大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年2月3日(金) 10:30 ~ 10:48
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

本日、閣議関係で御報告することはございませんが、一点、私の方から申し上げたいことがございます。
東日本大震災による津波被災自治体に対する人的支援と言いますか、人材派遣についてです。
被災自治体においては、いよいよ復興計画の実施の段階に移ってきたわけですが、復興計画の中身、例えば、土地区画整理事業であったり、防災集団移転促進事業であったり、かなり専門的な経験を要するような事業が中心になってくると思います。
こういった事業の熟練した経験者、専門職員が当然不足しておりますので、送り込みたいと考えておりまして、このため、被災自治体からの要請を受けて、国土交通省においては、全国の自治体にこれら事業の専門職員の長期派遣について要請を行ってまいりました。
約160人の派遣が可能との回答を頂いております。
今後、県とも連携しつつ派遣元と派遣先との、いわゆるマッチング、調整を行って、本年4月以降、派遣を開始していただく予定であります。
要請を受けていただいた全国の自治体に感謝を申し上げる次第です。
以上です。

質疑応答

(問)昨日、本四高速の通行料金に関して、関係自治体との調整会議が開かれましたが、まだ自治体と合意に至っておりません。
今後、国交省としては、どういったスケジュールで調整をしていく予定なのか、昨日、提案された料金案を含めて、お聞かせください。
(答)昨日、第6回の調整会議を開いたわけですが、基本方針としては、料金は全国共通の水準とするということを基本とし、全国共通料金は平成26年度より導入するということで、24年度末を目途に取りまとめるよう検討を進めるということを申し上げております。
出資金の減額であったり、その位置づけなど、いろいろ意見は出されたようでございますが、ただ、今の割引料金は3月末に切れるわけですから、速やかに4月以降の料金を決める必要はありますので、基本方針案に対する関係自治体、10府県市ありますが、共通の御意見、御要望を取りまとめていただきたいということを踏まえて、再度、調整会議を早い時期に行うことにしております。

(問)昨日、LCCのエアアジア・ジャパンに事業許可が出されました。
これからピーチアビエーションが3月に就航を開始して、ジェットスター・ジャパンも2012年度中の就航を予定しているのですが、LCCに対する期待感や国が取り組むべき課題について教えてください。
(答)御指摘の点ですが、私どもも大きく期待をしております。
昨年末に取りまとめた「日本再生の基本戦略」の考え方にも入っているわけですが、今年度中には、日本版と言いますか、もちろん海外資本も一緒に入っての会社になると思いますが、LCC3社が飛び立つということであります。
これによって低価格の路線になるわけですから、外国人観光客の増大、訪日旅客の増大、それから海外事例を見ましても、国内の観光の拡大、新たな需要の発掘というようなことを、大きく期待しております。
もちろん安全ということが大前提ですが、オープンスカイの推進も並行して行っていますし、航空会社のコスト削減に繋がるような技術革新と言いますか、技術規制の緩和と言いますか、そういったことも含めて、LCCに対する支援を行ってまいります。

(問)職員の人的支援についてですが、その意義を改めて説明いただきたいのと、マンパワー不足はこれでもなかなか解消しないと思うのですが、この点について何か対策と言いますか、お考えはありますでしょうか。
(答)マンパワーのことについては、既に今までも知事会を通じて、県レベルの送り込み等を行っています。全国市長会、町村会などを通じても行っています。
それから、なんと言っても復興というものはまちづくりということが主流になるわけですから、その辺は国土交通省ということで、今まで、出先の地方整備局からもどんどん送り込んでおりますし、また本省からも、更にはまちづくりの専門家であるURからも相当数が既に行っています。
いよいよまちづくりということになって、先ほど申し上げたように、区画整理であるとか防災集団移転であるとかは法令上のスキームがあって、今までの実績、ノウハウがあるかないかで進み具合が全然違います。
したがって、これは全国の同じような自治体では、区画整理を行った経験となると、区画整理というものは一つのまちで継続的に行うものではなく、何十年に1回というようなものです。
たぶん三陸の被災沿岸の自治体は、今まであまり区画整理など、あるいは防災集団移転なども行っていないと思います。
そういうような未経験のところですから、やはり経験のあるところから人が来ると全然違うわけです。
そういう意味で、今、マッチングを行っています。
おっしゃるように今後も、もっともっと派遣してくれというようなことになるかと思います。
そういうこともあらかじめ想定して、今、どうすべきか、もちろん目一杯の事を行っているわけですから、UR、都市再生機構にしても相当数出しておりますので、しかしそれでも、更に要請を行ったり、それから民間活力、民間にはそういった事も経験している人もおれば、よく天下り論でいろいろ言われるのですが、やはりこういった行政的な施策ですから、そういったことを経験した人達、OBなどが民間のそういったところにも随分おりますから、ボランティアと言いますか、NPO的なことも含めて民間活力を大いに期待したいと思っております。

(問)本四の調整会議の件でお聞きしたいのですが、昨日出席した知事さん方の反応を伺いますと、当面2年間の出資金の問題が一つ引っ掛かるということと、2年後から全国共通の料金水準をどうやって実現するのかということについて、具体的な何らかの手当てが必要だと思いますが、それが昨日の段階では判然としないということの2点、合意できなかった理由としてあると思うのです。
特に、後者についてどうやって実現するのかということについては、おそらく債務の償還期間を延長するなり、出資金をどうにかするなりということが必要になると思われます。
道路公団民営化の時にNEXCO西日本と本四高速の一体化の話があって宿題となっており、何らかの方法を取らなければ全国一律の料金水準ということは実現が難しいと思いますが、その方向性について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)まだキックオフしたばかりですから、今の御指摘のようなことも含めて議論を深めていけば、何らかの解決の方向が出てくると思います。
あくまでも、関係自治体の合意ができるような方向に国交省として出来るだけの知恵を出し、調整会議の中に入って、情報交換しながら方向性を見出していきたいと思います。

(問)お互い合意ができなければいけないと思いますが、しっかりと自治体の意見を聞いて、どの辺で折り合えるかということを考えていくと、やはり1年はかかりますでしょうか。
(答)スピードアップはしていかないといけないと思います。
それぞれ皆さんもぎりぎりのところで知恵を出し合って、譲るべき所は譲り、前向きに取り組んでいただけるものと思っております。

(問)総務省から整備したインフラの老朽化対策について不十分だという勧告がありましたが、それについての受け止めをお願いします。
(答)今日も閣議でその御発言がありました。
実は国交省におきましても、持続可能な地域づくり、国づくりの方針の下に、政策官による8つのプロジェクトチームがスタートをしておりますが、その中の1つが社会資本の更新、維持管理はどうあるべきかということのプロジェクトチームでございまして、今精力的に取組をしております。
総務省から社会資本の台帳みたいなものをしっかりと作れという趣旨の指摘があったと思いますが、既にそういうこともこのプロジェクトチームで、今どのように台帳を取りまとめていくかということについて検討をしております。
さらに申し上げれば、国土交通省は、今までの社会資本不足の中で整備をしてきたということがあって、組織にしても、予算の配分にしても、人事にしても、どうしても作る方に重点が置かれていました。
これは右肩上がりの時代だったから仕方がなかったわけですが、しかし、いよいよ、おっしゃるような更新・維持・管理の時代になってきた。
今までとどこが違うかというと、実際に社会資本、いろいろなインフラというものは、どこかの地域にあるわけです。
その地域のインフラというものは、要求に応えて機能をサービスしているわけですが、作るときには全国一律のスペックで作り、何十年か経つと、その地域における社会経済の構造が変わります。
特に、極端に人口構成などは変わってきてます。人口が減り、高齢化します。
そうすると、そのような時代における、今までの施設に対する地域の要請、どのような機能が必要か、どの機能が必要ないかということは地域によって違ってきます。
ですから、知恵が必要な時代になってきているわけです。
かつてはみんなで一生懸命考えて、全国一律の規格を考えてそれで行っていけばよかったわけですが、これからの時代は、地域のあり様まで考えた上で更新・維持・管理を行っていかなければならないわけですから、ものすごく知恵がいる時代になってきて、その善し悪しによって地域の将来のまちづくり、住みやすさというものが随分違ってくるわけです。
したがって、そのような点については民間の知恵も含めて一緒になって行っていかなければならないと思います。
地域ということになると、自治体が中心にいるわけですが、これは経営体ですから、したがって施設も経営のセンスで見ていかなければならなくなります。
そうなりますと、PPPというものが当然大きく関わる必要があって、民間の知恵も資金も経験も一緒になって行っていくという時代になってきたと思います。

(問)全国共通の料金水準を実現するための課題として、大臣がお考えのことはありますでしょうか。
(答)本四は一番大きな課題ですね。
だからこそ調整会議で知恵を出して行っていきたいと思っております。

(問)モンゴル大使館からの情報で、本日の午後、モンゴルで出来ました第二の航空会社が初めてのフライトを羽田に飛ばしてきます。
中身は、東日本大震災へのモンゴル国からの防寒具の援助物資です。
支援物資の受け渡しは宮城県あたりの担当の県や町が絡んでいるようですが、モンゴル政府としては両国民間友好関係を目的としているわけですが、こういったことに対して、国として、国土交通省としては、何かこのようなことに対して感謝状などを出すことをお願いすれば出していただけるものでしょうか。
(答)今の件は承知しておりませんので、あとでお聞きして返事をさせていただきます。

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