大臣会見

金子大臣会見要旨

2008年9月30日(火) 10:50 ~ 11:20
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議で、現在の大臣官房総合観光政策審議官の本保芳明さんを10月1日付で観光庁長官に任命することについてご承認を頂きました。閣議の内容では当省に関係するものはありません。閣議後の閣僚懇談会ですけれども、中川財政・金融担当大臣から「アメリカで金融不安の問題が出ている。今日の段階でアメリカは例の不良債権買取機構を作ることについて、下院で否決された」という報告がありました。今日はアメリカ市場は休みのようですが、昨日は相当大幅に株価を下げたようです。これに対して私も発言をさせて頂きまして、就任前、中小企業調査会長をやっていました。日本では1千万円から5千万円の少額の中小企業の倒産がここにきてもの凄く増えてきています。これは建設関係に止まりません。幅広い業種です。なかなか地方の金融機関を含めて日本の金融機関が企業を抱えられなくなってきたというのが背景にある訳ですが、セーフティーネット、今度の補正予算の中で9兆円の枠を昨日閣議決定させて頂いた。我々も党側で与党と政府でやらせて頂いた訳ですけれども、これを信用保証協会あるいは中小企業公庫ですが、民間の金融機関にもリスクを取り、地域に貢献するという役割をもってもらうように中川大臣に指導してほしいと。特に金融庁は、今までの検査の基準について、これまではリスクをきちんと調べているかどうかというリスク管理体制みにに関するものが中心になっていましたけれども、党側の中小企業調査会等々の対応に対して地域に貢献しているかどうかについて検査の軸足を相当に移すことを言明し対応をとってくれることになりましたから、中川大臣には、全国で40ヵ所、金融庁、財務局、商工会議所、そして地域の金融機関、いわゆるタウンミーティングというやつでしょうか、これも是非やって頂きたいということをお伝えし、金融庁はやるという方向で検討してもらっていますけれども、先頭で引っ張ってやって頂きたいというご要請を中川大臣に話させて頂きました。私からは以上です。

質疑応答

(問)今日の閣議で了解された本保さんの人事なのですが、一部で民間人をという声もあったと思いますが、本保さんを観光庁長官に起用された理由をお伺いしたいのですが。
(答)民間人も含めて幅広い人材の候補者があり、検討されてきたと伺っています。その結果一番適任だという判断です。

(問)民間からの起用は条件が折り合わなかったということもあるのでしょうか。
(答)それもあったと伺ってます。

(問)同じく明日発足する運輸安全委員会ですが、海難審判庁と一緒になることで海の事故まで入ってくるので従来の航空・鉄道事故調査委員会よりも事故に対するケアが不十分になるのではないかとか、法案の国会審議の時も被害者への情報提供を充実しようという民主党の意見が出たのですけれども、その辺の運輸安全委員会の課題はどのようにお考えでしょうか。
(答)むしろ海難と鉄道・航空の事故が一緒になって、そして今度は三条委員会、独自の権限を持って事業者に直接勧告をするという、より独立性の強い行政権限を持った組織になります。それからもう一つ、事故が起こる時というのは共通の課題、船であれ、海難であれ、鉄道・航空であれ、例えばヒューマンエラーというのでしょうか、人為的なミスあるいはシステムのミスというのでしょうか、ITも含めた共通の課題が入ってきてますから、一緒になることによって事故の調査あるいは対応をむしろ幅広く検討出来る機能を持つことが期待出来ると思います。情報公開の件については民主党がどのような要求をされたのかということについて正直存じ上げないのですが必要なものは公開してもらえるようにはきちんとしていきたいと思っています。

(問)先程の金融の話なんですけれども、アメリカで公的資金を注入する法案が否決され、アメリカのマーケットも荒れたのですけれども、東京のマーケットも5百円下げたということで日本経済への影響もかなり懸念されているという状況なんですけれども、国土交通省として今回の事態を受けて何か緊急で対応を取られるお考えがあるのかということと、政府全体の話になるのかもしれないのですが、昨日補正予算を閣議決定したばかりですけれど、これ以上に何らかの追加の対策を取る必要があるというお考えかどうか教えてください。
(答)国土交通省は既に織り込まれている補正予算を一刻も早く通して頂くようにすることがまず大事だと思っています。新たに私のところにまだこれ以上更に必要なものというのは上がってきていませんし、私も今の段階でまず補正を計上していくと。政府全体としては、昨日も申し上げた百年に一度のアメリカの金融不安ですから、国土交通省の問題以上に政府全体として対岸の火事ですけれどもその火の粉を浴びないように、直接的な金融不安が日本に飛び火しないようなある意味金融不安の連鎖を断ち切ると、連鎖倒産を断ち切るというのがむしろ根幹的な対応ではないかと思います。消費についてはこれも昨日申し上げたと思いますけれども、アメリカの消費に対する影響がアメリカ国内で加速されやしないかという不安は持ってます。

(問)補正予算をきちっと審議してこれを成立させるということがまず優先されるべきと。
(答)それは麻生総理が昨日総理演説で言われた通りです。

(問)今回の米国での否決を受けて例えば補正の重要度等がより高まって解散戦略に影響が有り得るのかどうかのお考えをお願いします。
(答)明日から始まる代表質問の状況を総理はご覧になるのだろうと思っています。私の立場では補正の審議に一刻も早く野党の皆さんも応じて頂きたいと思います。

(問)足下も株価が下落していますが、今後の見通しについてどのようなご認識ですか。
(答)アメリカの下院では否決されたのですが上院はまだです。上院が同じような判断をするのか、必ずしも日本と同じ対応ではないと思いますので、特にアメリカは下院では共和党が主に反対され民主党は賛成なのです。ですから少しアメリカも大統領選挙を前にした動きになっている気がしますが、上院で議論されて対応がまた違ってくる。そういう意味で見通しということについてはその動きもよく見ていかないといけないだろうと。ただ、金融不安というのはある意味決めてしまうと逆に反騰すると、実体経済よりは「ここは底だな」という思惑ですから「ここは底だ」となると逆にすっと回復してくる。日本でも「大和」、「りそな」の公的資金注入を決定した瞬間に反騰したという経緯もありますので、ある意味「どこが底か」という投資家の皆さんの思惑ですからこれを予測するのはなかなか難しいですが、早く底入れして欲しいと思っています。

(問)結果的にお金が回らなくなることで、昨日、大臣が会見で仰った地方の建設業者が更に佳境に陥るのではないかとの心配もあると思いますが、新しいセイフティーネットが必要だとのお考えはありますか。
(答)セイフティーネットの中には今の建設・不動産関係は入っています。それがどこまで使われていくのか今まで毎月毎月建設関係の方の利用というのは増えてきていることは事実なのです。ただ、新しいセイフティーネットを作りますので、懐は広げますので当面はそれで十分対応出来ると思います。

(問)先程金融庁に対して検査の基準をリスク管理体制から地域への貢献へ切り替えるようにというお話がありましたが、それは今金融庁が検査を特に厳しくしている建設・不動産、ノンバンクは所管外ですが、建設・不動産ノンバンクに対する金融庁の検査の姿勢を緩めることも含めて求めている認識でよろしいでしょうか。
(答)検査の対象は建設・不動産だけではなく、私がさっき言った一千万、五千万の少額というのは、流通も飲食店も含めてかなり幅広いという意味で特定の業種ではありません。

(問)明日、運輸安全委員会が発足することに絡んでICAO条約への相違通告というのを14年ぶりにこの7月に出したということですが、それに絡んで事故調査と捜査の線引きが航空の世界でずっと議論があるところです。それについてどういうお考えをお持ちかお聞かせ下さい。まず14年ぶりに相違通告をしたということに対してお願いします。
(答)これはそういう取扱いをしてもいい、違う取扱いをしてもいいということが国際条約で認められている。ただし、相違通告を日本が2001年の改訂後に通告していなかったところが今回取り上げられました。言ってみれば通告ミスということで私は理解しています。

(問)ミスと言うことですが、その間には長い議論があり、事故調査、再発防止を尊重したいという考え、これは事故調の皆様がいつも仰ってますが、一方で日本では刑事処分、刑事訴追の対象にもされているということで、捜査により阻害されるという議論がありますが、その課題は運輸安全委員会にも引き継がれますが、それに対してのお考えをお願いします。
(答)すいません、一度勉強させてもらってから答えさせて下さい。今はそれについてはわかりません。

(問)先程話の途中になりましたが、金融庁は建設・不動産、ノンバンクに対する融資について特に厳しい検査をかけているという認識は、前提としてはないということでしょうか。
(答)それは、金融庁がそういう対応をとっているということは認識していません。

(問)そういうことでいいですか。
(答)はい。してません。

(問)それとは別に幅広く地域貢献という意味で検査するように求めたと言うことでよろしいのでしょうか。
(答)そういうことです。

(問)観光庁の長官人事ですが、民間との折り合いが付かなかったということですが、最終的に決定された人事についてはどうなんでしょうか。観光という分野はある程度知名度も必要かと思います。それで民間からの起用も冬柴大臣の頃から検討されていたと思いますが、結果的に知名度の無い方が選ばれたことについて何かありますか。それでも一番適任だと思われますか。
(答)昨日会見の時に申し上げましたが、いよいよ観光庁をスタートする。具体的に観光庁が出来て何をやるのかこれから具体的なある意味、具体論を構築していくという、これは大事な機能です。昨日申し上げたように既に観光担当から話があったかもしれませんが、2020年には外国人誘致を2,000万人に増やそうという大きな課題の設定、具体的に何をやっていくかということが一番求められるわけですから、そう言った意味で有名人かどうかだけの話ではないということで、本保さんが選ばれた訳です。より大事なことは知名度というよりも今申し上げたような具体的な枠組みを作るということですから、やはり本保さんで良いということです。

(問)先程の幹事質問の時に条件が合わなかったのか言う話があり、それもあったとお答えになりましたが、具体的にどのような条件が合わなかったのでしょうか。
(答)個別は私は分かりません。条件が合わなかったと言っても、色々な時間的なもの、待遇的なものもあったのではないでしょうか。

(問)官僚からの起用ということで官僚が大嫌いな民主党からの批判というものは懸念されるのではないでしょうか。
(答)それはあるのかも知れませんが、やはり一番相応しい人という観点から選んでいますから。

(問)実務のほうが必要だと言うのは良く分かるのですが、それは各省庁、国土交通省が一番多いのですが、実務面でサポートしていけば良いだけで、初代長官としてはインパクトに欠けるかなというのは率直な感想としてはお持ちにならないのですか。
(答)皆さんの率直な感想として受け止めさせていただきます。

(問)大臣が現在認識されている観光庁の課題というのはどのようなものがあるのでしょうか。
(答)最大の課題は、国民が期待しているのは観光立国基本法を作って観光庁を作った。「さて何をやってくれるの、何を引っ張ってくれるの」ということに応えられる枠組みを作ることが最大の課題だと思います。

(問)中国から来る観光客がこれから増える中で中国からの誘客のためにビザの審査の基準をどの程度に設定するかということが非常に大きな問題になっていると思いますが、今中国の富裕層を対象にビザを少しづつ緩和しようとしているけれども、まだ手続き的に非常に煩雑で、ほとんど使われていなかったりする中で大臣は審査の基準、安全保障とかそういうところとの兼ね合いから含めて、現状はどのような状況でどう改善していくべきか、また、今のままで良いのかその辺の認識は如何ですか。
(答)相当厳しい条件であったものを対象地域を広げるというようなことを取り組んできたのだと思います。今までは何省は駄目とかこの地域は駄目とか、それを漸次広げられてきてたと思います。ただそれで十分なのか、あるいは何か事務的な面で簡略するべきなのか、これは一つの課題として観光庁が出来て、そして2010年までに訪日観光客を倍増するという目的を達成する一つの中に今の議論が当然入ってくるのだと思います。

(問)省庁の縦割りを解消していくというようなところも課題になってくると思いますが、現実になかなかそこまで話が進んでいるともあまり思えない状況ですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)かなり国土交通省でカバー出来る部分というのは、つまり国土交通省の中でも観光目的を達成するために使えるツールというものを国土交通省は持っていると思いますので、それを更に省内でもっと活用することは大事なのだろうと思います。しかし同時に観光というものは文化から農業から環境から色々な幅広い分野がまだあるでしょうから、そういう意味で他省庁との横軸、これも観光庁を作った後の一つの大きな課題だと思います。

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