大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年1月11日(金) 10:44 ~ 11:10
国土交通省会見室
太田 昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 今日開催されました日本経済再生本部での議論を経て、閣議において「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が決定されました。
 安倍内閣としましては、従来から指摘しておりますように、第一に経済再生、第二に東北被災地の復興、第三に防災・減災そして危機管理体制の構築という三つの大きな課題の中で、特に経済再生ということに力を入れることを鮮明にして参りましたが、今日は経済再生について今回の緊急経済対策をもって大きく前進させたいということの発表でございます。
 内閣として大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢としてこれまでとは次元が一歩違う立場から経済再生ということに一体的かつ強力に取り組んで実行するという政策パッケージの第一弾として今日の緊急経済対策として発表したものであります。
 国土交通省としましては、国民の命と暮らしを守るという観点から、インフラの安全性の徹底調査・総点検と老朽化対策の推進、インフラの地震対策や住宅・建築物の耐震化等の防災・減災対策、海上保安体制の強化による我が国の領土・領海の堅守、さらに通学路等の交通安全対策等を実施することにより、我が国の経済の活性化をもたらすということに力を注ぐという部門を担っていると自覚をしております。
 加えて、基幹的交通インフラの整備等による成長戦略の推進、訪日旅行者の誘致強化等の観光立国の推進、住宅・建築物の省エネ改修促進等のエネルギー・環境問題への対応等に全力で取り組むことで、我が国経済の力強い再生を図って行くということが我が省にとっては大事なことだと心得ております。
詳細につきましては、後ほど事務方から説明がございますのでよろしくお願いします。

質疑応答

(問)今、緊急経済対策についてお話がありましたが、国土交通省分について大臣が就任されて今回の緊急経済対策はここが太田カラーだという部分がありましたらお願いします。
(答)私個人のカラーというよりも、今回は何といっても防災・減災対策、そして老朽化対策というのが大きな一番の柱になっていると思います。
そしてそれらを行うことによって、例えば道路のミッシングリンクの解消をはじめとして経済の活性化、富を生むことに役立つというように、国土交通省の担う部分は極めて大きいという緊急経済対策を担っていると思っています。
私のカラーというよりも国交省は非常に責任があると、日本経済活性化に国交省が前面に出て行っていく必要があるということで緊急度を持って取り組んで行きたいと思っておりますし、またバラマキであるとか、何故こういう所に使われるのかについてはきちんと吟味をして推進をしていく立場であると思っております。
 

(問)今、バラマキということではないというお話がありましたが、今回の緊急経済対策の公共事業についてバラマキではないということですが、どうして今回はバラマキにはなっていないと言えるのか御説明頂けますでしょうか。
(答)私は従来から、具体的な事例を積み上げて行きながら行っていくことが、防災・減災の観点では大事だということで、先ほど申し上げましたように、防災・減災、そして老朽化対策がかなり主軸になっているということは国民の皆様にとって連日のように私の所にも話がありますが、ここが非常に老朽化して危ない、津波に対応できるように港湾をこうしてもらいたい、あるいは学校の耐震化、学校における非構造部材ということに対して、早く対策を打って欲しい、様々なかなり具体的な公共事業というもの以上に、この国土を守り、そして生活を守って、また、我が都市を守っていくためには、これが必要だということがかなり数多く、緊要性のあるものとして寄せられていると思います。
そうした観点では、上からばらまくというような規模、予算ありきというものではなく、どこまでも私は、防災・減災、老朽化対策を主軸にしたものを積み上げていくということ、そして国民の皆様から納得していただけるというものを積み上げるということが、従来から指摘されているようなバラマキ論とは全く違う。
命を守る公共事業という観点から、命を守るという、そこに大事なフレーズが付いていることが一番の違いであると思います。
 

(問)(1月)9日に笹子トンネルの上り線の点検結果が出ました。
ボルトの不具合が1,000個所余りと多かったのですが、大臣の受け止めをお聞かせください。
もう一点ですが、その中でボルトの不具合の中で、欠落しているところも見つかったということですが、昨年のネクスコ中日本による点検が甘かったのではないかという指摘もあるのですが、受け止めというか考えをお聞かせください。
(答)この(笹子トンネル)上り線でアンカーボルトの緩みが約1,000個所、そしてひび割れ等が125個所というような指摘であったと思います。
他のトンネルより多いという事実関係として、数としてはそういうような状況だと思いますが、数だけ多い少ないというよりも、これが一体どういうことでそういうことになったのかというようなことも含めて、詳細な分析をするように、ネクスコ中日本にも指示をしているところでございます。
この点については、しっかり指示をして、今数だけが出ている状況でありますから、どこの構造部材というところの、そうしたひび割れとかどういう個所でどういう風になっていて、その詳細分析と、去年の9月に点検をされたと言うことですが、それがどういう点検が行われて、そして結果的に数が多いところのものが出ているかということについては、調査検討委員会が議論をしていますから、ネクスコ中日本にはしっかりとした分析ができるデータを早急に出していくように指示をしたところであります。
これは調査をしっかりしていかないといけない項目であり、重大案件だと私は認識をしております。
 

(問)航空について教えてください。
前回の会見の時にもボーイング787型機の件で、調査を命じたということがありましたが、その後もバルブの方にも不具合等がございまして、これについても既に指示は出されているとのことですが、現在の最新情報がもし入っていたら教えてください。
(答)この件につきましては、案件が2件あるわけですが、最初の事案については米国の連邦航空局(FAA)が今調査をしているということです。
国交省としても電話会談等をして、その原因ということについて調査をしているところでありますが、新しいものは今出ていないという状況にございます。
後者については、成田(空港)に(飛行機が)着いて、又飛行機が飛ぶというようなことで、これは日本航空にしっかり調査をするように指示をしている訳でありますけれども、バルブが閉まらなかったという表示がされたということの中で、どこのどういうバルブがそうしたことになっているかということについては、まだまだ中身が十分ではないという状況だと思っております。
これは非常に大事な案件でありますので、しっかり調査をするようにということをやっています。
前者については、同機種のものについてどうかということを、これはFAAの問題ではなく我が国の問題ですので、同機種について調査をしたところ、未だ明確なこれが原因であるということについては、明らかになっていないという報告はいただいておりますが、なお一層、これは厳密に双方とも調査をしていかなくてはいけないという段階です。
 

(問)もう一点ですが、昨日(1月10日)自民党の税制調査会の方で、日本航空に対して、税金の見直しということを検討するという話が出たようですが、大臣のお考えをお願いします。
(答)自民党の皆さまが公的資金を入れた企業が優位になっていくのはどうかという判断の下での発言があったということを、私は報道で聞いたところであります。
この問題は、日本航空だけの問題ではなく税制全般の問題に関わることです。
そういう意味では公平・公正でなくてはならないということは、航空業界にとって当然であるわけでありますが、事は税制全般の問題ということになりますから、そういう点では今度これは企業の再生ということも絡めてどのように税との関わり合いを持っていくかということについては、これからどうするかということで、スタートを切っていくということだと思います。
現時点ではまだ、自民党の中からそのような話が出たということ以上に話は進んでいない状況にございます。
 

(問)観光立国に力を入れられるという話をされていましたが、日中問題、竹島問題等、韓国・中国からの旅客が減少しておりますが、片や同じ隣でもロシアからは非常に興味を持って(旅客が)増えております。
にも関わらず日本政府観光局という観光客誘致の機関がロシアには今までありません。
そのために、いくら(旅客が)増えているとは言いながらもフランスやペルー、イタリアからも日本に来ますが、ロシアからは約5万人くらいの人しか来ておりません。
旧来あった日本政府観光局の窓口も減ってきいますが、このような機会に是非、誘致を韓国や中国だけに頼らずにロシアからも誘致するために(窓口を)設置するような方向を検討されてはと思いますが、如何でしょうか。
(答)会見というよりは、良い指摘を頂いたと思っております。
まず減っている度合いから申し上げますと、韓国からの減少が多い、また中国は非常に政治的事案、外交案件ということの影響もあり急に下がったりというような状況にございます。
それぞれの韓国そして中国、そしてこれから東南アジア諸国との観光で日本に来て頂くということについては、鋭意努めていきたいと思っていたところですので、ロシアについても大勢の方が来て頂けるようにということが大事だということを認識しております。
私も一番最初に公明党の党代表になった時でありますが、真っ先にロシアに飛びまして、ロシアのモスクワから見ますと、従来はヨーロッパとの関係が強いということでありましたし、あるいはアジアのインドを始めとする中東諸国へのそうした目線が強かったように思いますが、もう7年前のことになりますが、これから、日本あるいは東アジアというところの政治的な判断というものあるかと思いますので、よくその辺りは連携を取れるように、観光という観点でもしていければと思います。
良い御指摘を頂きましたので、検討させて頂きたいと思います。
 

(問)インフラの老朽化対策の関係でお伺いします。
今回老朽化対策で防災・安全交付金が創設されますが、地方からは老朽化対策・維持管理というのは一過性でなく、これから未来永劫続くということで、予算が単年度ではなくて、しっかりとこれからも付いていくのかという不安の声がかなり上がっていますが、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)今日の時点では緊急経済対策、そして目下の課題は1月15日にも予定されている補正予算の中味を詰めるという作業であります。
当然これらの作業は、ずっと進めていかなくてはならないことだと思っております。
私は国土交通省が扱う様々な対策事項というのは、2年、3年、5年、10年、あるいは工事によっては10年以上かかるというところもありますので、持続するということが非常に大事だと思っております。
また、補正予算等で行ったことについて、それを直ちに実施するというよりも、例えば1年3か月前の、例えば復興中心の予算というものも、なかなか今執行されていないという事態がございますので、そして事故繰越というような形になるというようなことがあって、2年目の繰越しの時点では、かなり制限されるというようなことがありますので、そうしたことも含めて補正に積んだ予算というものが、ある意味では事故繰越というようなことのハードルを乗り越えていけるというようなことも、また、かなり大きな補正の措置でありますので、行っていかなければならないというふうに思っているところです。
そして老朽化対策ということについては、国の直轄もありますし、地方が、先ほど申し上げました、具体的にあそこの学校をこうしたい、我が県の我が市の管轄する橋をこうしたいということは、非常に具体的なものは地元に関わるものですから、その地元の負担というものの軽減をどう図っていくかということや、継続的に行う事業の予算というものがしっかりあるようにというようなことの措置を、それぞれ、いろいろな事項で違いますけれど、念頭において国交省としては取り組んでいく必要があるということは認識しているところです。
 

(問)公共事業が増えると、バラマキだとか批判的な声があがることが多いかと思いますが、大臣としては、なぜ公共事業が増えるとバラマキという声があがるというふうにお考えですか。
(答)公共事業バラマキ、そして公共事業悪玉論というのが一番出始めた時期というのは、1990年代、日米の関係の中で公共事業をはじめとする需要創出というようなことの中で、かなり大規模なということが要請をされたというような時期からではなかったかと思っています。
そして具体的には、釣り堀港湾であるとかダムというものがあちこちで問題になったりいたしまして、語呂合わせのように「ダムはムダ」というようなことが言われたりというような、あるいは農道空港というようなことが言われたという、あの意識がすごくあるというふうに私は思っています。
私自身、必要な公共事業はやる、無駄な公共事業は削るということで、何を無駄かということを当時私自身が国会等でも言ったかと言いますと、例えば、あるダムならダムの仕掛り中の物がある、しかし地元が反対をしたりしていて、そして多くの意見があったりして、そのまま止まってきているいうようなことについては、結論を早く出すというようなことが非常に必要だと、一番の無駄は作ろうとして止まったままおいてあることではないかというようなこともあったり、あるいは当時はB/Cというものは厳密にやられていないということもありまして、誰から見てもムダだという事案がいくつか出てきたということがあったと思います。しかし、B/Cというものを徹底し、私はB/Cについては、単にコンクリート量をどれだけ使ったかとかそのようなBとCという関係ではなくて、まさに今度の緊急経済対策にありますように、インフラの基盤を作る中で経済活動が行われていくというようなことの中で、もう少し幅広いそうした経済活性化の乗数効果というものを判断すべきだというものは私個人は持っているところでありますが、今から10年前位から特にそうした、いくつかの確かにそれは無駄だなと思えるような事例があったことがそのまま引きずられて今日に至っているのではないかと思いますが、それ故に、今回公共事業ということを防災・減災ということで、そして現場から積み上げていくことが必要で、国民の理解が得られないような物はあってはならないというような中身を吟味するべきだと私が言って、そこに注力しているというのは、そういう経過をなんとか振り払いたい、振り払いたいというのは無駄な公共事業は必要無いが、必要な公共事業は行うという当たり前のことでありますけれども、そうしたところに、ものの判断を出来るようにしていかなくてはならないと思っているからであります。
 

(問)今回、補正にしては公共事業の額が大分大幅になると思いますが、大臣の考え方として、今回は必要なものだけをちゃんと積み上げたものだと言えるのでしょうか。
(答)そうした考え方の下で行っていって、特にそこまで注意してということを省内全体に指示しているということでありますので、それは常に、必要か必要ではないという判断はいろいろあろうと思いますが、国民の非難を浴びるようなそういうものについては中身をしっかり吟味をするということについて、その姿勢は貫いていきたいと思います。
(問)必要なものを積み上げた結果として無駄なものは全く無くて、今回の額があるという認識でよろしいでしょうか。
(答)今回の国交省が担当している分野については、そういうことを積み上げているということについては、中身は吟味されていると思っています。

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