大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年8月30日(火) 10:36 ~ 11:06
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日の閣議で、内閣総辞職の閣議決定に署名をしてまいりました。
署名といいましても花押を書くだけでございますが、署名をしてまいりました。

質疑応答

(問)今回の党の代表選では、野田財務大臣が新代表に選ばれ、次期総理となることが決まったわけですが、この結果について大臣の受け止めをお聞きします。
今回の決定については、鹿野大臣のグループの動きが大きな焦点を握ったということもございました。
この点も含めてお願いいたします。
(答)今回、菅総理が辞任表明をいたしまして、それに基づいて民主党の代表選挙が行われました。
昨日、代表選挙が行われたわけでありますが、私は、今日の民主党の状況を踏まえ、また国会の状況等を踏まえて、まずは党内で心を一つにすることができる人、自民党、公明党など野党とも信頼関係を築くことができる人、総じて国民の信頼を再構築できる方が民主党の代表、新総理になるべきであろうと考えまして、たくさんの有力な候補の方が立候補されましたが、私は鹿野道彦先生が今日の状況においては一番相応しいということから、一所懸命応援をさせていただきました。
今でも鹿野先生が総理に一番ふさわしいという気持ちは持っているわけでありますが、しかし選挙であります。
いろいろな論戦もありました。
結果として野田さんが新代表に決定したわけであります。
私は常日頃から「万機公論に決すべし」、こういうことで決めるのが一番良いと思っておりましたが、いろいろな考え方の中で様々なお考えを持つ方が論戦をして、結果的に決まったわけでありまして、私は良い形できまったのではないかと考えております。
野田さんは新代表に決まった後、「ノーサイド」というお話をされましたが、その言葉通りに、心を一つにして、これまで国民の皆さんからの信頼を損ねてしまったわけでありますが、この信頼を再構築し与野党の垣根を越えて、また党派の垣根を越えて、心を一つにして東日本大震災に対する対応、それから原子力事故に対する対応が国会を挙げてできるような体制を是非築いていただきたい、このように願うところです。
いろいろな報道も出ておりますが、いずれにしても戦いが終わればまさにノーサイド、国民の期待に応えて、新政府が力を発揮できる体制を築いていただけるように、そして大震災で家を失い、家族を失い、大変暮らしの困窮を極めている国民が多いわけでありますから、その国民の皆さんの現状というものを踏まえて、しっかりとした対策がとれる内閣を築いていただきたいと思います。
同時に円高、あるいは電力不足ということで、日本国内の企業も大変厳しい状況となっています。
この日本国内の経済状況を踏まえて、適切な政策が打ち出され、この日本の国難というものを克服できる体制と行動をとることが求められていますので、是非体制を築いていっていただきたいと思います。
諸外国との関係も大変重要であります。
今朝のワールドニュース等を朝5時くらいから見ました。
諸外国も今回の新総理誕生への流れを受けて報道されておりますが、大変冷ややかな報道ぶりであったと、ニュースでは流れておりました。
世界との信頼ということも大変大事でありますから、日本の国として明確なメッセージを世界にも出していかなければなりません。
その面でも野田さんに是非期待したいと考えているところです。

(問)今年の1月に国土交通大臣に就任されて以降、これまでおおよそ約8か月になったわけでありますが、今回お辞めになるにあたって、大臣在任期間中の総括をお願いします。
特にこの間の取り組みについて印象に残っている事があれば、取り上げていただきたいと思います。
(答)さきほど事務方に、私は国土交通大臣として何日在職したのか計算していただいたのですが、1月14日に就任して本日まで229日間ということでございました。
この229日間について、振り返ると、あっという間であったと感じるところでございます。
国土交通大臣を拝命するときに、国土交通省という役所は守備範囲が広いと言うことは最初から認識をしておりました。
航空行政から下水道まで、広範な分野に跨っております。
まさに、国土づくりという意味では、日本の国の土台、基盤を作っているということが国土交通省の役割であろうと認識をしておりました。
特に、どのようなことが印象深かったかということですが、1月14日に国土交通大臣を拝命する時に強く認識をしたことは、やはりダム事業の見直しということと、高速道路の無料化ということが挙げられます。
ダム事業の見直しについては、特に八ッ場ダムの見直しという課題がございました。
前原さんが大臣に就任した時からの課題でありますが、私は馬淵前大臣の方針を踏襲いたしまして、一切の予断を持たずに検証をし、その検証結果を大事にしながら判断をしたいということを申し上げてまいりましたが、このことが一つ、課題としては強く印象に残っております。
もう一つは高速道路の無料化であります。
社会実験を実施しておりましたけれども、これが3月11日の大震災により、様々な状況がございまして、社会実験を中止をして現在の状況に至っているわけであります。
このダム事業の見直し、あるいは高速道路のあり方ということが私とって大変印象に残っております。
さらには、3月11日に大震災が起きましたが、この大震災で私自身の仕事も一変いたしました。
全てが3月11日の大震災対応、あるいは原子力事故対応ということになったわけでありまして、このことについては、国土交通省の底力を全て出して、国民の皆さんの生活、あるいは命を守るということに徹して仕事をさせていただきました。
私もいろいろな仕事をしてまいりましたが、国土交通省という役所を非常に高く再評価させていただきたいと思います。
かつて、国土交通省、建設省といいますと、何やら巨額なお金が動いて、その裏にいろいろと蠢きがあるということが国民の皆さんの間で認識が強まっていたわけですが、実際に国土交通省に入り、3月11日以降の仕事ぶりを見ますと、まさにプロフェッショナル精神を発揮して、道路、鉄道、航空事業、あるいは港湾事業、そして社会インフラの再整備と、フル回転でそれぞれの職員の皆さんが自分の職責を全うしようという信念で心を一つにして、今日まで仕事をしていただきました。
お陰様で、世界各国から、日本の社会インフラの復旧は非常にテンポが速いと、高速道路の再整備ですとか、鉄道の復旧ですとか、港湾、空港の復旧ですとか、まさに驚異的な力を発揮して、今日の東日本大震災の復旧、復興への道を築いていただきました。
改めて、国土交通省の6万人を超す全ての職員の皆さんに御礼を申し上げます。
事務次官を始め、多くの幹部の皆さんも、3月11日以降、不眠不休といってもいいわけでありまして、本当に良く取り組んでいただきました。
地方整備局を含めて、地域で活動をしている職員の皆さんにも、改めて御礼を申し上げたいと考えております。

(問)大臣が馬淵前大臣からいろいろな重要事項を引き継いだように、これから新任の大臣に対しての引継において特に留意しておられること、それからこの点についてはこうあるべきだと何か注文をお付けになろうと考えていらっしゃることがあればお願いします。
(答)次の国土交通大臣になる方にどのようなことを引き継ぐかでありますが、私としては、民主党のマニフェストにありました高速道路の無料化については、有識者の皆さんに改めて、日本の高速道路はアメリカ、ヨーロッパと異なる環境にあるわけですから、どのような形で高速道路というものを考えたら良いのか再検証をしていただいておりまして、大分詰まってまいりました。
日本における高速道路のあり方について、寺島座長の下で検証をしていただいておりますので、それを踏まえて、100年、200年と継続できるような高速道路のあり方を是非打ち出していただきたいということが一つ。
それから、ダム事業につきましては、前原さんの時から検証のシステムを作っていただきましたので、それに基づいて、83のダム事業を見直してきているところですが、そのうち15のダムについて結論を出しました。
確か5つは中止で、10個は継続ということだったと思いますが、これについてはあり方の検討委員会、あるいは有識者の皆さんにいろいろ御苦労をいただいており、地域の方々も入って検証を進めておりますから、これは前原方式といいますか、馬淵さんの基本的な方針というものをしっかりと継承して、しっかりと検証して結論というものを大事にしながら、最終的な結論を出していただければと思います。
それから3.11の大震災を受けまして、我が国の高速道路、鉄道、港湾、空港、この4つの分野についてはそれぞれの考え方で政策が進められてきたように感じますが、これは非常時の対応としてネットワーク化すべきだというのが1つの教訓であります。
したがいまして、単に高速道路、鉄道、港湾、空港というものを個別に考えるのではなく、非常時の場合にどのようなネットワークで地域の国民の命を守るかという観点から政策を再検証することが必要なわけでありまして、新大臣には今回の大震災の教訓というものを踏まえて、それぞれのネットワークを図るということから、高速道路、鉄道、港湾、空港網の整備を図っていただきたいと存じます。
それから、震災の教訓を経て、非常時のとき、地震や津波等々に備えて想定を超える場合でも命を守れるまちづくりが必要なわけでありまして、これについてもかなり検証が進んでおります。
三井副大臣を中心に進んでおりますけれども、復旧・復興に向けての国土づくりの基盤ができておりますので、これに基づいて、東日本だけでなく西日本も含めて、これから東海・東南海・南海地震ということも想定されておりますので、これらに備えて西日本の対策強化も進めていかなければなりません。
他の市町村においても、地震、津波が来た場合にどのように住民の命を守るかという観点から総見直しをして備えていただきたいということで、防災という観点、あるいは減災という観点からまちづくりを根本から見直して住民の命を守るというまちづくりに取り組んでいただきたいと考えております。

(問)先ほど総括をされたのですが、御自身でやれた部分、やれなかった部分というのは、改めてどう評価されておりますでしょうか。
(答)やれた部分、やれなかった部分ということですが、私としては一日一生という気持ちで行ってまいりました。
毎日できることは全てやり切っていこうという方針で行ってきましたので、大方のところはやり切ってきたのかなと思います。
ただ、3.11の大震災以降は日々のやらなければいけないことに追われておりました。
私も以前イギリスやフランスの街を訪れたり、中国、米国、中東の街も行きましたが、特に私はイギリスの古い地方の都市を訪れたことがあります。
古い街でありますが、非常に秩序正しく、その地域の方々が200年、300年前の街を大事に誇りにしながら、子ども達もお年寄りも穏やかに暮らしておりました。
そういう街が日本でできないかという思いがございます。
地域においての中小企業の衰退、あるいは農村地帯の衰退というものを私の選挙区でも見ておりますので、農林水産業の再生を図って、地域の中で若者が収入を得て、結婚して家族を持ち、その地域でみんなで暮らしていけるというような継続性のあるまちづくりというものを、精神的に少し余裕があれば、これから目指したいと思っておりましたが、これについては殆ど手をつけることができませんでした。
しかし国土交通省の中において、事務次官を始め、関係する幹部の皆さんや職員の皆さんが日夜懸命にしっかり仕事をすることによって、そのような郷土づくりが進むのではないかと、新大臣を中心に進めていただきたいと思います。
国土交通省の職員の皆さんには、河井継之助という長岡藩の武士の話をしたことがあります。
その河井継之助さんは、「民は国の本なり」、そして吏、いわゆる侍と言いますか、官僚を示すのだと思いますが、「吏は民の雇われなり」という言葉を残して、明治維新の頃、官軍として戦って亡くなったわけであります。
もう一度、戦後66年経って、国土交通省、官あるいは私たち政治家も、大臣が偉いわけではなく、そして、官僚の方々も決して偉いわけではなくて、国民のためにどうなすか、仕事をするかということが、今、問われているのだと思います。
国民から雇われているという意識を持って、国民のために、あるいは国民の生活を支えるために何ができるか、一人一人が考えて行動することが今求められていると思いますので、そういう意味では、国土交通省の職員の皆さんにもそういう意識を持ち、また、私ども政権を担う民主党、あるいは自民党、公明党等も含めて、政治家が改めて心を引き締めて、国民の暮らしを直視して、国民の期待に応えていくということを今、しっかりと行うべき時代だと、そういう認識を新たに致しました。

(問)先ほど、大臣は、今回、国民の信頼を損ねてしまったということをおっしゃいましたけれども、具体的にどういうようなことを指していらっしゃるのか、それに対して挙党一致、あるいは与野党のすべてを超えた対応が必要だとおっしゃいましたが、具体的にどういうことをしていくべきだというふうにお考えなのか、お聞かせください。
(答)国民の信頼を損ねてしまったという話を申し上げましたが、やはり政治の方からのメッセージが、国民が期待していることとは別な形で、政治の分野からやりたいことをメッセージとして発信して、それを実行していたのではないかと、国民の期待と今実際の政治が行っていることと、どうもその間に不信が生まれてしまったのではないかと、そういう感じを持っております。
例えば、地方自治体が自由な財源の中で自由に使える地方分権ということがずっと求められてまいりました。
確か97%くらいは国あるいは県からの委託、委嘱された業務を行うということが自治体の実態で、3%くらいしか予算的には自由になるお金は無いのだということを私の友人の市長さんがおっしゃっておりました。
アメリカ、ヨーロッパを見ても、国と県がほとんどをコントロールしているという所はだいぶ少ないのではないかと、逆に自治体が自由に予算を使って、住民の声を聞きながら、仕事ができる、政策が実行できるという体制を作ろうと、こういうことを民主党としても主張してきたわけですが、それが実態としてはなかなかそのような形になっていないことですとか、あるいは年金の問題にしても、かなり進んでまいりましたけれども、民主党が考えた政策というものがなかなか前に進まなかった。
それはいろいろな理由があるわけですが、そういう問題についてしっかりと現状について国民の皆さんに説明をし、やろうと考えて始まったのだけれども、現実問題として財政難ですとか、制度上でできていない、したがって、これについてはこのような形で制度を変えて実施しようとしているという、その説明が不十分であったのではないかと考えます。
その一方で、税制の問題でも突然そういうものが出てきたり、あるいは事前の話がない中で突然メッセージが発せられたりと、このようなことがいくつか重なって、一体民主党政権が何を行おうとしているのかがよくわからないというようなことで、信頼を失い始めてしまったのではないかと思います。
したがって、野田さんが今日総理になられるわけでありますが、今後、是非国民にしっかりと現状について説明をし、民主党として、こういうことをやろうとしている、あるいは現在で言えば、民主党というよりも、3月11日の大震災対応、原子力対応については、自民党、公明党など他の野党とも話し合った上で、合意形成を図りながら、大胆に力強く前に政策を進めていく。
国会の中で与党と野党が激しくぶつかり合う構図がずいぶん展開されたわけでありますが、今、国民が期待しているのは、与野党のぶつかり合いというよりも、与野党が心を一つにして、東日本大震災の対応、あるいは原子力事故の対応ということをスピーディに行うことを求めているのではないかと思いますから、野田さんには、政府でいろいろと決定する以前に、与野党間でよく話し合って、一つのおおよその合意を得ながら、スピーディに国会で対応を決めて、実施に移していくということが今、希望と言いますか、望まれていると思うのです。
この2年間、たくさんの経験、あるいは失敗も経験しました。
国民からの期待というものがどういうものであるかということをもう一回思い起こして、是非、国民の期待に応えて仕事ができるような体制を整えていただきたいと考えているところであります。

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