大臣会見

羽田大臣就任会見要旨

2012年6月4日(月) 23:46 ~ 24:12
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

この度の改造内閣で、国土交通大臣、海洋政策担当大臣を拝命いたしました、参議院議員の羽田雄一郎でございます。
これから長いおつきあいになると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
総理大臣からは、とにかく、東日本からの復旧・復興ということで、特に、強靱な国土づくりに邁進していただきたいというお話がありました。
また、平野復興大臣とよく連携を取って、進めていただきたいというお話をされまして、先ほどの閣議の後も平野大臣と少し立ち話をしながら、今後の進め方について意見交換をしていこうというお話をさせていただいたところであります。
とにかく、国土交通省というのは、大変幅広い課題について取り組んでいかなければならない省庁でありますし、国民の生命と財産を守り、そして国土の安心というものを確保していかなければならないということでありますので、気を引き締めて対応していきたいと思っております。
先ほどの官邸(の記者会見)でも話をさせていただきましたけれども、とにかく、震災によって大きく国の政策というものが変わってきていると感じておりまして、エネルギー政策も含めて、国土交通省としてしっかりと取り組んでいかなければならないという強い決意を持っているところであります。
国土交通省は、前田前大臣も言われていたように、エネルギーを消費する省庁であると、このエネルギーを消費する省庁が率先して、エネルギーの抑制に努めることによって、これからのエネルギー政策の一助になると思っておりまして、このことについては強く進めていきたいと考えているところであります。
私も国政に携わって13年経つわけでありますけれども、学生時代は保育士の資格を取るために勉強をしておりまして、やはり未来を担う子どもたち、孫たちの時代に、どのような我が国日本を残していくのか、こういう意味では、国土交通省というのは、私にとっても大きな気概のあると言うか、しっかりと取り組んでいって、子どもたちや孫たちの時代に素晴らしい国土、日本を残していかなければならないと考えておりますので、そのことについて、国土交通省の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
この東日本大震災からの復興に向けては、減災の考え方をしっかりと取り入れた上で、インフラの整備、被災者の居住の確保、持続可能で活力ある国土・地域形成の先導的取組となるまちづくり等について、関係大臣である平野大臣と被災自治体等と連携を取らせていただいた中で、全力で取り組んでいきたいと考えているところでございます。
国の大型直轄事業というものについては、しっかりと見直しをしながら、費用、そして効果を厳格に検証した上で進めていくということで、既に進めているわけでありまして、それをしっかりと私も堅持していきたいと考えております。
また、公共事業については、東日本大震災の教訓等も十分踏まえながら、防災対策をしっかりと進めるとともに、コストの抑制を図りつつ、戦略的な維持管理・更新を推進していくと考えておりまして、高度成長期に多くの物を造りあげてきたわけでありますが、いよいよ更新ということも考えていかなければいけない時代に入ってきております。
そういう意味では、こういうことをしっかりと踏まえながらやっていかなければならないと考えているところでございます。
大変幅広いというお話をさせていただきましたけれども、やはり観光立国というものを目指しているわけでありまして、そういう意味では被災地の観光、振興を含めて、全国的な観光というものをしっかりと考えていかなければならないと、そして積極的に取り組んでいかなければならないと考えているところであります。
また、航空行政や鉄道分野、海上の安全、治安の確保ということ、陸・海・空、全てに国土交通省というのは関わっているわけでありますので、しっかりとした取組をこれからも進めていきたいと考えているところでございます。
こちらからは以上であります。

質疑応答

(問)前田前大臣が八ッ場ダムの建設再開を始め、大型公共事業を次々と復活してきましたが、羽田大臣はこうした方針を引き継ぐ御意向でしょうか。
また、民主党の看板である「コンクリートから人へ」について、どう考えてらっしゃるのかをお願いします。
(答)基本的な社会資本整備についてですが、人口減少や急速な少子高齢化、深刻な財政状況など、制約があるわけでありますが、選択と集中、コストの削減、こういったものを通じて、徹底的な効率化を図りながら進めていくことが重要であると考えております。
その中でも東日本大震災など自然災害が多発する日本であります。
先ほどの(官邸での)記者会見でも言わせていただきましたが、やはり災害と共存していかなければならないという、我が国日本は宿命にあると思っておりますので、そういう中で国民の安心・安全を守るという社会資本整備については最も重要であると考えております。
持続可能で活力ある国土、地域づくりを進めるためには、人の命が第一であるということ、また災害には上限が無いということを教訓にしながら、しっかりとハードとソフトの施策を組み合わせながら、国民生活の安全・安心の確保はもとより、我が国の国際競争力や、地域の産業・経済を支える都市交通基盤の形成など、真に必要な社会資本整備を進めていく、推進していくことが重要であると考えております。

(問)先ほど官邸(の記者会見)でもお伺いした質問ですが、整備新幹線についてですが、前任の前田国交大臣の下で認可に向けた手続が進んでいまして、今最終段階まできているとのことですが、この手続が終わり次第、大臣が認可されるのか、それとも、今、消費増税法案、国会の方もかなり緊張の度合いを増しているのですが、そういったことを考慮して総合的に勘案した上で判断されるのか、大臣のお考えを教えてください。
(答)この未着工の3区間については、いずれの線区についても着工5条件等の確認を完了し、そして認可、着工に向けた最終段階の手続に入っていると承知しております。
引き続き、着実に手続きを進めていきたいと思っています。

(問)先程来から、強靱な国土づくりと大臣はおっしゃっているのですが、防災ということもあって、かなり大型公共事業が再開されているというように思うのですが、その辺の路線は、羽田大臣も堅持されるのか、お聞かせください。
(答)総理からも東日本大震災の総括と教訓を生かして、強靱な国土づくりというものを構築することは、極めて重要であると言われております。
私に対して直接、強靱な国土づくりに邁進してもらいたいというお話がございました、前大臣も人の命が第一である、そして災害には上限が無いという教訓を踏まえて、ハード・ソフトをうまく組み合わせながら進めていくことが必要であるというようにおっしゃっておりまして、しっかりとそれを踏まえた上で公共事業等についても、もちろん選択と集中、そして真に必要な社会資本整備、こういうことを踏まえながら行っていきたいと思います。

(問)強靱な国土というものは総理から言われた言葉ということなのですが、自民党が国土強靱化法案ということで、非常に似ているという印象を受けるのですが、その違いというものはどういったところになるのでしょうか。
(答)自民党の国土強靱化基本法案については、真に命に関わる所のインフラ整備については集中的に行っていかなければならないとの基本的な認識を持っております。
これについてはしっかりと真に必要な社会資本整備という我々の考え方と一致するのではないかなと思っておりますが、内容を今後しっかりと聞いていかなければならない、吟味していかなければならないと思っております。

(問)新幹線のことで確認なのですが、3区間ほとんど同じタイミングで条件が整っているかと思いますが、3区間同時に手続きが整い次第、速やかに認可するというお立場でよろしかったでしょうか。
(答)今、3区間をほとんど同時に進めていると考えております。
いずれの線区についても、さきほど言いましたように、着工5条件の確認が終わっているところですので、これをしっかりと踏まえた上で進めていきたいと思っております。
もちろん過度な公共投資というか、財源を偏らないように、それぞれの会社がどれだけの財力を持ってやっていけるかということも含めてしっかりと検証していかなければならない。
着工した後のスピードは変わってくるかもしれませんが、やはり必要な社会資本整備を進めていく中では、この3区間についてはしっかりと進めていくという立場の中で、着工していく中でのスピード感というものは変わってくると思います。

(問)国の大型直轄事業の全面的な見直しについて、国交省では先月、2016年度までの5年間までのインフラ整備目標を定める社会資本整備重点計画の素案を発表しています。
この計画の素案についても大臣の方針で見直すという考え方なのか、今後の計画、又は予定されている大型事業についてのことなのか、どちらなのかを教えていただけますでしょうか。
(答)今までも4大臣がそれぞれ見直しをしながら今日まできていると思っておりますので、今までの経過も踏まえた上で、進めていくと思っております。

(問)今現在、国会の委員会の審議がストップしている関係で、10の国交省が提出している法案がストップしています。
大臣が替わられたということで、大臣はどのように臨まれますでしょうか。
(答)総理からも「今までの国会対策委員長としての手腕を使って一本でも多く前に進めて欲しい」と直接言われておりますので、しっかりと会期内、短い期間ではありますが、進めていけるように努力をしたいと思っております。

(問)冒頭から東日本大震災の対応ということでおっしゃっておりますが、鉄道の被災地路線に対しての大臣の思いというのはいかがでしょうか。
(答)現場の方から相当鉄道については要望がきていると承知しております。
そういう中で、JR東日本は、鉄道による復旧にあたっては、津波に対する安全確保、またまちづくりとの整合性を確保し解決していくことが必要であると言っていると承知しております。
そういう意味では、平野復興大臣としっかりと連携しながら、また地元の皆様の声を十分聞きながら進めていかなければならないと思います。
将来的には、やはり鉄道の復旧、復興が必要であると思っておりますが、直近はやはりまちづくりですとか、新たな津波が来たときに、ただただ直すだけで良いのかということを考えると、少し時間が掛かるのかなと、しかし、人々は生活しているわけですから、そういう意味ではその部分について補完的な施策というものも平行して行っていく必要があるのかなと考えておりまして、BRTも活用していくことも含めて検討しているところです。

(問)時間は掛かっても鉄道での復旧を目指していくということでしょうか。
(答)それはもうやはり地域の皆様の大変大きな要望があると承知しておりますので、しっかりまちづくりと一緒にやっていかなければいけないと思っておりますので、まちづくりを考えると少し時間が掛かるのかなと思います。
しかし、既に生活している方がいらっしゃるわけで、やはりその皆さんの利便性にもすぐに対応していかなければならない。
この2つのことを同時に行っていかなければならないと、そういう難しさはありますが、チャレンジしていきたいと思います。

(問)(総理指示書には)航空産業の発展に積極的に取り組むと書いておりましたが、航空産業の現状について大臣はどういう問題意識をお持ちで、具体的に今後の発展に取り組むとはどういうことをお考えでしょうか。
(答)航空産業という意味では、日本航空、また全日空が大きな会社ではありますが、日本航空は会社更生法の適用を受けて、そして再建過程にあると承知しております。
ただ、平成23年度決算においては、過去最高の営業利益を計上しているということもあり、着実に経営が改善されていると考えております。
また、年内に再上場を目指しているということも聞いておりまして、そういう意味では安全運行の確保を大前提に、引き続き着実に再生に取り組んでいただきたいと考えております。
そういう中で全日空においても、平成23年度決算においては過去最高の営業利益を計上したと聞いておりまして、航空産業、特に大きな2社が切磋琢磨し、競争力強化に努めていただくことを期待をさせていただいているということでございます。
我々としては、公正な競争環境を確保するために、常に監視をしていきたいと思っております。

(問)先般、高速ツアーバスの事故がありました。
先ほど官邸での会見も聞いておりましたが、この対策を今省内で進めている中で、大臣としてはどのような形でこれに対して臨みたいのか、またこのような指示を考えているのがあれば教えてください。
(答)大変大きな事故でありまして、多くの尊い命が奪われた、また、多くのけが人を出してしまったということを考えれば、心よりお悔やみと御見舞を申し上げなければならないと思っております。
そういう中で公共交通機関の安全確保はすべてに優先されると考えておりますので、事故の再発防止の徹底と安全対策の強化、このことに努めていきたい。既に、吉田副大臣を座長とする、関越自動車道における高速ツアーバスの事故を踏まえた公共交通の安全対策強化に関わる検討チームが進められていると承知しておりまして、近日中に緊急対策としてまとめていただくということになっております。
まずは緊急対策をしっかりとして、やはり夏の多くの人が行き交う多客期に向けて緊急対策を打つと、そして抜本的な改革に向けてしっかりと省内で検討していくことが必要だと思っております。

(問)改めて八ッ場ダムのことを伺いたいと思います。
政府の方針が去年決まりまして、政府の方針についてどのように思われているのか。
事業継続についてどう考えているのかと、改めてもう一度政府の方針を変えないのか、変えうることもあり得るのか、もう一度お聞かせください。
(答)これまで4大臣が相当いろいろな形での議論をしてきたと思っておりまして、そういう中で昨年末に前田前大臣が対応方針で、事業継続と決定をされた。
そうした上で、政府として平成24年度予算に、事業継続を前提とした経費を計上しているというのが今の現状であり、今、対応方針を変えるということにはならないと考えているところであります。
今後とも地元の生活再建事業を遅滞なく進めつつ、ダムの本体工事については、官房長官裁定を踏まえた上で、その対応状況を考慮しながら適切に対処していきたいと思っております。

(問)大臣は整備新幹線の推進議連に入っていたと思うのですが、今までの前田前大臣の方針を踏襲して、大臣としても推進していくということで変わりはないのでしょうか。
(答)やはり公共交通機関、安心と安全、また、エネルギー政策というものを考えた上でも、整備新幹線というものは、有効であると私は考えておりますので、そういう意味では前大臣の方針は変えずに進めていきたいと思っております。

(問)大臣は先ほどから整備新幹線、八ッ場もスーパー堤防とかそういう多額の費用の掛かるものも全部防災として認めているかもしれませんが、それだと大臣がおっしゃっていた将来の子供に残るものというのは、多額の借金と維持費の掛かるインフラだけが残っていくというイメージを持ってしまいますが、選択というのはどう付けていくのかということも教えていただければと思います。
(答)我々は「コンクリートから人へ」ということを言ってきたわけでありまして、実際に今までの政権の時よりは、そしてマニフェストに書かれた目標というものは2年間でクリアしていると思っております。
公共事業の厳しい削減の中で、選択と集中をしていくということでありまして、決して公共事業の事業費がどんどん増えているとは思ってはおりません。
そういう意味では真に必要な社会資本整備は進めていかなくてはならないと思っておりますし、やはり今災害が多発している中で、しっかりとした国土というものを作っていくためにも、必要なものは作っていく。
しかしそれだからといって公共事業費がどんどんあがっているということではなくて、やはり抑制しながらも選択と集中をして、真に必要なものを作っていくということを選択していきたいと思っております。

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