国土交通省
 景観法施行令等パブリックコメント結果
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平成16年12月20日
<連絡先>
都市・地域整備局都市計画課
(内線32633)

電話:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、平成16年10月15日から平成16年11月5日までの期間、「景観法施行令」及び「景観法及び景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」の制定に関するパブリックコメントの募集を行いました。その結果、個人・団体を合わせ、96通のご意見を頂きました。
 頂いた御意見の概要及びそれに対する国土交通省の考え方を以下のとおりまとめましたので、公表いたします。

 なお、今回の政令の制定に直接関係する御意見についてのみ掲載しておりますが、その他、法律全般にわたるご意見も多数ございました。掲載しなかった御意見についても今後の施策の推進に当たって参考にさせていただきます。ご協力ありがとうございました。


(政令案第1条、第2条について)

 <意見>
 公共施設、特定公共施設を限定列挙するのではなく、景観行政団体の裁量を残して欲しい。また、「皇居外苑」「新宿御苑」「京都御苑」のように固有名詞を載せるのは不自然ではないか。
 <考え方>
 政令第1条、第2条については、法律でそれぞれ公共施設、特定公共施設に該当するものを限定列挙することとされているため、景観法(以下「法」という。)・景観法施行令(以下「令」という。)で列挙する必要があります。また、景観行政団体が、特定公共施設の中から、良好な景観の形成のために必要なものを景観重要公共施設として定めるものとしており、景観行政団体の裁量がはたらきます。なお、皇居外苑等は、固有名詞が他の法律で規定されている特殊な公園であるため、特別に固有名詞を規定しています。

(政令案第3条について)
 <意見>
 景観計画に定める自然公園法の許可の対象となる行為に、木竹の伐採、水面の埋め立て又は干拓、土地の開墾その他土地の形状の変更、高山植物その他大臣指定の採取又は損害を追加すべき。
 <考え方>
 自然物については、自然公園法で自然の風景地を維持されれば、良好な景観の形成にとって十分であることから、許可基準を上乗せする必要がなく、ご指摘の木竹の伐採等については、追加の必要はありません。

(政令案第4条、第8条、第10条について)
 <意見>
 土石の採取、鉱物の掘採、屋外における土石等の物件の堆積等を届出・勧告の対象から除外すべき。・・・約80件
 <考え方>
 良好な景観の形成は地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動等との調和により形成されるもの(法第2条第2項)と規定されており、公益事業についても景観との調和が求められていることから、景観法の届出等の適用対象から除外することは法制上できません。ただし、鉱業権、採石権については、勧告を行う際にはその取得状況に留意するよう景観法運用指針(地方公共団体等に発出)に記載するとともに、鉱業法、採石法又は砂利採取法に基づく計画に記載する災害防止措置に配慮し、必要に応じて許認可担当部局と調整することが望ましい旨同運用指針に記載しました。

(政令案第5条について)
 <意見>
 景観の保全だけでなく、新たに良好な景観を創出することも盛り込んだ表現にするべき。・・・2件
 <考え方>
 景観法では、「良好な景観の形成は新たに良好な景観を創出することを含む」(法第2条第5項)と規定しており、政令案第5条は「良好な景観を形成するための行為の制限に関する基準」(法第8条第2項第3号)を定めています。したがって、政令案第5条の規定は、新たに良好な景観を創出するための基準でもあります。
 例えば、建築物又は工作物の形態意匠については、景観の個性や特色を決める重要な要素であることから、地域の個性及び特色を伸長させるよう誘導する必要があると考え、「一体として地域の個性及び特色の伸長に資するものとなるように定めること」という基準をおいております。

 <意見>
 「建築物又は工作物の利用を不当に制限するものではないように定めること」の基準を建築物、工作物の形態意匠の制限に関する基準のみだけでなく、同条中他の制限に関する基準についても盛り込むべき。・・・2件
 <考え方>
 不当な制限があってはならないことは当然なので、法律で改めて規定しないことが一般的です。しかしながら、建築物又は工作物の形態意匠に関しては、条例で定めるところにより変更命令を行うことが可能となることから、規制等が過剰な権利制限とならないよう特に留意する必要があるため、「不当に制限するものでないこと」の文言を特別においたものです。高さの制限等は変更命令を行うことができないのでそこまで規定していませんが、不当な制限が許容されるわけではありません。

 <意見>
 景観は地域単位で明確に区切れるものではないことから、地域の個性、特色が異なる地域等の境界領域部分での対応も必要ではないか。
 <考え方>
 境界領域部分が独自の個性・特色を有するのであれば、当該部分を一つの地域として扱うことも可能です。

 <意見>
 面積の最低限度だけでなく、土地の面積に対する緑の割合(緑比率又は緑化率)も基準に盛り込むべきではないか。
 <考え方>
 緑化率については、都市緑地法等の仕組みで規制することができます。

(政令案第6条について)
 <意見>
 鉱業法、鉱山保安法を加えるべきである。
 <考え方>
 本条は、景観計画が適合すべき公共施設(法第7条第4項及び令第1条に規定しています。)の整備又は管理に関する方針又は計画について規定するものであり、鉱業法、鉱山保安法は規定できません。

(政令案第7条について)
 <意見>
 提案に関して地権者等の3分の2の合意が必要という要件を現状に応じて条例で定めることはできないか。
 <考え方>
 地域の意見が二分された状態で提案することを防ぐために、法第11条第3項の規定により三分の二以上の同意による地域のコンセンサスを必要としているものです。このような趣旨を踏まえれば、地域ごとに同意の要件を変えることにはなじみません。

(政令案第8条について)
 <意見>
 地下の建造物、仮設の工作物について、一律届出の適用除外行為にすべきではない。・・・2件
 <考え方>
 法第16条第1号の届出対象行為のうち、外観の変更を伴わない地下における行為や一時的に外観を変更する行為は、届出の対象とする必要がないため、適用除外としたものです。

(政令案第9条について)
 <意見>
 景観計画よりも厳しい規制の地区計画のみ届出不要とし、景観計画よりも規制が緩い場合は届出は必要とするべきではないか。
 <考え方>
 法第八条第三項第二号の制限で景観計画に定められたもののすべてが法第十六条第七項第十号の地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画において定められている場合における同号の地区計画等の区域内で行う土地の区画形質の変更等としており、景観計画と地区計画の制限事項が同じである場合について届出不要としています。

(政令案第10条について)
 <意見>
 環境アセスメント対象の事業については、景観法の手続を免除願いたい。・・2
 <考え方>
 環境アセスメントの目的である「環境の保全」と、景観法の目的である「良好な景観の形成」については、それぞれ独立した事象であり、それぞれの法の目的を達成するためには、それぞれの法に基づく規制等が必要です。

(政令案第12条について)
 <意見>
 基礎工事を事前着手可能としてしまうと、特に根切り工事などで自然景観等を保全することができなくなるおそれがあるのではないか。
 <考え方>
 根切り工事等建築物等が地上に立ち上がらない工事については、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれがないため、着手可能としているものです。なお、根切り工事の際に木竹を伐採する場合等には、木竹の伐採等に関する規制が適用されます。

(政令案第15条について)
 <意見>
 景観重要樹木に関しては、景観行政団体の許可の対象とならない行為までも細かく規定されているが、許可の必要な行為に限定した規定とすべき。(枝打ちすら自由にできないと読み取れるため。)
 <考え方>
 法第31条第1項により、許可を要しない景観重要樹木に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為を規定することとされていることから、このような規定方法になっております。なお、枝打ちは通常の管理行為、軽易な行為に該当し許可を要しません。

(政令案第19条について)
 <意見>
 景観整備機構が景観行政団体との不正な癒着や天下り先としての第3セクターの横行などにならないよう、一つの景観整備機構が取得できる土地についてそれぞれ個別に認定するような方策を盛り込んだ方がよいと思われる。
 <考え方>
 景観整備機構が取得できる土地は、景観重要建造物の周辺の広場等に用いる土地、景観重要公共施設の土地やそれらの代替地に限られているので恣意的に土地を取得することは困難です。


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