大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年5月13日(火) 9:28 ~ 9:51
参議院議員食堂
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、一般案件が1件、国会提出案件が38件、法律の公布が2件、政令の決定が1件と、人事案件です。
 私の方から2点ご報告があります。
 1点目は、「道路特定財源等に関する基本方針」が本日閣議決定されました。これは財源特例法案の成立を前提としつつ、これまで決定した方針、すなわち3月27日の総理提案や4月11日の政府・与党決定ついて、政府として確実に取り組むことを意思表示したものです。いずれにしても、財源特例法案については、地方の財政や道路整備に重要な役割を果たしている地方道路整備臨時交付金等の根拠法であり、私としても、速やかな成立を強く希望しています。その中に書かれていることと政府や与党が決めたことが矛盾するのではないかという話がありますが、矛盾ではなく、まずは成立をさせた後に、確実にこういうふうにしますということを政府として閣議決定し、それを取り組みますということを皆さんに意思表明したものです。また、今後も道路行政を預かる立場として、道路整備を切望する地域の方々の期待に応えるためにも、真に必要な道路整備を着実に進められるよう、引き続き最大限努力していかなければならない、それはそれとして努力しなくてはならないと考えています。
 2点目は、三島会社、すなわち、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の代表権を有する会長及び社長人事について、了解をいただきました。これらの人事は、正式には、6月下旬に開催される各社の株主総会後の取締役会で決定される予定で、私がそれを認可することについて了解をいただきました。
 私からは以上です。

質疑応答

(問)道路特定財源の法案が、今日、再議決という形になりますが、一方で、環境に対して使うなど、与党の中でもいろいろな意見が出てきているようですが、それに対するご所感と今後の方針をお聞かせください。2点目は、エスカレーター事故の件で、大江戸線の中のエスカレーターのボルトに亀裂があったり、多少広がりを見せていますが、今後の国土交通省としての方針をお聞かせください。もう1点、昨日中国で大規模な地震が起きましたが、これに対して国土交通省として何か対策を考えているかお聞かせください。
(答)昨日参議院で否決されましたけれども、今日、私も衆議院本会議に呼ばれていまして、そこで3分の2以上の多数で再可決します。これは、国会がしていただくことですけれども、私としては、これが成立しないと、先ほど申しました地方道路整備臨時交付金が配分できません。ちょっと税収が落ちましたので7千億円切りますが、いずれにしても、事業費としては1兆1千億円を遙かに超える大規模なものです。私どもは今まで準備をしていまして、明日、皆様に通知をして早急にこれが手元に届くようにしなければならない、その第1歩です。私としては、一刻も早くと思っていましたが、今日になってしまいましたが、これをやっていただきます。必要に応じて、私が関係閣僚会議の開催をお願いしますが、これは、与党協議会あるいは税調という論議を踏まえながら、適宜適切にお願いしていきたいです。粛々と基本方針どおりに具体的に進めていきたいと思っています。それから、中期計画、5年計画については大作業になりますが、その前提として、新しい将来交通予測ができるのは、どうしても秋以降になります。そういうものを踏まえてどうしていくのか、地方の意見も聞かなければいけませんので、本当に大きな作業ですが、粛々と決められたとおりに進めていきたいと思います。
 エスカレーターですが、これはオーチス社製のもので、鉄道関係とか、建築物関係でも非常に大きな催事場のように、多くの人がお使いになる重量級のものです。それだけに、もし、事故が起こると大変多くの人が迷惑を被るわけです。原因は調査中ですが、私の方としては、昨日5月12日付けで、オーチス社製の同型のエスカレーター、これは大型のものですが、取付ボルト等の緊急点検を行うこととしました。現在、鉄道関係で51基、建築物関係では14基です。今後、名古屋市交通局及びオーチス社から事実関係をさらに詳細に聞くとともに、原因を踏まえ、必要な再発防止対策を検討していきます。
 四川省の地震につきましては、非常に規模が大きく、内陸部で割合浅いところで起こったということですが、大変被害の広がりが大きいようです。今日の閣議でも、できることは何でもやろうということで、外務大臣からも、我々にできることであれば是非申し出てほしいとということをすぐに外交関係を通じて先方に申し入れておられますが、それとは別に、我々としてできることは何でもやろうということです。国土交通省としても、今日、これに関して、何ができるのか、何をすべきか検討は始めたいと思いますが、まだそのような段階です。

(問)国交省として何ができるかというと、先日立ち上げたTEC-FORCEの人的な支援ですか。
(答)私の方はその用意はありますが、中国の方に外交ルートを通じてしていますので、もし、その必要があれば当然お手伝いさせていただきたいと思います。先日結団式をしたところですので。それから、私は兵庫県出身ですが、やはり大きな地震がありますと、どのようにやればいいか指揮をとる人がいないのです。そういう意味で、兵庫県の経験は非常に重宝されています。早急に一日二日の間に兵庫県から派遣されて、外国へも台湾やトルコへも行っていますが、まさにTEC-FORCEです。こういうものが我々としても施行するものですから、もし、お求めがあれば、そういうことも視野に入れて検討させていただきたいと私自身思っています。それから、一昨日は、大和川の水防訓練に行ったのですが、これにも埋もれた人を探す犬が2匹出て働いていました。すぐ見つけて救出することを訓練したのですが、そういうのも阪神淡路大震災の時に、フランスからすぐ飛んできてくれました。そういうものも非常によいのではないかと思います。

(問)週末、胡錦濤主席が来日され、大臣もだいぶご同行されたようですが、その際の、会話というかどのようなやり取りがあったかお聞きしたいのですが。
(答)胡錦濤主席は、中国と日本との千年を超える交流、そしてまた、その当時の中国の絢爛たる仏教文化を中心とする文化・文物が、日本に千年を超えて残っているということについて、非常に感銘を受けたということを再々口にされました。日本で中国から伝わった仏教というものがこのように根付いていると、それは仏教関係者の努力を高く評価したいということを再々にわたって言っていました。私が平城京をご案内申し上げまして、平城京跡の幅76メートル、長さ3.8キロという朱雀大路といものが当時あったと、これは関西国際空港の第二滑走路と同じ規模ですから、とんでもない道路を造っているのです。そこには、九条まで正方形に区切られた街区が造られました。これは、中国の当時の長安を見て、遣隋使、遣唐使がカルチャーショックを受けて日本にもこのような都を造らなければならないということで、彼らが日本に報告し、時の政府がこれを造ったという驚きを説明をいたしまして、中国と日本は本当に深い交流があったのですね、という話がありました。当時の遣唐使は19回、一説ですがそのうち13回は、揚州というところに上陸しています。そこから、長安まで行っているわけです。その揚州のご出身が鑑真大和上なんです。現在も、鑑真和上がそこで生誕し修行された大明寺というお寺が現存するのですけれども、そこの僧侶もこの前来ていただきました。要するに当時から奈良と揚州は日中交流の原点、源流の地だということをよく説明をしました。向こうからもその日120名の一行が、副市長を代表に、たくさんの市民が参加していました。これを見て、胡錦濤閣下は揚州の書記に、よくやりましたね、これからも日中交流の原点としてがんばりなさい、という指導を私の目の前でしておられるのを目にしまして、非常に明るい顔で帰っていただいた、非常に喜んでいただいたと、私は評価をしております。

(問)道路の中期計画のことですが。事業量をどれだけ圧縮できるかというところが最大の焦点になるかと思われますが、もともと現行の計画も必要なものだけを入れているというお立場の中で、さらにこれを圧縮する作業というのはなかなか困難かと思いますが、どのようにされるのでしょうか。
(答)まさにこれからの検討課題です。これからの大きな課題です。計画期間を5年に短縮するということで、中期計画に盛り込んだものを全部半分にするというわけにはいかないわけでして、どうセレクトするのか。またそれは5年でもう全部終わってしまうのか、とりあえずは5年で、6年後には何をやるのかとうことになるのか、そのようなことを先ほど言いましたように与党協議会とか、あるいは政府・与党の協議会とか、あるいは与野党協議会という議論がこれから始まるのだろうと思います。いずれにしましても、私どもは、秋以降、新しい道路のB/Cの基礎になるような将来交通予測とかそういうものが出てまいりますので、皆さんによくわかっていただくような中で、決めていきたいと思います。

(問)国土交通省として最終的にその素案ができ上がるのは、11月ぐらいを目途に考えているのでしょうか。
(答)早くてもそれぐらいになるだろうと思います。

(問)遅くても年内でしょうか。
(答)そうしないといけないのでしょうけれど、この前の中期計画は、国民のご意思を3ヶ月かけて聞いて膨大なものを整理しながら、昨年11月13日に発表しました。これはほとんど1年がかりで行いました。基礎があるので、それをどのようにして、5年と言われればどうするのか、できれば年内にできるようにしたいと思いますが、大変タイトです。

(問)関連した質問です。確認ですが、道路特定財源は一般財源化されるわけですが、事業額は中期計画に明示するおつもりでしょうか。
(答)これもこれから検討をしていかなければならないと思います。今までは、道路整備費財源特例法の中に事業の量を閣議決定する旨の規定がありますが、これだけ周りが変わってしまうとどうするのかも含めて、今後の検討の課題であろうと思っています。

(問)中期計画の見直しですが、基本方針の中に今年度の予算執行にも厳格に反映するとあります。もう少し具体的なイメージで教えて下さい。
(答)それは国会の質疑の中でも何回も申し上げたように、例えば、計画中の道路1万4千キロメートルのうち、現在22パーセントが施工中です。そういった工事中のものについても、新しい予測値やB/Cの方式等が出てきたらもう一度やってみます。そのようなものを反映しながら、できるだけ選択と集中という形で経費を削減するような方法で頑張っていきたいということです。今やっているもの、これから着手するものについても、全てB/C等は着工の時にやっていますが、もう一度やり直してその上で選択と集中の理念に基づいて、工事も進めていくということですので、道路の構造を変える場合もあるでしょうし、4車線を2車線にする等いろいろなことがその中に反映されていきます。これは道路の質疑で現れた、いろいろな問題点を踏まえてやっていくということです。

(問)新しい交通需要予測が秋以降にでき上がるというただでさえ時間的にタイトな中で、今年度中の予算執行に反映するだけの時間的余裕というのはあるのでしょうか。
(答)正直申し上げまして、もう残された時は少ないと思います。しかしながら、例えば、通学路については、実際問題として歩道がないのですから、どんなに見直しても、絶対的に4万4千キロやらなくてはならないのです。そういうものはやっていかなくてはなりません。ですから、どう優先順位をつけてやっていくかですね。今、22パーセントが工事中で11.49パーセントが未着手ですが、22パーセントの工事中のものを、新しい考え方のもと、どうしていくか。先ほど申し上げましたが、どのように経費を切り詰めていくかということは、その部分に限られます。いずれにしても、国民のご意思もありますので、こういうことを透明性をもって、また、皆さんによく分かっていただけるように説明しながらやっていくということに尽きるのではないかと思います。

(問)地方道路整備臨時交付金ですが、道路特定財源が来年度から一般財源化された場合にも、揮発油税の4分の1を回すという仕組みを残すべきか、もしくは、見直すべきか、どのようにお考えでしょうか。
(答)それはこれから考えていかなければならないことです。暫定税率がだいたい半分あるのですが、その暫定税率をそのとおり維持し、それを道路整備に回してよいのかということが考えられるわけです。もう一般財源化するのですから、タックスペイヤーには道路ではないところに使いますと言いながら、暫定税率を本当に全部維持できるのかということも問題になります。こういうこともしながら、税率を含めたものが、税制改革の中で協議されます。揮発油税の内道路に回せるものがどれだけあるのか、地方道路整備臨時交付金に回すのはその内の4分の1でよいのかということも問題になります。もし額として半分を道路に回してよいということになったとして、その4分の1を地方道路整備臨時交付金に回すということになれば、今の半分になってしまいます。そうすると、率をもう少し変えないと、地方分を確保したということにならないと思います。そうした場合、国の直轄分は自動的に減ってしまいます。これはこれで地方はパニックを起こすと思います。ですから、その辺は、感情を抜きにして、皆さんでよく協議していただかなければならない問題だと思います。あなたの聞かれたことは一番大きな問題で、これからの課題だと思います。

(問)空港の着陸料に時間別料金を導入することを国土交通省が検討をしていると一部で報道されていますが、検討状況について教えていただけますか。
(答)はっきり申し上げますと、課題と認識していますが、今朝の新聞報道にありましたような詳しい検討はしていません。これから考えることになるかもしれませんが、現状ではそこまでいっていません。ご指摘はいただきましたので、問題意識はありますが、まだそこまで詳しい検討はしていません。

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