大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年2月9日(火) 19:08 ~ 19:33
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私の方から2件お話をしたいと思います。
ひとつは、トヨタの新型プリウス等についてのリコールの件でございます。
本日13時30分、トヨタ自動車から新型プリウス等のブレーキに関し、リコールを行うとの届出がございました。
また、先程、トヨタ自動車の豊田章男社長が来られまして、本日リコールの届出を行ったことということと、ユーザーの皆さん方にご迷惑をお掛けをしているというお詫びに来られました。私の方からは、ブレーキの設定ということで初めは軽くみていたのではないかと。
そして、ユーザーの視点というものが欠如していたのではないかと。
そのことによって、機敏な対応が出来なかったのではないかということを申し上げまして、今後こういうことのないようにということを強く申しました。
それと同時に、豊田社長がアメリカに行かれるということでございましたので、しっかり丁寧にアメリカに対して話をしてきて欲しいということの要望を行いました。
私は、この問題が自由な国際市場を歪めるようなことがあってはいけないし、お互いが冷静な対応をそれぞれの国がとらなくてはいけないテーマだと思っておりますので、そういう観点に立ってトヨタも北米ではかなりのシェアで今まで伸びてきている訳でありますので、日本企業であると同時にアメリカの企業であるという認識を持ってアメリカでしっかりと説明責任を果たしてきて頂きたいと、このように申し上げました。
もう1点は、日本航空のアライアンスのパートナーでございます。本日、日本航空はアメリカン航空との提携を継続をし、ワンワールドに残ると、こういう決定をいたしました。
前田航空局長に対して大西社長さんが来られまして、そういったお話がございました。
これは、基本的に日本航空、そしてその支援をしている企業再生支援機構が決められることであると思っておりますので、その選択をされた以上、再生に向けての努力をそういった枠組みの中でして頂きたいと考えております。
私の方からは以上でございます。

質疑応答

(問)トヨタのリコールについてですが、ほんの2、3日前に佐々木副社長が国交省に来た時は、不具合ではなく苦情だと説明されておりましたけれども、一転して今日、制動装置に不具合があるということでリコールしましたが、こうした対応について改めてお願いします。
(答)先日の会見でも申し上げたことでありますけれども、回生ブレーキと油圧ブレーキという2つのブレーキの組み合わせだそうでありますけれども、その組み合わせによる設定の問題だというお話がございましたけれども、従ってそういった軽微な問題であると考えられていたようでありますけれども、しかし使う側からすればそれがブレーキが抜けるとか制動距離が落ちるとか、そのことによってクレームが相次いでいたということが判明をしておりますし、また因果関係はまだはっきりしていませんけれども、事故の報告もされておりまして、これについては国土交通省として原因を調べておりますけれども、そういう意味ではトヨタとして顧客、ユーザーの視点に立った機敏な取り組みというものが欠けていたのではないかと思っております。
そのことも豊田章男社長に対しては私の方から申し上げました。

(問)先程、冷静な対応が必要だとアメリカ政府なり運輸省に対して仰ったと思いますが、大臣からアメリカ政府、もしくは当局に対して冷静に対応するよう要望等なさるおつもりはありますか。
(答)アメリカを特定した訳ではなくて、リコールは73か国に及びます。
我々は、自由競争、そしてWTO、つまりは自由な貿易というものをやっていこうという枠の中に入ってやっている訳であります。
そして、不具合が生じた製品については当然ながらしっかりと是正をする、リコールをしていくということは大事でありますけれども、そのことによって様々ないわゆる外交問題というものが起きないようにしなくてはならないということをそれぞれの国が考えておかなくてはいけないと思っております。
今回、トヨタのプリウス等の販売については北米市場が大きなシェアを占めております。
明日の夕刻、ルース大使とお会いをして、そしてお互いがやはり自由な市場をしっかりと確認し合い、この問題に対してお互いが冷静な対応をしていくということの中で、日米関係というものを更にこういったものを乗り越えて強固にしていくという確認をさせて頂きたいと考えております。

(問)石川議員が今日、辞任も離党もしないと明言されましたが、これについては如何でしょうか。
(答)現職の国会議員として逮捕され、そして起訴された訳であります。
ご本人がバッチも外さない、離党もしないということを決断をされたということは、ここは私の推測ですが、相当推定無罪ということを強く確信をしてのことではないかと思っております。
そういう意味において本人がそういう決断をされたということでございます。
党として内閣としてどういう対応をしていくのかということについては、閣僚の1人でありますので、ご本人の判断は判断でありますが、内閣として党としてどういう判断をされるのかということについて、閣僚の1人としてしっかりと結束をした対応をしていきたいと考えております。

(問)先日小沢幹事長が続投を正式に表明されて、説明責任は果たしたと言われていますが、これについては如何ですか。
(答)自らの秘書が3人逮捕されて起訴をされたと、ご本人は不起訴ということになった訳でありますが、一般の国民は世論調査等から判断をすると、説明責任を果たしたとは思っていない方が私はかなりおられるのではないかと思っております。
従いまして、これは検察が政治資金規正法に基づく捜査は一区切り付いたということでありますが、これから3人の秘書の公判もあるでしょうし、そしてまた検察自身も捜査は続けるということでありますので、静かに見守っていきたいと考えております。

(問)昨日、航空機座席の小糸工業が長年にわたって不正な検査を続けていたということが明らかになりましたが、今回プリウスであるとか、日本のモノづくりの部分で相当信頼感を失うようなことが散見されると思うのですが、今回の小糸工業の件も含めて大臣はどのようにお感じになりますか。
(答)トヨタの場合には対応について若干問題ありということでありますが、小糸工業については、これは極めて悪質でありまして、業務改善勧告を出したところであります。
つまりはデータのねつ造等意図的に故意にそういったデータの改竄捏造をしていたということは、許されざることだと思いますし、極めて悪質だと思います。
従いまして、航空機の座席というのは衝撃や火災といったものを想定して検査を行う訳でありますが、今後そういったものに耐え得るものなのかどうなのかといったことを、しっかりと我々も検査をしていきたいと思いますし、その結果によって何らかの厳しい対応を取らせて頂きたいと思っております。
やはり国民或いは世界を相手に商売をしている日本の企業が、安全性、品質に関わることでデータを捏造し改竄をするということは恥ずべき行為であるということをしっかりと肝に銘じてもらいたいと思いますし、私はやはり小糸工業は厳しい社会的な制裁を受けるべきだと思います。
国土交通省として何が出来るかということは今後の検査を通じてしっかりと厳しく対応して参りたいと考えております。

(問)小沢幹事長の件ですが、昨日総理と会談されて参院選に向けた話もされたということで、総理としても参院選に向けて小沢幹事長続投というかたちで明確に表されたと思います。
一方で先程も申されたように、世論調査では民主党の資質を含め、辞めるべきだとか説明責任が足りないとの話がありますが、参院選の影響ともし小沢幹事長でいくとすればどういった手腕を期待するかお聞かせ下さい。
(答)先程申し上げたことに尽きる訳であります。
つまりは公判がどういうかたちで推移していくのか、これは小沢さんの秘書に関わる公判でありますので、これがどう推移していくのかということと、そしてまた地検特捜については引き続き捜査を継続するということでございますので、その推移を静かに見守るということであります。
そして新たな局面が生まれた時には、党としての自浄能力を発揮するということは従来から申し上げてきたことでございます。

(問)トヨタのリコールに関して自由な貿易の必要性や外交問題が起きないようにと言及されたのですが、今回の一連の問題に対するアメリカ政府或いはアメリカ議会の反応というものが何かやや過剰だとか何だか意図を持っている、そのような感覚を持っているということですか。
(答)ラフッド運輸長官の発言が初めトヨタ車には乗るなというような話が伝わったと言われておりますが、先程豊田章男社長ご自身がしっかりと説明をした後には理解をしてもらったということだと思います。
ラフッド運輸長官もやはり私と同じ立場で、国民の安全を守る立場、運輸行政を司る立場としてそういったことを仰ったんだと思います。
こういった問題は私は本当に冷静な対応が必要だと思いますし、この点、明日ルース大使とはしっかりとお互いの意見交換をし、冷静な対応をお互いがしていくということの中で自由な市場を守り、また日米関係というものを更に強固なものにしていくという思いでお話をさせていただきたいと、このように思っております。

(問)今の件に関連して、そうすると今のアメリカ国内の対応はやはりバッシングというか、ちょっと異常のようなと思えるということでしょうか。冷静な対応が必要だと。
(答)そうではなくて、私が豊田章男社長に申し上げたのはご自身で行かれるということでありますのでしっかり説明をしてくださいと。
ラフッド運輸長官に話をされた後にはラフッド運輸長官も発言の内容が変わっておりますし、またトヨタの生産拠点がある知事さん、あるいはその部品を扱う地元の皆さん方にはトヨタを擁護するといいますか、或いはしっかり対応する中で信頼を取り戻すべきだという前向きな発言が出されているということについては私は率直に有り難いと思っております。
そういう意味では、アメリカの現対応は私は極めて冷静な対応をしていただいているとこのように思っております。
しかし、それぞれの国が内政まだまだリーマンショック以降の世界同時不況の厳しい状況の中で、やはりシェアの問題ということもありますし、こういった問題の時にお互いが自由公正な市場というものを歪めないための冷静な対応というのが求められると思っておりますので、その確認をするということであってアメリカが今加熱をしているとかそういう思いで申し上げているわけではございません。

(問)トヨタの件で、アメリカでの事象に比べて日本での今回のプリウスというのはそんなに事故が頻発しているわけではないようですが、リコールというのはちょっと大袈裟過ぎるかなという気もするのですが。
(答)今日も国会で答弁をしたのですが、私はリコールというのは悪いことではないのです。
2000年にある日本の自動車メーカーがいわゆるクレーム隠し、リコール隠しを行ってそして多大な迷惑を国民に与えた、ユーザーに与えたということであります。
事故で亡くなった方もおられます。そういう観点からしてむしろ疑わしきものについては素早く行動するということを私は国土交通省として奨励してきたと思いますし、私もそういう感覚でございます。
従いまして、今回リコールが大袈裟かどうかということは最終的には会社の判断だと私は思いますけれども、恐れのある場合についてはリコールの届出が出来るということで、もう完全にこれは問題があるということでは遅すぎるわけでありますのでそういう意味では私は大袈裟過ぎるとは思っておりませんし、むしろリコールというものに悪いイメージを国民が持たれずに、むしろ製造者責任をしっかりと果たしていると、そういう企業は、そういうものを要請するということは私は前向きに評価をしていただいてもいいのではないかと考えております。

(問)今回のこのリコール問題に関しては、他の自動車メーカーの方々からも自動車メーカー全体の悪影響を懸念する声が出ておりますが、大臣ご自身はそういった悪影響が出るかと考えられますか。
(答)楽天的な言い方かもしれませんが、モノづくりをやっている方は顧客の立場に立って物事を考えるということをもう一度肝に銘じていただく良い機会ではなかったかと思っております。
私は大きな組織になればなるほど自己防衛というベクトルは働くと思いますし、そうではなくてリコールというものは悪いことではない、自らの問題点というものをしっかりと改善をしていくという意味での私は前向きに捉えるべき制度だと思っておりますので、そういう意味におきましては自動車産業のみならず全ての製造業においては、疑わしきものについてはしっかりと速やかに対応するという企業文化をしっかりと植え付けていただきたいとこのように考えております。

(問)確認ですが、今回のプリウスのブレーキが国の安全基準をきちんと満たしているかどうかの調査というのは国土交通省として独自に行われるということでよろしいのでしょうか。
(答)結論から申し上げますと継続をしております。
事故の原因究明というものをしっかりやると。リコールには自ら届けて頂くリコールと国交省が勧告するリコールがございますけれども、今回はもう届けられましたので、我々は勧告するということはございませんが、その独自の調査を続けておりました。
また、それはこれからも続けて参ります。

(問)明日、大使とは何時に。
(答)5時45分にこちらにお越しになります。

(問)フィーリングの問題と言っていたトヨタがリコールを選んだというのは、軽い問題だと考えていたところから認識が変わったと思うんですけれども、変わるに当たって国交省と大臣の発言が果たした役割はあると思われるでしょうか。
(答)それはトヨタに聞いて頂ければと思います。

(問)JALのアライアンスなんですけれども、国交省航空局はわりとデルタ航空を推奨していたんじゃないかと思うんですが、JALはアメリカンの方を選んだのですが、その点はどういうふうにお感じになってますか。
(答)これは先程申し上げたように、パートナーを決めるというのは企業の選択でありますし、今、更生計画を作っておりますけれども、企業再生支援機構との話し合いで決められたものではないかと思っております。
大西社長さんは、前田航空局長に対して、3年以内に企業再生支援機構の支援が離れる訳で自立をしていかなくてはいけない。
その中で、グループを移行する際の様々な問題、或いはマイレージの魅力などが低下する、或いはそのことによって客離れを生ずる、そのことによって更生計画というものが上手く出来るのかどうかという懸念を伝えられたそうです。
そういう問題は全て更生計画を作って再生を果たそうとしているJALが判断をされるべきことだと思っております。
何れにいたしましても、再生を果たして将来的なオプションは無限に広がっている訳ですから、とにかくJALを再生させるんだという稲盛CEOをはじめ今のJALの経営陣の強い思いというものが根底にあったのではないかと思っております。
航空局が、国土交通省が、どちらにしろという立場にはないということを改めて皆さん方にお伝えさせて頂きたいと思います。

(問)箇所付けの件なんですけれども、資料を改めて公表する考えはありますでしょうか。
(答)理事会で議論して頂くことでございますので、理事会の決定には従いたいと考えております。また、今回、党から要望がきておりましたので、党に中間的なものを見せて、そして想定外ではありましたけれども、それが県連を通じて自治体等に流れるということは極めて遺憾なことでありましたので、今回のこの顛末をしっかり総括をして、私は民主党というのはやはり開かれた党でしっかり情報公開をやり、客観的な箇所付けを行っていくということが大事だと思いますので、そのルールをきっちりと作り上げていきたいという思いを強く持っております。

(問)今の箇所付けの関連なんですが、それが箇所付けであるとかそうじゃないとかは置いておいて、政府が作った資料を一つの党だけに渡して、他の国会なり国民なりから見せてくれ、問題があるんじゃないかという声が挙がっても、それはやはり見せられないというのは開かれた党としてどうかと思うのですが、そのこと自体について大臣はどう思われますか。
(答)今日をスタートとして地方自治体に対しては仮配分についてお示しをして調整をさせて頂くところでございまして、先般、私が申し上げたように、何も党とだけ相談をして他には見せないということではありませんし、ましては党を通じて自治体に情報を提供しようなんていうことは全く考えておりませんでした。
今回については反省点も多々ございますし、先程申し上げたように、民主党に求められているのはやはり客観性、透明性、公平性だと思います。
従って、今回の問題をしっかり反省をして今後の公共事業の箇所付けについてしっかりとしたルールを作りたいと考えております。

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