大臣会見

金子大臣会見要旨

2008年10月31日(金) 9:57 ~ 10:36
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

 当省に関係するものはありませんでした。閣議案件以外で、2件ご報告がございます。第一に、内閣総理大臣が本部長、私と官房長官が副本部長を務めています第4回総合海洋政策本部会合が開催されました。我が国が国連の「大陸棚の限界に関する委員会」に提出する大陸棚の限界等についての本部決定が行われました。今度申請する海域の面積は74万平方キロメートルで本土の2倍弱の面積です。これを速やかに国連の「大陸棚限界委員会」に提出し、我が国の海洋権益の確保に向けて努力していきたいと考えております。今日11時から内閣官房の総合海洋政策本部事務局長から記者さんに詳細について説明する予定となっています。もう一つは車のナンバーです。「ご当地ナンバー」というのがありますが、今回「富士山ナンバー」の準備が整いましたので11月4日から開始するこになりました。「富士山ナンバー」は、交付対象地域が2つの県、山梨県と静岡県の両県にまたがる、県をまたがるというのは今回が最初のケースのようであります。詳細については後ほど事務方より資料を配付させて頂きます。私からは以上です。

質疑応答

(問)昨日、追加経済対策がまとまり、その中で道路財源を1兆円地方に配分するとの総理指示が盛り込まれましたが、このやり方や方策について、政府・与党の間で色々考え方が錯綜していると思いますが、大臣自身で望ましい方策やご意見がありましたら伺います。
(答)一貫して総理は道路財源の一般財源化に伴って地方に1兆円と、やり方について色々考えられますが、年末に向けて調整して新しい枠組みを作っていくということはその通りだと思います。私自身地方出身でありますが、地方自治体に財源が非常に乏しくなってきている。ですから、国で何か、例えば公共事業をやろうとしてもなかなかそれに伴う地元負担の供出が出来ないという状況ですから、「地方に財源を」というのは私自身も賛成であります。ただ一方で、これがどのように地方に配分されるのかということについて言えば、これだけ地方からの道路需要が非常に強い状況下でありますから、それなりに道路の財源に充てられるような仕組みを年末に掛けて模索していきたいと私自身担当の大臣として思っています。

(問)静岡空港の件ですが、先日、静岡県の知事が開港時期について表明されましたが、これについて大臣のご所見をお願いします。
(答)国交省として最大限この地権者の方の理解を得る努力をしてもらいたい、してもらうことを静岡県に求めていきたいと思っています。そして一昨日、静岡県から国交省に延期の話が来たようですが、これからどのようなご意見なのか聞いていくことになると思いますが、何れにしてもどのように障害物を取り除いていくのかという県としての道筋を立ててもらいたいと思っています。

(問)1兆円の話ですが、1兆円なのか1兆7千億円なのか色々出ていますが、大臣はどのように受け取られていますか。
(答)道路財源が一般財源化されると7千億円の臨時交付金の仕組みは無くなるのです。自動的に無くなる。揮発油税の4分の1ですから。そういう意味ではトータルの道路財源から1兆円を地方に配分するということですから、7千億円という議論とは関係ないのです。

(問)トータルで1兆円だと。
(答)7千億円は無くなるのですから。自動的に無くなります。そこは従来通りに7千億円が、道路財源を一般化しても7千億円は枠組みとして残っているというご理解があるのかなという気もしますが、自動的に無くなります。

(問)地方としては7千億円なのか、1兆7千億なのか気になるところでありますが、大臣としては1兆円ということですか。
(答)1兆円です。

(問)7千億円プラス3千億円ということですか。
(答)7千億円は無くなります、新たに1兆円です。

(問)それなりに道路財源に充てられるような方策を検討すべきだということですが、やり方としては従来のような交付金のような形もあると思いますし、薄く広く渡す重量税のような形でも道路整備に充てられると思いますが、大臣ご自身として、現時点でこれが望ましいというものはありますか。
(答)考え方としては既に、いくつか飛び回っているようですが、これからどの方針でどういう考え方でいくのか、正に今の段階では白紙です。

(問)閣議が長引いていましたが、どういうことで長引いたのかお聞かせ下さい。
(答)アメリカの経済状況について、どういうことになるのだろうかという事について総理が思いを述べられました。それから、昨日アメリカの格付け機関の問題等々についてかなりチャプターを分けて会見をされていました。そのいわば後段の金融という、生活者対策という、主に金融の部分について総理が思いを述べられて時間がかかったと思います。内容は昨日既に会見でお話しをされた中身だったと思います。 

(問)高速道路料金の引下げで、2年間でおよそ5千億円という財源をどのように手当されるお考えか、今の時点で分かる程度に固まっているものがあればお願いします。
(答)これは今財務省がどのようにするかということでまとめてくれていますので、財源としては財務省の話です。2年後をどうするかという問題はまた別途考えなければいけません。

(問)一律1,000円円ということを2年間やってまた元に戻すとなると、利用者の方から相当の反発があるかと思いますが。
(答)従来、高速道路料金は全国固定一律だったのですが、最近になって高速道路の利用率を高めよう、あるいは利便性を高めようということで社会実験を含めて色んな工夫、料金の引下げ、時間帯割引といったようなことをやりだしました。そういう意味で、この2年間我々も状況を見たい、混雑がおこるのか、利便性向上に効果があるのかというものを見たいと思っています。そういうものを踏まえて2年後どうするか、やる場合には財源をどのように捻出していくのか、既に今年トータルとして2兆5千億円ということで財源の大枠はセットしてもらっているので、その中からやっていくのかといったことは、その前の状況を見ながらまたもう一つ詰めていかなければならない点だと思います。

(問)5千億円分道路を造るのを止めるということは考えないのですか。これが筋かと思いますが。
(答)45年の償還は変えません。

(問)今5千億円ですが、当然ながら上振れ、下振れあるかと思いますが、そこは実際かかった費用、例えば上振れした場合は追加で資金を投入してでも2年間堅持するという理解でよろしいでしょうか。
(答)料金を設定しましたので、これは22年度までこの料金体系で行きます。

(問)足りない場合は追加で投入するということですか。
(答)2兆5千億円という全体のものがあるので、その場合は必要があればそこから捻出すると言うことも当然考えられるケースだとは思います。

(問)昨日の景気対策全体として、どれだけ景気に対して効果があるかということを伺いたいのと、昨日麻生総理が3年後に消費税を上げたいという、かなり踏み込んだ発言をされましたが、これについてのご所見を伺えますでしょうか。
(答)どこかで財源を考えなければいけないというのは、我々閣僚の立場を離れますが、避けて通れない、やはりやらなければいけないこと、国民に理解を求めなければいけないことであると私自身も思っていますので、スケジュール感を持って進めるというのは私自身は評価しています。一方、今回の景気対策、第2次総合と言われますが、「それだけで十分なのか」と言われれば、まだまだ足りない、不十分だ、あるいは効果がないのではないか等様々な御意見が出て来るとは思います。しかし、なんとか評価されるように、これによって経済効果が出てくるように国会を通して頂いて運用していきたいと思っています。

(問)高速道路なのですが、土日祝日の全国一律千円という中で、例外の1,500円があるということの考え方がよく分からないのですが。
(答)お願いするのは民間会社ですから、それぞれの会社の採算点というのがあるのです。トータルでは国が5千億円の債務継承ということでやりますけれども、それで対応出来るそれぞれの会社の収支というのは、それぞれの会社から「ここまで」という申請がきますので、そういう意味で部分的に、あるいは会社によって対応が違うということにならざるを得ないということです。

(問)具体的には本州四国連絡橋辺りですか。
(答)本州四国連絡橋はやはり最大限1,000円ではなかなかいかないのではないかと思います。

(問)本州四国連絡橋が1,500円になるのではないかということですか。
(答)1,500円を軸に協議をしているのだと思います。

(問)一律というアイデアは大臣ご自身のものですか、それとも与党税調のどなたからなのですか。
(答)それは言わない方が良いでしょう。

(問)昨日の総理の記者会見で気になったのは、1,000円以下と言われたのですが、1,000円以下という意味は元々700円のところは700円ですよという意味なのか、それとも1,000円よりももっと上限を下げるということもあり得るという意味なのか、これはどちらなのか確認させて頂きたいのですが。
(答)昨日1,000円以下と総理は言いましたね。何ですかね。

(問)一律1,000円ではなくて、1,000円以下と言われました。
(答)首都高を念頭に置いたのではないかと。あるいは阪神高速道路を念頭に置いたのではないかと。多分会社によってそこは違いますので。

(問)700円のところを1,000円取るというころはないという意味ですか。
(答)だと思いますけれど、総理が会見で言われたことですから。厳密に言うと、一律1,000円なのですが、これは終日なのですが、70km以下は昼間は5割引になっているのです。言い間違えました。1,000円に段々上がっていって1,000円に達するまではもっと安い値段です。

(問)500円や600円のところは1,000円取る訳ではないではないという意味に過ぎないということですね。
(答)そういうことです。

(問)総理は最高1,000円という言い方をされて、1,500円はあまり念頭に置いていないような発言をされたのですが。
(答)まあ良いのではないですか。一部あっても。それはこちらに任せてもらって。総理は分かり易いところだけ言って頂ければ良いのではないでしょうか。

(問)今回の1,000円というのが一番国民にとってインパクトのある内容だったと思いますが、改めて所管の大臣としてのご感想と国民に対するメッセージというか狙いがあればお願いします。
(答)どこまで走っても1,000円というのはある意味分かり易いという意味で、理解して頂けると良いと思います。ただ、「何だよ、一般人は良いけれどもトラック業界はどうなんだよ」というご批判があったようですけれども、これは平日ですが、こちらも今度は一律3割。そして既に実行している従来の夜間早朝割引は継続していきますので、事業をやっておられる方は分かっておられる。トラックは不公平だという議論が一部国民の中にあると伺っていますけれども、トラック運送業をやる方は分かると思います。私が一番気になりましたのは、少し情報収集、取材、ヒアリングをしていましたが、ユーザーにとって分かりにくいというのが一番困る。行ってみたら使えなかったとか、行ってみたら時間切れだったとか、こういうものになるというのが一番心配です。なるべく国民に分かり易い方が良いという意味で申し上げたのですが、そういう意味でどこまで走っても1,000円という分かり易さというのを今回執らせて頂いたということです。

(問)今後、直轄国道のバイパスとか、地方の道路公社が経営している有料道路、それぞれの地方で基幹路線、あるいは生活道路化しているところ、そういうところの割引を臨む声が出てくるのではないかと思いますが、その辺はどのようにお考えですか。
(答)そうだと思いますよ。地方へ回る1兆円の中から対応されることもあるのでしょう。

(問)別枠で国庫補助を出すとか、あるいは直轄国道を国費で値下げするという考えはありますか。
(答)今の段階では、まだ国費でというのは俎上にありません。

(問)川辺川ダムの件で、地元市町村も検討の場に入れるというニュアンスで伝わっており、賛否両論ある市町村を入れると混乱も発生するかなという懸念もあるのですが、大臣はお考え、スキームをどのように持っていらっしゃいますか。
(答)蒲島知事のお考えをこの前お伺いしましたが、「球磨川と共生をしたい、それが地域住民の感情である」と、そこに知事の考えの大きな基本もあるというお話で、しかも「ローカル」という言葉を蒲島知事は使っておられるものですから、私は市町村ということをお願いした訳でもなく、東京の学者だけではなくて、ローカルと仰る地域住民のお考え、そのような方に参加してもらって協議をする場をお作りになられては如何ですかと、そういう意味ですから。それをどのように熊本県で生かして頂くのかということまで申し上げるつもりはありません。

(問)市町村が入っても別に構わない。
(答)一向に構わない。むしろ、熊本県が率先して作って頂く話ですから。

(問)麻生総理から、一昨日のお話の中で指示はあったのでしょうか。
(答)九州の大きなテーマの一つでもあるものですから、報告をさせて頂きました。総理からは、具体的・技術的にダムによらないとすると、どういう方法が具体的に検討されるのだろうか、というお話がありましたので、とりあえず議論されているような、例えば堤防を上げるとか広げるということも、真剣にやってもらおうと。一番の問題は、ダムありきということで、地元の皆さんが代替案、これまで検討されてきたのですが、必ずしも十分検討していないと。つまりダムを造りたいために、あまりこれまで検討してきたと地域の皆様が受け止めておられない、という知事のお話もありましたから、そういう意味で地域の方に入って頂いて検討してもらいたい、ということを総理に報告しました。指示はありません。

(問)高速道路はどこまで行っても1,000円が分かり易いと仰いましたが、その中で1,500円が出て来るのは、ある程度やむを得ないということでしょうか。
(答)先程申し上げたように、それぞれ独立した会社ですから、それぞれ採算がありますので仕方がないと思います。

(問)今回の対策全般の話に戻るのですが、先程も効果については様々な御意見があるだろうと仰いましたが、今回の高速道路の話にしても、給付金の話にしても、麻生総理も3年後に消費税増税ということも表明されていますし、いずれは税という形で跳ね返ってくるということを考えると、朝から嫁さんにも怒られたんですけど、国民を馬鹿にしているのかと。たかだか5万円や6万円貰ったって消費税2%上がったら、そんなもの半年、一年で消し飛ぶ。その辺、ごく普通に考えて消費税が10%になったら一瞬で吹き飛ぶと。そんなこと誰が考えても分かることで、国民を馬鹿にしているとしか思えないのですが、その辺如何ですか。
(答)一番大事な、一番国民が安心を求めたい年金の財源に不安があるという国全体の問題ですから、今回の例えに挙げられました定額減税との対比だけの話では決してない。これは与党で議論してきていますけれども、今度の経済対策の規模で財源対策ということを考えてきた訳では決してありません。我が国全体の財政健全化に不安があったらば、より心配になると思いますので、繰り返しますけれども、今回の定額減税とのそろばん勘定だけでない、と是非奥様にお話ください。

(問)財政健全化に不安が無いようにと考えたら、たかだか国会財政からしたら2兆円なのかもしれませんが、それをばらまくというのはかえって国民に不安を与えませんか。
(答)むしろ逆に、政府与党として今度の百年に一遍の経済の厳しい状況の脱却の目途がついたならばと3年後目途という表現だったと思いますけれども、むしろ財源対策をきちんと執りますと、つまりばらまきっ放しとは言いません、赤字のまま放置する訳ではありませんというメッセージですので、私はかえって国民で安心して頂く方もそれなりにおられるのではないかと思います。

(問)百年に一遍という言葉を特にこの役所ではよく聞くのですが、それに今まで逆に備えてこなくて、緊急的にばらまき的な措置をせざるを得なくなった反省はありませんか。
(答)世界でこれだけサブプライムへ異常なオイル高という状況で起こってきていることですけれども、行政側で全て緊急対応出来る、備えるというのはなかなか難しいことで、ただ今回もそういう意味では1次、2次更に中小企業の資金繰り対策とか3次は来年度予算も併せて、つまり今度の2次補正で景気対策はおしまいとは私は必ずしも思えない。アメリカ経済の回復を見るというのはもう少し実は時間が掛かるだろうと思っていますから、これは私の単なる思いですが、来年度予算編成、12月末を迎えますが、その来年度予算もやはり相当に今の景気の状況というのを見据えたもので作る必要があるだろうなと、私の大臣としての枠を超えていますけれども、そう思います。

(問)想定外だったから、今回もバタバタとした対策は仕方がないと。世界経済がここまで急速に悪化するのも想定外だったと。
(答)むしろ、アメリカ、ヨーロッパに比べたら比較的早く対応出来たのではないかと思います。アメリカは後手後手に回り過ぎましたよね。今日、総理の話が何故時間が掛かったのかというと、例えばアメリカがこれからGMをどうするのかとか、GMの社債とかコマーシャルペーパーを買ってしまうのか。ただ、GMの今のCPとか社債等を生保が資金を出して買ってしまうという話になると、日本がやった産業再生の方がよっぽどマシです。そういう意味では、日本側がむしろアメリカにサジェストする、あるいは教える部分も相当あるのではないかという話になりました。私も産業再生機構担当大臣で、ダイエーとかカネボウをやった日本のもの凄い優秀なスタッフが今は民間にいます。あそこは解散して今民間にいますから、みんな彼らはアメリカの大学院を出て、向こうでやっていた人たちが日本に帰ってきてやっていますから、むしろ日本は輸出するような人材を持っているのではないかという話をちょっと言いましたけれども。

(問)高速道路の経済効果を仰りましたけれども、どのくらいの効果を見込んでおられるのかということで、例えば一つの目安としては利用台数がどのくらい増えるのかとかは。
(答)これは数字は無いです。

(問)それは経済効果の試算をしていないということですか。
(答)試算していますが、私のところに上がってくるのはこれからです。

(問)高速道路会社に聞くと、現在全国で全車種含めると8千万台位車が利用されていて、一日の利用台数がざっくりした数字で850万台位だそうです。これが大体どのくらい上がるのですか。
(答)これは高速道路会社それぞれが、まさに仰って頂いたように試算されている訳じゃないですか。

(問)今、現在の数字でどのくらいなのですか。
(答)それがどのくらい上がって、財源全体で5千億円ですから、その場合に料金が不足した場合にそれぞれの会社の収支がどうなるのかというのは、民間会社ですから、彼らに弾いてもらっているので、それが集計されないとどの程度の利用台数かというのはまだ上がってこないです。今やっている最中です。

(問)給付金が出たら大臣は何に使いますか。
(答)これはつらい状況なのですけれども、孫のおもちゃに回ってしまいます。

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