大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年6月29日(金) 10:50 ~ 11:11
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告をするものはございません。
次に、私から、2点御報告がございます。
閣議前の「災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会合」におきまして、7月以降公告手続を開始する岩手県内の直轄工事において、災害廃棄物を原燃料とするセメントを使用する企業を、総合評価方式で加点評価する運びとなったことを、平野復興大臣及び私より御報告申し上げました。
今後とも、災害廃棄物の再生利用の促進に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次にもう一つ、本日、整備新幹線問題検討会議を開催し、北海道新幹線の新函館・札幌間、北陸新幹線の金沢・敦賀間、九州新幹線の武雄温泉・長崎間の3区間について、全ての手続きを完了したことを確認いたしましたので、全国新幹線鉄道整備法に基づき、工事実施計画の認可を行いました。
今後、北海道新幹線については概ね24年後、北陸新幹線については概ね14年後、九州新幹線長崎ルートについては概ね10年後の完成・開業を目指し、着実に整備を進めて参ります。
今回の3区間の整備により、ビジネス・観光の交流を促進し、地域の産業や社会に大きな効果をもたらすだけではなく、災害リスクへの備え等の観点で、我が国の多重的な幹線交通体系が確保され、さらには、環境負荷の小さい公共交通機関として、持続可能で活力ある国土を築くための礎となることを期待しております。
以上です。

質疑応答

(問)整備新幹線についてですが、前田前大臣が昨年度中に認可するという意向があったと思いますが、結果的にこの時期までに認可が遅れた理由についてお伺いします。
(答)昨年末に、政府・与党の確認事項を決定して以降、有識者による整備新幹線小委員会において、収支採算性や投資効果を確認する作業を行い、更にJRや沿線自治体の同意の確認につきましても、拙速に陥らず、一つ一つ丁寧に手続きを進めてきたものであります。
結果としてこの時期の認可になりましたけれども、整備の妥当性を確認するためしっかりと検討を重ねて、手続きを踏んだ結果であるという認識であります。

(問)消費増税が論議される中で、今回の整備新幹線事業は消費税が財源ではないとはいえ、工事の推進することにはかわりはないのですが、しかも先ほどのお話にもありましたが、北海道は24年という長い期間を掛けて、今本当に必要な公共工事なのかという批判の声も与党内にもあるかと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)就任の記者会見でも言いましたように、選択と集中を図りながら、真に必要な社会整備をしっかりと進めていかなければならないという中で、整備新幹線は有効なものであると考えております。
冒頭にも申し上げましたが、整備新幹線は地域の産業や、社会への効果、災害リスクへの備え、環境負荷が小さいなどの点で、持続可能で活力のある国土を築くための礎となるものと認識をさせていただいております。
それを踏まえて新規着工3区間に関しては、公共事業関係費に過度に依存しない、これを前提とするということですし、自主財源でもある整備新幹線の貸付料を活用した上で、事業ペースを調整をしていくと、時間をかけて整備することとしたものであり、財政規律にも十分配慮したものであると認識しております。

(問)先日、国交省の(霞ヶ浦)河川事務所にサイバー攻撃が行われましたが、それについての現状とハッカー集団のサイバー攻撃に対する国交省の対応について教えてください。
(答)ハッカー集団のサイバー攻撃に関してですが、アノニマスからのサイバー攻撃によるものかどうかは不明であります。
関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所のウェブのページが改ざんされ、全く関係ない写真画像と英文に書き換えられていたことが、6月26日火曜日夜に判明を致しました。
原因調査を行ったところ、河川情報を表示するソフトウェアに原因があったことから、このソフトウェアの是正を早急に行うこととしております。
国土交通省の他のシステムについては、改ざん等の事実は確認されておりませんけれども、今回の事案を受け、システムの監視の徹底、同様のソフトウェアの是正措置等を指示しているところです。
サイバー攻撃への対処は国家の危機管理上、重要な課題であり、今後とも政府機関全体で情報の共有・連携を図りながら、情報セキュリティ対策の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。

(問)整備新幹線の関係ですが、3区間のぞれぞれの着工式がすでに決まっていたら、教えていただきたいということと、大臣の出席予定はありますか。
(答)今のところは無いです。

(問)着工式というのはまだ日程としては固まってはいないということですか。
(答)決まっていないと思います。

(問)整備新幹線の関係ですが、残る未着工区間は敦賀と大阪の間だけになったと思うのですが、この区間の整備に対するお考えをお伺いします。
また、フリーゲージトレインを導入するということですが、フル規格での整備計画が残っておりまして、その辺の整備のめどについてどのようにお考えになっていますでしょうか。
(答)整備計画に基づいて、大阪まで整備することが重要であると考えております。
一方で、財源の限界等があることから、今後継続的に検討していきたいと考えております。
フリーゲージトレインの導入についてですが、北陸と関西・中京圏は旅客流動が多いことから、敦賀での同一ホーム乗り換えには大きな手間が掛かると考えておりまして、暫定的とは言え、フリーゲージトレインにより、旅客利便性の低下の回避を図る必要があると考えております。

(問)新幹線の関連ですが、札幌延伸は24年ということで、先ほど大臣がおっしゃられたように、公共事業関係費に過度に依存しない、事業ペースを調整して財政規律を配慮するという理由で24年になったと思うのですが、一方で、24年は四半世紀ということでかなり長いということと、公共事業には適正なスピードがある中で、24年というのは逆にお金が掛かるという指摘もありますが、24年を今後短縮する方策を検討する余地というのはありますでしょうか。
(答)今回、事業ベースを調整することで、安定的な財源見通しを確保したものであります。
限られた財源の中でしっかり進めていきたいと思っておりますが、大変厳しい試算をさせていただいておりますので、今後の経済の動向等をしっかりと勘案しながら、早められるかもしれませんし、これ以上遅くなるかもしれません。
大変厳しい試算をしておりますので、そういう意味ではこれより遅れるということは無いと認識しておりますけれども、早まるという可能性は経済の動向によってはあるのかなとは考えられます。

(問)関連してですが、PFIと言いますか、民間資金の活用ができるかどうかは別にして、導入することによって、財源の一つに充てるという検討はどうでしょうか。
(答)そういうこともしっかりと検討していく必要があると考えています。

(問)長崎ルートにつきましては、物理的な問題だと思いますが、今回の新規着工区間は諫早・長崎という認識ですが、資料によりますと、武雄温泉・長崎間一体としてとなっておりまして、この認可は諫早・長崎間なのか、それとも武雄温泉・長崎間なのでしょうか。
(答)武雄温泉・長崎間です。

(問)認可区間は武雄温泉・長崎間ということで認可されたのですか。
(答)そうです。

(問)そうしますと、申請も武雄温泉・長崎間で申請があったということでしょうか。
(答)そうです。

(問)大臣は新幹線の沿線県の出身ということで、今回北陸新幹線の認可になったということですが、それについての感想と何か認可の意義などがあればお願いします。
それから敦賀車両基地というものも整備される計画になっていると思いますが、それも今回の認可に含まれているのか、それから、三区間の着工時期について、それぞれ教えてください。
(答)車両基地は今回の認可に入っております。
そういった意味では、一体的に行うことで、事業費を抑制できるということもあるものですから、なるべく事業費を抑制するように、効率的に行うために入っているという認識を持っています。

(問)新幹線の認可についての感想をお願いします。
(答)この北陸新幹線については、長野オリンピックに向けて長野までの区間は先にできたわけでありますが、フル規格で長野まで持っていったということは、将来の災害リスク等も考え、また、環境負荷や経済というものも考えたときには、大きな前進だと思います。

(問)繰り返しになりますが、国民が身を削る中で、大型公共事業の復活ということで、本当に3兆円が必要なのかが、国民に理解が得られないと思うのですが、御自分のお言葉でお話いただけますか。
(答)そういった意味では公共事業費に過度に依存しないと申し上げてきましたし、公共事業費をどーんと増やすような状況ではないと今までも申し上げてきました。そしてコンクリートから人へという理念は変えないということも申し上げてきたつもりであります。
そういった中で効率的に、効果的に、この事業については進めていくという決断をさせていただいたところでありまして、慎重にも慎重に、またこの試算についても、大変厳しい試算を行って進めるということで、国民の皆様には、しっかりと理解をしていただけると確信しております。

(問)ガレキセメント優遇制度の関係なのですが、これは7月から始めるのは岩手県内全てなのか、それとも何か想定されている近い工事を指してらっしゃるのか、それと岩手以外の例えば宮城とか福島とか、それ以外の地域での導入についてはいかがですか。
(答)今現在、セメント工場にもっていっている物が、岩手と青森もあるのですが、青森にセメント工場がいくつかありまして、1箇所しかもっていっていないと、この事業の関係もあります。
そういった意味では、できればこれから拡大は行っていきたいと考えておりますが、今岩手県内は全てのセメント工場にガレキと処理された物が運び込まれていますので、そういった意味で事業の公平・公正ということも含めてできるのが、まずは岩手ということです。
とっかかりとして岩手で試行的に行っていくということでありますので、今後拡大したいと思っています。

(問)整備新幹線の関係で、さきほどの確認ですが、敦賀・大阪間は、これまで政府としては、今回の未着工3区間の事業完了するまでは、整備を行うことは難しいという見解であったと思いますが、検討を継続されるというのは、その前でも整備に着手される可能性があるということでしょうか。
(答)まずはフリーゲージトレインを活用して進めていく中で、検討していくということです。

(問)規格整備も3区間の整備前でもということでしょうか。
(答)まずはフリーゲージトレインで試行的に進めていく中で、今後、検討していくということです。

(問)三区間の中で北海道新幹線の工期が一番長くなっている理由として、三区間を同時に着工する為だと思いますが、優先順位を付けて着工するのではなく、三区間同時に行うことについての理由をお聞かせください。
(答)三区間同時に認可を進めていくわけですが、財源にも限界があるといいますか、公共事業をドンと増やすということではありませんし、しっかりと採算性も含めて考えながら進めていくという中で決定しておりますので、その中での最終的なゴールが今のところ違っておりますが、これからの経済の動向や民間の資金が出てくる可能性もございます。色々今後進めていく中で、新たな検討を常にしていくことだと思っております。

(問)すぐに事業を着手される見通しでしょうか。
(答)今年は今のところ、そんなに大きな予算を確保しているわけではありませんので、北海道新幹線の24年度事業は調査設計や建物、函館の総合車両基地やトンネルが相当時間が掛かるのでそういう意味では準備費が付いていると承知しております。
また北陸新幹線は調査設計費、また用地を先行に取得をして欲しいという要望があったり、また建物、白山の総合車両基地を一体にすることによって事業費を抑制するという効果があるということですし、またトンネルはどうしても時間や費用が掛かるので準備を先行してやるということです。
また、九州新幹線は調査設計、トンネルの準備費であり、トンネルはどうしても期間と財源が掛かるので準備費に充てるということであります。

(問)フリーゲージトレインの運行区間は大阪から富山までということですが、長野の一部からはもう少し長野まで延ばして欲しいと首長からも出ていると思いますが、いかがでしょうか。
(答)今のところ富山までということで進めて行きたいと思っております。

(問)政局の関係でお伺いしたいのですが、昨日、小沢、輿石会談で小沢さんが消費税増税関連法案の撤回を求めたわけですが、それに対する考えと、小沢さんの理解を得るための最終策をお聞かせください。
(答)それは党の方で輿石幹事長が中心となって、小沢元代表とお話をされていると伺っておりますので、コメントする立場にはございません。

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