大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年6月24日(金) 10:32 ~ 10:58
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

今日の閣議では特に国土交通省関係で皆さまに御報告すべき案件はございません。

質疑応答

(問)省内に置く東日本大震災復興対策本部ですが、今後どのように議論、調整を進められるのか、また政府の復興対策本部の動きにどのように反映させていかれるのでしょうか。
(答)復興基本法が成立いたしまして、政府にこの復興基本法に基づいた対策本部が設置されるわけでございますが、国土交通省としてはこのような状況に対応して「国土交通省東日本大震災復興対策本部」を設置させていただきたいと考えております。
この復興対策本部は、政府の復興構想会議における提言等も踏まえて実施するわけでありますが、既に3月11日以降、東北地方整備局を中心に東北運輸局等々の皆さんも含めて、国土交通省として、道路、鉄道、港湾、空港等の応急対策、復旧対策を行ってまいりました。これらの拠点を中心にして更に地域の復興に努めていくところであります。
政府の復興構想会議の方針を踏まえて行うべきものはしっかりと行っていきたいと思いますが、私どもとしては、それを待たずに行えることは実施していきたいと考えております。
特に仮設住宅関係についていろいろと皆さま方の御批判をいただきましたが、一所懸命避難所で生活をされている方々の再建の場として提供できるように今、全力を挙げているところでございますし、更には環境省が中心となり行っておりますが、がれき処理が地方自治体の悩みの種にもなっておりますので、これについては環境省と連携を取り、私たちにできるところは一所懸命力を入れていきたいと考えております。
更には鉄道の復旧を急いで欲しいという御要請もいただいておりますので、三陸鉄道を含めてどのような形で鉄道の復旧を行っていくのか、また、道路関係でも、福島の原子力発電所事故を契機として交通網が寸断されている状況も指摘されていまして、先日の土曜日に伺いました南相馬市長からも、福島との連携を取るための道路整備ですとか、常磐高速道路の整備を急ぐ等の御指摘をいただいておりますから、独自にできることは国土交通省で設置をいたします「国土交通省東日本大震災復興対策本部」の中で進めていきたい考えているところであります。

(問)東北地方の高速道路無料開放の件ですが、中型車以上のトラック・バスの無料開放については今のところ8月末までという期限になっており、全車種への拡大も検討されているということですが、国会の延長期間が8月末までと決まりまして、その中で高速道路無料開放の車種拡大するための予算的措置ということは難しい状況になっていますけれども、これを踏まえたうえで、トラック・バスの無料措置の期限をどうするのか、全車種への拡大に向けてのプロセスをどのようにお考えでしょうか。
(答)被災地支援のための高速道路無料開放の実施でありますが、御指摘のように今は8月までを一つの期間として中型車以上のバス・トラック等が無料開放されております。
これは予算的な関係からこのような措置にしているわけでありますが、国土交通省としては一般車も含めた無料開放を計画しておりまして、この予算は第3次補正予算に計上する計画であります。
2次補正に計上させたいとは思っておりましたが、事業規模のおおよその枠が2兆円程度ということで、いろいろ差し引きますと実質7,000億円程度の規模になるという話ですから2次補正に計上することは難しいのではないかということから、3次補正に計上することで今準備を始めているところであります。
8月一杯で終わってしまったらどうするかということでありますが、それは、8月までの間の利用される状況等をよく見ながら、さらにいろいろ工夫しながら準備は行っていきたいと思っています。いずれにしても、現在の利用体系の状況をよく踏まえた上で、いろいろと考えて柔軟に対応できるようなことも念頭に置いていきたいと思っているところであります。

(問)「柔軟に」というのは、単純に現状の無料開放の措置を延ばすということですか。
(答)そういうことも考えなければならないと思います。
基本的には、利用されているお客様に混乱を与えないということが非常に大事だと思います。
今回の高速道路料金の問題については、マスコミの皆さんにも変更しすぎではないかという御指摘も頂いております。そういう意味では、すべて東日本大震災で被災をされた被災者の方、被災地域の復旧・復興と地域経済の復旧・復興のために是非御理解を賜りたいということで、6月20日から新しい制度に切り替えさせていただきましたけれども、基本的に利用されている国民の皆様にあまり混乱を与えない形で考えていきたいと思いますので、そういう意味で、そういう視点も含めて、最終的にはお客様に御迷惑を掛けない形でできるようにいろいろと工夫をしていきたいと考えているところであります。

(問)出先機関改革の件ですが、地方整備局を関西、九州に移すという話ですが、今朝の片山総務大臣の会見で、各省からの抵抗があってなかなか作業が進んでいないという発言がありました。
来年の通常国会に法案を提出するという話がありますけれども、今の作業状況と実際、国土交通省としてどのような課題があるのかお聞かせください。
(答)ただいまのお話ですが、国土交通省がなかなか協力してくれないというような話ではなかったと思います。
私としては、今回の東日本大震災でも東北地方整備局、東北運輸局が中核となって大変頑張って、応急対策、緊急対策を行っていただいたし、復旧・復興についても大変すばらしい活動をしていただいております。
要は何かというと、その地方の組織を新しい体制にするということであれば、どういう組織を作るのかと、その職員の身分の問題ですとか、予算はどうするかとか、そういった具体的な体制が整うということであれば、国土交通省としても全面的に協力したいと、そういう考えは変わりないわけでありますが、その受け皿作りというものを総務省としても、一所懸命取り組んでいただきたいと私としては考えておりますし、片山大臣の一つの考え方を私たちも是非理解をして協力したいと、そう考えているところであります。

(問)首都機能移転の話をお聞きしたいのですが、国土交通省の担当課に関西からも一極集中は危ないので、関西の方に移転したらどうかという要望があったりして、震災を機に議論が高まっているかと思うのですが、大臣として、首都機能移転についてはどうお考えかお聞かせください。
(答)これは、ドイツの例、あるいはアメリカでもニューヨークとワシントンで政経分離がされているとか、そして首都直下型地震が起きたときを想定すると、日本の政治も経済も麻痺するのではないかという懸念から、首都機能移転という話ですとか、あるいは分散という話ですとか、いろいろ論議されていることは皆さんも御存じのとおりであります。
3.11以降、巨大な地震が起きたときにどうするかという新たな視点で備えなければならないということはその通りだと思います。
したがって、この首都直下型地震が起きたときにどのように対応すべきかということは、少し長期的な視点で物事を考えなければならないと思います。
東日本と西日本ということも一つの考えでありましょうし、以前に首都機能移転の三つくらいの候補地があり、首都機能移転の特別委員会があって、今は委員会も休止して解散されていたと思うのですが、いずれにしても、そういういろいろなことを考えて、どうすべきかと、どう対応するための体制を作るのかということを検討しておくことは非常に大事だと思います。
その一つの考え方として、今、大阪の方でも手を挙げておられるというような話は間接的に伺っているわけですが、どういう形で危機に対応するのかということは非常に私も大事だと思いますので、いろいろと関係者の皆様の御意見をいただき、東日本大震災の復興に関する構想会議の中にも、そういった論議が入ってくる可能性がありますので、そういった論議を踏まえて、私どもも出来る限り将来に備えることが必要だと、現時点では考えております。

(問)昨日、東京メトロ半蔵門線の運転手が、メールを送っていたという事案がありましたが、大臣の受け止めをお願いします。
(答)全体的に、私は自分の職務にもっと誇りを持ち、もっと責任を持って仕事をしていただきたいと思います。
最近の機器はいろいろと便利になってきておりまして、飛行機などもそうですが、自動運転であるとかコンピュータが非常に多く入ってきて、ボタン操作で簡単になってきておりますけれども、少し誤ったり、あるいは気を許して事故などが起こりますと大変な惨事になります。
確かに機械がどんどん進化して、人間に過度な労働を与えない仕組みになってきており、交通機関においてもそうでありますが、人の命を乗せているんだという緊張感は常に持っていただきたい。
これは飛行機も、鉄道も、自動車も同じです。
そういった意味で私は大変残念です。仕事の合間にメールを操作していたということは、言葉で言えば言語道断です。
自分の仕事にもっと誇りを持って、責任を持って、真剣に取り組んでいただきたい。
これは企業の社長さんから従業員の皆さんまで全員同じであると、私は感じます。

(問)昨日、建設産業戦略会議から新たな対策が出されておりますが、建設産業に対する改めての認識と、戦略会議を踏まえた国土交通省の今後の対応とスケジュールをお伺いします。
(答)建設産業戦略会議についてのご指摘であると思いますが、私も昨日、中間取りまとめの報告をいただきました。
12回にわたって、各分野ごとに熱心に分析をされ、提言をいただきました。
これについては、私も国土交通省の担当局へ、提言を受けるだけではなくどう具体化するかということで、国土交通省の考え方をまとめて、もう一度、委員の皆様においでいただいて、提言に対して私どもとしてはこのような方針で臨みます、このような方針でおおよそよろしいでしょうかということを確認し、御意見をいただく場を設けようという意図で指示を行っております。
私が御提言の中で特に感じたことは、確かに戦後65年、日本は地域もどんどん人口が増え、経済も上昇気流でまいりましたけれども、1990年位からバブル崩壊、そして2000年位からは地域の状況も徐々に人口減少の傾向が強まり、地域では選択と集中的な形で集約が行われていることは事実です。
そこで、どのような方針で臨むのかということで、いわゆる無駄の削減が随分進みました。
その一つがB/Cという考え方でありますが、昨年の冬の大雪対策、それから今回の東日本大震災など、いわゆる非常時における地域の方々の命を救うということを加えていかなければならない、そのように私は受け止めました。
地域社会を最低限、維持するために、建設産業の皆さんの御協力をいただかなければなりません。
そのような意味では、いわゆる地域における中小企業、中央における大企業というものがありますが、この役割をどうするのかという考え方を整理することも必要だと思います。
一部には大手の建設業界の方々が地方の小さな仕事まで取ってしまって、地域の仕事を地元の企業がなかなか取れないという傾向もあり、地域における公共事業関係の仕事の量が全体的に減ってきました。
これでは今回の東日本大震災のようないざというときに、急いで道路の応急復旧工事を行ってくれとか、あるいは人命救助のためにこういう除去を行ってくれとか、あるいはがれき処理等でも手を貸してくれと言っても重機がないという状況になっては困りますので、地域における自治体の最低限度の住民の生活を守るためにどれだけのものが必要かということをある程度想定しながら、そして年間の災害等を想定した形で、関連の地元企業の皆さんに応援をいただくことは必要だろうと思います。
そういう意味で、従来の単なるB/Cという物差しだけで物事を考えるのではなく、非常時あるいは災害時にどう対応するかということも想定しながら、地域社会の維持をするための体制を考えて対処することが必要ではないかということを私は考えております。
従って、国土交通省としても、今回の答申を受けて、大手企業については大いに海外でのプラントを受注していただいて、これまで培った素晴らしい技術、橋梁の技術もありますし道路建設の技術もあります、鉄道の建設の技術もありますし、空港の管制の技術も持ってますから、そういうものをまだないところにどんどん応用していただくし、中堅、それから地域の中小企業の皆さんには地域社会を維持するために、大いに貢献していただけるような体制が作れないかということを今回の答申で国土交通省としても検討して、未来の姿を描いて、そして先生方にもそれを検証していただくと、そしてそれを実行していくことが必要だと、この建設産業戦略会議の先生方のお話を伺って、私はそのように率直に感じたところであります。
中間取りまとめを受けて、国土交通省としてこれからやるべきことと計画を明確にして、一つひとつ実行していきたと考えております。

(問)東北地方の高速道路の無料化が始まってまだ間もないのですけれども、料金所を含めて予想以上に渋滞しているのではないかという声がありますけれども、大臣の評価はいかがでしょうか。
(答)20日以降、もっと混雑してしまうのではないかということで、道路局長の方にはこの数日間、係員を増員して臨機応変に対応できるような体制を執るように指示をしておりました。
これまでのところ、中型・大型を含め非常にご利用いただいております。
インターチェンジの料金所付近で混むということは、まだ作業に慣れないということもあるかもしれませんが、私としては、より多くの方にご利用いただいておりますので、当初の一つの目標としておりました東北地方の被災地の復旧・復興に向けての環境作りというものはできたのではないかと。
あと一週間くらい様子を見まして、もしも新たな対策を行う必要がある場合には考えてみたいと思います。
現時点では、おおよそ受け止めることができる状況ではないかと考えております。

(問)料金所の混み具合の情報なのですけれども、高速道路会社に取材をしても、国土交通省が一元的に情報を管理するということで高速道路会社が答えないような体制になっているのですが、これですと渋滞情報を素早く報じるという我々マスメディアの役割が果たしづらくなっておりまして、国土交通省の立場も分かるのですが、どうしてこのようなシステム管理のような体制を取られたのでしょうか。
(答)私も調べてみますが、決して情報を隠したり、独占してしまう時代ではありませんから、全て明らかにします。

(問)会期延長に伴い、3次補正は新体制でという合意になっておりますけれども、この新体制ということは新内閣を指すのか、あるいは総理が退陣することかというところで関係者の見方が分かれているわけですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)その解釈を巡っていろいろと報道されていますが、いずれにしても新しい体制というのですから、新しい体制で物事を進めるということではないでしょうか。辞書を見て下さい。
新しい体制というのは新しい体制なのですから。
それをいろいろ解説するからおかしなものが付いて回るのです。
新しい体制というのは新しい体制なのです。
それはやってもらいたいと思います。

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