国土交通省
 政策レビュー「国際ハブ港湾のあり方−グローバル化時代
 に向けて−」中間報告に対するパブリックコメントの
 募集結果について
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平成15年4月4日
<連絡先>
港湾局計画課(内線46327)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成15年1月16日から平成15年2月12日までの期間において、政策レビュー「国際ハブ港湾のあり方−グローバル化時代に向けて−」中間報告に対するパブリックコメントの募集を行いました。その結果15の個人・団体から38件(内容が重複するもの等を整理して31件)の御意見・情報をいただきました。
 いただいた主な御意見の概要及びそれに対する国土交通省の考え方を別紙のとおり取りまとめましたので、公表いたします。
 今回御意見・情報をお寄せいただいた方々の御協力に厚く御礼申し上げます。


政策レビュー「国際ハブ港湾のあり方−グローバル化時代に向けて−」
中間報告に対するパブリックコメントの募集結果について

  1. 『国際ハブ港湾のあり方』政策レビューの趣旨に関するもの

    (頂いた御意見)

     「わが国の国際競争力」とは何か。我が国の港湾を指すのか、我が国の経済力を指すのか、我が国の産業資本の競争力をいうのか。
    (国土交通省の考え方)
     中間報告において「わが国の国際競争力の強化」との記述は、わが国の経済力を念頭においています。政策形成当時、経済のグローバル化を背景に、わが国産業競争力の強化や多様な消費者ニーズへの対応の観点から、高コスト構造の是正が大きな課題とされ、これに対応した物流改革の一環として、国際海上コンテナ輸送機能の強化等が必要とされました。産業(生産)と国民生活(消費)の両面を視点としており、経済力が対象です。
     なお、最終報告「1.(2)政策レビューの対象」では、この点が明確となるような記述としました。

    (頂いた御意見)
     これまで、国土交通省は、「国際ハブ港湾」という考え方を政策の基本に置いたことはあったか。中枢中核港湾を全国に適正に配置することで物流の効率化を図ろうとしてきたはずである。国際ハブ港湾は、中枢中核港湾とはまったく性格を異にするものであり、政策の根本的な変更をしたのであれば、そのプロセスと根拠を明確にすべきである。
    (国土交通省の考え方)
     用語として「第9次港湾整備五カ年計画の概要」(平成8年12月:運輸省)において、中枢国際港湾に対して用いたことはあります。「国際ハブ」という用語に明確な定義付けをしておりませんが、印象として「ハブ&スポーク」、つまり港湾の場合は基幹航路が高頻度に寄港するメインポート機能とフィーダー機能の双方が充実している港湾を連想し易いとすれば誤解を生じる可能性があります。
     ここでは中間報告「2.(4)『国際ハブ港湾政策』形成の背景」に記述のあるとおり、メインポート機能の維持を政策の基本的な考え方としており、中枢中核港湾制度に立脚した一連の施策を意味するものです。

    (頂いた御意見)
     政策の背景には90年代以降の物流の変化があり、政策の根底には、その時代の経済環境など社会実態の把握が不可欠と考えられるが、何故物流の変化があったかについての分析がない。日本の港湾が80年代のまま変わらなかったから、物流はアジア諸港へシフトしたのか。80年代に15メートル級の高規格バースを整備しておけば、貨物は中国をはじめとしたアジア域にシフトしなかったのか。その点の、総括が必要ではないか。
    (国土交通省の考え方)
     生産性の向上によるアジア諸国の急成長を背景とした産業の国際分業化が政策形成当時の認識としてあり、政策の背景として最終報告「2.(1)『国際ハブ港湾』をめぐる動向」に反映しました。
     港湾整備の有無による物流への影響については、政策形成前の状況分析としてではなく、政策の効果(インパクト評価)として分析を試みました。

  2. 『国際ハブ港湾政策』の背景と政策形成後の動向(必要性評価)に関するもの

    (頂いた御意見)

     製造業は、わが国の「高コスト構造」を回避して生産拠点をアジアにシフトし、今日では中国シフトを強めたことから「フィーダーポート化」の兆候が生まれたのであり、フィーダーポート化のおそれは、アジア諸港が我が国の主要な産業のアジアシフト化とともにハブポート化を強めたために起きたというのが実態ではないか。加えて、コンテナ取扱港湾の地方拡散化が、「フィーダーポート化」を促進することとなったのではないか。
    (国土交通省の考え方)
     生産拠点のシフトに伴い発生する物流は、必ずしも「フィーダーポート化」を招くものではなく、アジア域内のダイレクト輸送の発生という現象もあると捉えています。地方におけるコンテナ物流対応は、こういった観点から行っているものです。

    (頂いた御意見)
     日本の港湾の競争力が衰え国際ハブ港湾として海外の港湾との競争力を減退させたのは、日本での生産力の衰えによる輸出貨物の減少にも一因があると言われている。
     そこで、国際ハブ港湾としての競争力をアップするために日本での生産力を強化する目的で港湾周辺地域での生産活動ができる方法等についての検討が必要ではないか。
    (国土交通省の考え方)
     生産力強化の視点は重要と認識しています。生産にとってコンテナ物流は不可欠な手段となっており、そのシステムをさらに効率化する観点からサプライチェーンマネージメントの構築を企業が推進する傾向が強くなっています。これを支えるロジスティクスセンター機能の充実もまた重要であり、中間報告「6.(3)産業競争力を支える輸送サービスの提供」においてその旨を記述しています。

    (頂いた御意見)
     資料によれば、韓国は大水深バースがない状態で、1990年から1994年の間に国際海上コンテナの取扱量が約1.6倍に増加している。これに対し、我が国は1995年には2バースの大水深バースが供用されていたが、同期間の中核国際港湾全体の国際海上コンテナの取扱量は約1.25倍の増加でしかない。港湾整備の拡充(大水深海上コンテナターミナルの整備)は我が国港湾の地位相対的低下の対応策としてあまり効果がないと考えるのが自然でないか。
    (国土交通省の考え方)
     コンテナ取扱量の総量は、基幹航路を就航する大型船により輸送されるものばかりではないため、総量の伸び指数の比較をもって、大水深バースの効果を議論するのは適切ではないと考えます。

    (頂いた御意見)
     アジア諸港との関係で「わが国の中枢国際港湾において国際海上輸送ネットワークの拠点の形成に資するよう・・・・」として、港湾サービスの効率化を提起している。これは、従来の中枢中核港湾政策による、主要港の適正な国内配備を指摘しているようであり、「国際ハブ港湾」とはどのような関係になるのか。
    (国土交通省の考え方)
     前述(意見No2)のとおり、ここでいう「国際ハブ港湾政策」は中枢国際港湾政策から転換したものではありません。

  3. 『国際ハブ港湾政策』展開と諸機能の充実(プロセス評価)に関するもの

    (頂いた御意見)

     大水深コンテナターミナルについては、新方式を導入して整備を進めているが、現在のところコンテナ取扱いの大半は既存ターミナルによるところが大きい状況である。コンテナ貨物の今後の伸び率やコンテナ市場の寡占化などを考えると、まだこうした状況は当分の間続くものと思われるため、新規のコンテナターミナル整備に係る対応と同様に既存ターミナルに対しても、税制、償還制度など抜本的な取り組みが必要である。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の視点は、既存ストックを有効に活用する点からも重要と認識しています。既存ターミナルについて、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」において記述しています。

  4. 『国際ハブ港湾政策』の実施による成果目標の達成状況(アウトカム評価)に関するもの

    (頂いた御意見)

     アウトカムをコンテナ貨物の伸び率や大型船の寄港数で評価しているが、ハブ港湾政策が産業の国際競争力の強化(または維持)や国民生活の向上にどの程度貢献したかを定量的に評価できれば、ハブ港湾整備の必要性の説得力が増すのではないか。
    (国土交通省の考え方)
     中間報告「5.『国際ハブ港湾政策』の効果(インパクト評価)」において、大水深国際海上コンテナターミナルの整備の効果を数値分析的に評価しました。また、最終報告「6.『国際ハブ港湾政策』の有効性」において、費用便益分析による評価も行いました。
     なお、輸送費の削減額のイメージがわかるように、中間報告「5.(1)評価の概要」の脚注10に数値分析結果を用いたコンテナ1個あたりの輸送費について記述しています。

    (頂いた御意見)
     今後の取扱個数予想として、今後7年間で1.5倍の1800万TEUになるとし、その根拠としてGDPが年率2%の伸びをあげているが、年率2%で経済成長があるというのは、にわかに予想しがたい。
    (国土交通省の考え方)
     GDPの将来値については、政府の見通し値を用いています(2%:経済のあるべき姿と経済新生の政策方針:H12.7経済企画庁)。

    (頂いた御意見)
     「わが国主要港のフィーダーポート化が直ちに懸念される状況にない」と指摘しているが、それまでの叙述と相反する指摘ではないか。
     そうであるならば、「国際ハブ港湾」をめざすのではなく、基幹航路の寄港頻度拡大・誘致にむけた「メインポート機能の維持・拡充」と位置づけ、当面、ターミナルの集約による効率化をはかり、港湾サービスの高度化をはかる方がより現実的な施策といえるのではないか。
    (国土交通省の考え方)
     「直ちに懸念される状況にない」とは、現況を評価、すなわち政策が実施された状態での評価であり、政策形成当初の「フィーダーポート化を懸念」との趣旨に反するものではないと考えます。
     「国際ハブ港湾政策」の文言については、意見No2のとおりです。なお、既存ターミナルの効率化、港湾サービスの高度化の重要性については認識しており、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」の中でも記述しています。

    (頂いた御意見)
     コンテナターミナルの機能は、オンドックの施設のみでは発揮できず、バン・プール、シャーシ・プールや一時保管施設、積替施設などオフドックの関連機能、施設と有機的に連携してはじめて効果的に発揮される。このため、コンテナターミナルとともに関連施設についても充実させるための政策面での取り組みが重要と考える。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の点については、港湾利用者評価においても指摘されており、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」において記述しています。

    (頂いた御意見)
     港湾EDIの普及について、名古屋港では15%前後の利用率となっているのは事実であるが、コンテナターミナルの主要施設である荷さばき地・荷役機械・電気施設については、名古屋港の独自システムである陸上港湾EDIとNUTS(図表4−8)との接続により100%のEDI化が実施されている。
    (国土交通省の考え方)
     最終報告「4.(2)【迅速かつ効率的なターミナルの実現】」に反映しました。

    (頂いた御意見)
     港湾関係行政機関及び港湾管理者と荷主・船社・港運事業者等の関連業界が一体となった協力体制を築く必要があり、港湾情報システムの高度化・港湾EDIシステムを介した海上貨物通関情報処理システムとの連携を行い、最終的に民間のネットワークと総合的に連携したオープンなシステムの構築を図る必要がある。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の点は認識しており、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」において、利用者本位の情報システムづくりについて記述しています。

    (頂いた御意見)
     コンテナターミナルのフルオープン化については、港運労使合意により、寄港スケジュールやシャーシの回転効率の面で一定の成果がでているが、割増料金や、就労問題(港湾労働者の交代制の導入に向けた元請・下請体制の解消と、導入後の労働コスト増)、貨物に見合ったターミナル側の効率的な対応などメリットを十分に発揮できない多くの問題を抱えている。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の趣旨は、中間報告「4.(2)【コンテナターミナルのフルオープン化】」の「港湾利用者の評価」及び「別添資料3(2)港湾利用者による評価」において同様の意見をいただいており、記述されています。

    (頂いた御意見)
     コンテナターミナルにおける委託者との料金は、規制緩和により特定港湾はみなし規定で「届出料金」となったが、その実態は基本料金と割増料金で構成され、時間外・土日祭日作業では割増料金による割高感により、委託者の利用度を妨げている。
     委託者に解かりやすいフラット料金制度にして、ボリュームによる割引等を考える必要がある。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の趣旨は、中間報告「4.(2)【港湾サービスの低廉化】」の「港湾利用者の評価」及び「別添資料3(2)港湾利用者による評価」において指摘されており、記述されています。

    (頂いた御意見)
     事業法の改正により需給調整が廃止され、既存事業者は競争原理による対応を迫られることになる。事業法の改正により港湾運営体制の改善が行われ、港湾の活性化を図っていく必要がある。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の点は認識しており、中間報告「3.『国際ハブ港湾政策』展開と諸機能の充実(プロセス評価)」の「(3)新たな整備・管理方式の導入」において記述しております。

    (頂いた御意見)
     公社制度は埠頭貸付料金の他に公社債(含む利子)購入等、埠頭料が割高となっており、アジア諸港並みに港湾料金の低減を図るには公費を投入して公共化すべきである。
     安い埠頭料あるいは無料化による抜本的な改革を行い、運営については民営に委託、競争原理を導入した上下分離方式が求められる。
    (国土交通省の考え方)
     公社制度については、新方式の導入により料金低減化を図っているところです。公社制度については、交通政策審議会の答申「経済社会の変化に対応し、国際競争力の強化、産業の再生、循環型社会の構築などを通じてより良い暮らしを実現する港湾政策のあり方」(平成14年11月29日)においても、検討されており、今後の政策課題の一つとして認識しています。

    (頂いた御意見)
     港湾の稼働における最大の問題は「波動性」であり、これに対応して、労働力をどのように確保するかの視点が「総合的港湾政策」には必要ではないか。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘のとおりであり、検討課題とさせて頂きます。

  5. 『国際ハブ港湾政策』の効果(インパクト評価)に関するもの

    (頂いた御意見)

     海外フィーダーは、全国の貨物が中枢国際港湾に集中されない限り、一定の割合は確実に存在すると考えられ、また、欧州航路、北米航路ではその条件もことなることから、海外フィーダー率については数値の議論だけでなく、その内容の分析が重要と考える。
    (国土交通省の考え方)
     データの制約などから、本政策レビューではマクロ的な数値の議論に留まりましたが、今後、海外フィーダーの内容分析も含むより詳しい検討が必要と認識しています。

  6. 今後の政策への要請に関するもの

    (頂いた御意見)

     近隣主要港湾は、一国一港湾の形態で国が全面的にバックアップする体制下で、トランシップ貨物を大きく伸ばし、全体取扱量を増やしており、ローカル貨物主体の日本の港湾とは性格が異なる。このため、我が国中枢港湾においては、如何にして一定量のローカル貨物を確保するかが、これら近隣主要港湾との国際競争であると考える。
     こうしたことから、中枢国際港湾においては七つの港湾としての捉え方ではなく、これらの地域、そして相互の連携が重要であると考える。
    (国土交通省の考え方)
     港湾、地域間の連携の重要性はご指摘のとおり認識しますので、最終報告「7.(2)1『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」において反映しました。

    (頂いた御意見)
     ハード及びソフト両面の施策を対象としているが、ハード面での対応にウェイトが大きいように見受けられる。情報化や制度、運営などのソフトの施策においては、関係機関や関係事業者が多く、また難題であるだけに、これまで以上に国の関わりを強くし、主導的に取組む必要があると考える。
    (国土交通省の考え方)
     ソフトの重要性については十分理解しており、港湾EDIのような全国的な情報の共通化など、可能な分野から積極的な国の取り組みを強めたいと考えています。

    (頂いた御意見)
     今後も船舶の大型化は進すむと考えられるため、水深18メートル程度の岸壁、航路を早期に整備すべき。
     岸壁等の耐久年数は、50年以上あるはずで、耐久年数までは水深を改良しなくてもよい余裕が必要。
     ただし、水深16メートル級の超大型船の日本への寄港は最大1〜2港程度であり、どの港で整備するか、十分、船会社にヒアリングして欲しい。
    (国土交通省の考え方)
     中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」でも記述したように、今後のコンテナ船のさらなる大型化に関する見通しについては様々な見解があり、さらなる大型化への対応については、需要の動向や国際競争力強化の観点から総合的に判断していくことが必要であると考えます。

    (頂いた御意見)
     現在、日本の地方港には、韓国経由で貨物が運ばれていると聞く。日本海側の地域は別として、太平洋側の地方港へも韓国経由で運搬されているのは、日本主要港の荷役コストと国内フィーダー輸送(特に船舶)コストが高いためであろう。
     荷役コストと国内フィーダー輸送コストの低減できれば、主要港の扱い量が増加し、ハブ港湾整備の投資に対する効果が大きくなるものと思う。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の点については、中間報告「6.(2)中継機能等多様な輸送需要に対応できるネットワークの形成」において記述しています。

    (頂いた御意見)
     船舶の大型化に伴う港湾機能の拡充は,更なる船舶の大型化と「追いかけっこ」になる可能性もあり,社会インフラの持つ寿命を考えると,あまりお金のかからない何か別な対策により,時代の要請に対応することができないか。
     また、現在の工業団地の販売不振などの状況を踏まえると,港湾施策だけにとどまらず,ソフト対策や経済特区など街づくりとセットになった施策展開により,それぞれの国際港湾が特色ある発展を実現することを期待する。
    (国土交通省の考え方)
     船舶は、スケールメリットを得るために大型化されていると認識しており、船舶建造の技術と費用の関係から、無尽蔵に大型化し続けるとは考えませんが、コスト縮減(歳出の削減)は常時課題であると認識しています。既存ストックの活用やソフト対策について、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」に記述しています。

    (頂いた御意見)
     埠頭公社が経営しているコンテナターミナルは、契約の形態が特定の船社だけが利用する制度になっているが、このような公社の契約形態では、大水深バースはいくつあっても不足し、大水深バースを共同利用できるシステムを考えないと無駄な投資になるのではないか。
    (国土交通省の考え方)
     今後の港湾における国際競争力強化の視点としてひとつの重要な考え方であると認識しています。中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」において記述しています。

    (頂いた御意見)
     日本の港湾労働者の賃金は、国内の他業種の賃金水準に比べ著しく高いとは考えられない。日本の賃金の高コスト構造を変えるのは、非常に困難であり、24時間フル稼働することなど、効率的に荷役を行う仕組みを作っていくかがポイントである。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の点は認識しており、中間報告「3.『国際ハブ港湾政策』展開と諸機能の充実(プロセス評価)」の「(3)新たな整備・管理方式の導入」において記述しております。

    (頂いた御意見)
     港運のサービスの諸条件が「港湾」から「内陸」へ志向、その機能と体系は大きく変化してきている。物流の円滑化のため、埠頭機能を補完する上屋、倉庫等の整備だけでなく、一貫輸送を念頭に海陸の結節点として国内・海外各地へ円滑に輸送するための諸施設、幹線道路など交通アクセスの整備を行い、港湾の利便性を高める必要がある。
     港湾貨物に関する情報処理のスピードアップや省力化等のため、港湾貨物情報ネットワークシステム、税関システム、船社システム等、港湾に関係する情報処理のネットワーク化が求められる。・交通渋滞による港湾道路、ゲートの渋滞回避策を検討する必要がある。
    (国土交通省の考え方)
     ご指摘の趣旨の重要性は認識しており、中間報告「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」「6.(2)産業競争力を支える輸送サービスの提供」に記述したとおりです。

    (頂いた御意見)
     コンテナ貨物を扱うための施設は、既に整備されたタ−ミナルを有効活用することで充分である。既存ストックの効率化を含めた機能向上を図ることにより、不必要な投資をなくし、最小限の投資で最大の効果を発揮できると考えられる。
    (国土交通省の考え方)
     既存ストックの活用の重要性は国土交通省としても認識しており、「6.(1)『国際ハブ港湾政策』のさらなる充実」にもその点について記述しています。
     新たな施設整備については、港湾ごとの状況や利用者のニーズ、整備効果を十分に見極めていくことが重要と考えます。

  7. 「おわりに」に関するもの

    (頂いた御意見)

     競争力は絶対的なレベルより相対的なポジションが問題であり、周辺諸国の主要ハブ港も継続的に充実を図っているため、今後とも継続的に競争が想定される海外主要港との比較をダイナミックに追跡していく必要がある。競争力を測る指標の整理も必要である。
    (国土交通省の考え方)
     前述の交通政策審議会答申では、港湾コスト及び港湾のリードタイムを代表的な競争力指標としてスーパー中枢港湾の育成を提案していますが、わが国国際海上コンテナ港湾について、今後も継続的かつ持続的に競争力を向上していくためのさらなる戦略の検討が必要であると認識しています。

  8. その他

    (頂いた御意見)

     今後の政策への要請」の内容を具体化した政策が、「スーパー中枢港湾政策」と考えられる。したがって、スーパー中枢港湾政策に関して意見を述べつつ、本中間報告の指し示す今後の政策への意見の一つとして提起する。
    (1) スーパー中枢港湾が具備すべき要件として、1000メートルバース、水深−15メートル、奥行500メートルを具備、ソフトウェア面では、情報化の推進をあげ、港湾コストを現状より30%削減し、リードタイムを1日程度まで短縮することとしている。また、取扱コンテナは、今後5年間のタームで年400万TEU程度が見込まれること、運営については、単一の主体による複数バースの一体的運営ができることとしている。これは、本質的には、「いかに港湾建設に真水をつぎ込むか」という従来の国土交通省の港湾政策の発想を脱却していない。その理由は以下の通りである 
    1 港湾の集約の必要性などの考え方を随所にちりばめて、これまでの港湾建設の考え方を脱却するかのような文言を並べているが、スーパー中枢港湾以外の港湾とのバランスや、役割の調整といった全国的視野による港湾配置について、抽象的に言及しているにすぎず、結果として、スーパー中枢に指定される港湾の開発にしか目が届かない政策になっている。しかも、海運産業自体の分析も世界のターミナル資本の動向も分析せずに、自国の事情のみで分析した結果を指標とした結論は、安易と言わざるを得ない。 
    2 コスト削減、リードタイムの短縮、運営主体の単一化といった、ソフトウェア面については、具体論が無く、結果的に「民間事業者任せ」「管理者任せ」の域を脱していない。これは、地方自治体の財政を圧迫していくだけとなろう。一方、進出した民間企業も、収益確保に時間がかかるだけに、撤退もあり得るのではないか。 
    3 残念ながら、「港湾労働のあり方」については、一切の言及がない。私たちは、効率的で安定した港湾運営には、安定した労働力の確保と安定した労働対策が不可欠なことを一貫して主張してきた。港湾労働に関する政策提起がない「港湾政策」は、けっして総合的政策といえないばかりか、時として弊害すら生まれることを懸念する。 
    4 港湾整備による基幹航路の誘致によって1200万TEUのコンテナを日本発着貨物としたいようだが、船社の日本発着貨物の取扱量はせいぜい世界コンテナ貨物量の10%程度であり、中国をはじめとした「生産地」を軸とした船社の配船は変更のしようがない。また、世界の物流動向や、日本経済の今後の予測に立てば、1200万TEUの貨物量が急速に伸びるとは考えがたく、中枢港への貨物の集約はその港に一時的に利益を生み出すだけで、全体としての効果を生むとは考えがたい。(2) ターミナルの集約による効率化の推進が必要との認識では一致しうるが、「スーパー中枢港湾構想」は、いかに理由を付けて港に金をつぎ込むかであり、同時に、いかに「非効率な港と事業者、労働者を淘汰するか」である。港湾のあり方を全面的に論理立てた政策とは考えられない。
    (国土交通省の考え方)
     本政策レビューの対象とした施策の範囲を越える「スーパー中枢港湾」における個々の検討項目についてのご意見であるため、別途に議論させていただく必要があります。

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