大臣会見

前原大臣会見要旨

2010年9月14日(火) 11:12 ~ 11:34
国土交通省会見室
前原誠司 大臣

閣議・閣僚懇

私から二点お話をいたします。
まず、奄美群島振興開発基金の理事長の人事についてでございます。
本日の閣議で、公募による選定を経まして4月28日付で任命し、9月30日付で任期満了となる独立行政法人 奄美群島振興開発基金理事長 澤田正晴を、翌10月1日付けで再任することについて、御了解を頂きました。
二点目でございますが、中国の漁船、あるいは台湾の活動家にかかわる海上保安庁の対応についてお話をいたします。
中国のトロール漁船ミンシンリョウ5179公務執行妨害事案でございます。
平成22年9月7日、巡視船「みずき」は尖閣諸島周辺の本邦領海内において、中国トロール漁船「ミンシンリョウ5179」に対し、立入検査を実施するために停船を命じつつ追跡中、突然、巡視船「みずき」右舷中央部付近に衝突させるなどして、職務の執行を妨害したことから8日、船長を公務執行妨害の容疑で逮捕し、9日、那覇地方検察庁石垣支部に身柄付き送致いたしました。
尖閣諸島は我が国固有の領土でございまして、主権を守るために海上保安庁では国内法にのっとり、厳正に対処をいたしました。
また、9月11日、沖縄本島西方の我が国排他的経済水域において、測量船「昭洋」及び「拓洋」が地殻構造調査を実施中に、中国公船「海監51」が接近、中止要求するという事案が発生いたしました。
「昭洋」は、日本の排他的経済水域における正当な調査活動を実施している旨回答し、調査を継続いたしました。
「昭洋」及び「拓洋」は、同日午前、予定していた調査を全て完了いたしました。
台湾活動家による尖閣諸島渡航活動でございますが、9月13日、尖閣諸島の領有権を主張する台湾活動家が乗船する、台湾漁船「カンエン99号」が、台湾を出発し、本日、午前2時34分、尖閣諸島魚釣島周辺の我が国接続水域に入域いたしました。その後、我が国領海に侵入するおそれがあったことから、当庁巡視船艇等によりまして、警告を実施いたしました。
その結果、同船は、領海に入域せず、午前7時59分、接続水域から退去いたしました。
以上、私からの御報告でございます。

質疑応答

(問)代表選ですが、いよいよ今日が決戦の日となりますけれども、これまで約2週間、菅さんの選対の中で戦われてきた感想と、両候補の政策論争を振り返ってどのような代表選であったか、代表選自体の総括をお聞かせください。
(答)長い代表選の選挙期間でございましたけれども、私としては様々な議員と忌憚のない意見交換ができて、その方々が菅さんの支持であろうが、小沢さんの支持であろうが、どういう思いで議員活動をし、代表選挙に臨んでおられるかということを多くの方々から生の声を伺えて大変良かったと思っております。
また、政策論争が深まったとはあまり言えないと、私は思います。
様々な矛盾な点もございましたけれども、しかし同じ党の中での代表選挙でありますので、政治主導、あるいは地域主権、こういったものをどちらがより現実的に、しかし真剣にやっていくのかと、こういう議論はお二人の候補にはしっかりしていただけて良かったのではないかと思っております。

(問)就任以来、ダムによらない治水を目指してこられたと思いますけれども、その中でも伺いたいのですが、熊本県の路木ダムについてなのですけれども、大臣は野党時代の質問主意書の中でこの事業の問題点を明確に指摘なさっております。
ただ、大臣に就任なさってから、今年度の補助金を支出されました。
これは大臣の路木ダムに対する認識が変わったということなのでしょうか。
(答)できるだけダムにたよらない治水をということで、見直し作業を進めてまいりましたが、そこの一つの大きな基準というのは、本体工事に着工しているその手続きが行われているか否かといったところが大きなポイントでございました。
路木ダムを含めて五つの補助ダムにつきましては、県において手続きが進められておりました。
私はその五つについても検証結果を待って、そして他に代替策が無いのかどうかも含めて、国が行う検証というものに是非参加をしてもらいたいということを申し上げてきたわけですけれども、しかしながら、その五つの補助事業については県が実施されることでございますし、その知事さん達がダムの必要性を訴えられて、そして手続きを進められるということでございまして、これはあくまでも国にとっては補助事業、地方が行われる事業でございましたので、そのタイミングからして、その期待というものに対して我々が補助金を出さないということでそれを阻害するということは、様々な法律の観点からみて難しいのでないかという結論に至って、この五つの補助事業については補助金を出すということに至ったわけでございます。
私としては、できれば国が行っているできるだけダムによらない治水、あるいは利水の代替案というものの検証に参画をいただきたかったという思いはありますし、私が野党時代に質問主意書を出した考え方は変わったわけではございません。

(問)路木ダムというのは熊本県内でもかなり議論の分かれている事業でありまして、その点で質問主意書の中の言葉を借りれば、その事業の根拠が虚偽であったとするならば、これはその補助金を出すことが正当なことなのかどうかとそういう考え方もあると思うのですが、いかがでしょうか。
(答)洪水があったかないかということについて意見が分かれておりますけれども、これは熊本県議会で蒲島知事が洪水があったということを明言されて、そして自分の責任でそれについてはしっかりやっていきたいということをおっしゃっている以上、県の事業であり、その責任者たる知事が、洪水はあった、そして自分の責任でもってやっていくということをおっしゃっている以上、我々としては補助金を止める法的根拠はないと判断したわけでございます。

(問)もう一点だけお聞かせいただけますか。
補助金行政というのもそれなりに問題点を指摘する声もありますけれども、時代の流れは補助金から一括して地方へ交付するということに今後変わっていくとすれば、大臣が今おっしゃったように、熊本県ではこの事業は正当であると、地元の天草市という自治体から熊本県に上がり、熊本県から国交省に上がってくるわけなのですが、結構、お金の使い方として地元が本来は必要のないダムを造る可能性が増すような気もするのですが、その辺りいかがでしょうか。
(答)私は、地方主権は進めていくべきだと思っています。
そして、そのような判断を自治体がされるかどうかということの判断は、選挙によって選ばれた首長たる知事、市長さんがなされるわけでありますので、そういったお金の使い方についての是非、妥当であったかどうかということは、その次の選挙で有権者の方が御判断をされるべきであって、地方に権限、財源を任せると、より無駄な公共事業が増えるのではないかということについて、最終的にそれにストップをかけられるかどうかというのは、まさに地域の有権者の判断だと思っております。
このことをもって、地方主権の推進を止めるということはございません。

(問)八ッ場ダムの関連ですが、10日に司法記者クラブで、ダム差止めの住民訴訟をやっている原告団の弁護人の高橋さんという弁護士さんが、大臣あてに質問書を出して、更に10日付で東京地裁に情報公開に関する訴えを起こした会見をしたのですが、内容は利根川の基本高水の関連で、一点は利根川ダム事務所のホームページの内容に誤りがあるのではないかというのと、基本高水の算定根拠になったデータを公開すべきではないかというこの二点についてそれぞれ言っているのですが、大臣はこの質問書であるとか訴えを御存知であるのか、あるいはその指摘についてどのようにお考えなのかそれぞれお聞かせください。
(答)直接その方が出されたものはまだ見ておりませんが、東京新聞を読んでそういった事実があるということは存じ上げております。
また情報公開については徹底的に行っていきたいと考えておりますし、東京新聞さんの記事を読ませていただくと、森林の保水能力についてしっかりとカウントされていないのではないかということが大きな主題であったと思いますし、実は有識者会議の中でもその議論はかなり行われまして、今後の八ッ場ダムの予断なき検証というものを行う評価軸、中間報告が取りまとめられたところでございますけれども、今後、代替治水策、利水策を模索していく上で、私は一つの勘案する要件であると思っておりますので、山の保水能力のカスリーン台風時と現在の違いというものが当然考慮がされるべきだと思っております。

(問)とすると、大臣のリーダーシップで情報は速やかに公開されると期待してよろしいのでしょうか。
(答)できる限り、特定の情報について開示要求をされていると思いますが、できるだけ私は情報公開はしていかなくてはいけないと思っておりますし、特に基本高水というような中核をなす数値がどのような条件でまとめられたかということについては当然ながら開示をしていくべき話だと私は思っております。

(問)沖縄の名護市議選挙の結果について伺いたいのですが、辺野古移設反対を訴える市長を支持する与党派が多数を占めたのですがその結果への受け止めと、その結果を受けて地元では基地反対の意思がより明確に示されたことで、北部振興策などの予算措置が滞ったり、少なくなったりするのではないかとの不安の声を漏らす方もいらっしゃるのですけれども、振興予算の在り方についても併せてお聞かせ願います。
(答)どのようなレベルの選挙であっても、これは民意の表れでございますので真摯に受け止めていくべきだと思っております。
どのような結果であれ、私が申し上げてきたのは沖縄という所は、本土に復帰をして以降、様々な施策が行われてきましたけれども、いまだ全国でも一人当たり県民所得が最低レベルでございますし、失業率も高い、その中において特に北部においてはその傾向は顕著でありますので、北部振興策については、しっかりと基地の問題とは切り離してリンクをさせずにしっかりやっていくという政府の方針には全く変わりはございません。

(問)大臣が建設中止を表明されてから間もなく1年になる八ッ場ダムについてですが、今年1月の意見交換会以降、地元側も建設中止の方針を受け入れていないために対話が中断して、ダム無しでの生活再建の見通しが立ってなく、地元からは不安の声が上がっています。
この状況について建設中止を表明した大臣としてどのように受け止めていますでしょうか。
(答)57年間、ダムの建設が完成されてこなかったわけでございまして、中止の方向性を示して1年経ち、地元の皆様方には政策変更によって大変御迷惑をお掛けをしているということについては心から改めてお詫びを申し上げたいと思います。
ただ、予断なき検証を行っている最中でございまして、その検証結果を受けて議論していかなくてはいけませんので、ある一定の時間が掛かるということは御容赦をいただきたいというふうに思っておりますし、八ッ場ダム以外でも検証結果を受けて中止をするダムも出てくると思いますので、そういった方々に対しては御迷惑をおかけすることになりますけれども、その方向転換の意味、つまりは日本の置かれている財政の状況やこれからの公共事業の在り方というものを考えた場合には、方向転換をすることが妥当であるということをしっかりと説明していきたいと考えております。

(問)冒頭でも大臣自らおっしゃられたように、この1週間で少なくとも3件、東シナ海の領土を、若しくはEEZを巡って中国側とのつば競り合いが続いているという状況です。
これについて大臣御自身は一過性のものなのか、それとも東シナ海を巡って日中関係、今後何らかの変遷があるというふうにお考えなのかということをお伺いしたいのと、仮に今後もこういうことが続くということをお考えの場合には、何らかの法整備なり、対策強化なりといったことをお考えなのでしょうか。
(答)東シナ海には領土問題は存在しておりません。
したがいまして、我々は日本の主権をしっかり守っていくために、毅然とした対応をとっていく、国内法にのっとって粛々と対応をしていく、それに尽きると考えております。
これからもそういった姿勢は一貫して行っていきたいと考えておりますし、現状において新たな法整備が必要だということは考えておりません。

(問)今後、これは沈静化していくという見通しはお持ちですか。どういうふうになっていくとお考えでしょうか。
(答)将来的にどのように推移していくかということは、今予断を持って申し上げられる状況ではないと思っておりますけれども、いかなる状況が生まれようが東シナ海には領土問題は存在いたしませんし、日本の主権を脅かす活動、行為については、厳しく、毅然と対応をしていく、それに尽きるところでございます。

(問)もう一点だけ補助ダムについてお聞かせください。
大臣は昨年度末、3月31日時点で、各県議会の承認を経た上でダムの契約がなされているかどうかというのを一つの区分けになさいました。
それで五つ着工することになったわけですが、熊本県議会の例でも、1月に入札、2月に業者選定、3月に県議会という流れです。他の四つのダムも似たような経緯だったと思います。
これによってダムの実現性というものは、言ってみれば天地の開きというものができたわけですが、その五つのダムを含めて全ての補助ダムを凍結するというお考えを実行なさらなかったのはどうしてでしょうか。
(答)先ほどお話ししたように、ある時期に一定の基準を作って、そして進めるか、凍結するかということを決めさせていただきました。
その基準が本体工事の着工、その手続きに取り掛かられているかどうかでございました。
しかし、この五つの補助ダムについては、手続きが行われている段階でございまして、私はまだ本体工事そのものには取り掛かっていないわけでございますので、五つの補助ダムを管轄されている知事さんに対して、検証してもらえませんでしょうかというお願いをしたところでございますけれども、結果として、五つのダムを所管される、あるいは工事主体としてやられようとする知事さんからは粛々と進めていきたいと、そういったお話が、県議会の議決も含めてございましたので、その段階にまで至っているものについて補助金を出さないということは、様々な法律からすると、それは国が行う行政の権限を越えているのではないかという判断をして、我々としては補助金を出す判断を下したところでございます。

(問)前原大臣の再検証を求める呼びかけに対して、熊本県知事は応えなかったのですが、それ以上強い言い方は国としてはできないということなのですか。
(答)これは憲法、そして地方自治法、様々な観点で我々は検討を加えました。
私の気持ちとしては新たな治水の評価軸、利水の評価軸が決まるまでお待ちをいただいて、再検証をして、他に代替案が無いのかどうなのかということは検証していただきたいという思いはございました。
しかしながら、この5ダムについては既に手続きに入っておられるということで、私の方からは要請をいたしましたけれども、5名の知事さんからは進めたいと、こういうお話があり、そして様々な法律を照らし合わせた時に、国が補助金を出さないということは、これは国の権限を越えているのではないかという判断をして、補助金を出すという決定をさせていただきました。

(問)政治家として読み筋を伺いたいのですが、今回の代表選後に民主党が分裂する可能性は有りや無しやということはいかがでしょうか。
(答)あってはならないと思います。

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