大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年6月21日(火) 10:35 ~ 10:58
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
冒頭に、私の方から閣議案件と、それからもう一つ御報告をさせていただきます。
一つは、今日の閣議で御了解を頂きました独立行政法人の人事でございます。
独立行政法人港湾空港技術研究所の理事長について、現在の理事長の任期満了によりまして、公募による選考を経て、高橋重雄を7月1日付けで任命することにいたしまして、御了解を頂きました。
それから、もう一つの御報告でございます。
これは、これからのことを考えますと非常に展望の持てる課題だと思いますが、羽田空港における国際線旅客ターミナルの拡張についてでございます。
羽田空港における昼間の国際線の発着枠は、現在約3万回でありますが、昨年5月17日にとりまとめられました国土交通省成長戦略において、今後の首都圏の国際航空需要に対応するため、その拡充を行うこととされました。
これを受けて、国と東京国際空港ターミナル株式会社との間でターミナルの拡張に向けた協議を行ってまいりましたが、この度この協議が整いました。
その内容について、3点御報告をします。一つは、羽田空港の昼間時間帯の国際線が従来3万回でありましたが、6万回の発着ができるようになり、従来の深夜、あるいは早朝時間の3万回と合わせて、羽田の国際線は年間9万回の発着枠が確保されるということになりました。
2点目の特徴としては、昼間の時間帯において、アジア近距離路線に加えて、アジア長距離路線を拡充することができますし、また欧米路線を含む高需要ビジネス路線が羽田からも就航できることとなります。
3点目には、このような状況から、オープンスカイ政策の拡充を図ることができるという期待をしているところでございます。
なお、供用開始については、平成26年3月末を予定しているところであります。
冒頭の私からの御報告は以上でございます。

質疑応答

(問)高速道路の東北の料金についてですが、この週末の間で、休日1,000円と無料化実験が終わりまして、新たに東北での無料化が始まったのですが、その切り替わった初日である昨日の状況を、例えば渋滞であるとか、若しくは被災証明の発行の状況であるとかなど、全体的に見て、大臣はどのように評価されますか。
(答)御指摘のように、20日から新しい制度でスタートさせていただきました。
特徴は今お話がありましたように、特に東北地方の被災地支援のために、中型車以上の車の無料開放ということと、罹災、被災証明があれば、その方々に対しても無料開放という制度に切り替えさせていただきました。
私もインターチェンジの料金所等で混乱するのではないかと懸念しておりまして、その確認のための作業等で、係官の方がなかなか慣れないということもあって、料金所で渋滞が生じたという報告を受けましたが、おおよそ、それ以上の混乱にはなりませんでしたので、初日はなんとか無事に終了したと考えております。
昨日、池口副大臣からも記者会見で話があったと思いますが、それぞれの箇所での通行量が1.2倍から1.3倍に増えていると、特に中型以上の貨物関係が動いているということでございまして、そういった意味では、これからの復興基本法案も昨日成立しまして、スピード感をもってこの復興基本法に基づいて、被災地の復旧・復興、そして東北地方の経済の立ち上げということを行っていかなければなりませんので、それを後押しする一つの環境を整えることができると考えております。
状況を見ながら、いろいろな混乱があれば、何らかの対策を行わなければならないと思いますが、現状のところ、係官の方々の御努力で取り組んでいただいておりますので、よく状況を見ながら、今後も利用される方々に御不便をおかけすることがないように努めていきたいと考えているところです。

(問)被災証明書の発行の基準について、例えば水戸などでは停電被害を受けた全市民に発行するという方針を決めたところもあるのですが、自治体によって基準が違うということで、一部混乱であるとか、国が一律の基準を示すべきではないかという声も出ているのですが、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)それぞれの市町村で首長さんが、それぞれ考えて対応していただいておりますが、これについては、こうしなさい、ああしなさいということを現段階では申し上げる考えはありません。
ただ、日本の国の復興、特に被災地を復興するということを中心として今回の制度を導入させていただきましたので、節度ある形で対応していただきたいと考えております。
基本的には各自治体の考えで、そういったことを踏まえながら対応していただきたいということを希望したいと思います。

(問)休日1,000円の無料化実験が終わって、東北を始め日本全体で観光客の数が減るのではないかという懸念も出ているのですが、どのようにお考えでしょうか。
(答)今回、国民の皆さんに制度が切り替わることによって混乱を与えていることは否めないと思いますが、なにぶんにも千年に一度という大地震に伴い、津波あるいは原子力発電所の事故というものを受けて、混乱を極めている地域の方々の支援という意味で、制度を絞らさせていただきました。
そういったことから、いろいろと他の箇所にも影響が出るとは思います。
どのような影響が出るのか、これから状況をよく調べさせていただいて対応したいと思いますが、現在のところは、是非それぞれの所には御理解を賜りたいと考えているところです。
なお、今後の高速道路のあり方については、現在、「高速道路のあり方検討有識者委員会」を立ち上げていただいておりますので、この中で今回の大震災を踏まえながら、日本としての高速道路のあり方というものを検討していただいて、一つの方向性を出していただきたい。これを踏まえて、国土交通省としても、日本における高速道路の位置づけをしっかりと考えて定めていきたいと考えているところです。

(問)二つあります。一つは国際ターミナルの増設の費用をどのようにするのかということです。
もう一つは、かなり先では高い需要を見込んでいますが、一方で足元では外国人の日本訪問はかなり減っており、それに対して国交省や観光庁の対策は取られているのですけれども、現状、外国からのインバウンドを増やすという方針に関して大臣の認識をお願いします。
(答)金額については、後ほど事務方から聞いていただければと思います。
外国人の訪日が減少しているのではないかということですが、3月11日の福島県の原子力発電所の事故が主要因で減少していったわけですが、先日の日中韓の観光大臣会合でも事実関係をしっかりと把握して、冷静に正確な情報を基に対処しようということで一致しておりまして、韓国でも、あるいは中国でも日本を訪れる観光客が増え始めておりますので、そういう形で対応したいと思います。
また、ヨーロッパ、アメリカの方々についても、海江田経済産業大臣が一昨日からIAEAの総会に行っておりますし、正しい情報を発信するように努めております。
このところは、徐々に事実関係が世界にも広まると思います。
私も経済産業大臣を拝命したときに、その状況についてAPECとかASEAN諸国とも話をしてきましたが、日本の経済規模や日本のマーケットというのは、日本人が考える以上に非常に強いものがありまして、私は福島の事故を何とか終息させることができれば、日本に対する外国の方々の訪日というものが回復してくると考えております。

(問)現状において外国人が日本に来るということは、場所によっては安全だということでよろしいのでしょうか。
(答)そうです。過日もイギリス航空の社長と話をさせていただきましたが、その方自身が東京の安全を確認しに来たと、したがって、今後イギリス国内の方々にも、日本は福島の原子力発電所の周辺の一部を除いては安全であるということはきちんと伝えたいということですから、徐々にそのような現実、あるいは正しい情報を基に認識が広がると考えております。

(問)羽田の国際化ですが、成田空港との絡みでの相乗効果ですとか、棲み分けについての見解をお願いします。
(答)当初は、成田は国際便、羽田は国内便という位置付けでスタートいたしましたが、飛行機の需要はその当時と比べると飛躍的に大きくなってきておりまして、今でも羽田に離着陸したいという要望が寄せされております。
特に中国から非常に要求が多いわけです。世界の製造関係の多くの部分を中国に依存しているという話もありまして、中国を中心として経済が大きく動いておりますので、特に日本との交流は更に増えるだろうと思います。
そういう意味では、当初のスタートの時には、成田が国際便、羽田が国内便という位置付けでしたが、現在では成田と羽田が一体的に世界に開かれた飛行場として位置付けられることがこれからのことを考えると非常に大事ではないかと思います。
そういう意味で3万回の離着陸を増やすということは大変大事な政策だろうと受け止めておりますし、私自身も計画通り、そのような体制が取られるように進めていきたいと考えているところであります。

(問)国会の会期を巡って大幅な延長ということで、その幅もかなりの幅の中で議論が進んでおりますが、改めて会期の延長についてと、それから総理の退陣の条件について党内で様々な話し合いが行われておりますけれども、このことについて大臣の御所見をお願いいたします。
(答)私は、土曜日に福島の地域を回ってまいりましたが、下水処理場の汚泥対策に関しては、あと180日間で満杯になるということで、それまでに汚泥の処理について国の方針を定めて欲しい、あるいは仮設住宅も一所懸命建設していただいておりまして、避難者の方々にとって自分のこれからを考える上での大変大事な場を提供すること、さらにはがれき処理も大変遅れているということでありますので、私たち国土交通省としても環境省と力を合わせて行っていきたいと考えています。これはどこの担当でも良いわけであり、地域の方々からすれば早くがれき処理を終了させて、こ
れからの新しいまちづくり、復旧・復興に繋げていきたいという要求が大変強いわけでありますから、そういうことに対しても積極的に取り組んでいきます。
鉄道の復旧・復興についても、三陸鉄道を始め、常磐線の復旧・復興も急がなければなりません。
それから液状化対策も要求をされておりますし、団地の造成地等が土砂崩れ等でなかなか今後の見通しが立っていないという課題を国土交通省としては抱えているわけでありますから、これらをどういう形で被災地、あるいは被災者の方々の立場に立って対応していくかということを、第3次補正予算に向けて準備をしているところであります。
したがいまして、会期については基本的には与野党間で決められることだとは思いますが、国会を休んでいる場合ではありませんので、与野党間での結論に従って、国土交通省としては粛々とやるべきことをしっかりと行わさせていただくという決意で今後とも取り組んでいきたいと考えております。

(問)今回の羽田空港の拡張ですが、これまで結構言われている需要の拡大はこれからも続きますし、5本目の滑走路の話もある中で、この拡大は5本目の滑走路を造れば充分だと思いますか。5本目の滑走路の必要性について大臣の考えを教えてください。
(答)今回私が申し上げたのはターミナルの拡張でありまして、滑走路の拡張とは異なります。
ターミナルを増やして、離着陸の環境を整えようということであります。
世界の飛行場を見ますと非常に大きな飛行場が随分増えました。私も国内の飛行場をいろいろと見させていただきましたが、海外の飛行場は見渡す限り飛行場というところもございますし、24時間離着陸ができると、それからターミナル関係も24時間営業をしているということが世界標準になってきております。
そういう状況を踏まえながら、これからの日本の飛行場として、オープンスカイという政策も取っておりますので、それに相応しいところまでにしていきたいと思いますが、まだまだこのターミナル拡張だけでは充分ではないと思います。
したがって、その後のこともいろいろ念頭に置かなければいけませんが、まずは現在ある羽田空港の機能を十二分に活かすためにターミナルを拡張して、年間9万回の離着陸ができる態勢を取りたいということであります。

(問)先ほどおっしゃった国会は休んでいる場合ではないということと、第3次補正予算の重要性ということを考えると、昨日野党に提案した4か月間の会期延長ということは、そういうスパンを取った方が望ましいというお考えなのでしょうか。
(答)会期については与野党間で話をするものですから、閣僚がこれだけの会期にして欲しいといってもなかなか難しいと思います。
大震災を受けた状況からすれば、私は国会は休んでいる状況ではないという認識ではありますが、最終的には与野党間の話合いの結果に委ねるということだと思います。

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