大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年5月29日(火) 10:09 ~ 10:33
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

閣議案件について、特に私の方から御報告することはありません。
次に、2点御報告があります。
一つは、トンネル事故調査委員会の設置についてであります。
まずは、今回、八箇峠トンネルで、結局4人の方々が犠牲になりました。
お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された3名の方にお見舞を申し上げます。
爆発事故の発生原因の究明や再発防止の対策等を徹底して行っていくことが必要であります。
このため、これらについて専門的見地から検討する委員会を北陸地方整備局に設置することといたしました。
委員長には、東京都立大学名誉教授でトンネルの専門家である今田徹先生を予定しております。
具体的な委員会の構成や開催日等については、改めて公表いたします。
 もう1点御報告ですが、東北の震災等あるいは12号台風等で活躍してくれたわけですが、TEC-FORCE、国土交通省緊急災害対策派遣隊、各分野の専門家によるチームの体制強化についてであります。
昨年3月11日の東日本大震災では、1日で最大500名を越える専門職員が全国の出先機関から動員され、被災自治体への支援等の活動を行いました。
本年3月8日開催の第50回緊急災害対策本部会議において、首都直下地震等の大規模災害の発生に備えて、TEC-FORCEの体制を強化する方針を決定いたしました。
それを受けて、本日付けでTEC-FORCEを設置する訓令を制定することにしました。
本省にTEC-FORCE担当の事務局を設置いたします。
具体的な活動計画の策定や隊の管理・運営を事務局を通じて行わせるとともに、大臣指示の下、被災地での指揮監督を現地の地方整備局長等に集約するなど指揮命令系統の明確化を図ることといたしました。
全国どこで大きな災害があったとしても、TEC-FORCEの隊員が被災地に迅速に参集して、元々の所属組織を越えて、統合的に運用できるように、今までもやってきたわけですが、そこをきちんと制度的に整備したということでございまして、整備局等の現場力、統合力、即応力、こういったものが一層発揮しやすくなるものと期待をしております。
資料をお配りしているとおりでございます。
以上です。

質疑応答

(問)社会資本整備重点計画の素案が昨日まとまりました。
平成22年から討議をされて、大震災の影響もかなり考慮されたということですが、これについて大臣の御所見をお願いいたします。
(答)重点計画の見直しは、平成22年7月よりずっと議論を始めてきたわけです。
その間に、去年の大震災もあったと、そういったことも受けて、議論の中身も随分広がり、深化したと思っております。
人口減少、急速な少子高齢化社会、深刻な財政状況という、要するに、人口減少、高齢化、財政の深刻化、この三つの制約に対応するためということが当初からの目標でしたから、ここに大震災ということが加わったということであります。
昨日の計画部会では、重点計画素案について審議がなされ、概ねの了解が得られたところです。
ただし、その会議でも活発な意見がありまして、それを元に、部会長のところにおいて、素案をまとめていただくということになっております。
中長期的な社会資本整備の方向性を示した上で、計画期間中に実施すべき事業・施策を明らかにした点が大きな特徴であり、私が示した「持続可能で活力ある国土・地域づくり」の基本方針の考え方も反映されたものと考えております。
今後は、パブリックコメントなど必要な手続を経て、この夏の閣議決定を目指してまいることになりますが、決定した際には、重点目標の実現に向けて、様々な「連携」を図りつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
昨日もずっと委員の活発な御意見を拝聴させていただきましたが、「連携」ということがキーワードになるのではないか、それぞれの、ハードとハードの連携であったり、ハードとソフトの連携であったり、組織を越えての連携であったり、自治体との連携、官民の連携、そういったことがキーワードになります。
ある意味では、非常に難しい、今まであまり体験していない、組織の中で完結するような形というものが多いわけですが、今回はそういう形で、あらゆる国民の資源というものを活用してということになります。 

(問)今、トンネル事故についての事故調査委員会の設置についてのお話がございましたが、詳細は今後ということですが、可能な限りでスケジュール的なもの、いつ設置されるか等について、お聞かせいだたけることがあればお願いいたします。
(答)地方整備局に設置するものですから、そことの最終的な調整というものが必要だと思います。

(問)岩国の空港の件なのですが、先日、山口県の二井知事が、できれば開港日を月内に決めていただきたいという要望があったと思うのですが、今月も間もなくなのですが、見通し等お話をお聞かせください。
(答)なるべく早くということで、対応しているところですが、供用開始の予定日については、もちろん工事という現場の話もありますし、米軍等との手続きがあります。
そういったことを踏まえて検討する必要がありますので、今の時点であまり明確に申し上げるところに至っておりません。

(問)月内はちょっと難しいということでしょうか。
(答)それも含めて、まだ申し上げるところまでには至っていないということです。相手がたくさんあるということです。

(問)トンネルの事故の件についてですが、佐藤工業が施工計画に定められているガス検知を、結局4月以降5回に渡って行っていなかったということが明らかになったのですが、その点についてどのように受け止められていますか。
(答)だんだんと事故の内容が明らかになってきたのですが、この前、会見でも少し申し上げたのですが、本来ならばきちんと対応しておくべき事であるわけです。
聞くところによると、それまで2年か3年位経っているわけです。
毎年同じ事を繰り返していて、その時にはちゃんとガス検知機を持って入っていたと聞いておりますから、なぜ今回、こういうことになったのかということを、しっかり調査の上でないと軽々に私がこの場でコメントできることではないと思います。

(問)明確な違反だと思うのですが、処分等についてはいかがでしょうか。
(答)今、警察の方での調査もありますし、労働基準監督署の調査もあります。
それからこちらは、トンネル工事そのものの施工の観点から専門的な調査委員会を立ち上げたわけですから、そこでもいろいろな事が明らかになってくるはずです。
そういった事を踏まえて、事故の原因というものが明確になってくるだろうと思います。    

(問)北陸地方整備局の対応なのですが、北陸地方整備局の方もガスの濃度を計る必要性、危険性を認識していたと思うのですが、にもかかわらず佐藤工業がガスの対策の無い換気装置をトンネルの奥の方に設置していただけだったということを問題視していなかったのですが、その点については、対応はいかがでしょうか。
(答)これについては、検証委員会で明らかになってくると思いますが、今申し上げたように、それまでは毎年きちんと工事再開、雪の期間が終わって、春に現場を再開する時、きちっとガス検知機を持って調べているわけです。
当然、こういう施工の形態というものは、発注者に対して請負側が施工計画を提出して、こういうことをやりますよと、事実、去年までやっていたわけですから。
そういう関係で言うと、まだ本当は原因が明らかにならないと言えないところです。
やはり請負側が何らかあったのかなという感じがあるんですが、まだそこは申し上げる立場にはありません。

(問)2人乗りの超小型車の認定制度が新たに年度内に設けるという話がありまして、国交省としてあのようなものを普及させていくという展望はどのように考えていらっしゃいますか。
(答)一つは、有識者による検討会をずっとやってきました。
その問題意識としては、街中の交通弱者であるお年寄りであったり、買い物であったり、こういうことに便利な超小型モビリティというものが実用化、実際には技術的にもう目途も付いて色々な試作品が出ているわけです。
しかも電動ということで省エネ、低炭素化にも役に立つわけです。
そういうところで議論していただくとともに、13自治体で実証実験を平成22年、23年度にやってきて、その結果を踏まえて近々ガイドラインを作りたいというところまできております。
最終的には一定の認定を受けることにより、公道走行することが可能になるような認定制度ができるように検討をしていきたいということです。

(問)高速ツアーバス事故で社長が逮捕されましたが、国交省が行う行政処分としては現状どういう状況になっているのでしょうか。
違反項目も現状で判っている項目数があれば教えてください。
(答)違反項目から言うと、もういくつか判っているわけです。
例えば、名義貸しなどが判っているわけでございます。
行政処分そのものについては、原因となる事実が確定したわけですから早急に行政処分には入るということにしております。
要するに、聴聞手続に入るということになるかと思います。

(問)行政処分としては、段階があると思いますが、今現状一番重い取消処分を検討されているということですか。
(答)法令違反については、いくつか非常に重大な法令違反がありますから、その法令違反に対してどういう処分をすべきかということもほぼ決まっているわけですから、それに準じてやるということです。
私も、今の段階で全ての法令違反をどういうふうに評価しているかというところまで聞いていないのですが、たぶんそういったことになる可能性が大きいと思います。
要するに、法令に基づいて着実に進めるということが今の段階です。
ただ、法令違反というのがかなり重大な法令違反であったという事実も確認しているということです。

(問)高速道路についてですが、新名神の区間、4車線化の事業再開についてですが、いわゆる議論の場として国幹会議に代わる第三者も含めた公開の審議の場で諮られるべきではないかという声ですとか、直近の交通量がどう変わってきたかという議論も踏まえて、諮られるべきではないのかという意見について、大臣の受け止め方はいかがでしょうか。
(答)私の受け止め方は、「高速道路のあり方に関する有識者委員会」で熱心に御議論を頂いたわけです。
それで、対距離性の料金制度であるだとか、高速道路そのもののあり方というものについて随分議論していただいております。
そういったものを受けて、省内で更に議論を重ねて結論を出したということですから、形式的に国幹会議(での議論)は必要無かったんですけれども、全くそういう機能が無くなったかというとそうではなしに、「高速道路のあり方に関する有識者委員会」は実に中身を深く議論を重ねてきていただいて、今御指摘の新名神にしても、あるいは4車線化にしても御議論はほぼやっていただいたというふうに私は受け止めています。

(問)御指摘の委員会ですけれども、非公開であったり、国交省内での人選であったりとかする点について、それはどのようにお考えですか。
(答)有識者委員会そのものは、私はそうは受け止めてなかったので、そこは後でチェックします。
国幹会議のような、ああいう大きな格の高いように受け止めなかったので、あまり関心事ではなかったかもしれませんが、有識者委員会というのは実に議論をしっかりやってくださってました。

(問)4車線化の事業についてですけれども、これについても高速道路保有債務返済機構ですか、こちらが保有していた余剰金を活用と、3,500億ですけれども、これについても、新規で事業に回していくのではなくて、原油の高騰の場合に備えるとか、若しくは今メンテナンスとか問題になってますので、そういったメンテナンスの費用に充てるべきではないのかというような声もあるのですが、その辺り大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)もちろんそういう考え方も基本的にあります。
併せてそういうところで議論していただいたのは、例えば冬場などは、4車線化した所はそれぞれ地区的に問題点を抱えている所なんです。
豪雪の所、例えば長野と新潟が、信越のあの辺りは冬場になると2車線というのは結局雪でふさがれて1車線になって、対向できなくなってしまうだとか、やはり、それぞれ大きな問題を抱えている所ですから、これも御議論の上で、多重性という御指摘があったかなというような記憶もあるのですが、そういう根拠はあるんです。
もちろん地元の要望は非常に切実なものです。
命の道だと、まさしくそういう言い方です。

(問)関越バスの事故の件なんですが、大臣が事業の取り消しの可能性が高いと発言されたのですが、事業取消しの部分にあたっていかがでしょうか。
(答)それは言い過ぎたかもわかりません。
要するに、きちんとした行政処分に向けた聴聞手続をとって結論として出てくるわけですから。
ただ聴聞手続に入るということは、かなりそういう事実を前提としてやりますから、相当の具体的な指摘みたいなものがあるだろうと思います。

(問)社会資本整備重点計画の関係ですけれども、民主党政権になって公共事業のあり方を見直すということで作られたものだと思うのですが、これまで作られた計画と比べてみても、どこがどう選択されていて、集中されているのかというのがちょっと見えにくいのかなと思うのですが、その辺の大臣のお考えをお願いします。
(答)明確に、具体的なプロジェクトみたいなものを挙げているわけではないんです。
そういう意味では、私は非常に客観的に深化させていただいたとむしろ思っているんです。
先ほど少し申し上げましたが、連携ということを重んじていると。
例えば、地方主権、地方分権をどんどん進めて、社会資本整備関係の予算も、御存知のように、一括交付金であったり、社会資本整備総合交付金であったり、要するに自治体が主体になって、自治体にお任せするということですから、今までのように計画を立てて県や市がこういうことでやっていく、補助金を付けるからというやり方ではないのです。
したがって、ある意味、具体的な、この方面でこういうプロジェクトというような書き方ではありませんが、きちんと点数表示と言いますか、メルクマールがどういうところにあるかというのを抽出して、それをどこまで実現するかというようなまとめ方になっていると思います。
そこは専門の先生方が随分御議論をしていただいてきたところで、ちょっと読み込んでいただくとなかなか味のあるものです。

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