大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年6月28日(火) 10:47 ~ 11:17
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

今日の閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
本日の閣議において、国土交通省関係の組織再編が了承されました。
これは国土交通省組織令等の一部を改正する政令でございまして、7月1日に実施される組織再編においては、省内横断的な体制を確立するとともに、新たな政策課題等に対応するため、例えば、高速鉄道、水インフラ等の戦略的な国際展開を支援するための「国際統括官」の新設、水関連の行政の一元化を図るための「水管理・国土保全局」の新設、さらには公共交通政策を総合的・計画的に推進するための「公共交通政策部」の新設などを行います。
国土交通省としては、東日本大震災の復旧・復興に一所懸命取り組んで参りますが、同時に国際的にも大変大きな変化がありますので、これに対応して、国際展開を図るということも含めて体制の強化を図るということであります。
詳細につきましては、事務方に聞いていただければと思います。
 その他に閣議関係以外で二つございます。航空大学校の入学試験について御報告をいたします。
航空大学校の今年度の入学試験に関し、今年は入学試験を行わないのではないかという一部報道もございましたが、5月17日の会見において、パイロットを目指す若者に対して門戸を閉ざすことのないよう、6月中に募集計画及び日程を公表すると申し上げました。
航空大学校では、東日本大震災により、仙台分校の校舎、格納庫等の諸施設、訓練機材等いわゆる飛行機関係が甚大な被害を受けまして、これにどのように対処するかということで、機材を集めなければならないわけですが、訓練再開に向けた準備を進めてまいりました。
この結果、来年度も36名の入学生を受け入れる準備が出来たと判断し、募集を行うことといたしました。
今後、9月11日に行われる第1次試験を皮切りに、第2次・第3次試験を経て、今年度内には最終合格者を発表する予定でございます。
詳細は、本日、航空大学校のホームページにおいて公表いたしますので、その他詳細については事務方に聞いていただきたいと思います。
 もう一つは、東日本大震災に関係する件です。
本年10月5日に「東日本大震災・観光復興国際シンポジウム」を開催することが決定されました。
仙台市で行います。
この背景は、10月の8日から14日にかけて、韓国において、100か国程度が参加する国際連合の観光分野の専門機関である世界観光機関(UNWTO)総会が開催されますが、韓国でこの会議が行われる前段として、リファイ事務総長を招聘し、仙台において国際シンポジウムを開催することを決定したものであります。
リファイ事務総長の御理解をいただき、おいでいただいて、震災から復興に向けて元気な日本の姿を世界に発信したいと考えています。
これにより、訪日外国人旅行者の回復、国際観光交流の一層の拡大を図るとともに、観光復興に関する各地域の取組に活力を与え、地域経済の活性化の契機となるものであり、震災からの早期復興に資するものと考えております。場所は東北大学ということでございます。
詳細が決まりましたら、観光庁から、再度御説明をさせたいと考えております。
以上が冒頭の御報告です。

質疑応答

(問)東北の平泉と小笠原諸島の世界遺産登録は、日本の観光振興に繋がる明るい話であると思いますが、大臣の受け止めはいかがでしょうか。
(答)昨日位から報道されておりますが、大変明るい話題でありまして、心から歓迎を申し上げます。
平泉と小笠原はそれぞれ世界的な文化的価値、あるいは自然的な価値が認められて世界遺産に登録されました。
これまで一所懸命取り組んでこられた関係者の皆さんにも心から御祝いを申し上げますし、また、これまでの活動に敬意を表したいと思います。
被災地である岩手県の平泉が登録されたことは復興という観点からも意義深いものでありますし、また、外国からのお客さんも是非来ていただき、国際的な観光振興も図って大いに活躍していただきたいと思います。
また、私も昨日から今日にかけてテレビ等で内容を見させていただいておりますが、小笠原も、その大変豊かな自然を国際的にも評価していただいたものと思います。
地元の皆さんや関係省庁の方々ともよく相談をしながら、地域の発展に向けて国土交通省としても取り組んでまいりたいと思います。

(問)浜田政務官の起用を巡って、党内あるいは閣内からも批判の声が出ていますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。
(答)この件については、私は全く良く分からないところであります。
官邸の方でいろいろ考えて判断されたと思いますし、特にこの件についてコメントする立場にございませんので、大変恐縮ですがこの程度にさせていただきたいと思います。

(問)仮設住宅についてですが、今月半ばに進捗状況の発表があり、宮城県については、8月中旬までの完成スケジュールの見通しがまだ立っていない状況でしたけれども、今月末までには用地を確保する必要があると思いますが、その後の進捗状況、確保の目途はいかがでしょうか。
(答)菅総理が、お盆までに希望者全員に仮設住宅に入っていただけるようにするという約束をされました。
国土交通省としても、菅総理のそのようなご決意を受けて一所懸命努力をしているところであります。
現在のところ、石巻市、気仙沼市、女川町、南三陸町、この2市2町を除いては、おおよそ、そのような形で仮設住宅の建設が進むであろうという見通しが立ちつつありますが、今申し上げました2市2町につきましては、建設用地の確保が非常に難しいということで調整をしていただいております。
この2市2町については、被災市町内での建設を強く要望されているわけですが、用地確保が難航しているということから、先週末の段階では引き続き宮城県と市町の間で調整が行われておりまして、今週前半に県から調整結果の報告があると聞いております。
ただし、宮城県によりますと、2市2町についても、市や町の区域外を含めれば十分な建設用地が確保されているということでありますから、6月末までに建設用地を決定して発注いただければ、8月上旬までに完成させる準備は整っていると伺っております。
あとは、2市2町として、このような県の準備した考え方で結構ですという決断をされるかどうかにかかっていると受け止めております。国土交通省としては8月上旬までに、希望者全員がお住まいになることができるように仮設住宅の完成を目指しているわけですが、特にこの2市2町については、今週末にでも国土交通省としても地元の御意向、御意見を伺いながら、県とも連携をして、何とか避難所で生活をされている方々が1日も早く仮設住宅に入居され、これからのご自分自身の人生、あるいは生き方、生活というものを静かに考える場というものを提供できるように、引き続き努力をしてまいりたいと考えているところであります。

(問)その件で、自分の市や町の区域内に建てるために、津波の浸水地域に仮設住宅を建てるという選択肢は認められ得るのでしょうか。
(答)基本的に、浸水地域ということではなくて、浸水地域外ということで私たちは考えておりますから、この2市2町についても浸水地域以外のところに土地を求めるということになると、やはり市や町の区域外のところに建設しなければならないということです。
今回の復興構想会議の提言の中にもいくつかのパターンの絵が出ておりましたけれども、浸水地域については5階建て等の、津波が来たとしても命を守れるような建物、そして住宅関係については、高台とか浸水しないところというパターンがいくつか示されておりましたが、基本的には仮設住宅についても、浸水地域以外のところで用地を確保することを考えているところであります。

(問)航空大の関係ですが、今回は36名以内の募集をされるということですが、航空大では今年度から運営費交付金が減額されて、その分を補填するために航空会社から新たな負担金を求めるという方向でスキームを作っているようですけれども、これに対しては航空会社から反発も出ているようですが、この例年の半分という募集人員については、来年度以降の募集もこうした形で見直していくことに繋がるのでしょうか。
(答)御指摘のようになぜ半分なのかということですが、確かに通常は72名と私も聞いております。
半分になった理由は、3.11以降、訓練がストップして、卒業すべき前年の人が残っておりますので、そういうことを考えて定員は半分にしたと。
これまで訓練もできておりませんから、そういうことからいろいろ考えて半分にしたということであります。
負担金についてですが、教育というのはお金がかかるわけで、しっかりとした教育をするためにはそれ相応の分担金を払っていただくというのが基本的な考え方だと私は思っております。
今、関係者ともいろいろと話合っております。
各航空会社でもいろいろな御事情があるとは思いますが、教育ということは長期的な展望ですし時間も非常にかかりますから、そういう意味では優秀なパイロットを養成するという基本的な考え方に立って現在関係する航空会社とも話合っているところです。

(問)今後も72人という定員は基本的に維持されるということでしょうか。
(答)今年は例年とは異なっておりますが、基本的には72名がベースになると思います。
もちろん、それだけのパイロットが卒業しても航空会社に採用するだけの余裕がないということであれば考えなければならないと思いますが、基本的には72名がベースになると思います。

(問)川辺川ダムについてですが、26日に水没予定地を抱える熊本県五木村の振興策を考える国と県と村の協議の場が約7か月ぶりに開かれましたけれども、地元からはその協議が進まないことへの不満の声等もありました。
再開されたことへの受け止めと、県の方は村の振興策関連事業に50億円を投じるという表明をされましたけれども、国の方もその協議の場での合意事項として財政・技術面で可能な限り支援するという話も出ておりますが、具体的にどういった補助制度なり交付金を検討されているのかお聞かせください。
(答)川辺川ダムについては、26日に国、熊本県、五木村の三者で一定の合意がなされたという報告を受けております。
どのような事業を行うかということが非常に大事でありまして、現在私が聞いているのは四つくらいの事業があるということです。
継続している四つの事業を完成させることが基本的な考え方と伺っておりまして、そのために県から50億円の財政負担を行うという表明があったと聞いております。
五木村の今後の生活再建を協議する場において、いろいろ協議され計画されておりますが、私は国土交通省だけでなく、農林水産省とか、文部科学省とか、厚生労働省とか関係する省庁が随分あると思うのです。
これは村の再生ということですから、一つは生活の場、雇用の場、あるいは将来この五木村という村がどのような形で継続していくのかということを総合的に考えて、その中に国土交通省も協力するところもある、農林水産省も協力するところもある、教育という意味では文部科学省も厚生労働省もあると思いますが、五木村の今後の生活再建を総合的にどういう形で行うかということを考えていくことが必要だと思います。
したがって国土交通省としても、協議する場で一つのビジョンというものが打ち出されましたら行うべきことをしっかりと行っていきたいと思いますが、当然ながら、他の省庁にも協力を求めなければならないところがあると思います。
私としては地元の皆さんがこういう村に将来したいというビジョンを描いていただき、それに国、県がどういう形で協力していけるかということを考えて行っていくことが必要だと思います。
県が50億円を投入するという話をされたので、そのことも含めて国土交通省としても、協議する場の中で出されたビジョンを実現するために、必要な財源については社会資本整備総合交付金を使うことができるということですから、これを活用して可能な限り支援してまいりたいと考えております。

(問)7か月ぶりに開かれたことへの受け止めをお願いします。
(答)これについては国土交通省として申し訳なく思います。
どのような事業でもそうですが、信頼関係ということは非常に大事ですから、国土交通省としても頻繁に協議の場を開いて、地域の方々の御理解をいただきながら新たな五木村を、どのような形で創造していくのかということについて、国としてもっと積極的に加わっていくことが必要ではないかと私は率直に感じます。

(問)自賠責のあり方についてお尋ねしたいのですが、震災が起こって高速道路の無料化予算も返上して復興に当たらなければいけない状況の中で、巨額の自賠責の保険料の運用益を大臣の貸借関係ということで長年先送りすることは適切なのでしょうか。
これからその解消に向けて踏み出していかなければいけないのではないかと思いますが、御所見をお願いします。
(答)自賠責の課題については、今日御提示いただきましたので、今度の金曜日の記者会見のときにでも、よく調べてからお答えしたいと思います。

(問)今回の人事の関係ですが、国交省からは津川政務官が岩手の現地対策本部長ということになったのですが、この人事について、官邸の方から大臣に事前の御相談というのはあったのでしょうか。
(答)御存じのとおり、津川政務官は、福島県に入ってずっと福島関係の緊急対策、応急対策、復旧対策を行ってきました。
官邸の方からも、いろいろ大変だと思うけれども、岩手県担当として、津川政務官に是非、御助力願いたいという要請がありました。
今、私たち政治の世界に居る者は、すべてを差し置いても被災者救援と被災地の復旧・復興に当たらなければならないという立場にあります。
したがって、国土交通省としても、津川政務官はいろいろと仕事を抱えていて大変なのですが、この要請は快く受けました。
これは津川政務官だけではなく、国土交通省の代表として、岩手の担当になるわけですから、私たちも全面的にバックアップしようと相談して、一つの結論として、津川政務官に受けていただこうということで、回答をいたしました。
したがって、津川政務官が岩手県の復興対策本部の本部長になりましたので、私たちも協力できることは一所懸命バックアップしていきたいと思っています。

(問)今回の閣僚人事の件全体の感想ですが、6月の始めに不信任案の否決がありましたけれども、かなり政権運営に意欲を示されているわけですが、1か月経って、少し状況が変わってきたのかなと思うのですが、1か月前の状況を鑑みて、今の状況をどういうふうに御覧になりますか。
(答)今申し上げましたように、いろいろなことがあるかもしれませんが、今、私たちは、今日も4万5千人近い方が体育館等で避難者として生活を余儀なくされているということ、それから民間の賃貸住宅や旅館、あるいは親戚の家などに避難されている方が12万を超えていることを踏まえ、この東日本大震災に対して、どう行動するかということを問われていると思います。
ですから、今、御指摘の点などは一つの事象だと思いますが、私たちはすべてを乗り越えて、そこに集中して行うわなければならないという責務があります。
菅さんは菅さんで一つの考え方をお持ちだと思いますが、私たちとしては国土交通省を挙げて、被災地の被災者の方、それから避難所で生活をされている方のために毎日全力を挙げて取り組むと、これ以外ないと思います。

(問)国鉄の問題で、JRに採用されなかった国労の組合員がJRに採用を求めていた件で、JR側がそれに応じないという姿勢を継続していまして、組合員もこれ以上交渉が継続できないということで断念するという判断をしたということですが、この件について国交省は仲介をされていたということもありまして、大臣の御所見をお伺いできればと思います。
(答)これは24年にわたる課題であり、関係者の皆さんの御努力と、超党派でいろいろな活動や、御協力をいただいて、その結果として和解するということになりましたが、雇用問題だけが前進をしておりませんので、改めて、3党の幹事長からの要請書を受けて、国土交通省としても、JR各社に改めてこれを取り次ぎ、雇用問題について再検討をお願いいたしました。
その結果、各社からはこれまでの経緯等を記載した文書がまいりまして、十分に私たち企業としては再就職の道を開いてきたと、したがって、今日に至ったわけなので、今回の新たな要請にはお応えすることはできませんという趣旨の内容でございまして、これは御存じのとおりであります。
私は非常に残念だと思いますが、このことは労働組合の方々もこの回答を以て、一つの区切りにしたいということで、今、そういうお話をされているということでございますが、私としては企業側にはもう少し度量を持って対応をしていただくべきではなかったかなという率直な思いはあります。
しかし、24年間にわたるそれぞれの歴史というものがございますから、それを踏まえて、お互いの話合いの結果、そういう一定の結論に至ったということですから、これはこれとして受け止めざるを得ないと私も考えております。

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