大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年8月10日(火) 11:00 ~ 11:22
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

それでは私の方から一点、お話をさせていただきます。
今、資料を配付しておりますけれども、本日の閣議で、国土交通省の人事につきまして、本日付けで、谷口博昭国土交通事務次官の退任、その後任に、竹歳誠国土交通審議官を任命するなど、幹部職員の人事異動について、御承認を頂きましたので、発令をさせていただきます。
また、独立行政法人土木研究所の理事長につきまして、公募による選考を経まして、魚本健人を任命することについて、御了解を頂きましたので、本日付けで発令をさせていただきます。
私の方からは以上でございます。

質疑応答

(問)休日の分散化の関係なんですけれども、必ずしもアンケート調査では理解が広がっていないような現状になると思うんですけれども、導入目標とか、法改正のスケジュール等ありましたらお願いします。
(答)この休日の分散化については、まだ詳しく、多くの国民の皆様方にそのメリット、デメリット、また政策意図というものについては十分にお伝えができていないと思っております。
したがいまして、70%近くの方がネガティブな反応を現状においてされているということについては、理解をしておりますし、むしろそういった状況を公表すべきだということも観光庁に対して申したところでございます。
やはり観光立国ということをやっていくためには、一時に多くの人が有名な観光地に押し寄せてゆっくりと見れない、あるいは宿が取れない、取れても高い、混んでいる、こういったものを是正をして、そしてゆったりと日本の良き文化、あるいは名所旧跡というものを国内外の方々に見ていただくということが大事でございまして、そういう意味からは国民に対して、できるだけ懇切丁寧に、休日分散化のメリット、あるいは政策意図というものをしっかりとお伝えをしていかなければいけないと思っております。
現在、観光庁におきまして、様々な団体、経済界とか、あるいは労働界に対して御説明をしておりまして、おおむね好感触を得ているところでございますけれども、しっかりとこういった説明を本格化させ、法律を来年の通常国会に出すという方向性については、いささかも変わっておりませんし、その方向性で取り組んでまいりたいと、またそのための国民への御理解を頂くための広報活動、説明責任を果たす活動について、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

(問)15日前後に、靖国神社に参拝するお考えはあるかどうかということについてお願いします。
(答) 多くの英霊の方々が眠っておられる靖国神社には、国会議員になってからは何度も参拝をしているところでございますけれども、A級戦犯が合祀をされているという理由で私は民主党の代表時代、そしてまたこの閣僚になってからは、参拝をしておりませんし、またこの立場でいる限りは、参拝をするつもりはございません。
できるだけ早く、この遷座の議論、分祀の議論というものも進めていただきたいと思っておりますし、そうなればしっかりと、国のために亡くなられた方々の御霊に御冥福をお祈り申し上げるために、責任ある立場であったとしてもお参りをさせていただきたいと、こう思っております。

(問)いわゆる日韓談話ですが、今日の閣議でお話があったと思いますけれども、それについての受け止めをお聞かせください。
(答)100年の節目ということで、日韓併合、こういう談話を出すことは、私は時宜にかなったものであると思っております。
過去にも総理談話というものが出されて、過去の植民地支配の反省、お詫び、そして未来志向というものが述べられてきたわけでありますけれども、やはり100年に一度というのは今年しかないわけでございまして、そういう意味では、今後しっかりと未来志向の日韓関係を戦略的にも作っていくために、菅総理がイニシアティブを発揮されて、このような談話をまとめられたことは、私は時宜にかなって良かったんではないかと思っております。

(問)人事の関係で、天下り禁止ということを民主党政権で打ち出す中で、幹部の方を定年まで働かせるということになると、人事の回し方というのもなかなか難しさが出てくると思うんですけれども、これは今後どのように行っていくべきだというふうに考えられますか。
(答)この仕事に就かせていただいて約11か月になりますけれども、おしなべて優秀な方々がたくさんおられるという認識を持っておりますし、もちろん政治主導というのは、そういった官僚の意見も聞いた上で、我々政務三役が政策立案を行って、また官僚の協力を得ながらそれを実行していくという意味で、官僚の皆さん方にしっかり働いていただく条件を整えるということは政治の大事な役割の一つではないかと、そう思っております。
民主党は天下りを無くすということを掲げて、それを実践しております。
天下りというのは一体何なんだということをもう一度しっかり定義を申し上げれば、再就職なんです。
つまりは、一度辞められて、例えば公益法人、あるいは関連法人などに再就職をして、そしてまたそれが何度も繰り返される「渡り」のようなことで、例えば退職金を何度ももらう、あるいは定年を過ぎた後もかなり高額な給与をもらい続ける、これが我々は天下りの悪しき問題だということを指摘してきたわけでございます。
そういう意味では、我々はあっせんをしないということで、この国土交通省においても、今国土交通省の中で働いておられる方々を公益法人に退職して天下りをさせるということは、一切しておりませんし、これからもいたしません。
その中で、時々言われるものについて、現役出向についての是非というものがありますけれども、現役出向というのはあくまでも出向でございまして、退職金を渡していったん辞めて天下りをするものとは似て非なるものでございます。
そして、その人達は現役出向でありますから、仮に出向先で定年を迎えられたらその時点で辞めていただくということで、定年を越えてまでも良い待遇を受けるということではないわけでありまして、そういう意味では天下りの定義というものをしっかりやらないと、政争の具にしていては国民の生活をつかさどる役所の仕事というものができなくなると、こういう思いを私は持っております。
なお、一部のマスメディアでは、国土交通省が、とは言われておりませんけれども、いわゆる役人の言いなりの人事ではないかというような記事も見受けられましたけれども、国土交通省に限りましては、幹部級の人事についてはすべて私が決めさせていただいたということでございます。
また、それ以外のものでも改革を進めていくためには大事だということについては、自ら人事に対して関与をさせていただきました。

(問)高速道路料金についてのスタンスというものは今でも変わらないということでよろしいでしょうか。
それから、ねじれ国会の中での見通しをお願いします。
(答)スタンスは変わっておりません。
利便増進事業を使って、そして東京外環、名古屋二環、そして4車線化、これを行っていく。
またその残りの中で、料金の引下げというものを考えていくということの中で、定額制、一定の距離を走った後については定額料金制にするという考えについては変わっておりません。
ねじれ国会の中で、なかなか理解を得るのは難しいという意見もございますけれども、我々の政策意図というものについてしっかりと御説明していくことが大事だろうと思います。
野党の中にも、例えば東京選出で東京外環は必要だという方々、あるいは4車線化の当該地域におられる方々で、これについて是非やってもらいたいという方々もおられますので、そういう意味においてはしっかりと御説明をして、御理解を得られるように努力をしていきたいということでございまして、スタンスが変わったということはございません。

(問)昨日、羽田を見学された中でターミナルの拡張の話をされたと思いますが、今イメージされている時期とか規模を具体的に教えてほしいのと、新しくできたのは10スポットぐらいしかなくて、元々それでは足りないのではないかとの指摘はあったのですが、それをこの時期に、オープン前におっしゃるというのは、仁川とかアジアのハブ空港を意識したお考えなのか、その辺をお願いいたします。
(答)3万回程度を前提とした国際線ターミナルができるわけでございまして、政権交代で羽田を24時間国際拠点空港化していくということで、管制の習熟がなされた後には、9万回を目指していくということでございまして、今の国際線の新しいターミナルのキャパシティではとてもではないけれども足りないという思いを持っております。
昨日も羽田の新国際ターミナルを視察をさせていただいて、ターミナル会社の社長さんともお話をいたしまして、もう既に私が国土交通省航空局に指示をしておりますので、航空局との話合いをしてもらっております。
したがいまして、あのカウンターをさらに横に広げる形で、おそらく40~50メートルほどになると思いますけれども、横に広げていただくような形でカウンターや、あるいは出入国のゲートというものを増やしていただくということになるのではないかと思いますし、秋頃には契約変更をしていただくということで詰めの協議を行ってもらっているというふうに報告を受けております。

(問)成田との役割分担、一体化ということをおっしゃっておりましたが、成田とのバランスというのはどのようにお考えでしょうか。
(答)昨日もお話をいたしましたけれども、羽田が4本目の滑走路が10月末にできたといたしましても、30.3万回から最終的には44.7万回というのが今の見通しであります。
つまりは14.4万回増える、そのうちの9万回は国際線に割り振るということでありますけれども、成田は現状においても22万回と。
そして、30万回まで地元の御理解も得て増やしていただくというお話をしていただいているわけでございまして、国際線の便数で見れば圧倒的に成田の方が便数的に多いということで首都圏空港の兄貴分は成田空港であり続けると、こう思っております。
では、どうそのすみ分けを図っていくのかということでございますけれども、基本的にこれから私は航空業界というのは、大競争時代に入ると思っております。
そして、その大競争時代の台風の目になるのはLCC、格安航空会社、これが台風の目になってくるのは間違いないと。
したがって、日本の航空会社でも近々別会社を作って、LCCを立ち上げられるところも出てまいりますし、またその拠点については関空とか、あるいは成田というものも今後考えられ得るのではないかと思っております。
成田の会社の社長さんにも、私の方からLCC専用ターミナルとプライベートジェットのターミナルというものを早急に整備をしていただきたいと、こういう話をしております。
したがって、羽田はやはり都心に近いということで、ある程度のお金を出しても時間というものを大事にされる方が国際線でこれからは羽田が主流になってくると思いますけれども、羽田に入りきれないものと同時に、やはりこれからはLCCというもの、少し離れてはいるけれども専用ターミナルが出来ることによってコストが低減できるということにおいて運賃を安くし、そのメリットで成田というものを使うということで、ある程度のすみ分けということは今後出来てくるのではないかと、このように思っているところでありまして、国土交通省の成長戦略会議でも答申を頂いてその中身について、繰り返しになって恐縮ですが、成田でもLCCの専用ターミナル、プライベートジェットの専用ターミナルを造っていただくということもお願いをし、それができるだけ早く実現をすることによって大競争時代に日本の空が対応し、そして観光政策とあいまって、むしろ増えることでも両方が目一杯活用されるような人的交流というものを増やしていく、それが日本の成長につながっていくという形を作り出していければと思っております。
また地方空港についても、よく専門家と称する人達がハブの時代でもないのに羽田をハブっていうのはどういうことかという話もありますけれども、大事なことは、ハブも必要だし、そして地方空港がいかに使われるかということになれば、地方空港とアジアをダイレクトに結ぶチャーター便や定期便が増えていくと、それがまた日本の観光に資するということも大事でございますので、造った空港は目一杯様々な地域の自治体に努力をしていただく中で、競い合って使われるような環境を作っていただく、そしてまたその外部要因となる、例えばビザの発給要件の緩和とか、あるいはプロモーションなどは国がしっかりやらせていただくと、後はみんなでその奪い合いをしていただく、そして地域の活性化につなげていただくと、これはまさに地域主権ではないかと私は思っております。

(問)アジアのハブと言われてですね、仁川が随分羽田の24時間化に脅威というか心配を抱いているようなのですが、その点についてはいかがですか。
(答)私がゴールデンウィークに米国からベトナムに行くときに仁川を経由して、仁川空港を見させていただきました。
その時に仁川空港の社長さんからも、前原大臣が考えておられる羽田のハブ化、国際化というのは非常に心配をしていますと、こういう話がございました。
しかし私は本音で申し上げたのは、WINWINの関係を作っていかなければいけないと。
つまりは仁川というのはものすごく潜在力があるわけです。
今3本の滑走路ですけれども、もう4本目が出来てます。
青いブルーシートが被せてあって、もう4本目はいつでも増えれば使えるようになっているし、ゴルフ場があるのですが、そこを潰せば5本目も滑走路として出来るということで、仁川の潜在力は私はものすごく大きいと思います。
むしろ仁川の潜在力、つまり仁川の安い着陸料を通じて海外から仁川経由で日本の地方空港に来ていただいて、日本のインバウンドが仁川経由で増えるということは私はむしろ有り難いことだと思っております。
ただその一方で、日本という国の中で内際分離というものが今まで羽田と成田で行われていた国策の結果、全ての乗り継ぎが仁川でというのは、やはり国としていかがなものかということの中で、国民の利便性というものを考えた場合には日本でも核となるハブ空港は必要だということで、羽田の24時間国際拠点空港化を進めていくわけでございまして、そういう意味では羽田もハブにし、仁川も日本へ来ていただく観光の拠点として使っていただくということで、私はWINWINの関係を築けるのではないかと思っておりますし、このことについては本音で私は申し上げているつもりでございます。

(問)ホルムズ海峡でのタンカー事故の調査についてですけれども、進捗状況をお願いします。
(答)ホルムズ海峡のタンカーの事故原因調査の進捗状況でございますけれども、採取したサンプルを入手いたしまして、8月9日の夕刻に警察庁に分析のため提供いたしました。
科学警察研究所において、爆発物の残留物の有無の確認、科学分析を実施していただく予定になっております。
また航海データ記録装置(VDR)、フライトレコーダーみたいなものですね、それの船版でございますけれども、それの解析というものも運輸安全委員会、海上技術安全研究所で分析をしているところでございます。
また政府一丸となって、海外の様々な機関から外交ルートを通じまして情報等を入手をしているところでございまして、テロであるという断定が海外ではなされているわけでありますけれども、日本が自らも主体的に判断をするための検査を現在鋭意行っているというところでございます。

(問)いつまでに調査結果を出されるのでしょうか。
(答)いつまでに、ということを区切って調査をやるということになれば調査が不十分になる可能性もございますので区切ってはおりませんが、鋭意、専門家の皆様方に御努力をいただいて、今原因究明を主体的に行っているところであります。

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