大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年7月29日(金) 10:04 ~ 10:35
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
本日の閣議で特に報告すべきことはございません。
前回、「同一府省退職者が3代以上連続して再就職している独立行政法人等におけるポストに関する調査結果」に関しての御質問をいただきました。
平成22年4月1日現在、国土交通省関係では合計375法人ということで、確かに各省庁の中では一番数が多いということになっています。
ただ、分母を見ますと、全体が6,674という法人数でありまして、そのうち国土交通省関係が1,135法人で一番分母が多いということから、割合としては33%でございます。
他の省庁でこの33%を超えているところは4つほどありますので、絶対数では多いわけでありますが、そのような背景もあるといういことをまず冒頭で申し上げます。
その上で、公務員の再就職問題については、民主党が政権を担わさせていただいて以降、政府全体として取り組んできたことでありますし、これまで国土交通省としても再就職斡旋の禁止、あるいは独立行政法人の役員ポストの公募といった政府全体の取り組みに加え、公益法人の役員選任については公平かつ透明な選考が行われ、国民から疑念を持たれることがないように、適正に努力をしてきたところであります。
実はこの問題は、私がかつて内閣委員長をさせていただきました時に、イギリスを視察しまして、イギリスにおける公務員の再就職問題についても、事例をいろいろと聞かせていただきました。
私が内閣委員長として行ったのは確か今から7、8年ほど前になりますが、イギリスにおいても様々な経緯があり、弁護士など各分野から出ていただいた民間の方7人位で構成される再就職監視委員会というものを作っておられました。
公務員の方が新しく転職する場合には自分で再就職先を探してきて、そして再就職監視委員会に申請して認められた場合には可能になるということです。
許認可権等が関係する所は基本的に再就職の対象にならないという話も聞きましたが、首相も含めて、再就職する場合には監視委員会の中で厳正な監査を受けた上で認可をされて再就職するという仕組みがイギリスには出来ていたわけであります。
日本においても再就職監視委員会というものを政府として作ろうということで、今、人選等の準備をしているところであろうと思いますが、同時に民主党として国家公務員法の一部改正案で再就職監視適正化委員会を作るということもあったので、国会の中でなかなか前に進んでいないということであります。
私としては、公務員の方も優秀な方がおられますし、その能力を地域社会の中で活かすということにおいては、再就職が一切いけないということではないと思いますので、現法律に基づいて、再就職監視委員会を構成して、その中で御議論いただいて、公平かつ透明な形で選考が行われて、許認可権というような背景ではなく、その方の経験や技量が適正に評価されて、地域社会の中で活かす道があるのであれば、大いに活かしていくことが適正ではないかと思います。
いずれにしても御指摘をいただきましたので、改めて国土交通省としては今後とも国民の皆さんに疑念を持たれることがないように適正に努めてまいりたいと思います。

質疑応答

(問)本日、政府の復興対策本部で、復興の基本方針が取りまとめられる予定になっています。
これについては、5年間を集中的な復旧・復興の期間と位置付けて19兆円の予算を投じるということになっております。
財源の議論は別途ありますが、歳出については、3次補正も大体の規模感が10兆円ということで固まりつつあるのですけれども、国交省としての要求額がどれくらいの規模になるのか、目途が立っているようであればお願いします。
(答)第3次補正予算についての御質問を賜りましたが、以前に主な7項目について積み上げを行っているということを申し上げました。
この7項目というのは、第1次補正予算で応急対策として積み上げたものをベースにするわけでありますが、復旧・復興ということを目標として、海岸・河川・道路・港湾・下水道の災害復旧事業、市街地整備の集団移転などの被災地の復興のためのまちづくり、三陸縦貫道や「くしの歯」の「歯」の部分の道路整備、被災した鉄道等の公共交通の復興のための予算、液状化・盛土崩壊等の各種の復旧対策、東北地方の高速道路の無料開放、大震災を踏まえた全国的な防災対策、こういうことを盛り込もうと準備しているところであります。
当然ながら、事業規模がどのくらいになるのかということは関心をお持ちだと思います。
19兆円という全体枠が提示されており、これまで第1次補正予算の4兆円、第2次補正予算の2兆円で計6兆円は予算措置されているわけですから、残りの13兆円が5年間でとなるわけですが、私共としては今積み上げの最中でありますから、おおよそどれくらいになるということを申し上げる段階にないわけですが、少なくとも第1次補正の1兆2千億円は超えるということを申し上げることはできると思いますが、現段階では事務当局同士の折衝段階でありますから、いくらになるかということのコメントについては控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、この第3次補正予算、あるいは基本方針等についても財源が非常に大事であることはよく承知をしていますが、私ども国土交通省としては、地域の復旧・復興ということを基本としながら必要な額を練り上げて、その必要な財源については国民の皆さんに御理解をいただけるような形で賄って、この国難ともいえる東日本大震災を乗り越えて、将来に対して希望が持てる国土づくりに全力を挙げていきたいと感じているところであります。

(問)航空大学校の訓練機が墜落事故を起こしました。3人の方がお亡くなりになったわけですけれども、現時点で判明している事故原因、あるいはその背景に繋がるような事実関係、それからお尋ねするにはまだ早いかもしれませんが、過去にも何度か墜落事故などがあったわけで、今後の再発防止に繋がる大臣のお気持ちがあればお願いします。
(答)大変残念ながら、訓練機が帯広空港の周辺で墜落して、搭乗者1名が病院に搬送され、3名の方が亡くなられたということが確認されました。私としては、国土交通大臣を拝命して、「国民の暮らしと命を守る国土交通省」という旗印を掲げて今日までまいりましたが、同じ国土交通省の内部の事故によって、同志が亡くなられたことについて大変残念であります。
私は飛行機のことについては全くの素人でありますけれども、この事故原因については、運輸安全委員会から調査官2人を現地に派遣して調査を行っております。
ただ、国土交通省としては運輸安全委員会に全てを委ねるだけではなくて、特に航空局を中心として、どういうことであったのかということを内部でも検証しておくことも必要だろうと思います。
詳細についてはまだ分かりませんので、この調査を待ちつつも、二度と同じ要因で人命は失わせないという決意で航空局長に指示をして、国土交通省としての対策を講じようという作業に入ったところであります。亡くなられた3人の方には心からご冥福をお祈りいたします。
また、助かった訓練生の方には1日も早く全快して、二度と事故が起きないように技量を積んで、亡くなられた方の分まで、日本の航空の操縦の分野で活躍していただきたいと祈念しているところであります。

(問)前回もお聞きしましたが、トラックが水戸インターなどでUターンをして料金を払わないということがまだ続いているようですが、それについて現時点でのお考えや具体的な対策等についてお願いします。
(答)最近、テレビの特集などでも、いわゆる俗称で「裏技」を使って無料で走り抜けてしまおうという方がいるようでありまして、私は誠に残念に思います。
前回も申し上げましたが、今回の高速無料開放は、被災地の方々の再建のため、あるいは被災地の経済的な再建のために、公明党や自民党からも要請を受けて実施したものであります。
その制度を悪用してこのような状況を起こしているとすれば、私としては誠に残念でありますし、トラック業界に対してもこのような制度を悪用する行為は止めるようにと強く要請をしました。それでもこの制度の悪用が続くようであれば、この制度は8月末までということを、一つの制度の枠として決めているわけでありますので、8月末をもって、この悪用を止めさせることも検討せざるを得ないと思います。
業界の方にも指導を強く要請をして、それに対し業界の指導を無視して制度を悪用しているということであれば、8月31日をもって制度を終わるということも検討せざるを得ないと思います。
したがって、私達も良い案がないかどうか内部で検討していますが、この制度の悪用を止めることは実態上なかなか難しいという声もありますので、8月末までどういう形で推移するのか、その状況を見て、9月以降の制度については再検討をせざるを得ないのではないかという感じを現段階では持っております。
みなさんの方からも何かアイディアがあれば教えていただければと思います。

(問)先日、財務省の方で、復興の財源確保のために東京メトロの株の売却を検討しているという話があったのですが、国交省の立場から現段階でどのようにお考えになっていますか。
(答)これは財務省がおっしゃったのか、どなたがおっしゃったのかわかりませんが、私共としては全く考えておりません。
私共としては、やはり適正な形で運用していきたいと思います。
そういう意味では唐突な話でありまして、今の段階ではこれを「そうですか」というわけにはいかないと感じております。
また内容をよく検討してお答えしたいと思いますが、国土交通省としては現段階で、全くそういうことについて検討もしておりませんし、今のところ実施しようという気もございません。

(問)中国の新幹線事故ですが、連日いろいろな報道がなされています。
特に向こうの新幹線は日本の新幹線を模倣したのではないかなどいろいろ取り沙汰されたあげくの事故です。
今後は向こうに訪れる方も少なくなるのではないかと思うのですが、この辺りに関して大臣から何かコメントはありますでしょうか。
(答)中国の列車事故でございますが、温家宝首相も現地を訪ねて、被災された方々ともお会いをしたり、政府の方針を伝えられておられるようでございます。
いずれにしても、まず第一に、全ての事柄に共通しますが、事故原因は何だったのかということを明確に調べて、国民に、そして被災者の皆さんに明らかにすることが必要だと思います。
日本においても新幹線や鉄道がありますので、鉄道局長には中国の今回の事故を教訓として、日本国内の鉄道の安全性について再度徹底し検証をして、日本の鉄道においては安全に走行することができるように話をしたところであります。
今、中国政府でこの事故原因、あるいは対策等については検討されておられるのでしょうから、私たちもその状況をよく注視したいと思います。
共通して言えることは、命を大事にするということが全ての原点だと思います。
鉄道行政でもそうですし、航空行政でもそうですし、港もそうですし、道路もそうですが、やはりそれを利用する方の命を大事にするということは、国境を越えて世界共通の課題だと思います。
そういう意味で、私共としては今回の列車事故で亡くなられた方へ哀悼の意を表しますし、負傷された方の1日も早い御回復をお祈りしますと、また、私共日本における鉄道技術において、何か御助力ができることがあれば何なりとおっしゃってくださいと、私たちは援助するという意思を持っていますという趣旨の書簡を中国の大使を通して、差し上げさせていただきました。

(問)先ほどの水戸インターの話ですが、8月31日で制度を終えることも検討ということは、これはトラックについてということですか。
(答)そうです。

(問)全日本トラック協会にはいつ、どのような形で要請されたのですか。
(答)国土交通省から文書で要請いたしました。

(問)このような悪用ということはある程度想定されたと思うのですが、そもそもこのような制度設計をしたことへの責任についてはどのようにお考えですか。
(答)マスコミの皆さんはすぐそういう話をされますが、マスコミの皆さんは、こういうことを想定していましたか。
私は素直に今日まで生きてきましたから、水戸インターで降りてまた乗って、別な所に行って降りればただになるということは思っていませんでした。
東日本大震災で2万人以上の方が亡くなられたり、行方不明になっているわけです。
住宅を失ったり、工場を失ったりされた方々の地域の復興のための制度です。
私は責任が無いのかと言われたら、御指摘のようにそこまで思い至らなかったということについては、確かにそうかなという思いはありますが、ただ全ての制度について、全く100%の完全な制度というものは私はなかなか無いと思うのです。
もちろん法律や制度などいろいろなものがありますが、基本的にはその制度や法律を利用する方々の良識に基づいた形で行っていただかないと、私は完璧な制度というものはやはり無いのだと思います。
完璧な法律というものも私は無いのだと思います。
やはりその法律や制度を運用する国民の皆さんの理解と協力、その背景は何かということをよく考えて利用してもらうということだろうと思いますし、特にその裏技を使っているというところの業界の方にはやはり適切に指導してもらうということなのかなと思います。

(問)トラックを無料化にするという役割はある程度終わったとお考えになっているのですか。
(答)これから復旧・復興で大変な状況になると思いますから、終わったとは思っておりません。
法律以前にその業界内でもっと厳しく指導してもらいたいです。
抜け道を使おうという人は、全部ではなく一部の人なのだろうと私は思います。
業界全体が行っているということではなくて、真面目にこの制度を理解して使っている人もいると思うので、是非業界全体として、内部で律していただきたいと思います。
 先ほど通達はどういうものを出したかというお話がありましたが、国土交通省から全日本トラック協会に向けて、7月22日に要請をしております。
「東北地方のIC周辺における走行について」ということで、「本施策の趣旨にそぐわないUターン走行を行わないように、貴協会傘下会員に対し、周知徹底願います。」という通達は出したということも併せて報告させていただきます。

(問)関連してですが、この制度自体の意味はあるとお考えということで、悪用が無ければ是非継続したいということでしょうか。
(答)私としてはそういう意思を持っておりますが、今後は財源問題等の話も出てまいりますから、第3次補正予算とも絡んで、是非適正に制度を活用していただけるという状況になれば、また継続することも視野に置いて、9月以降の制度については考えていきたいと思います。

(問)関連ですが、トラック、バス以外に被災者の車も今無料になっているわけですが、昨日、高速道路会社の会見で、高速道路会社としては、被災証明発行を内陸部の停電だけの被害の人にも発行されるとは思わなかったということで、想定以上の利用者が出ていることについて驚いていましたけれども、大臣としては、被災者の車というものをこのように広い範囲で捉えられていることについていかがお考えですか。
(答)これも自治体の首長さんによっていろいろと判断が分かれているようです。
私は、基本的なことは法律で決めて、あとの適正運用については、地域の自治体に任せたいとは思うのですが、これについても趣旨をよく理解していただいて対応していただきたいという思いはまだ持っております。
そういう状況の中、無料開放対象の一般車も非常に多いということについては、事実関係として私も話は聞いております。
有効に利用していただいているのであれば大いに結構でございますが、ただNEXCOの方でも財政的にも厳しくなっているという話も聞いておりますので、これについては第3次補正予算の中にそれに応じた予算を計上して、対応することができるのではないかと、逆に言えば、そうしなければならないと、今のところは考えております。

(問)これまでだと1年間の全車種無料で1,200億円という予算額を示されていたわけですが、上ずれする可能性があるということですか。
(答)実態をよく調べさせていただきますが、それが足りないという状況であれば、当然ながらそれに見合うものを積み上げないといけないと私は思います。

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