内音と次の案内音との間の無音時に利用者が通過してしまうことがないよう短くしなければならないが、一方で、周辺の職員に不快感をもたらさない程度に音と音の間隔をあける必要がある。」という説明を追加。なお、具来的な時間間隔は個々の状況に応じて配慮すべき。

(頂いた御意見)
再生周波数帯域等の音質のクオリティーについて示すべき
 ガイドラインにおいては、音案内の音質についての基準が言及されていない。特に音声を用いた案内については、その音質によって意味内容の理解に大きな影響を与える。音声案内における音質に大きく関わってくるのは、スピーカーの大きさ(スピーカー口径は再生周波数帯域に影響する)と、音源の記録媒体への圧縮方法(圧縮方式、サンプリング周波数、量子化数)、及び設置位置である。特に現状の什器(エレベーター、エスカレーター)に使用されているスピーカーの再生周波数(例えば4khz以下)、圧縮方式(例えば8khz8bit)では、明瞭な音声案内とは言いがたく改善が望まれる。サイン音による場合、音声による場合それぞれにおいて、望ましい再生周波数帯域、サンプリング周波数などを呈示すべきと思われる。
(国土交通省の考え方)
 音のクオリティーについては、ご指摘の通り少なくとも必要最低条件は記述する必要がある。

修正
 本文には「スピーカからの再生周波数帯域は100Hz〜4kHzの帯域を必ず含むこと。デジタル再生の場合、分解能は8bit以上を用いること。」という説明を追加。
 (実際に使用されている視覚障害者用音案内のいくつかは、周波数帯域〜8kHz、分解能8bitとなっている)。
 なおスピーカの大きさやサンプリング周波数は、上記の再生周波数帯域の条件を満たすために自ずから決定されるため、これらについては記載していない。

(頂いた御意見)
標準例の位置付けを示すべき。また、標準例の必要性について疑問
 ガイドラインにおける「標準例」という言葉の意味が不明確である。本ガイドラインには義務性はないとガイドラインの性格に記載されているが、標準例として具体的な音の種類が記載されていると、機器メーカーや交通事業者にしてみると事実上の標準化のように受け取られる可能性を含んでいる。ガイドライン中に用いられる「標準」という言葉の意味定義づけ、ここで示している各種事例の位置付けについて明記する必要があると思われる。
 また、例えば地域や事業者が違うことで同じ音が異なる意味合い(場所)で使用されることは混乱を招くことになるため、音案内にある程度の共通性はもたせる必要性はあるが、例えば具体的な「鳥の声」といったようなものを呈示することが本当に望ましいであろうか。プラットホーム上での使用ということであれば、通常は存在しないであろう地下鉄ホームにおいても鳥の声が聞こえてしまう不自然さも生じる可能性がある。
(国土交通省の考え方)
修正
 ご意見を踏まえ、「3.(2)4音案内の方法」にて、「本ガイドラインでは、視覚障害者の利用にあたっての利便性等を考慮し、音響案内の設置場所を統一するとともに、標準的な案内例を示すこととする。」とする。
 具体的な音響案内については、標準例並びに「参考10音案内を行う際の基礎知識」を参考として、個々の駅における音響設計にて検討されたい。

(頂いた御意見)
音響・音声案内の区別を盛り込むべき
 音響案内(いわゆるサイン音)と音声案内の使用のすみわけ(または併用)についての言及がなく、どの場所には音響案内、どの場所には音声案内が望まれるのかが明確ではない。
(国土交通省の考え方)
 音響・音声案内の区別については、まず、現状の設置状況を踏まえた視覚障害者からのニーズに基づくものとなっている。
 また、近い距離を案内範囲とし、設備の位置と内容を知らせるニーズが高いものについては音声案内としている。

(頂いた御意見)
「5〜8kHzの周波数帯域幅を有しており理想的である。」については表現方法に工夫が必要
 理由:音響信号機(いわゆるピヨピヨ、カッコウ)に関するISOにおける議論では、視覚障害者の高齢化に対応するために、1kHz以上の音は控える方向にあり、関連の委員会では国内でもその対策の議論が行われている。高齢者の音の聞こえ方に関する通産省における基盤研究でも、高齢化とともに高い音は聞こえにくくなっている。従って、5〜8kHzが理想的であるかの印象を与える表現は工夫が必要と思われる。
 なお、ISOでは、鳥の擬声は不採用の方向の議論が強くなっていることも申し添える。
(国土交通省の考え方)
修正
 本文は、「音源定位の正確さを確保するために...(中略)...5〜8kHzの周波数帯域幅(その音を構成する周波数成分の最大周波数と最小周波数の差)を有しており理想的である」ことを示しており、周波数(=基本周波数=その音の一番低い周波数成分)が5〜8kHzであることが理想であることを示すものではない。誤解を避けるために、「周波数帯域幅の説明の部分に「基本周波数(上述参照)と混同しないこと」という説明を追加する。
 なお、高い基本周波数を持つ音を使用すべきではないことは「参考10 2.(1)音案内に適した周波数や音色の考え方」に既に記載している。音響信号機におけるISOで鳥の擬音が不採用の方向に議論が向かっている理由は、鳥の擬音の基本周波数が高いことに起因していると考えられる。本ガイドラインでは、基本周波数の条件を満たしていることを条件として鳥の擬音を標準例として示している。

(頂いた御意見)
必要以上の音量は不必要
 視覚障害者は、晴眼者(施設設置関係者)が考える以上に音声には敏感である。そのため音量は小さくてよいにも関わらず必要以上の音量を出すために、一般の人(商店主や周辺住民)から抗議が寄せられ、音量だけでなく設置自体をやめてしまうこととなり音源が減らされる。交差点の音響式信号機に見られるように、はじめは大きい音ですぐに音量を絞る方式が多いが、これで十分であると考えている。行ったことがあるところでは、音響式信号機が設置されていることはよく知っているので音量は小さくても十分認知できる。
(国土交通省の考え方)
 ご指摘の通り、晴眼者が想像している以上に視覚障害者は僅かな音響的手がかりにも注意を払って移動を行っている。

修正
 ご指摘を踏まえ、本文には「視覚障害者が僅かな音響的手がかりにも注意を払って生活していることを踏まえ、音案内を設置し音量を調整する段階においては、最初から必要以上に大音量を出力しないこと。」という説明を追加する。

(頂いた御意見)
案内音の音量を周波数毎に補正するシステムの導入
 音にはマスキング効果が存在し、特徴としては、音の周波数帯が近いほど効果が大きくなる。効果の影響は1Khz以下では約100Hzの範囲、1Khz以上では周波数が大きいほど影響を及ぼす範囲が大きくなる。
 またマスキング効果は大小の音が同じになったときだけでなく、時間的にも影響される。大きな音に近い周波数の音が約1000分の1秒以内に鳴った場合、小さな音はかき消される。ただし、環境による様々な周波数帯騒音が入り混じり、時間的にも変化があるため、周波数の差も必要であるが、音圧の差も重要になると考える。一般的に周囲騒音と目的の音の差は3dB以上なければ聞き分けが難しいといわれており、もし周囲騒音が90dBの場合、音声案内などは93dBよりも大きく吹聴させる必要がある。前述の周波数についても、設置場所の周波数帯のサンプリングを行い、周波数帯に近い音、音声案内についてはスピーカにフィルタをかけその音だけ吹聴させないような製品も別途開発コストはかかるが作成することも可能である。
(国土交通省の考え方)
 その場所の騒音のスペクトルから各周波数のマスキングレベルを算出して案内音の音量を周波数毎に補正するシステムは既に存在し、一部の旅客施設で実用化されている。「参考10 2.(2)音量選択の目安」では、「音案内の音量もこれに応じて過不足なく調整されることが望ましい。」と記載されているがさらに修正する。

修正
 ご意見を踏まえ、「音案内の音量(できれば周囲の騒音に合わせた各周波数成分毎のレベル)もこれに応じて...」と修正する。

(頂いた御意見)
音声案内のアナウンスは女声にすべき
 音声録音の比率は1:9(男性:女性)で圧倒的に女性による案内及び注意喚起が占めている。
 理由としては、2.音による案内の考え方(1)音案内に適した周波数や音色の考え方の中に記述されているように、一般的に女性の音声の周波数帯が男性の音声周波数帯と比較すると高い傾向にある。この度の音声案内の目的は施設位置をより遠方から正確に知らしめることにある。一般的に低周波数帯の音は回り込みにより、より広角の案内を知らしめる効果があるが、逆に周波数帯が高くなればなる程、音の直進性が増し設置場所からより遠方に案内を知らしめ、設置場所を限定する事に適している。よって音声案内のアナウンスについては女性が適していると考え提案する。
(国土交通省の考え方)
 男声・女声については、一律に示すこととせず、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」を参考の上、個々の駅で配慮されることと考える。

設置者の専門性

(頂いた御意見)

設置者の専門性等を確保すべき
  •  設置基準について、明確な基準が打ち出され、非常に利用価値の高い旅客施設となることが期待できるが、このガイドラインに沿った施設改修においてどんな点に注意しなければならないか。設置に際する不具合等を未然に防ぐために技術基準の明確化と設置者の育成が必要ではないか。
  •  設置にあたってまず、施設全体を把握して有効な設備設計を提案できること視覚障害者の行動を熟知していることを含む。福祉設備工事の資格の創設(現状近いのは福祉住環境コーディネーターか)
  •  電気通信工事の施工力がある事業者であること。電源工事、電波、赤外線、弱電回路等技術対応が可能な業者、特に微弱電波を扱う方式では、受信感度の微調整に起因する誤動作、不動作または、近接設置の機器との同時作動によるメッセージの混在による利便性の低下が問題となっている。それには、建設業の区分による電気通信工事業が妥当か。技術基準を明確に要請していただくことが、機器の専門性の理解につながり、良質な施設改修を見込むことができる。
  •  計画段階から当事者の参加があって初めて有効な手段になることが、最も大切な事だと思われる。設置後、発注者が一番困惑することは、メッセージ内容の的確さ、設置位置の不適切さ等のクレームが上がることであり、音声誘導機器方式も含め設置後総取替えまで発生した事例もある。事前にヒアリングを行い、それに対応する機器選択が可能な事業者の育成を希望する。
     理由:これまで階段の手すりの点字プレートが上下さかさまについてしまった、誘導ブロックでガイドすべき位置に警告ブロックを敷き詰めてしまい立ち入り禁止にしてしまった、点字による運賃の誤表記等、福祉に関する工事の管理に対する難しさに嘆く発注者、建設業者の話をよく耳にする。音声誘導機器の場合は、明確なメッセージが必要なだけに、同様のミスが発生した場合、極論すれば、設置位置やメッセージ内容により、人命にかかわる可能性も無視できない。静岡県内の事例においても、機器の不作動、不適切なメッセージなど施工上の不具合が指摘されている。
(国土交通省の考え方)
 設置者が、設置にあたっての配慮事項が可能な限り理解できるよう、視覚障害者の行動特性を含め、各音案内の設置の考え方を示している。これらを十分に配慮し、設置されることが望まれる。
 また、ご指摘の通り、設置にあたっては、視覚障害者を含む利用者の意見を聞くことが重要であり、「5.あとがき」にその旨を記載している。

設置後の維持管理

(頂いた御意見)

設置後の維持管理が必要
  •  設置後の経年変化の中で多くの弊害が散見され、維持管理について必要性が感じられる。機器の破損による不動作、設置環境の変化によるメッセージ内容の不適切さ、設置場所前面が不法な自転車置場になってしまい、利用できなくなっている事例もある。周辺の変化にも対応、指摘できる能力が必要とされる。音声案内を目印に移動している利用者が、ある日突然メッセージが作動しない為に通り過ぎてしまうことが想定され、その先に危険がある場合はことさら日々の維持管理が重要な設備といえる。 
  •  例として、消防設備士が挙げられ、委託を受け消防法に定められた法定点検を年に2回行う。技術対応もさることながら、建物の間仕切り変更などによる環境変化による機器の設置上の不備を指摘する義務がある。ガイドラインの中にもこのような維持管理基準を設けられたい。
(国土交通省の考え方)
修正
 ご指摘を踏まえ、「5.あとがき」に「適切な維持管理が必要である」旨を追加。

2.整備ガイドラインにおける「点字による案内板等」と本ガイドラインの関係について

案内板

(頂いた御意見)

点字による案内板より音による案内を優先すべき(再掲)
 駅出入り口付近、トイレ出入り口付近の案内板設置に関して、どちらも「無いよりはあった方が良い」と思う程度である。トイレについて最も必要な案内項目は、男女の別と水洗トイレの水の流し方だけである。従って、触知板による案内の必要性はあまり感ず、「音(声を含む)による案内」の方を優先させるべきである。案内板に触れ触覚で設備の配置等の情報を得るには、指や手で捕らえたピンポイント的な情報を頭の中で合成していかなければならず、想像以上に時間がかかる。外出前に職場や自宅で調べるのには適しているが、移動中の場合は能率的でない。
 また、点字による案内板がどこに設置されているかを、視覚障害者に知らせる手段が検討されていない。離れた位置から案内板を探す場合、晴眼者が目で見て探すように、視覚障害者は音情報を聞き分けて探す。案内板がここだと音で知らせるくらいなら、音(声を含む)で案内した方が無駄がない。
(国土交通省の考え方)
 ヒアリング調査により、音案内に対するニーズが高く、有効性も高い5ヶ所について、検討を行い、本ガイドラインで音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。
 また、ヒアリング調査により、改めて視覚障害者の旅客施設内での音案内に対するニーズが高く、視覚障害者に対する案内の方法として、各施設付近での音による案内も有効であることが明らかになったことから、移動円滑化基準についても、視覚障害者に案内を行う設備の例示として「音による案内」を追加するよう、改正することとしている。

(頂いた御意見)
点字による案内表示の位置について
 身長が124cm程度であるため、規定で設置された点字案内板を十分に活用できたことがない。規定は標準的な身長がある大人だけを目標としており、視覚障害者児童や身長の低い視覚障害者は想定されていない。
(国土交通省の考え方)
 本ガイドラインにおいては、点字案内板を有効に利用できない場合も考慮し、音案内に対するニーズが高く、有効性も高い5カ所について、音案内の整備の考え方と望ましい内容を示している。

(頂いた御意見)
音声ガイドボタンを付加した触知図を導入すべき。また、案内板自体に音声誘導機器を組み込み、端末を利用した誘導を盛り込むべき
 点字案内板が触れられていたが、近年、必要性の有無も取沙汰されているところである。施設全体の配置を把握するため、案内板自体は大変有効な案内施設であると考えている。
 不要であるといわれている理由としては、点字習得者の少なさ、特に近年の中途失明者の増加により視覚障害者全体の9%程度の方にしかわからない
 →音声ガイドボタンを付加した触知図により向上、案内板自体が何処にあるのかわからず通り過ぎてしまうことが、現時点では一番大きなネックとなっているようである。誘導チャイム併設型などあるが、人的支援に頼るほうが大きいと聞く。
 無人駅など近くに人がいない場合どうすべきか
 →静岡県内(JR愛野駅等)では案内板自体に音声誘導機器を内蔵し、端末の利用者に「案内板はこちらです」と誘導するところから評価されている。
 ガイドラインとの関わりの中で、案内板自体に誘導機器を組み込むことはいかがか。
(国土交通省の考え方)
 整備ガイドラインにおいて、点字案内板等の位置を知らせる音響案内装置、音声案内装置の設置をなお望ましい内容として記載している。
 また、今回のガイドラインで示された音案内が整備されることにより、点字案内板を使用しない方に対しても適切な移動支援をすることができるものと考えている。

5.あとがき

携帯端末

(頂いた御意見)

携帯端末を用いた誘導システムを導入すべき
  •  視覚障害者として音による移動支援が大変役立つ情報源として活用している。2000年に、警視庁と神奈川県警の協力で音響信号の携帯用端末機を使った実験をした。JR磯子駅にも改札口や券売機、発車時刻などの情報を端末機で得ることができ、磯子区役所内には、エレベーター乗り場、障害者用トイレ、公会堂入り口、ロビーなども端末機で情報を得ることができる。横浜市内の中区役所、鶴見区役所、南区役所、泉区役所、青葉区役所にも同じように取り付けられている。これらの音の発信方法は赤外線を活用した方法であるため、他に障害は伴わないものである。
     以上の経験により、駅構内に於ける音による移動支援については赤外線の発信と携帯用端末機を利用して頂くことを提案する。勿論、他の装置と併用することも結構である。
     例えば、誘導チャイム、肉声の情報提供で行っている箇所にも端末機が使えるようになれば便利である。現在、高田馬場駅において実験中の誘導装置がかなり視覚障害者の間で好評を得ている。
  •  手元の端末を操作することで、必要とする人だけが、必要とする場所で、必要な情報を入手できる電波方式(新木場駅等)、赤外線方式(高田馬場駅等)は、周囲の環境への配慮という観点からも、大変優れた音声案内システムだと思う。赤外線方式の場合には、利用者が携帯する端末のスピーカー(またはイヤホン)から案内を聞く方式のため、周囲の雑音(騒音)の影響を受けにくい。視覚障害者が白杖や盲導犬を利用して歩く場合、操作法や音(音声)情報の活用法を多少練習する必要はあるが、慣れれば予想外の量と種類の情報を取り出すことができる。高田馬場駅や磯子駅での実験に参加して、改札口や券売機などの位置情報、方向、そこまで(実際には電子ラベルが設置されている所)までのおおざっぱな距離(すぐ近くか、少し離れているか程度)、進路上の人の有無(いれば赤外線が遮断される)等を感知できることを知った。本システムが“試験的”でなく、実際の運用形態として、駅(構内と駅周辺)やバスターミナルなどに設置されるよう希望する。
  •  「携帯端末による誘導システム」が今後の検討課題とされた点について非常に残念に思う。近年、障害者が自立的に活動したいという欲求の高まりなど踏まえ、ハートビル法や福祉のまちづくり条例等により段差解消等をはじめとする建物のバリアフリー化が進められ、道路の歩道空間についても交通バリアフリー法による整備基準が定められる等、障害者や高齢者等の方々がより快適に利用できるよう国や民間を問わず、ハード、ソフト両面とも様々なバリアフリー化に向けた取り組みがより積極的に進められているのはご承知のとおりである。とりわけ、交通バリアフリー法に基づく移動円滑化基準では、旅客施設等の整備内容を義務的基準として定め、「旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン」については、より具体的にその整備内容を示すものとして、今後、各種施設の整備検討の際には特に注視していくべきものと考えているが、今般の「音による移動支援方策研究会報告書」を読む限り、現状の盲導鈴やスピーカー等の装置を工夫する事で事が済むというような印象を受ける。
  •  一般の公共施設等で実用化されてきた「携帯端末による誘導システム」には様々なタイプがあるが、視覚障害者の個々の特性に応じて使うことができるよう、近年これら数種類のタイプがようやく、参考資料1の三方式に集約されてきている。これらシステムはそれぞれ特徴があるが、視覚障害者が自分の居る位置や方向性を認識する上で極めて優れているとの報告もあり、提供できる音声情報も、容易に変更することができ、リアルタイムな情報を提供することも可能なタイプもあるといわれている。既に商業施設や博物館、市役所等では本格的に導入されており、あるシステムにおいては、道路空間における交差点や、JR東日本の駅舎などでも積極的に実証実験が続けられていると聞いている。
     このような経緯を踏まえると、携帯端末による誘導システムを「現状では特定の方式へ統一を行える絶対的に優位な方式がないこと」を理由に今後の検討課題と位置づけられたことは、障害者の自立支援という観点から後退した考え方であり、理解しかねる。特に、「絶対的に優位な統一システム」というものは、それほど簡単に且つ短期的にできるものではなく、視覚障害者にとってみれば、一体全体いつまで待てば「その絶対的に優位な統一システムが使えるようになるのか」と云った疑問を禁じえない。
  •  他の搬送系システム(エレベータなど)についても、操作性などの点で絶対的に統一のものがないにも係わらず、これらは既存技術のものでガイドラインに記載されており、携帯端末による誘導系システムについて、それを「否」とするのは、視覚障害者の社会参加並びに生活自立の支援環境を整備すると言う視点からは、大きく後退した考え方ではないだろうか。法律やガイドラインのみならず「物」や「環境」は、利用者に使われてこそ進化していくものであり、今回のガイドラインにおいても「携帯端末による誘導システム」などを使って視覚障害者の行動範囲がより拡大できるよう、また自立的な行動を支援できるよう率先して盛り込むべきではないか。
     また、今回のガイドラインが「公共交通機関の旅客施設における音案内の望ましい内容を示す」ものであるならば、これら音(携帯端末を含め)による誘導系システム導入の可能性を含ませた内容とすべきであり、このようなシステムの整備が、公共交通機関をはじめとして、建物や道路空間にまで広がるならば、視覚障害者の行動範囲がより拡大されることになり、「障害者の社会参加の支援」という観点からも大きく貢献するものではないだろうか。
  •  音案内について、騒音、周囲で働いている人に考慮して、設置しなければならないのは当然のことであるから、常時案内が流れている必要はない。音案内の必要な視覚障害者がその施設を利用する時にだけ流れれば良いことから、端末を利用した方式が望ましいが、いろいろな方式を導入されても困るので、方式は一つに統一していただきたい。
  •  ガイドライン中に、方式の統一についてはどの方式も決定打に欠けるとのことだが、実際のユーザーからの要望(視覚障害者団体からヒアリング、要望書、陳情など)から一つの指針がとられ、設置されている事例もある。方式について省庁からの明確な基準の提示がない中、現在静岡県下で発注される音声誘導装置については、視覚障害者が持つ端末に注目して機器仕様を電波方式に決定している。2003年の静岡国体をはじめ、全国からも訪問者が多数見込まれる緊急性と併せて音声誘導装置の設置導入の緊急性が叫ばれている中、利便性、周囲への配慮、コスト、施工性などいずれも検討した結果、現時点で最善のものを選択している。
  •  音声誘導機器の端末についてであるが、視覚障害者に日常生活用具として給付対象とされているものは現在電波方式の端末のみであり、利用者負担額が最も小さいことでも支持されている(歩行時間延長信号機用小型送信機 障障第68号平成9年4月1日厚生労働省)。使い勝手について、手元操作が必要なもの不要なものの説明があったが、旅客施設については、初めて訪れる人あるいは利用頻度の高くない人も想定する必要があり、音声装置設置の有無を知らなくても、操作を必要とせず、自動的に作動する仕様で統一されるべきと考える。その中で、周囲への音の配慮の項目があるが、全視覚障害者の人口比率(0.3%)のうち(1,2級者が給付対象)、音声を頼りに一人歩きをされている方の割合を考えると、従来の誘導チャイムに比べて日常生活用具として利用される頻度というのは極限られた回数ではないだろうか。
     しかし、施設外やホームに下りたとき、誘導チャイムがあるから安心して次の一歩が始まると聞き、不要ではないということでもある。但し施設内でトイレ、階段、案内板への誘導も同じチャイムではわかりづらいので、音声との区分けを明確にして頂けるとなおよい仕組みとなるのではないだろうか。
  •  音声誘導機器については国土交通省の電気設備工事共通仕様書に規定されている(*H13年度版第10節誘導支援装置 1.10.2音声誘導装置(b)(2)「無線式検出部は、身体障害者福祉法に基づき音声誘導対象者が所持する小型送信機により発信される」機器であること)。
  •  上記の端末は、交通弱者用信号機の押しボタンを操作できない視覚障害者がリモコンとして利用できるように給付対象とされた経緯がある。交通バリアフリー法施行にあたり、警察庁よりこの受信機内臓押しボタン箱の増設と、利用端末の啓蒙普及に力を入れるようにとの通達を出している。(交通バリアフリー法の施行に伴う交通警察の対応 丙規発第56号平成12年11月15日)
  •  規格の乱立については、いまさら指摘するほどもなく議論されているが、各省庁の連携の悪さが大きな要因であるように考えられる。
     しかし一方で、端末の一方式が規格に盛り込まれているのも事実である。これらの基準に関わらず、様々な方式の機器メーカーがしのぎを削っている状態に歯止めをかける仕組みが必要とされているというのが実際のところと思われる。
     本来、公共施設に使われる建材として捉えるならば、上記に適合しない機器の設置は認められないのが本筋であり、ガイドラインであればそこまで突っ込んでもよいのではないか。尚、仕様端末についても同様、福祉機器製造販売に関する規制があり、上記に該当しない端末の製造販売も厳密には認められないものだと思われる。ユーザーの利便性を考えると、この問題に対する強いリーダーシップが求められるところだと感じている。
  •  この方式の場合、厚生労働省の基準により定められた周波数で統一されているため(312.45Mhz)、どのメーカーの受信機を使っても差し支えないと思われるが、機器にある程度の信頼性がないと誤動作の原因になると思われる。
     静岡県を例にすると、送信端末は操作不要のタイプが普及している為、官公庁で出ている仕様はこれに対応した機器を選定しているが、この端末は、3秒間隔で微弱電波を発信しているので、この電波を受信する機能が求められる。但し312.45Mhzを受信すれば問題はなく、近似周波数帯による誤動作を防止する機能が必要となる。トラックの違法無線、ワイヤレスアンプ等、300Mhz帯を使用している場合、装置が起動してしまう恐れがあり、これを抑止する必要がある。
     また、鉄道事業者の館内放送や選挙の街頭演説や駅前のイベントなどもこの周波数帯の利用があると思われる。現在、このタイプの送信端末は3社以上(ALPS、富士電機、大塚オーミ陶業他)3秒間隔で電波を継続送信している関係で、各社とも送信電波にIDコードを付加し、他の機器への影響に配慮している。よって受信機側も各社ともID認識機能を有しているため、誤動作の防止にもつながっている。
     上記以外のメーカーが参入する場合はこの基準に適合しなければ誤動作を起こす可能性があるため、ガイドライン中に誤動作防止についても反映していただきたい。
  •  各方式の使い勝手について補足資料別紙にて添付。1)ルポ 音声誘導装置が開く歩行の未来(日本点字図書館)、2)上大岡駅音声誘導装置調査概要(交通アメニティ推進機構平成8年)、3)(684)トーキングサインの発表会に参加して E&C事務局だより(88)4/6 (火曜日)
(国土交通省の考え方)
 携帯端末についても本研究会において既存システムの実地調査、議論を重ねた。しかし、「5.あとがき」に示すとおり、「1現状では特定の方式へ統一を行えるほど絶対的に優位な方式はないこと、2不特定多数の利用者が利用する場合、誰もが利用できる案内方式が望まれていること、などから統一的な方式を示すには至らなかった。」一方、本ガイドラインで示している内容は、視覚障害者のニーズに基づいて、個々の場所における案内の内容をまとめたものであり、本ガイドラインで示す音案内が設置されることにより、端末を用いなくとも、視覚障害者のニーズに十分対応できるものとなっている。確かに、現在、各方式の端末の統一化も検討されていることから、今後の技術開発動向、製品の普及動向、端末の統一化への検討動向を見定めることとしたい。
 なお、本ガイドラインは、端末を用いた方式を否定するものではなく、いくつかの方式について参考事例として紹介している。

(頂いた御意見)
地下鉄駅構内では、様々な音が氾濫している状態であり、音声、音響装置を設置することは混乱を招く。携帯端末を用いた誘導システムを導入すべき(再掲)
 地下鉄駅構内では、列車自身の運転音をはじめ、警笛、発車予告ブザー、エスカレーターの反対側乗り入れを防止する警告ブザー、券売機の案内音・警告音、集改札機の異常時チャイム等様々の電子音を使用しているほか、列車接近・到着・出発、終電車の案内及び危険防止、マナーアップの呼びかけ並びに音楽によるBGM等の放送など、多くの音声が常に流れている状態である。
 このような状況下で、改札口、トイレ、階段、エスカレーター等近接した駅レイアウトの中で、その位置を誘導する音声、音響装置を設置することは、音の反響音、輻輳による喧噪化をもたらし、かえって混乱を招くこと必至であるため、常時による音声及び音響案内の設置を義務化することは拙速であり、一刻も早い「端末を用いた誘導システム方式」の規格統一化の実現に向けての検討をお願いしたい。
(国土交通省の考え方)
 携帯端末に関する考え方は前項目の通り。
 なお、旅客施設での多様な音については、「参考10.音案内を行う際の基礎知識」において、「不必要な騒音や音楽を排除した上で、確定的な音情報を人工的に配置することが望ましい」と記述しているところである。

人的サポート

(頂いた御意見)

人的サポートを求めることのできる場所がわからない
 視覚障害者にとって、「係員による人的サポート」は大変重要であるが、サポートを求める相手(係員)をどうやって探すかが大問題である。人的サポートが必要なのは、初めて利用する駅等であるため、どこへ行けば係員に巡り会えるかがわからない。この問題の対策を考える必要がある。
(国土交通省の考え方)
 人的サポートについては、「5.あとがき」に示しているとおり、「視覚障害者のみならず、多くの利用者にとって移動の支援となることから、多くの旅客施設で実施されることが望まれる。」
 また、人的サポートを求めることのできる場所への案内については、有人改札口で音響案内することで、駅員とコミュニケーションできる場所を知らせることとしている。

参考資料1

携帯端末

(頂いた御意見)

参考資料1の「端末を用いた誘導システム」の表現の修正
 公的図書または文書となるガイドラインの読者の誤解を招く懸念があるため、最新情報並びに現状を正確に伝える意味で以下の通り、訂正すべき。
  •  P.29 5行目において(誤)「現在開発が進められている・・・」→(正)「現在一般公共市場で実用化されている・・・」
     理由:電波方式、赤外線方式、磁気方式とも、どの方式も製品として既に実用化済みで販売されているので、「開発中」というのは適正さに欠け、ガイドライン読者の誤解を招くため。
  •  P.29の表中の「赤外線方式」の1)項の記述において、(文末追加)「また、電波方式(総務省の「音声アシスト」)による確認方式 も併用可能。」
     理由:現状を正確に伝える必要があるため。明らかに誤記のため。
  •  P.29の表中の「赤外線方式」の2)項の記述において、(誤)「手元の送信機」→(正)「手元の受信機」
  •  P.29の表中の「赤外線方式」の3)項の記述において、(誤)「H119」→(正)「H115」
  •  P.29の表中の「赤外線方式」の4)項の記述において、次の記述に差し替える。(正)「赤外線式に加え電波方式と同じ電波を発 信する方法もある。」
  •  P.29の「事例B:赤外線方式」の解説文において、次の記述に差し替える。(正)「電子ラベル(発信機)から赤外線を飛ばし、手元側の端末スピーカから音声案内を行う。端末を動かしながら電子ラベルを探すことになる。」
(国土交通省の考え方)
修正
 ご指摘通り修正する。

その他

発券所

(頂いた御意見)

券売所での列における位置の把握
 みどりの窓口に限らず、あらかじめ特急券などを購入する場合、行例がどの辺まであるのか、どこまで進んだのかがわからず困る。バス停、郵便局、銀行等での列でも、一番後ろがどこか、また進む音が聞こえないので、進んだかどうかがわからない。ほとんどの場合、晴眼者に注意を頂くことが多いが、それがない場合には困る。
(国土交通省の考え方)
 これについては、一般旅客を含め、人的サポートにより対応される部分が大きいと考える(人的サポートの例については「参考資料2 旅客施設における人的サポートの例」を参照。)。

視覚障害者誘導用ブロック

(頂いた御意見)

視覚障害者誘導用ブロックの色をはっきりすべき
 誘導ブロックの色を見ながら歩いている弱視者も多い。誘導ブロックの色も大切な情報である。舗装道路や床のタイルと同じ色の誘導ブロックが敷設されている場所もあるが、一人で歩く弱視者には役に立たない。視覚障害者関連の催しなどの場合には、弱視者が全盲の者をガイドするケースも多い。
 周辺の状況(床や壁の色、照明など)も配慮しながら、可能な限り誘導ブロックの色ははっきり見える色に統一し、周囲の、特に床面の色に溶け込まないように、コントラストのはっきりした色を採用してほしい。
(国土交通省の考え方)
 視覚障害者誘導用ブロックの色彩については、整備ガイドラインにおいて、黄色を原則とし、黄色以外を用いる場合は、周囲の床材との明度差あるいは輝度比を考慮するよう記載している。

ハートビル法

(頂いた御意見)

駅ビルや高層ビルのエレベーターに関するガイドラインの制定
 ハートビル法に関することかも知れないが、駅ビルや高層ビルのエレベーターについても、同様のガイドラインを検討していただきたい。超高層ビルでは、エレベーターのみで階段もエスカレーターもない場所がある。
(国土交通省の考え方)
 「高齢者、身体障害者等の利用を配慮した建築設計基準」(監修 建設省住宅局建築指導課・日本建築主事会議)をハートビル法制定時に作成しており、現在ハートビル法の改正を踏まえ改定作業をしているところである。
 エレベーターに関しては、基礎的基準・誘導的基準の解説のほか、エレベーターの設計例等を記載している。

他の研究調査事例

(頂いた御意見)

サイン音についての研究調査、実施事例の紹介
  • 社団法人日本サインデザイン協会におけるサイン音研究活動
     平成8年度より「音による新しいサインデザイン」の調査研究活動を実施。平成10年度より(旧)通産省中小企業活路開拓調査・実現化事業の助成を受け、新宿駅・東京駅などにおけるサイン音の試作実験調査を実施。
     http://www.sign.or.jp/publish/signon/index.html
  • 神戸市営地下鉄海岸線への音サインの導入
     平成13年開業の神戸市営地下鉄海岸線10駅に、音サインシステムを導入。出入り口、改札、トイレ、階段などの導線上に音サインを音源アンプ内蔵スピーカにより提供。
     また発車予告音、列車接近音、エレベーター、エスカレーター、通路部演出音などトータルな音環境デザインを実施。
     http://www.city.kobe.jp/cityoffice/54/040/oto_sign.htm
(国土交通省の考え方)
 ご意見を参考とさせていただきたい。


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