大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年8月17日(金) 11:15 ~ 11:41
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、国土交通省関係は特にございません。

質疑応答

(問)本日の閣議で概算要求基準が決定されました。
公共事業費に対して、前年度より10%削減することが求められていますが、復興の関係もあると思いますが、どのような対応をされるのかお願いします。
(答)本日閣議決定された「平成25年度予算の概算要求組替え基準」では、裁量的経費・公共事業費について原則1割削減する一方で、日本再生戦略に関連する施策等にあっては削減分の原則1.5倍まで重点要求が可能であります。
また、グリーン、ライフ、農林漁業の重点3分野については2倍ないし4倍の特別重点要求が可能になるほか、今言われた東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費として、しっかりと所要額を要求できることとされております。
しっかり対応していきたいと考えております。

(問)8月15日に香港の活動家の船が尖閣に上陸しました。
海保が対応したのですが、上陸を許したということについて、どのように評価をお考えかお願いします。
(答)海上保安庁では巡視船艇を増強配備するなど、警備体制をしっかりと強化しておりまして、その結果、早期に船舶を確認することができました。
警告、放水規制、接舷規制等を的確に実施したわけですが、活動家等が上陸を強行したものです。
現場での対応に際しましては、人身事故を起こさないことを基本として対処するとともに、上陸後は、警察等とも連携しながら、速やかに入管法違反で現行犯逮捕するなど的確に対応したと考えております。

(問)14人なのですが、今まだ国内におりますが、今後の帰国の目途、方法等について教えてください。
(答)今、入国管理局に引き渡しておりますので、そちらでの判断ということになります。

(問)当日、御自身が登庁されなかったことについて、一部問題視する動きもあるようですが、いかがでしょうか。
(答)海上保安庁長官が対策本部の本部長であります。
そういった意味では長官がしっかりと対応するということでありますし、私には長官の時間が空いている時にいつでも連絡できるような状況を作っておりまして、適宜、報告を受けてきました。
しっかりと把握をさせていただいておりました。
現場で対策本部長を海上保安庁長官がしっかりと行っていただいておりますので、そのことについて私が出て行って対応するというよりは、長官がしっかりと対応を行う中で、報告を受けてきたということです。
なお、その前に、海上保安庁長官には、法令に則り厳正に対処するという基本方針については、直接お話をさせていただいていたところです。
それに則って、海上保安庁長官が対策本部の本部長として対応していただいたということです。

(問)今回上陸を許してしまったことで、今後また同様のケースが発生する懸念があるかと思いますが、海上保安庁の対応を強化するとか、見直すといった点についてお考えはありますか。
(答)その都度、しっかりと巡視船の配備を変えたり、いろいろな形で対応策をとっております。
そういった中で強行されたわけですが、それについてもしっかりと警察官に先に上陸していただいて、連携を取って対応させていただいたということでありまして、今後もいろいろなケースを想定しながら、しっかりとした対応をとっていきたいと考えています。    
(問)6年前も国交省を担当していたのですが、当時は絶対に上陸させないといった対応だったと思いますが、今は、大臣がおっしゃられたように、上陸されてしまったら粛々と対応するなり、厳正に対処していけばいいという考えに変わったのかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)前回上陸されたのが、6、7年前になるかと思いますが、その時は警察の方を呼んできて、そして対応ということで、12時間位逮捕にかかっていましたが、今回は事前にわかっておりましたので、事前に上陸された場合の想定も行って、連携をとって警察官に上陸していただいていたということです。
我々としてできる最善を尽くしましたが、波が高いので接舷して対応するのも大変難しいわけであります。
そういった中で努力したわけですが、結果的には上陸されてしまったということです。
さきほどお話しした、前回上陸された件は、平成16年の3月24日です。
このときに中国の活動家が中国漁船1隻により、魚釣島領海に侵入し、7人が手漕ぎボートにより魚釣島に上陸、その後警察が逮捕したという事案の話ですが、この時には、逮捕に12時間かかっているということでありまして、その都度その都度、いろいろな事例が出てきます。
しっかりと教訓を得ながら、今回も対応させていただきましたし、今後ともしっかりと対応してきたいと考えています。

(問)確認ですが、今の時点で、大臣が海保の対応について、具体的な強化の指示や、強化の検討を指示したということはありますか。
(答)今の時点では特にありません。
今回、相当早期にわかっていましたので、巡視船艇を多く投入させて頂いておりましたし、これ以上投入して効果が上がるのかということもあります。
そういった意味では、いろいろなケース、今回のケースもしっかりと検証を行って、今後の対応を行っていきたいと考えております。   

(問)今回海上保安庁から写真を2枚提供していただいたのですが、この活動家が6年前に領海に侵入した時は、写真だけではなく動画も報道機関に提供していただいたことがありました。
上陸された時も、写真や動画が提供されていたと聞いているのですが、関心が高い事案で、海上保安庁の映像や写真が積極的に提供されていたと思うのですが、今回それがあまりなされませんでした。
民主党政権になって、その辺の提供がなかなか難しくなっていると聞いているのですが、そのあたり大臣はどのようにお考えですか。
(答)民主党政権になって難しくなっているというよりは、今回の事案については、公務執行妨害に当たらない上、ビデオを公開した場合、海上保安庁の各種規制手法や逮捕のための捕捉手法が明らかになるという事も含めて今後の領海警備等の業務に支障が出る可能性が高いことから公開はしないという方針であります。

(問)公開しないということについて、それは大臣が判断されたのですか。
(答)このことについては、確認をさせていただいておりますので、私の判断ということもあります。

(問)これまでは、そういったビデオというものは、警備に差し障らないというルールについては、動画や写真というのは提供・公開されていて、そこで何かしら警備に支障が出たという話は聞いていないのですが、全部出さないというのはどうなのかなと思うのですが、そもそも民主党政権は情報公開、ある意味党が大事にしている方針の一つだと思っているのですが、今後、同様な事案があったときに、大臣はどのようにされるのでしょうか。
(答)今回のケースの場合は、公務執行妨害等がなかったということで、色々な事を考えると、写真等はお渡しさせていただいておりますが、ビデオの公開までは必要ないのではと判断させていただきました。

(問)これまでも公務執行妨害ではなくても、ビデオも写真も、もっと提供していただいていました。公務執行妨害がなければ公開しないというところがよくわからないのですが。
今までやってなくて、今回やれといっているわけではなくて、以前はされていたものがここ数年されなくなってきている。
そこがよくわからないと思っておりまして、積極的に公開していくべきだと思うのですが、改めてもう一度お考えをお聞かせください。
(答)検討させていただきます。

(問)結果的に上陸を許したという点で日本国民にとってはショックだと思うのですが、それについてもう一度、上陸を許してしまったという点でお話を伺いたいのと、方針として死傷者を出さないというのがありましたが、それについて今後も変わらないのかという点をお伺いします。
(答)現場は荒波の中で的確に対応していただいたと思いますし、相当頑張っていただいたと思っております。
そういう中で、相手が強行していったということですが、民間のカメラマン等も乗っていたり、マスコミの方も乗っているというような情報もありまして、色々な情報を勘案したときに、人身事故を起こさないということが基本だと思っておりまして、その中で対処させていただいたという状況です。

(問)今後も人身事故を起こさないという基本は変わらないということでしょうか。
(答)今回のようなケースであれば、人身事故を起こさないということが基本だと思います。

(問)関係省庁が協議して、強制送還の方針が決定されたということでよろしいでしょうか。
(答)今日の関係閣僚会議は、協議をする場所ではございません。
今日の会議は、情報を共有しようという会議でありますので、方針の確認と情報共有であります。
今、入国管理局に身柄を預けていると報告・方針が出されたということであります。
今のところは、入国管理局で対応しているという状況の報告がありました。

(問)方針の確認というのは、強制送還の方針を確認をしているということですか。
(答)強制送還の方針については、官房長官がまとめてお話をされているということでありますので、今記者会見が行われている最中だと思います。
こちらとしては、今の現状としては、引き渡しをしている状況ということが報告されたということであります。

(問)今、押収している活動家の船については、どのように処分するのか考えているのでしょうか。
(答)今後の対応ということになると思いますけれども、基本的に置いていっても困りますので、乗って帰ってもらうと、持っていってもらうのが筋だと思います。

(問)持っていってもらうというのは、乗っていってもらうことでしょうか。
(答)船員の方に乗って帰ってもらうということですが、領海を出るまでは海上保安庁が、領海を出ていくまでしっかりと捕捉をしながらということになると思います。
そのまま石垣島に放置していくという状況ではありません。

(問)今回事前の通告があったために、沖縄県警の警察官を事前に配置するなど、対応できたと思うのですが、尖閣のような沖合の無人島に不法上陸を許したとき、捜査権を巡って、海上保安庁法の改正案が審議されていると思いますが、捜査権を巡って、例えば警察と海保で渚から500メートル500メートルというような取り決めになるかと思うのですが、今回のようなケースを除いて、不測の事態が生じたときに捜査権どこまでおよぶかという議論を、大臣どのように進めて行くのがよろしいかお考えでしょうか。
(答)今、法案を出していて、衆議院は通っております。
この法案はなんとか参議院でも早期に通していただいて、不測の事態に海上保安庁の現場の人間が対応できるようにしていただきたいと思っております。

(問)それは具体的には、無人島においては海上保安庁の捜査権が及ぶというような事でよろしいでしょうか。
(答)そうですね。
逮捕することまでできるようにしていただきたいと思っております。
海上で上陸しているのを見て、警察官が来るのを待つということではなく、上陸や不測の事態の場合は、逮捕権を海上保安庁の職員に、現場の職員に与えていただきたいと思っています。

(問)今回の事態を受けて、特に尖閣方面ですが、そちらの方面の巡視船や人員などの体制自体の強化については、何か考えていらっしゃらないのでしょうか。
(答)既に最近数が増えておりまして、増強という意味で巡視船を増やしたり、守りを固めていくという意味では、相当な守りを固めるような状況になっていると思っております。
そういった意味では、今後ともしっかりと対応出来るようにしていきたいと考えているということです。

(問)現時点では、現在の体制で対応していくというお考えでしょうか。
(答)今回も相当な体制で当たりましたので、これ以上増やすことで実効性が上がるものかどうかということも含めて、検証しなくてはならないと考えております。

(問)先程の映像の公開についてですが、そもそも最初から映像は今回のケースについては出すことを考えていなかったということでよろしいでしょうか。
(答)基本的には、今回のケースのビデオについては、出す用意はありません。

(問)一部ではやはり公開すべきではないか、レンガを投げつけたりとかありますので、そのようなこともきちんと知ってもらうためにも、映像を出さなければならないのではないかという声もありますが、どのようにお考えでしょうか。
(答)それはある程度すでに出ていると思います。
我々が撮っているものは、どちらかというと、接近して対応している場面が多いものですから、そういう意味では普通の映像とは違うのかなと考えております。

(問)先程、今回のケースはと強調されていましたが、ケース・バイ・ケースと考えてよろしいでしょうか。
(答)今回は公務執行妨害にあたらない。
ケース・バイ・ケースということです。

(問)それでは、(映像を)出す時は今後もあると考えてよろしいでしょうか。
(答)それはケース・バイ・ケースということであります。

(問)基本的な考え方としては、怪我人を出さないという方針で警備を行ってきたと、ただ先方が強行してきてしまったので、怪我人を出さないという結果を徹底的に守った結果、上陸になってしまったので、自分達の対応としては問題はなかったということでよろしいでしょうか。
(答)接舷していくのも、相当危険でぎりぎりの対応だと思っておりまして、そのような中でも強行してきたという事案でございますので、なかなかそれ以上の対応ということになると、船を沈没させるとか、そのようなことに繋がりかねないということだと思っております。
今回も、レンガと言われるブロックの屑のようなものを投げられたと、そして巡視船の上に乗っているような場面と、巡視船が傷ついているような場面も映っていますけれども、あれは投げられてぶつけられて、巡視船が傷ついたということではなくて、やはり接舷対応をしたことで、少し壊れるというか凹んだ部分があるという場面が見られたと思いますが、波が荒い中で接舷対応を、相手を沈没させない中で、尖閣の方向に向かっているものを方向を変えていくという対応が、今回現場では精一杯対応して頂いた、相当頑張って頂いたと思っております。

(問)逆に言うと、そういうある種気をつかったというか、そのような対応をしているのに、そこまでやってくる先方に対しては、どのように思われますか。
(答)我々としては、これだけ接舷対応をして、方向を無理矢理変えるようなこともして、相手が座礁したり転覆しない程度にやってきたわけですが、そのような中で強行してきたことについては、遺憾に思います。このようなことが繰り返されないようにと思います。

(問)確認ですが、対応としては問題なかったけれども、改めて精査して今後更にどのような対応が出来るかを検討していくということでよろしいでしょうか。
(答)そうです。やはり、接舷して向きを変えるだけですと、なかなか漁船等ですとまたそのまますり抜けて行ってしまうということも今回あったようですので、そういった中で上陸されたわけですから、しっかりとフォーメーション等も、細かいことになりますので私が答えることかどうか分かりませんが、やはり検証して今後上陸されないようにどうしたら良いのかを考えていかなければならないと思います。
このことについては、海上保安庁長官と一緒に、また現場の意見等も聞きながらしっかりと対応をしていくということであります。

(問)8月15日は休暇でよろしいですか。
(答)休暇でしたが、朝からマスコミの対応に、午前、午後ともに出ておりましたが、ずっとマスコミの対応をさせていただいておりました。
基本的には、午前、午後ともに式典等に出席をしておりました。
あとは、対策本部の本部長である海上保安庁長官と直接連絡を取り、適宜報告を受けていたということであります。
現場で対応しておりますので、こちらから電話を掛けたり、対策本部へ行って海上保安庁長官の時間を取るというよりは、海上保安庁長官にしっかりと現場に指示を出していただいて、対応していたと思っておりますし、その報告は逐一、海上保安庁長官からいただいておりました。

(問)これも確認ですが、危機管理上は問題なかったという認識でしょうか。
(答)危機管理上は問題ないと思います。

(問)今回、領海侵犯をして不法上陸をしましたが、活動家の行為そのものはどのようにお考えでしょうか。
(答)強行に活動を行って上陸ということまで強行してくるわけですから、このことについては遺憾であると言わざるを得ないと思っております。

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